著者
中村 卓司 KERO Johan Ranold
出版者
国立極地研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究では、最近導入された超多チャンネルの受信系で高性能な電波干渉計が構成できる大型大気レーダー「MUレーダー」に、超高感度のICCDカメラを組み合わせて、電波および光学の高感度・高精度同時観測で、流星物質の大気との相互作用、とくに電離発光時のフラグメンテーションの物理を定量的に明らかにすることを目的としている。本年度は、前年度に引き続き毎月24時間の光学および電波によるキャンペーン観測を行ない、多くの光学・レーダーの同時流星のデータを取得できた。また、10月にはオリオン座流星群の観測キャンペーンを国立天文台・渡部潤一氏らのグループとも共同で長時間にわたって行った。データ解析ではICCDビデオ画像の解析方法を改良して1/60秒のフィールド毎のデータ解析を行い、研究員の開発してきたフラグメンテーションモデルとの比較を進め、2体に分離する流星の干渉および減速の様子を詳細に検討した。また、研究協力者の上田、藤原らの多点でのビデオ観測との同時観測も進めることができた。また、EISCATレーダーとの比較では、とくにMUレーダーの広いビームを活かした散乱断面積の長時間にわたる変化の観測で、VHFレーダーの優位性を示すことができた。以上のように、本年度はこれまでのデータに加えて観測データを拡張しその同時データ数は170例を超えこの種の観測では世界最高であり、さらにデータ解析を進めることで他に類をみない高精度のデータベースを得ることに成功し、その成果は国際会議で発表し好評を得た。現在論文を投稿中(改訂中)でありさらに数編を執筆中である。
著者
中村 祐司
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

スポーツ基本法の制定を含むスポーツ振興事業をめぐる諸改革が、スポーツ団体や企業スポンサー、日本体育協会、日本オリンピック委員会、地方自治体のスポーツ行政担当組織、さらには地域コミュニティのスポーツ活動環境にどのような影響を及ぼしたのかという視点から、東日本大震災後の状況の変化に注目しつつ、以下のようなテーマを設定し、日本におけるスポーツ行政のガバナンス変容に関わる諸論文を作成した。すなわち、「スポーツ行政・ガバナンス研究の分析枠組み」「東日本大震災による地域スポーツガバナンス拠点の損失」「スポーツガバナンスにおける好循環・連携・協働の分析枠組み」といったテーマで、論文作成と提言等を行った。
著者
中村 真由美
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.218-221, 2009-10-31
参考文献数
2
著者
東島 仁 中川 智絵 山内 保典 三浦 優生 高橋 可江 中村 征樹
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.28-43, 2012-06

The advancement of science and technology has brought not only positive but also negative influences. As a result, people are finding it important to examine the potential consequences of science and technology and their effects on society. In this paper, we describe a public dialogue to examine the relationship between autism (Autism Spectrum Disorders) and society, with detailed methodology for conducting it. Autism is a lifelong neurodevelopmental disorder; approximately one in 100 people have autism. The study of autism is one of the most active fields of research. The approximately 30 participants in the dialogue included various citizens, for example, entrepreneurs, autistic people, parents of young children with/without autism, educators, artists, and students. After being provided with sufficient information on autism, participants were divided into 5 groups to discuss the topic and offer proposals. Finally, 5 proposals for an autism-friendly society were announced; these can be viewed in English at http://ristex-kanazawa.w3.kanazawa-u.ac.jp/syoppu/Consensus.htm. In each proposal, the importance of collaborating with a variety of sectors such as citizens, medical institutions, schools, and other professionals was mentioned. We hope that these proposals will be a foundation for future discussions on the relationship between autism and society.
著者
片野 修 中村 智幸 山本 祥一郎 阿部 信一郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.902-909, 2004 (Released:2005-07-08)
参考文献数
25
被引用文献数
8 9

