著者
須藤 研太郎 山口 武人 中村 和貴 原 太郎 瀬座 勝志 廣中 秀一 傳田 忠道 三梨 桂子 鈴木 拓人 相馬 寧 中村 奈海 北川 善康 喜多 絵美里 稲垣 千晶 貝沼 修 趙 明浩 山本 宏 幡野 和男 宇野 隆 多田 素久 三方 林太郎 石原 武 横須賀 收
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.656-662, 2012 (Released:2012-11-28)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

近年,化学療法および化学放射線療法の進歩により局所進行膵癌の治療成績は向上している.切除不能症例を対象とした臨床試験で生存期間中央値15ヶ月を超えるものも報告される.また,非切除治療が奏効し根治切除可能となった局所進行例も報告され,conversion therapyとしての役割も注目される.一方,局所進行膵癌に対する治療はエビデンスの乏しい領域であり,化学放射線療法の意義についても未だcontroversialである.今回,われわれは化学放射線療法82例(S-1併用56例,その他26例)の成績を供覧し,非切除治療の現状と意義について考察を行う.全82例の生存期間中央値15.4ヶ月,3年生存率17.5%,5年生存率6.7%と化学放射線療法のみでの長期生存例も経験された.さらなる成績向上のためには外科切除との連携に期待されるが,本稿ではわれわれの経験を供覧し,今後の展望について考察を行う.
著者
中村 隆之
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス語フランス文学研究 (ISSN:04254929)
巻号頁・発行日
no.85, pp.318-332, 2005-03-01

Comment ecrire l'histoire des Antilles? C'est pour Edouard Glissant, ecrivain contemporain d'origine martiniquaise, la question fondamentale. L'histoire antillaise, selon lui, n'a pas a etre erite par les seuls historiens, elle doit aussi etre exprimee par les exrivains. C'est ainsi que ses romans retracent l'histoire des Antilles a partir du cas martiniquais. Le but de cette etude sera d'eclaircir l'intention litteraire de cet ecrivain a partir d'une lecture attentive de son texte intitule ≪la querelle avec l'Histoire≫ (dans Le Discours antillais), qui revet une importance capitale pour qui veut saisir sa vision de l'histoire. Glissant qualifie l'histoire antillaise de ≪non-histoire≫. Ce theme designe la negativite de l'histoire antillaise induite par la mondialisation de la notion d'≪Histoire≫ nee en Occident, Laquelle presuppose un developpement lineaire de la conscience collective dans une communaute. Or la conscience du peuple antillais a ete a tel point fragmentee sous le colonialisme qu'elle n'a pu se former d'une maniere progressive. Le passe perdu de l'archipel ne lui permet pas de beneficier d'une conscience continue. Ce qui expliuque que l'ecrivain se voit contraint d'exprimer le passe virtuel des Antilles sous un mode ≪prophetique≫. Cette notion de ≪vision prophetiue du passe≫ chez Glissant se donne pour tache d'ecrire la ≪non-histoire≫. La methode positive de l'historien vise a prouver l'existence des evenements passes. En revance, celle de Glissant consiste en une idee poetique destinee non pas a constater les ≪faits≫, mais a imaginer les puissances en latence dans le passe rature de la memoire collective du peuple antillais. C'est pourquoi l'ecrivain doit etre ≪historien poetique≫. Ecrire la ≪non-histoire≫ se voue donc a l'elaboration du recit communautaire. Mais une telle tentative ne peut que se departir d'un desir de nationalisme, pour s'elever tel un chant ouvert au monde.
著者
中村 俊幸 岸本 恭 下澤 信彦 小池 祥一郎 清水 忠博 久米田 茂喜 渡辺 豊昭 中澤 功 重松 秀一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.97, no.2, pp.195-198, 2000-02-05 (Released:2008-02-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1 5

梅毒性直腸炎は報告が少なく,非常にまれな疾患である.今回われわれは同性愛者の梅毒性直腸炎の1例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.患者は40歳の男性,同性愛者で過去に肛門性交歴があった.主訴は肛門からの出血と疼痛で,内視鏡で下部直腸に潰瘍性の病変を認めた.生検で病変部のTreponema pallidumが証明され,梅毒性直腸炎と診断された.
著者
薩如拉 中村 晋平 葭谷 耕三 棚橋 光彦
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.193-200, 2012
被引用文献数
7 1

