著者
中村 恵美子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本年度は、Fr.シュレーゲルのイロニーおよびアラベスク概念に関する論考を二本提出している。第一のものはティークの『長靴を履いた牡猫』をロマン的イロニーとの連関のうちに分析した「エルゴンなきパレルゴン-ティークの『牡猫』における"イロニー"」(『シェリング論集第5集』)である。ドイツ文学批評史がこれまで、『牡猫』をロマン的イロニーが駆使された典型的作品とみなし、それをいわば定式のように語ってきた一方で、当のシュレーゲルが一言足りともそのような言説を残していない-この事実は従来見逃されてきたか、あるいは意図的に等閑に付されてきた-この矛盾を論述の起点とし、原因を解明しようと試みたものである。「自己創造と自己破壊の絶え間ない交代」というシュレーゲル自身のイロニー定義に鑑みるとき、このディアレクティークの成立に不可欠である自己創造のモメントが『牡猫』に欠けているという仮説を提起し、作品分析を通じてこれを証明している。ロマン的イロニー理解における一つの歴史的な誤解を指摘したものである。第二の論考は「Fr.シュレーゲルのアラベスク概念解明のために-セルバンテスとスターンを中心として」(『詩・言語』第64号)である。批評を内在させる芸術作品において、イロニーは自己批判的、自己破壊的な契機を、アラベスクは種々の諸要素をつなぎとめる構築的契機を担い、両者は一対のものとして、いわば理論を内包する混沌たるロマン主義芸術作品を成立させる不可欠の要素となっているにもかかわらず、その一翼を担うアラベスクの究明は、従来の研究においてなおざりにされてきた。本論考はあえてドイツ文学の域を超え、シュレーゲルがアラベスク的と批評したセルバンテスとスターンの作品の中から、『ドン・キホーテ』『トリストラム・シャンディ』を分析対象として取り上げ、両作品に通底する作品構成に着目しつつ、アラベスク概念の解明を試みたものである。
著者
中村 知彦
巻号頁・発行日
1998-03

Supervisor:阿部 亨
著者
坂野 鋭 武川 直樹 中村 太一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1549-1556, 2001-08-01
被引用文献数
36

本論文において我々は,新しい物体認識アルゴリズム,核非線形相互部分空間法を提案する.前田によって提案された相互部分空間法は複数の入力画像を主成分分析することにより,高度な物体認識を実現する優れた手法である.しかしながら,通常の部分空間法と同様,カテゴリーの分布が非線形構造をもつ場合には性能が低下するという問題がある.この問題を解決するために我々は強力な非線形主成分分析法として知られている核非線形主成分分析を相互部分空間法に適用し,新しい物体認識アルゴリズム,核非線形相互部分空間法を理論的に導出した.提案手法を顔画像による個人識別問題に適用したところ,最高精度では従来法と大きな差がつかなかったものの,提案手法を用いた実験では物体運動の自由度と高い認識率を示す部分空間次元数の関係が無矛盾に説明できることがわかった.また,提案手法では認識辞書がよりコンパクトな構造をとり,大規模認識問題に対して有効である可能性を示すことができた.
著者
今西 祐一郎 ハルオ シラネ 久保 木秀夫 赤澤 真理 ファビアン ・アリバート・ナルス 伊藤 鉄也 坂口 貴弘 中村 康夫
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-16, 2010-04-26

●メッセージ法人化後第1期から第2期へ国文学研究資料館とコロンビア大学の協力協定の意味●研究ノート国文学研究資料館蔵古筆手鑑2点の紹介 その1中近世における古代寝殿造理解一理想の住宅像と考証研究―●トピックス日本文化とロランバルトのフォトバイオグラフィー公開開始 与謝野晶子の源氏訳自筆原稿画像データベース研究集会「アーカイブズ編成の理論と実践」の開催当館所蔵「春日懐紙」の重文指定について平成22年度展示会・講演会等平成22年度アーカイブズカレッジ(史料管理学研修会通算第56回)の開催総研大日本文学研究専攻の近況表紙絵紹介『伊勢物語』
著者
山下 佳子 小滝 一 山田 安彦 中村 幸一 澤田 康文 伊賀 立二
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.184-190, 1993-06-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
18

