著者
神谷 信秀 橋本 政宏 鈴木 富雄 伴 信太郎 中村 亮一 渡辺 宏久 祖父江 元
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.11, pp.2838-2842, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

抗NMDAR脳炎は卵巣奇形腫に随伴する辺縁系脳炎であり,若年女性に好発する.症例は16歳,女性.抗NMDAR脳炎の経過中に,家族などのかけがえのない人物が瓜二つの別の人物に入れ替わっているという妄想である,カプグラ症候群を併発した.抗NMDAR脳炎にカプグラ症候群が併発した報告は本例が初めてである.一方,抗NMDAR脳炎において海馬や扁桃体にIgGが沈着しているという報告があり,同部位はカプグラ症候群の責任病巣として知られている.今後,抗NMDAR脳炎患者が経過中に妄想や精神症状を示した場合には,病的言動に対してカプグラ症候群を念頭に置いた評価が必要である.
著者
嶋田 有紗 吉田 英樹 志田 航平 中村 洋平 前田 貴哉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.35-41, 2018 (Released:2018-04-06)
参考文献数
13

本研究では,ホットパック(HP)とストレッチングの同時施行によりHP施行時間の短縮が可能か検討した。健常者17名の左右いずれかのハムストリングスを対象とした。全対象者にHPでの大腿後面の加温開始前(基準)と加温開始5分後および20分後にHPを適用したままストレッチング(股・膝関節90°屈曲位とした仰臥位での膝最大自動伸展運動)を行う条件(同時施行条件)と,HPを適用せずに同時施行条件と同一時点でストレッチングのみ行う条件の2条件を日を改めて実施した。検討項目は,各条件の各時点におけるハムストリングスの伸張痛の程度(NRS)とストレッチング時の膝最大伸展角度とした。結果,同時施行条件でのみ基準と比較して加温開始5分後および20分後での同等のNRSの有意な軽減と膝最大伸展角度の有意な増加を認めた。以上から,HPとストレッチングの同時施行によりHP施行時間を5分まで短縮可能と考えられた。
著者
中村 玲子 越川 房子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.129-142, 2014 (Released:2015-03-27)
参考文献数
36
被引用文献数
5 3

いじめはその深刻さが指摘されており, 学校現場での対応が求められている問題である。いじめの減少困難や助長の要因として傍観者が挙げられており, 傍観者層の多寡は, 被害者の多寡と最も強い有意な相関を示すことが見出されている(森田, 1990)。本研究では中学生を対象としたいじめの抑止を目的とする心理教育的プログラムを開発し, その効果の検討を行った。プログラムは, いかなるいじめも容認されないとする心理教育と, いじめへの介入スキルの学習から構成された。プログラムの所要時間は授業1回分であり, 対象校生徒の実情に合った内容を用いての, ソーシャル・スキルス・トレーニングの技法に基づくロール・プレイングを含むものであった。事前・事後分析の結果, 本研究で開発されたいじめ抑止プログラムは, いじめ停止行動に対する自己効力感といじめ否定規範の向上, いじめ加害傾向の減少に一定の効果をもつことが示された。また, いじめの抑止のためには, いじめ否定規範の高い生徒にはいじめに介入するためのスキルの学習が, いじめ否定規範の低い生徒にはスキルの学習と同時にいじめ否定規範を高める指導・支援を行うことが有効である可能性が示された。
著者
中村 謙治 森川 信也 山崎 基嘉 磯部 武志
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.182-188, 2007-12-01 (Released:2009-01-14)
参考文献数
9

湛液型水耕栽培ベッドと飼育水槽を組み合わせ, ポンプにより飼育·栽培用水が常時循環する野菜栽培と魚類育成の複合生産システムを供試し, 果菜と淡水魚の複合生産の可能性を検討した. 実験はトマトとティラピアを組み合せたシステム, 水ナスとコイ, ヘラブナを組み合わせたシステムについて行った. 飼育·栽培用水に養液栽培用肥料を添加する条件では, 果菜の収量は魚を飼育しない場合に対し同等以上の収量が得られ, 飼育魚は水耕栽培用の培養液中でも順調に生育した. 以上から, 養液栽培システムに魚類育成用タンクを追加するだけの簡易なシステムにより, 果菜類の栽培と淡水魚類の生産が両立できる可能性が示された.
著者
鳥居 洋祐 大西 崇文 長友 忠相 佐藤 元 中村 純子 鳥居 良貴 森井 英一 廣田 誠一
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.221-227, 2018-03-25 (Released:2018-03-27)
参考文献数
8

