著者
中川 聖一 山本 誠治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.2139-2145, 1996-12-25
被引用文献数
9

本論文では,対話方法と被験者の違いによる振舞いや主観の違いの検討を行うために,"Wizard of Oz法"でインプリメントしたシステムを用いて評価実験を行った."Wizard of Oz法"とは,システムに精通した人(ウィザード)がシステムの代わりに処理を行うことによって,あたかもシステムが存在しているかのように見せかける実験方法である.評価実験で用いたタスクは,"富士五湖周辺の宿泊施設案内"で,対話方法としてはシステム主導型とユーザ主導型の二つを用意した.また,被験者として情報工学系の学生と工学系でない一般の女性を選び,合計16人で実験を行った.評価実験で得られた対話データをもとにユーザの平均発話数,1発話当りのユーザのシステム占有時間,聞き直し,間投詞,言い直し,単語カバー率について詳しく検討した.その結果,ユーザの平均発話数はシステム主導型の方が多くなるが,ユーザのシステム占有時間はユーザ主導型の方が長くなることわかった.また,間投詞,言い直しはユーザ主導型の方が多く出現することわかった.更に,システム主導による入力の方がユーザ主導に比べて使用される単語にかなりの制限が加えられることが確認できた.
著者
中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.351-359, 2005-02-01
参考文献数
16
被引用文献数
57

無線通信といえば3000GHzまでの電波利用と, 赤外線利用のいずれかと思われていた.見える光を利用する可視光通信について述べていきたい.見える光は電波と同じ波の一種なので, 当然ながら, 情報を伝えることができる.ここでは可視光通信の可能性をユビキタス通信システムの一員として論じる.
著者
水井 潔 内田 雅敏 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.342-349, 1995-05-25
参考文献数
11
被引用文献数
85

本論文では,通信と測距を同時に行えるスペクトル拡散方式を用いた車両間通信・測距統合システムを提案する.提案システムでは,自車が送出したPN信号に対象車が情報を乗算,再送出することで,自車はスペクトル拡散復調によって対象車の情報を把握できると共に,送受したPN信号の位相差を検知することで対象車との間の車間距離を正確に測定することができる.また,対象車がシステム搭載車でなくても自車は送出したPN信号からの反射波のみで従来のスペクトル拡散レーダと同様に車間距離は測定できる.本システムを有効に利用し,相互の車両情報や運転者情報を通信し,車間距離を測定することで,事故を未然に防ぐだけでなく,渋滞のない円滑な運転が可能となる.計算機シミュレーションの結果,併走車または対向車からの干渉波が混入する場合でも自車において対象車の情報が復調できると同時に車間距離が測定できることが確認された.
著者
田代 和浩 川村 隆浩 清 雄一 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.3_58-3_69, 2014-07-25 (Released:2014-09-25)

近年,多数のアイドルグループが人気を博しており,知名度や社会での影響力が大きくなっている.それに伴い,これらのアイドルの画像をポーズごとに分類し,鑑賞したいというニーズがアイドルファン内で高まっている.本研究は,アイドルのポーズを分析し,ユーザーに代わって分類してくれるエージェントを提案する.提案手法は大きくポーズ推定とポーズ分類の2つの処理に分かれている.ポーズ推定によって取得できる画像内人物の体のパーツ位置情報を特徴ベクトルとし,ポーズ分類によって8つのクラスへと画像を分類する.ポーズ分類の際,分類精度をより高めるため,Human Pose Guide Ontology(HPGO)を提案する.HPGOは人体構造に関する制約条件を内包し,ポーズ推定で得られた体のパーツ位置情報に補正を加えることで,分類精度を高める働きをする.評価実験により,提案手法の有用性を示し,実験結果について考察を行う.
著者
中川 博
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.31-38, 2008-05

わが国のマスコミは、特に新聞は捜査段階から警察発表に依拠して実名と住所などを詳報する。それによってプライバシーと人権が侵害されることが多い。人権先進国ともいうべきスウェーデンなどの北欧諸国は匿名報道であるため人権が擁護される。後半では新間改革として、夕刊廃止と日曜版の充実、と専門記者制の確立を提言した。
著者
佐藤 一誠 中川 裕志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.19, pp.107-116, 2007-12-15