Drug informations on a suitable insertion duration of suppositories and on a deal with the problem of the loss from rectal are essential for the proper therapy of patients. In the present study, we collected the data on drug disposition after administration of commercially available suppositories which had systemic pharmacological effects, and then analized pharmacokinetically on the problems of the insertion duration of them and the loss from rectal. The rectal absorption rate and the cumulative absorption ratio of drugs from commercially available suppositories were estimated by the deconvolution analysis. The plasma concentration data after rectal and intravenous administration were obtained in nine kinds of drugs, which were ampicilline, ketoprophene, indomethacine, acetoaminophene, phenobarbital, donperidone, bromazepam, buprenorphine and morphine. It was shown that the completion time of the absorption of drug from the suppositories varied largely from 50 min for ampicilline to 8 hours for donperidone. Comparing the time periods required to reach to 50% in the cumulative absorption ratio in those drugs, the fastest time was found in ampicilline (15 min), and the slowest was in aminophylline (90 min). These findings make it possible to the persue counseling for the patients on the proper insertion duration of each suppositories. The simulation of the time course of blood drug concentration after the loss of suppositories from rectal and the supplement of them was successfully performed, suggesting that the optimal drug concentration could be controled by the rational supplemental dose. In conclusion, the drug information based on the deconvolution analysis can be useful to instruct a rational use of suppositories to the pharmacist and/ or the patients.
著者
原 修一 角皆 潤 小松 大祐 中川 書子 芦 寿一郎 中村 光一 砂村 倫成 土岐 知弘
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2014年度日本地球化学会第61回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.44, 2014 (Released:2014-09-12)

高知県沖の足摺海丘(山頂水深543m)直上の海水中ではメタンの高濃度異常が観測されており、この海丘から海水中にメタンが放出されているものと考えられている。本研究では、この足摺海丘のメタン湧出フラックスや、大気へのメタン漏出の可能性の有無を検討することを目的として、2013年9月に足摺海丘およびその周辺において海水試料を採取し、海丘直上及び周辺海水中のメタン濃度分布を定量化した。更にメタンの炭素・水素安定同位体比も同時に分析し、その成因が微生物起源か、それとも熱分解起源であるのか、また海水中における微生物酸化分解の有無に関する考察を行った。分析の結果、足摺海丘直上の試料から高濃度のメタンが検出された(最高145 nmol/L)。また海水中のメタン濃度分布から、海丘から見て北東方向の水深450 m~660 mの範囲に、メタンプルームが広がっていることが明らかになった。
著者
中村 育子
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.109-111, 2015 (Released:2015-04-18)
参考文献数
7

日本は高齢化が広がっており,要介護高齢者も増加している.サルコぺニアはたんぱく質の摂取不足と筋肉の減少量に関連があることが解明されており,サルコペニアの改善・予防にはたんぱく質の摂取量を増やすことが重要である.管理栄養士の在宅訪問栄養食事指導では,口腔内の問題が原因で摂取栄養量が低下した患者を栄養アセスメントから抽出し,この患者に歯科診療を導入,口腔内の問題を解決できれば,さまざまな食品を摂ることができる.歯科と管理栄養士の連携は在宅患者が食べたい物を食べることを可能にし,栄養状態の改善によりADLおよびQOLの向上に貢献することができると考えられる.
著者
中村 聡史 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.5, pp.77-84, 2009-01-19
被引用文献数
1