竹材の利用用途の拡大を目指し,丸竹を外皮及び内皮をつけたまま完全展開し,平板化することを試みた。3-5年生のマダケ(円周240-275mm)を高圧水蒸気で軟化し,横型圧入装置を用いて外周を徐々に絞り込みながら内周220mmのパイプ内に圧入した。得られた圧縮丸竹に軸方向に沿って一か所割れ目をいれ,温水(70-80℃)中で加熱しながら平板状に展開した。予備展開された竹材をステンレス製の治具にはさみ,プレスによって完全に平板に展開した。圧縮時の最適軟化条件は140℃-30分処理であり,圧縮の成功率および平板展開の成功率により,最適圧縮率は14%-19%であった。これは圧縮により試料の外径が未圧縮の試料の内径よりも小さくなることで,展開時に要求される内周の伸びを満たすことができるために完全平板展開を容易に実現できたものと考えられる。平板化された竹材を180℃-4分の高圧水蒸気で形状固定処理を行い,完全平板展開竹材を得ることに成功した。
著者
村田 佳子 渡邊 修 谷口 豪 梁瀬 まや 高木 俊輔 中村 康子 渡辺 裕貴 渡辺 雅子
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.43-50, 2012 (Released:2012-06-28)
参考文献数
21

高齢発症側頭葉てんかんにおいて、健忘症、気分障害、睡眠障害、排尿障害、唾液分泌過多、低ナトリウム血症を認め、抗電位依存性カリウムチャンネル複合体(voltage-gated potassium channel:VGKC-complex(leucine-rich glioma inactivated1 protein:LGI-1))抗体陽性から、抗VGKC複合体抗体関連辺縁系脳炎(VGKC-LE)と診断した。本例は数秒間こみあげ息がつまる発作が1日100回と頻発し左上肢を強直させることがあった。Iraniらは、VGKC-LEの中で抗LGI-1抗体を有するものは、3~5秒間顔面をしかめ上腕を強直させるfaciobrachial dystonic seizures(FBDS)を報告しており、本発作は診断の一助となると考えられた。本例は、本邦において抗LGI-1抗体とFBDSの関連を指摘した最初の報告である。
著者
古村 隆明 岡部 寿男 中村 素典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.437, pp.153-158, 2010-02-22

eduroamは,802.11b/g等の無線LANで,802.1x認証を利用した国際無線LANローミング基盤で,国内外の数多くの教育研究機関で導入が進んでいる.ローミング時に訪問先機関や国や地域に設置されている複数のradiusサーバにアカウント名を含む認証情報が記録されることで,ロケーションプライバシが侵害される危険性がある.そこで我々は,SAML連携を用いて発行した仮名アカウントでeduroamを利用する手法を提案する.この手法では,平常時は,個人の特定だけでなく利用者の所属組織の特定もできなくなる.また,インシデント発生時などには,radiusサーバとSAML連携組織の情報を合わせることで個人を特定することが可能である.
著者
飯本 武志 藤本 登 中村 尚司
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.93-102, 2014
被引用文献数
1

本事業は,高校生による放射線等に関する課題研究活動を,文部科学省が支援するものである。この課題研究は,交流会,自主研究,成果発表会の三つの柱で構成されている。メディアでも紹介され,大変に評判のよい事業であったが,残念なことに,この支援事業は平成24年度で打ち切られた。7年間の支援事業の概要を紹介すると共に,今後の展開の可能性を考察した。
著者
中村 謙吾 米田 稔
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.25-35, 2014 (Released:2014-03-28)
参考文献数
16
被引用文献数
4

蛍石を用いた精錬工程で発生する製鋼スラグを用いて,溶媒pHおよび温度変化による製鋼スラグの溶出量の検討を行った。また,溶出試験と同条件から粒径別の溶出量を検討した。溶出試験の結果,フッ素の溶出量は溶液のpHが影響していた。また,粒径別の溶出試験より表面からの深度に対する溶出領域と比較した場合,粒径が小さいほど推定溶出量と測定溶出値の差が大きくなった。一律推定溶出量と測定溶出量を比較すると,粒径を1.625-2, 0.425-0.5mmとした場合は各元素で0.1~10倍となった。試料粒径0-0.045mmの推定溶出量は,測定溶出量と比較して小さく (1/1000~1/10,000) なることが推測された。試料粒径0-0.045mmからの溶出は,溶出試験の溶出量に寄与しないことが示唆された。また,見かけ上製鋼スラグの溶出には,表面の1~0.1%の成分が関わっていることが示唆された。
著者
永田 昌子 堤 明純 中野 和歌子 中村 純 森 晃爾
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.29-29, 2012 (Released:2012-03-05)
参考文献数
17
被引用文献数
1