Unigram Mixtureは教師なし文書分類などで幅広く使われている確率的生成モデルである.Unigram Mixtureは,混合モデルであり,実際の適用にはユーザは混合数決定問題をつねにかかえている.近年,このような混合モデルにおいて,Dirichlet Processを用いたノンパラメトリックベイズモデルが注目を集めている.Dirichlet Processを用いることでデータに合わせてモデル構造(混合数)を変化させることができる.本研究では,Dirichlet Processにより拡張したUnigram Mixtureに対して,Collapsed変分ベイズ法を用いてモデル学習する手法を示す.対数尤度とF-scoreによる評価により従来手法に対する有効性を確認した.Unigram Mixture is a probabilistic generative model that is widely used in unsupervised clustering of documents. Unigram Mixture is a mixture model and have a problem of how to determine the number of clusters. Recently, a nonparametric Bayes model using Dirichlet Process has gotten a lot of attention in this problem. Models using Dirichlet Process can determine the number of cluster corresponding to data. In this paper, we expand Unigram Mixture by Dirichlet Process and present a scheme that learns the model by Collapsed Variational Bayes inference.
著者
吉松 靖文 村田 健史 井上 雅彦 木村 映善 中川 祐治
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、自閉症児を主とした発達障害児の日常生活を支援するための携帯型生活支援ツールを設計・実装し、その評価を行う。ツールは携帯電話で動作し、自宅、学校、外出先などどの場所にいても利用できる日常生活に根付いたツールとして設計した。さらに、パーソナルコンピュータでも同じユーザインターフェースと同じ機能で動作するアプリケーションを提供した。本研究では、このツールを実装し、これを用いて次の2点について研究を行った。平成16年度〜平成17年度は、発達障害児の生活支援ツールの設計・実装を行った。まず発達障害児に有効なインターフェースを提案し、XMLをベースにシステム設計した。ツールとしては、タイマー機能、スケジュール機能、カレンダー機能、絵カード機能の4つの機能を実装した。平成17年度〜平成18年度は、ツールによる自閉症児を中心とした発達障害児への実験を行った。臨床応用では、様々なタイプや程度の発達障害および生活シーンにおいて適用を行った。知的障害の特別支援学校では、PCでタイマーやスケジューラを表示し、学級での活用を行った。その結果、指示待ち状態にあった自閉症児が自発的に活動に着手したり、一つ一つの活動遂行に時間がかかっていた知的障害児や自閉症児が所定の時間内に活動を終えることが可能になったりするなどの成果が得られた。また、他児の遂行と自分のそれを比較するようになったり、タイマーを使っていない場面での活動への着手・遂行も能動的になったりするなどの効果も見られた。家庭での応用では、朝の支度や下校後の活動支援を行った。その結果、朝がなかなか起きられなかった高機能自閉症児が短時間で自ら起床するようになったり、宿題が通常の何倍もかかっていた高機能自閉症児が平均的な時間で宿題を終えるようになったりするなどの効果が見られた。
著者
島宗 亮平 中川 千鶴 大野 央人 白戸 宏明
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.77, no.781, pp.3205-3210, 2011 (Released:2011-09-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

According to a speedup of the Shinkansen, it is increasing to feel the passage of the vertical curve. However, the actual situation is not clarified because it is hardly investigated the ride comfort about the vertical curve passage until now. Therefore, two kinds of subject experiments by the high-speed train were carried out to obtain the knowledge of the ride comfort in the vertical curve passage, and the following results were provided. It was suggested that not only the acceleration but also the jerk influenced the perception of the vertical curve. In the same condition as the passengers of the operating train, the perception ratios of the vertical curve were about 60 % at maximum speed 275 km/h, and about 70 % at that 320 km/h. In the vibration ride comfort of including the vertical curve, the railroad employees were strictly evaluated than general subjects, and young group subjects were strictly estimated than elder ones.
著者
高野 海斗 岡田 知樹 清水 裕介 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3K4GS1003, 2022 (Released:2022-07-11)

有価証券報告書には,企業の業績や事業リスク,ESG活動などの様々な情報が記載されており,先行研究では投資判断に有益な情報として,業績要因文をテキストマイニングするモデルが提案されている.上記情報以外にも有価証券報告書には「配当政策」に関する記述が存在し,配当の基本方針や今年度の配当金に関してだけでなく,将来の配当方針や配当性向に関して記載がある.また将来の配当政策のうち増配に関する記述は公表後に株価の上昇をもたらすことが知られており,投資判断に有益な情報である.したがって,将来の配当は専門知識を持ったアナリストが様々な情報をもとに予測を行っているが,人手が限られているため大企業を中心に行われている.そこで,本研究では有価証券報告書の配当政策にどのようなことが記述されているかを調査し,将来の配当を予測するのに有効なテキストの自動抽出を試みた.その結果,本研究で作成した学習データを用いることで,高い精度で将来の配当政策に関する記述を抽出できた.これにより将来の配当政策に関する情報が効率的に自動抽出でき,新しい投資判断基準や投資戦略の構築などへの応用が期待できる.
著者
中川 明仁 佐藤 豪
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.1-8, 2012-03-10 (Released:2013-09-06)
参考文献数
34
被引用文献数
1