近年,動画共有サイトが飛躍的にそのシェアを伸ばしている.ユーザは,キーワードやタグなどを利用することで動画を絞り込み,人気度や新しさに基づくランキングを活用することで対象とする動画を探す.しかし,こうした動画検索は十分なものではなく,ユーザは自身の探そうとする動画にたどり着けないことが多い.例えば,笑える動画や,泣ける動画などをその度合いに応じて探すことは困難である.本稿では,ソーシャルアノテーションを時間軸に基づき印象分析し,インデックスを生成することで,印象に基づく動画検索およびランキングを可能とする.Recently, video sharing Web sites have been becoming popular. User can search video clips by inputting keyword or browsing tags and rank them based on popularity or freshness. However, these methods are not enough to search target video clips. For example, it is not easy for users to find much more laughing or tear-jerker video clips. In this paper, firstly, we analyze social annotation to video clips. Then, we generate index based on each impression and realize the prototype system. Finally, we discuss the usefulness of our system.
著者
中村 龍一
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.18-27, 2005-08-10

文学作品を読むということは、記述されている文字を辿ることである。確かに、文字を順に読んでいるに違いはないのだが、読者に聞こえている声がある。それが「語り」であり、その声の主が語り手である。「語り」は語り手と聴き手の関係に生じる世界である。「語り」は聴き手である読者にどのような<読み>の世界を実現してくれるのであろうか。国語教室での文学の<読み>の新たな可能性を探ってみたい。私は、子どもたちが童話や小説、詩歌を愉しむこと、それが文学の<読み>の学習で最も大切にされなければならないと考えている。そして、その<読み>をさらに深く愉しいものにする術を子どもたちに学ばせたい。「語り手」と「人物」は、文学作品の<読み>の指標(目印)として基本的な学習用語と私は考える。小・中学校の教科書教材を例に、<読み>の指標に着目することで見えてくる作品世界を明らかにする。
著者
松田 裕之 矢原 徹一 竹門 康弘 波田 善夫 長谷川 眞理子 日鷹 一雅 ホーテス シュテファン 角野 康郎 鎌田 麿人 神田 房行 加藤 真 國井 秀伸 向井 宏 村上 興正 中越 信和 中村 太士 中根 周歩 西廣 美穂 西廣 淳 佐藤 利幸 嶋田 正和 塩坂 比奈子 高村 典子 田村 典子 立川 賢一 椿 宜高 津田 智 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.63-75, 2005-06-30
被引用文献数
20

【自然再生事業の対象】自然再生事業にあたっては, 可能な限り, 生態系を構成する以下のすべての要素を対象にすべきである. 1生物種と生育, 生息場所 2群集構造と種間関係 3生態系の機能 4生態系の繋がり 5人と自然との持続的なかかわり 【基本認識の明確化】自然再生事業を計画するにあたっては, 具体的な事業に着手する前に, 以下の項目についてよく検討し, 基本認識を共有すべきである. 6生物相と生態系の現状を科学的に把握し, 事業の必要性を検討する 7放置したときの将来を予測し, 事業の根拠を吟味する 8時間的, 空間的な広がりや風土を考慮して, 保全, 再生すべき生態系の姿を明らかにする 9自然の遷移をどの程度止めるべきかを検討する 【自然再生事業を進めるうえでの原則】自然再生事業を進めるうえでは, 以下の諸原則を遵守すべきである. 10地域の生物を保全する(地域性保全の原則) 11種の多様性を保全する(種多様性保全の原則) 12種の遺伝的変異性の保全に十分に配慮する(変異性保全の原則) 13自然の回復力を活かし, 人為的改変は必要最小限にとどめる(回復力活用の原則) 14事業に関わる多分野の研究者が協働する(諸分野協働の原則) 15伝統的な技術や文化を尊重する(伝統尊重の原則) 16目標の実現可能性を重視する(実現可能性の原則) 【順応的管理の指針】自然再生事業においては, 不確実性に対処するため, 以下の順応的管理などの手法を活用すべきである. 17事業の透明性を確保し, 第3者による評価を行う 18不可逆的な影響に備えて予防原則を用いる 19将来成否が評価できる具体的な目標を定める 20将来予測の不確実性の程度を示す 21管理計画に用いた仮説をモニタリングで検証し, 状態変化に応じて方策を変える 22用いた仮説の誤りが判明した場合, 中止を含めて速やかに是正する 【合意形成と連携の指針】自然再生事業は, 以下のような手続きと体制によって進めるべきである. 23科学者が適切な役割を果たす 24自然再生事業を担う次世代を育てる 25地域の多様な主体の間で相互に信頼関係を築き, 合意をはかる 26より広範な環境を守る取り組みとの連携をはかる
著者
髙橋 良平 今井 浩一 菅井 沙知 吉田 栄充 中村 益美 浜野 晋一郎 岩﨑 文男
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.741-750, 2012-12-10 (Released:2013-12-10)
参考文献数
28
被引用文献数
1