職域における広汎性発達障害者の頻度と対応:産業医経験を有する精神科医を対象とした調査:永田昌子ほか.産業医科大学産業医実務研修センター―目的:近年,産業保健スタッフが対応するメンタルヘルス不調者の中に広汎性発達障害を抱える,もしくは疑い例に遭遇する事例が報告されている.本研究は,産業医経験を有する精神科医を対象に,職域で広汎性発達障害の事例対応に遭遇する頻度や広汎性発達障害を抱えるメンタルヘルス不調者に対して行われている就業上の配慮について,職域での実態調査を行った.対象と方法:産業医科大学精神医学教室員および同門医師122名に対して,記名式の郵送法調査を実施した.回答者の産業医経験,臨床経験,臨床場面での広汎性発達障害の経験,産業医活動のなかで広汎性発達障害の診断を受けているメンタルヘルス不調者の事例対応をした経験の有無,また,事例対応開始時に主治医より受けている診断名は広汎性発達障害ではないが,回答者自身が広汎性発達障害を疑った事例の経験の有無,事例対応の経験があるものには,職場で行った具体的な配慮,困難だった事例,成功した事例等について自由記述形式で回答を求めた.結果:56名から回答が得られた.そのうちメンタルヘルス不調者の職域での事例対応経験のある医師35名の回答を分析した.広汎性発達障害の「診断」を受けているメンタルヘルス不調者の経験を有するものは7人(20.0%),広汎性発達障害の「診断」を受けてないものの,回答者自身が広汎性発達障害を疑ったメンタルヘルス不調者の経験を有するものは15人(42.9%),両方の経験を有するものが3人(8.6%)であり,どちらかの経験も有するものが19人(54.6%)であった.今回報告された40例のうち,事例対応開始時に診断名がついていたものが12例,回答者が疑った事例が28例,そのうち調査票回答時までに診断に至っていたものが7例であった.広汎性発達障害の「診断」を受けてないものの,回答者自身が広汎性発達障害を疑った理由として多かったのは,職場での対人関係のトラブルを起こすというエピソードであった.「診断」を受けている事例は,産業医が疑った事例より具体的な配慮が行われていた.また,就業上の配慮として上司に対しての障害特性についての説明や業務内容の変更などが実施されていた.地域の社会資源の活用状況として,広汎性発達障害の診断を受けている,または疑った事例対応経験のある回答者19人のうち,発達障害支援センターや地域障害者職業センターの利用した経験を有する回答者は2人(10.5%)であった.考察:調査対象となった産業医経験のある精神科医の半数に広汎性発達障害の診断がついた,もしくは疑った事例の対応の経験があり,職域で広汎性発達障害を持つ労働者の事例対応をすることは稀ではないことが示唆された.産業保健スタッフは,広汎性発達障害の知識,職場での適切な配慮の仕方,利用できる社会資源についての理解を深める必要があると考えられた.
著者
安江 健 金原 徹 中村 豊 松澤 安夫
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.101-108, 2014

無償で入手可能な米ぬかの飼料としての通年利用を検討するために,竹林内腐植と水を添加して調製した発酵米ぬかの,貯蔵中の化学的品質とヤギの嗜好性を経時的に検討した.貯蔵100日目までの発酵米ぬかを9つの時期で採取し,サイレージでの化学的品質評価法であるフリーク法とV-スコア法からその品質を評価した.加えて米ぬかや発酵飼料の摂食経験のない4頭のザーネン成雌ヤギを用い,貯蔵期間中の8つの時期での発酵米ぬかの嗜好性を,生米ぬかとのカフェテリア試験により評価した.発酵米ぬかのV-スコアは貯蔵0日目の100点から99日目の94.4点まで微減したが,フリーク法による総合得点は0日目以外常に100点を維持し,試験期間中は最高の品質を維持した.発酵米ぬかの嗜好性はその品質よりも摂食経験に影響され,生米ぬかに比べて摂食潜時は試験5日目まで長く(P<0.05),摂食量は試験6日目まで少なかった(P<0.05)ものの,その後は生米ぬかとの間に有意差はなくなった.以上から,竹林内腐植と水を添加した発酵米ぬかは長期間良好な品質を維持でき,ヤギでは長くとも1週間程度の給与でその嗜好性は生米ぬかと同程度になるものと考えられた.