グロコット染色は一般に,銀液の温度や反応時間の設定が難しく,施行者間での染色性に差が生じやすい。特にメセナミン銀液を用いる従来法ではその傾向が強いことから,銀液の反応時間の許容範囲が大幅に広く,また塩化金液による菌体の染色性を調節することができるクロム酸アンモニア銀法を用いることで施行者間での相違が少なくなることが期待される。しかし,これまでには温熱下での銀液反応時間の設定や,真菌ごとの至適条件の検討は十分には行われていない。今回我々は,従来法とクロム酸アンモニア銀法における各種真菌での溶融器と温浴槽を用いた銀液の反応時間および塩化金液の反応時間を比較検討した。検討した真菌はアスペルギルス,クリプトコッカス,ニューモシスチス・イロベチーの3種類で,いずれの真菌でも溶融器を用いた場合に,良好な染色性を示す銀液の反応時間の幅が最も広いことが確認された。また,いずれの真菌においても塩化金液の反応時間を変えることで菌体の色の濃さが調節でき,いずれも1~5分で十分な染色が行えることが明らかになった。溶融器を用いたクロム酸アンモニア銀法によるグロコット染色は,塩化金液での染色時間を真菌ごとに調節することで,施行者間の差の少ない安定した結果が得られるものと考えられる。
著者
下田 好行 小松 幸廣 岩田 修一 四方 義啓 吉田 俊久 榊原 保志 岩田 修一 四方 義啓 榊原 保志 山崎 良雄 長谷川 榮 吉田 武男 黒澤 浩 永房 典之 赤池 幹 青木 照明 岸 正博 中村 幸一 岡島 伸行 熊木 徹
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

知識基盤社会を生きるために知識情報を熟考・評価し、表現・コミュニケーションしていく「キー・コンピテンシー」を育成する学習指導法の枠組みを開発した。また、この枠組みにそって授業実践を小学校と中学校で行った。その結果、この学習指導法の枠組みの有効性を確認することができた。
著者
中村 本然
出版者
智山勧学会
雑誌
智山学報 (ISSN:02865661)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.96-137, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
110

『釈摩訶衍論』は修行論として、止観の法門を重視する論を展開する。修行者にとって魔事は克服すべき課題であり、『釈摩訶衍論』の論主にとっても念頭から離れることはなかった。「広釈魔事対治門」では、魔・外道・鬼・神の四種の仮人について詳細な考証が施されている。中でも修行者を迷わせる外道に多方面からの検討がみられる。『大乗起信論』の注釈書である元暁の『起信論疏』には、諸魔を天魔、鬼を堆愓鬼、神を精媚神とする。法蔵の『大乗起信論義記』は元暁の解釈を引き継ぐ姿勢を窺わせる。報告では、止観の修行に注目した『釈摩訶衍論』の論主の趣旨に迫ることにした。
著者
岡本 浩一 二宮 致 廣瀬 淳史 中村 慶史 尾山 勝信 宮下 知治 田島 秀浩 藤村 隆 太田 哲生
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.983-987, 2017 (Released:2017-06-20)
参考文献数
15

【目的】食道癌術後縫合不全におけるCaHMB・L-アルギニン・L-グルタミン配合飲料(以下、アバンド™と略)投与の有用性につき検討した。【対象及び方法】2003年1月から2014年12月の期間に食道切除・胃管再建術を施行した食道癌205症例において、アバンド™を手術日の14日以上前から術後にかけて周術期栄養療法に追加したアバンド群55例と、非投与症例(対照群)150例における縫合不全発症率を検討した。また、保存的に治癒が得られた縫合不全症例19例(アバンド群8例と対照群11例)における縫合不全発症日数、縫合不全治癒までの期間、合併症などにつき後方視的解析を行った。【結果】両群間における縫合不全発症率に有意差は認めなかった(アバンド群14.3%、対照群7.3%、P=0.115)。縫合不全治癒期間はアバンド群で13.5±14.3日であり、対照群の35.0±17.4日と比較して有意に治療期間が短かった(P=0.043)。【結論】アバンド™は食道癌術後縫合不全の治療期間短縮に寄与する可能性が示唆された。
著者
金田 忠吉 海川 正人 Smgh M Rohinikumar 中村 千春 森 直樹
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.159-166, 1996-06
被引用文献数
1