We evaluated ARCHITECT®・iCarbamazepine using chemiluminescent immunoassay (CLIA) with carbamazepine (CBZ) concentration in the serum of patients with epilepsy. The intra- and inter-assay coefficients of variation were 0.87-1.34% and 2.20-6.06%, respectively. Cross-reactivity of CBZ analogs by CLIA varied from 7.00-9.26% with carbamazepine-10,11-epoxide lower than that evaluated by fluorescence polarization immunoassay (FPIA), and 2.09-2.51% with 10-monohydroxycarbazepine higher than that evaluated by FPIA. Oxcarbazepine was not detected. In addition, we observed a correlation between the values obtained by CLIA method and the high performance liquid chromatography (HPLC) method (y = 1.07x - 0.09, r = 0.98), and FPIA method and HPLC method (y = 0.95x - 0.22, r = 0.97). Our results suggest that ARCHITECT®・iCarbamazepine measured the CBZ concentration in serum lower than that measured by FPIA. However we conclude that ARCHITECT®・iCarbamazepine can be used for routine monitoring of CBZ for the reason that ARCHITECT®・iCarbamazepine showed low cross-reactivity with CBZE by classification of CBZE/CBZ ratio.
著者
中村 江里 鬼頭 佳彦 福田 裕康 矢内 良昌 橋谷 光 山本 喜通 鈴木 光
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.123, no.3, pp.141-148, 2004 (Released:2004-02-29)
参考文献数
50
被引用文献数
1 3 1

胃壁の筋間神経層に分布するカハールの間質細胞(ICC-MY)はミトコンドリアが豊富で,平滑筋とはギャップ結合しているので,歩調とり細胞であると考えられた.ICCで発生する歩調とり電位は早い立上がりの第1相とプラトー電位の第2相から成り,それぞれ電位依存性Ca2+透過性チャネル電流とCa2+活性型塩素チャネル電流により構成される.歩調とり電位は電気緊張的に輪走筋に伝わりslow waveを誘発させ,縦走筋に伝達しfollower potentialを形成する.輪走筋では歩調とり電位からの電気緊張電位の刺激により,細胞間間質細胞(ICC-IM)において単位電位unitary potentialが発生し,この電位の加重によりslow potentialが形成される.IP3受容体欠損マウスの胃ではslow waveが観られなかったので,自発活動発生にIP3が関与していることが推定された.slow potentialの解析から,自発活動発生にはミトコンドリアにおいてプロトンポンプ活性に伴い生じる電位勾配に起因したCa2+の出入りが関与しており,局所におけるCa2+の濃度変化がプロテインキナーゼCのようなCa2+感受性タンパク活性を介してIP3濃度を変化させ,小胞体からのCa2+遊離を律動的に起こさせると,細胞膜のCa2+感受性イオンチャネルが活性化され,電位変動を引き起こさせると考えられる.
著者
飯野 光喜 新津 恒太 堀内 俊克 松島 凛太郎 村上 夏帆 瀬戸 〓一 関谷 利子 中村 芳樹 桑原 洋助
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR JAW DEFORMITIES
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 = The Japanese journal of jaw deformities (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.273-280, 2000-12-15
参考文献数
22
被引用文献数
4 3