浦野川において魚類の種組成, 個体密度, 成長率および食物関係について調査した。合計で14種, 7,052個体の魚類が採集された。オイカワがもっとも優占し40%以上の個体数を占め, ついでドジョウ, ウグイ, カマツカが多かった。これらの魚種は6月から8月にかけて正の成長を示した。大半の魚はユスリカなどの水生昆虫を捕食していたが, オイカワだけは底生藻類を主食としていた。浦野川の調査区においてはナマズなどの魚食性魚類がほとんど生息しておらず, その生態的地位が空白となっている。したがって, オオクチバスなどの外来魚食魚の侵入が危惧される。
著者
平岡 眞寛 佐治 英郎 富樫 かおり 溝脇 尚志 松尾 幸憲 吉村 通央 中村 光宏 小久保 雅樹 澤田 晃 門前 一 板坂 聡
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

放射線治療の成績向上には、生物学的画像情報の治療計画への統合と腫瘍や正常臓器の動きへの対応が必要と考えられた。我々は、放射線治療計画における生物・機能画像情報の有用性の評価、腫瘍動体評価と生物・機能画像の4次元化法の確立、および動体追尾SIB-IMRT治療の実現に向けた基盤技術開発の3つの要素に分けて研究を行った。それぞれF-MISO-PETによる低酸素イメージングにおける最適な撮像タイミング、呼吸同期FDG-PETの有用性、4次元線量計算モジュールの開発などの研究成果を挙げた。今後これらの研究成果が放射線治療の高度化と成績向上につながるものと期待される。
著者
中村 裕美 宮下 芳明
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_65-1_75, 2013-01-25 (Released:2013-03-25)

食メディアに関する研究には,料理情報の共有や調理工程の分析と支援,食事内容の記録や分析,健康維持のための食事環境支援,共食におけるコミュニケーションの分析,支援,味情報の計測や提示などが含まれる.本論文では,近年活発に展開されるようになった情報科学技術を活用した味情報の提示手法を対象に,該当する研究や技術展開を直接提示型と間接提示型の2つに分類し,各分類の特性を議論したうえでサーベイを行った.また,これらの研究領域や技術の今後の動向と食メディアへの貢献について議論した.
著者
林 祐行 冨田 耕治 大塚 千亜紀 大和 香奈子 一宮 斉子 吉岡 昌美 和田 明人 中村 亮
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.734-744, 1996-10-30
参考文献数
10
被引用文献数
20

小学校6年生児童116名を対象とし,永久歯齲蝕発病と3歳児健康診査における乳歯齲蝕罹患状況との関係を調査した。統計学的分析は,永久歯齲蝕に関与すると考えられる生活習慣および3歳児乳歯齲蝕罹患型の9項目を説明変量,DMFを目的変量とした数量化I類によって行った。この結果,最も関与の大きい項目は乳歯齲蝕罹患型であり(偏相関係数=0.181,順位1位),乳歯齲蝕罹患型を説明変量に加えることで,重相関係数は0.287から0.355に上昇した。また乳歯齲蝕罹患と他の説明変量として使用した生活習慣の間に内部相関は認められなかった。このことから,乳歯齲蝕の罹患状況が永久歯齲蝕発病に比較的大きな影響を与えていると考えられ,乳幼児期における健康指導・教育の重要性が示唆された。
著者
中村 哲
出版者
法政大学
雑誌
沖縄文化研究
巻号頁・発行日
vol.3, pp.209-228, 1976-07-28
著者
前川 進 寺分 元一 中村 直彦
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.251-259, 1980
被引用文献数
3 9

開花後濃色化する変色型バラ品種′絵日傘′(F1.)の花色素生成に及ぼす光の影響を調べるために, 鉢植え個体の花蕾及び単離花弁への種々の光処理を行った.<br>20°C下での単離花弁の培養において, 10~20%しょ糖培地で多くのアントシアニンの生成が得られ, 置床後3日間はその生成量も多かった.<br>暗黒及び可視光のみの照射のもとでアントシアニンは生成されず, 330nmより短いUVを含む光の照射によってはじめて生成が認められた.<br>UVの強さや照射時間が増すにつれて, 色素量は増加するが, 強いUVを短時間照射するよりも弱くても長時間与えた方が同じエネルギー量で効果が大きかった.<br>一方, 可視光はUV照射の前かあるいは同時に照射された場合, アントシアニンの生成に促進的に働き, UVのみの照射と比べて著しく色素含量を増加した. 更に, その可視光の強さが増すとともにアントシアニンも比例して多く生成された.<br>可視光とUVを交互に照射したとき, その周期が短いほど生成されるアントシアニン量は多かった.<br>栽培中のバラに対して, UVを夜間より日中に照射した場合, より多くのアントシアニンが生成された.
著者
神田 博史 徳本 和佳子 坂本 季代恵 藤井 美智子 平井 裕子 山崎 和男 菰田 泰夫 中村 英雄 石原 茂正 内田 勝
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.1367-1374, 1985-04-25
被引用文献数
12