マニプール州はアッサム州の南東に位置し,アジア栽培稲の.多様性中心地の一角を占めている.ここで収集された在来稲鼎種は約270のMRC (Manlpur Rice Collection)として整理され,農業特性が調査されているが,その一部の譲渡を哩けて2,3の生埋的・形態的特性と葉緑体および全DNAの解析を行い,各品種ごとの遺伝的特性とその栽培地域との関係から牛.態種の分化の様相を明らかにした 供試材料はマニプール州の'在来品種.51と改良型10品種.で,対照としてJaponica5(日本品種3といわゆるJavanica2)品種及びIndica2品種を用いた(Tab1e1).まず内外穎のフェノール反応,2〜3葉期の苗の1.5%塩素酸カリ溶液に対する抵抗性,および穎毛の長さを用いた判別関数Z他による48在来品種0)分類では,32品種がIndica,5品種がJaponica,11品種が中間型となった.
著者
中村 玲子 越川 房子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.129-142, 2014
被引用文献数
3

いじめはその深刻さが指摘されており, 学校現場での対応が求められている問題である。いじめの減少困難や助長の要因として傍観者が挙げられており, 傍観者層の多寡は, 被害者の多寡と最も強い有意な相関を示すことが見出されている(森田, 1990)。本研究では中学生を対象としたいじめの抑止を目的とする心理教育的プログラムを開発し, その効果の検討を行った。プログラムは, いかなるいじめも容認されないとする心理教育と, いじめへの介入スキルの学習から構成された。プログラムの所要時間は授業1回分であり, 対象校生徒の実情に合った内容を用いての, ソーシャル・スキルス・トレーニングの技法に基づくロール・プレイングを含むものであった。事前・事後分析の結果, 本研究で開発されたいじめ抑止プログラムは, いじめ停止行動に対する自己効力感といじめ否定規範の向上, いじめ加害傾向の減少に一定の効果をもつことが示された。また, いじめの抑止のためには, いじめ否定規範の高い生徒にはいじめに介入するためのスキルの学習が, いじめ否定規範の低い生徒にはスキルの学習と同時にいじめ否定規範を高める指導・支援を行うことが有効である可能性が示された。
著者
中村 眞人
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.23-27, 2018-02-28 (Released:2018-02-28)
参考文献数
3

心停止の場所で人の生死が決まってよいのかとの思いで,千葉市を日本のシアトルに!構想がスタートした。医師会・千葉市・千葉大学が参加する連携委員会で協議し,小,中,高校対象の救急蘇生講習を軸としたいのちを守る推進プラン,医師会主催ICLS・BLS講習会,救急対応力向上研修会,医師会認定救急医制度などを開始した。例えばいのちを守る推進プラン実践校は,2011年は,1中学校区4校。2015年は,20中学校区56校と増えた。医師会主催のICLS講習会は10回,BLS講習会は8回,ICLSワークショップ講習会は2回開催した。その結果,ICLSディレクター 1名,ICLSインストラクター 8名が誕生し,BLS・ICLS講習会の医師会単独開催が可能になった。救急対応力向上研修会は39回開催し,医師会認定救急医は,初級が約20名,中級が4名,上級が1名になった。これらの活動は,学校医・産業医・かかりつけ医として医師会に求められる公益活動につながると思われる。
著者
勝木 美佐子 中村 雄二 平野 正憲 野本 一臣 今井 道代
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.715-718, 2012 (Released:2013-04-01)
参考文献数
12

目的:ビリルビンは,強力な抗酸化物質であり,動脈硬化予防に作用している可能性があると報告されていることから,生活習慣と総ビリルビン値に関連性があるかを検討した.方法:対象は平成22年に当クリニックを受診し,体質性黄疸が考えられる総ビリルビン値2.3mg/dL以上を除外した21,166名(男性12,622名,女性8,544名)である.生活習慣に関しては,喫煙習慣,飲酒習慣,運動習慣,ストレス,睡眠時間について,自記式問診票にて確認した.体格については,body mass index(BMI)を18.5未満(やせ群),18.5以上25.0未満(標準群),25.0以上(肥満群)の3群に分け,それぞれ総ビリルビン値の平均値について検討した.総ビリルビンは酵素法にて測定した.成績:喫煙習慣について,総ビリルビン値は男女ともになし群,やめた群,あり群の順に有意に高値であった.飲酒習慣については,飲酒習慣のない者が男女とも総ビリルビン値が有意に低値であった.運動習慣については,運動習慣のない者が男女とも有意に低値であった.ストレスと睡眠時間については,男女とも総ビリルビン値と関連を認めなかった.体格については,男女ともに,やせ群,標準群,肥満群の順で有意に高値であった.結論:喫煙習慣,飲酒習慣,運動習慣,体格(BMI)において総ビリルビンとの関連がみられた.今後,ビリルビンと生活習慣病の発症・進展における役割についての検討が必要と思われる.
著者
吉沢 彰洋 中村 俊介 山下 智幸 三林 洋介 一杉 正仁 有賀 徹
出版者
一般社団法人 日本交通科学学会
雑誌
日本交通科学学会誌 (ISSN:21883874)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.79-80, 2016 (Released:2018-03-01)