Relationships between multidimensional self-oriented perfectionism, defense mechanisms and anxiety were investigated. Participants were university students (n = 169: 68 men and 101 women). They completed the following questionnaires: Multidimensional Self-oriented Perfectionism Scale (MSPS), Defense Style Questionnaire 42 (DSQ42) and State Trait Anxiety Inventory (STAI). Path analysis indicated that Personal Standards positively affected mature defense mechanisms; and moreover, mature defense mechanisms had negative effect on trait anxiety. Moreover, Concern over Mistakes had a positive effect on immature defense mechanisms, and furthermore, immature defense mechanisms had positive effect on trait anxiety.
著者
村川 美也子 星川 恭子 中川 美奈 田中 聡司 由雄 祥代 須田 剛生 阿部 和道 黒田 英克 飯島 尋子 日本肝臓学会キャリア支援・ダイバーシティ推進委員東部会ワーキンググループ
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.476-486, 2023-10-01 (Released:2023-10-12)
参考文献数
8

第44回日本肝臓学会東部会のキャリア支援・ダイバーシティ推進委員会関連企画の一環として,学会参加者を対象にキャリア支援・学会・SNSに関するアンケート調査を実施し,238名(男性78%,女性22%,40歳未満21%)から回答を得た.「希望するキャリアを継続する際の大きな障害」について最多回答は「時間的な余裕」(61%),次いで「支援体制の不備」(43%)であり,「キャリア支援・ダイバーシティ推進において重要だと思うこと」は「働く環境の整備」(58%)が最多だった.また,学位の取得や留学については肯定的な意見が多かった(学位81%,留学75%).必要な学会の取り組みとしては,学術集会・教育講演会のハイブリッド開催(74%)や単位更新のweb化(51%)の要望が多かった.さらにSNSを利用している割合はFacebook 44%,Twitter 32%であり,Twitterは若い年代で多かった.
著者
安間 了 山本 由弦 下司 信夫 七山 太 中川 正二郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.Supplement, pp.S101-S125, 2014-08-31 (Released:2014-12-26)
参考文献数
65
被引用文献数
1 3

世界自然遺産・屋久島の生物多様性を支えるのは海洋性の環境の中に現出する高山地形である.多くの海洋島が火山からなるのに対して,屋久島の基盤を構成するのは四万十帯の砕屑性堆積岩類と屋久島花崗岩である.本巡検では高山を形成する屋久島花崗岩の貫入機構を,正長石巨晶の定方向配列,岩脈の分布,貫入に伴う母岩の変形と接触変成作用の観察を通して議論する.母岩の四万十帯の地層や枕状溶岩の産状,付加体中での圧密,メランジュやデュープレックス構造の形成,地震による液状化構造がどのような順序で発達したかを観察し,付加体の変形史とメランジュの認定基準について議論する.また鬼界カルデラの噴火に伴う火砕流堆積物の産状,噴火による地震が引き起こした液状化などの構造を観察し,海中における爆発的噴火がもたらしうる災害のシナリオを検討する.
著者
中川 哲 齋藤 玲 板垣 翔大 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.141-156, 2023-01-20 (Released:2023-02-01)
参考文献数
27

本研究では,テスト採点支援システムの利用経験を持つ初等中等教育の教員に対して,テスト採点業務の意識や実態に関するアンケート調査を行った.調査の結果,手採点との比較で,小学校,中学校・高等学校のいずれの学校種における教員においても,今後,採用したい採点手法としてシステム採点が選好された.調査結果の分析から,システム採点の作業面で,採点時間の削減と作業負担の軽減,採点全体の正確さの特性が明らかになった.また,学習指導面では,クラス全体の理解状況の把握についての特性が明らかになった.中学校・高等学校においては,教員自身の指導の振返りについての特性も見られた.一方,学習指導面において,システム採点を行った場合,学習者一人ひとりの理解状況の把握が難しくなるという課題が一部でみられた.この課題については,システム採点において,印刷後の紙の解答用紙を確認するなどの紙とデジタルを併用する解決策がみられた.
著者
宮崎 哲治 中川 彰子 青木 省三
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.57-66, 2014-01-31 (Released:2019-04-06)

妊娠中の強迫性障害に対し、薬物療法は行わず曝露反応妨害法を中心とする行動療法のみで奏効した患者を経験したので、若干の考察を加え報告する。患者は28歳女性。結婚後、トイレを汚したのではないか、自分が歩いた所は汚れてしまったのではないかという強迫観念が生じ、夫や実母に何度も汚くないとの保証を要求するようになった。妊娠後さらに強迫症状は悪化した。妊娠28週でA精神科診療所を初診したが、トイレに行った際には、除菌シートで足やトイレの床を拭き、トイレでの行動を克明にメモし、携帯電話のカメラで自分の行動などを撮影し確認していた。また、汚れやばい菌をまき散らしてしまうという強迫観念のため料理などの家事もできない状態であった。曝露反応妨害法を中心とする行動療法を開始したところ、強迫症状は徐々に改善していった。出産後は家事も育児も本人が行えるようになり、約半年後の受診時にも強迫症状は認めなかった。