The MeOH extract of Ganoderma lucidum has an inhibitory action on histamine release from rat mast cells. From the physiologically active fraction of the extract, along with the known triterpenes ganoderic acids A and B, two new triterpenes were isolated and named ganoderic acids C and D. The structures of ganoderic acids C and D were determined to be 3β, 7β, 15α-trihydroxy-11,23-dioxo-5α-lanost-8-en-26-oic acid and 7β-hydroxy-3,11,15,23-tetraoxo-5α-lanost-8-en-26-oic acid respectively. Ganoderic acids C and D were shown to inhibit histamine release from rat mast cells. Quantitative analysis of these triterpenes was performed for the purpose of crude drug quality control.
著者
谷口 一雄 三辻 利一 中井 泉 吉村 作治 宇高 忠 中村 浩
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は文化財資料や考古学資料等を持ち出すことなく"その場分析"を行いつつ、かつ非破壊な分析を要求する資料に対して資料の化学構造、化学種の情報を与え、かつ定量分析を可能とする文化財分析用可搬型X線分析装置を試作し、あわせてこの試作装置による文化財・考古学分野への適用評価を行うことである。このため、文化財・考古学分野でX線を用いた分析手法でどのような情報の抽出が求められているか、いかなる条件の下で測定しなければならないか等を含めて測定要素の検討を研究分担者の専門分野ごとに行い、2001年3月末までに試作装置を完成させた。この間、研究分担者、吉村、三辻、及び中村らはそれぞれ個別に適用評価に係わる予備調査を行った。特に吉村はエジプト古王国・新王国時代の埋蔵副葬品・貴金属類への適用を、中村は日本国内における銅鐸等金属類への適用を、また三辻は古代・中世土器への適用評価に向けての予備実験・調査を行った。平成13年度は岩石分析の問題抽出の為の岩石フィールド分析の実習を兼ねた研究会を実施し、この成果をもとにエジプトでの出土遺物のレリーフとステラのその場分析を実施した。本研究で開発を行った考古学分析用可搬型X線分析装置による考古学分野への適用評価研究として、平成14年度はエジプトでのフィールド測定を行った。ポータブル蛍光X線分析装置1号機の改良を行い、よりその場分析に適した装置を開発した。本装置は、モノクロメータにより単色化したX線と白色X線の二つの励起源が選択でき、また1号機に比べて、分光ヘッド部の大幅な軽量化及び先端形状を細く円錐上に改良することで、湾曲した面など様々な形状を持つ考古資料の分析に対応できる特徴を持っている。本装置とともに、高いS/N比が実現した新開発のポータブル粉末X線回折装置をエジプトのアブ・シール南丘陵遺跡の発掘品収蔵庫に設置し、その場分析を行った。両装置を用いて遺跡から出土した彩色プラスター、彩文土器の顔料等を分析し、エジプシャンブルー、アマルナブルー、赤鉄鉱、軟マンガン鉱などが青、赤及び黒色の顔料として同定できた。
著者
山田 宏之 丸太 頼一 中村 雅展
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.291-308, 1992-03-26
被引用文献数
6 8

長野市を対象に1989年8月8日〜11日,14時,22時,4時における気温および相対湿度の移動観測を行った。測定結果から気温分布図,相対湿度分布図,絶対湿度分布図を作成し,それぞれについて考察を加えた。次に,測定範囲内から50地点を抽出し,各々の地点を中心にした直径500m,250mの範囲内の樹林地率,草地率,水田率,裸地率,水面率を航空写真より読み取り,緑被率,緑地率を算出した。それらの値を説明変数に,各地点における気温を目的変数とし,回帰式を作成した。気温-絶被率,緑地率間の単回帰式,気温-各緑地の種類別土地被覆率間の重回帰式のうち,最も良好な結果を示した式を用いて長野市における現状の緑地評価を行った。