長野県北アルプス広域消防本部において、2015年11月に実施された既存車両への「再帰性に富んだ反射材」貼付の実証実験とその後のアンケート調査の結果、非常に高い評価を得た。このうち救急車に関しては、実車両の反射具合と国土交通省発出文書に関する松本自動車検査登録事務所の解釈が落ち着いたことを確認して、貼付位置等を若干変更し、2016年3月18日「再帰性に富んだ反射材」を備えた新車の納車を迎えた。
著者
遠山 光一 中村 壽 斎藤 七五郎
出版者
造船協會
雑誌
造船協會會報
巻号頁・発行日
no.75, pp.7-21, 1953
被引用文献数
1

Nous avons l'intention de vous presanter un projet du cargo en ciment arme qui a ete actuellement construit au Japon pendant la grande guerre 1942~1945. Les principales dimensions de ce navire sont suivantes : [table] Dapres l'experience nous avons donne a la paragraphe 3 des avantages et des desavantages d'un navire en ciment arme par rapport a celles d'un navire en acier. La partie essentiele de ce memoire est les resultas des calculs des efforts. des tentions, des compressions et des cisaillements de la coque en ciment arme.
著者
品川 政太朗 吉野 幸一郎 サクティ サクリアニ 鈴木 優 中村 哲
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J102-D, no.8, pp.514-529, 2019-08-01

自然言語から思い通りの画像を生成するシステムは,コンピュータによるデザイン作成支援に有用であると期待されている.本研究では,自然言語によってインタラクティブな画像編集を行うことを指向して,自然言語の指示によって直前にシステムからユーザへ共有された生成画像を操作することで,より意図に沿った画像を新たに生成するフレームワークを提案する.具体的には,修正元となる画像データをConvolutional neural networks (CNNs)によって埋め込んだベクトルと,画像に対する自然言語の修正指示文をLong short-term memory neural networks (LSTM)によって埋め込んだベクトルを入力とし,敵対的学習によって指示通りに修正された画像の生成を行う枠組みを提案した.実験では,手書き数字操作データセットを用いた単純なタスクにより,提案モデルが学習した画像編集タスクにおける振る舞いについて分析した.また,実際に人手で付与した指示文によってアバター画像を修正し,意図に沿った編集を行うことができることを確認した.
著者
田村 昌大 廣瀬 伸良 中村 充 齊藤 仁 山内 直人 田中 力 鈴木 桂治 菅波 盛雄
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.143-149, 2012

本研究では、2009年1月に改正されたIJF試合審判規定が柔道競技に及ぼした影響を分析・検証を行なった。その上で、試合審判規定改正の世界柔道の戦術内容に関する最新の動向を探ることを目的とした。<BR>研究方法は、収録された映像を基に2008年フランス国際柔道大会及び2009年グランドスラム・パリ国際柔道大会の競技内容を比較した。試合数は両年合わせて476試合であった。競技分析を行う上で、項目を作成した。作成した項目については、「競技分析シート2009」に競技内容を入力するものとした。<BR>組み手については、釣り手・引き手ともに持った状態で施技を行う「充分」が0.1%水準で有意な増加が認められた。また、「ズボンを直接握る」ことへの反則適用から、施技者及び相手も施技時に「脚」を持つという戦術は有意な減少が認められた。さらに、施技する際の姿勢も前傾姿勢状態からの施技は5%水準で有意な減少が認められた。<BR>ポイント取得の技術内容や組み手戦術において改正前と比較した結果では、「脚」を持つ戦術に依存しないことで「襟」「袖」を持った状態で施技可能な技術に移行するという望ましい傾向となった。<BR>今回の改正によって懸案事項となっていた点が改善される傾向にあり、IJF試合審判規定改正が影響のあるものであったと考えられたが、「肩車」にみられるような「脚」を持つ技に対する依存は未だ存在している。そのため、2010年にさらなる試合審判規定の改正につながったものと推察する。