The accuracy of positioning the osteotomized maxilla during orthognathic surgery was assessed in 26 patients, comparing the use of an external reference point placed on the forehead skin (SERP), and an external reference point consisting of a bone screw placed at the forehead bone (BERP). In all cases, the unoperated mandible was used to provide an anteroposterior and transverse maxillary position, through use of an intermediate splint. In 14 cases, the distance between the SERP and the maxillary central incisor was measured, to determine the maxillary vertical dimensions. In 12 cases, measurements between the BERP the and maxillary central incisor were made.<BR>All preoperative lateral cephalometric radiographs were traced by one investigator, and these tracings were superimposed on postoperative lateral chephalograms (3 to 6 days after surgery), respectively. The actual changes in the vertical and horizontal position of U1 were measured perpendicular and parallel to the Frankfort horizontal plane. The actual change of the palatal plane angle was also measured. These values of actual change were compared with the prediction tracings made by measurements obtained from model surgery, and the difference between planned and actual movements was calculated.<BR>The mean difference of U1 anteroposterior movement was 1.5±2.0mm in the SERP group, and 1.2±1.1 mm in the BERP group. The mean difference of U1 vertical movement was 1.8 ±2.8mm in the SERP group, and 0.5±0.3mm in the BERP group. And the mean difference of palatal plane angle rotation in the SERP group was 2.7±6.2°, and 1.6±1.8° in the BERP group. Statistical analysis showed a significant difference between the SERP group and the BERP group in the U1 vertical difference (t-test, p<0.05).<BR>The results of this investigation revealed less accuracy in the actual three-dimensional maxillary movements of the SERP group, compared with the BERP group. And this study also showed that use of the BERP will allow accurate three-dimensional control of the maxillary position, especially in the vertical dimension. However, the maxillary repositioning technique using BERP still remains subject to operator error, and other numerous possible sources of error were identified, which may lead to an incorrect result.
著者
中村 美詠子 近藤 今子 久保田 晃生 古川 五百子 鈴木 輝康 中村 晴信 早川 徳香 尾島 俊之 青木 伸雄
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.881-890, 2010

<b>目的</b> 本研究は,児童生徒における「学校に行きたくないとしばしば感じる気持ち」(以下,不登校傾向)の保有状況と自覚症状,生活習慣関連要因との関連を横断的に明らかにすることを目的とする。<br/><b>方法</b> 平成15年11月に小学校 2・4・6 年生,中学校 1 年生,高等学校 1 年生の5,448人と小学生の保護者1,051人を対象として実施された静岡県「子どもの生活実態調査」のデータを用いた。自記式の調査票により,児童,生徒の不登校傾向,自覚症状,生活習慣,および小学生の保護者の生活習慣を把握した。<br/><b>結果</b> 有効な回答が得られた小学生2,675人,中学生940人,高校生1,377人,小学生の保護者659人について分析を行った。不登校傾向は,男子小学生の11.4%,男子中学生の12.1%,男子高校生の25.3%,女子小学生の9.8%,女子中学生の19.6%,女子高校生の35.9%にみられた。不登校傾向を目的変数,自覚症状,生活習慣関連要因をそれぞれ説明変数として,性別,小学(学年を調整)・中学・高校別に,不登校傾向と各要因との関連を多重ロジスティック回帰分析により検討した。男女ともに,小学・中学・高校の全てでオッズ比(OR)が統計学的に有意に高かったのは,活力低下(OR: 3.68~8.22),イライラ感(OR: 3.00~6.30),疲労倦怠感(OR: 3.63~5.10),朝眠くてなかなか起きられない(OR: 1.98~2.69)であり,また強いやせ希望あり(OR: 1.83~2.97)のオッズ比は中学男子(OR: 2.09, 95%信頼区間:0.95–4.60)以外で有意に高かった。一方,小学生において保護者(女性)の生活習慣関連要因と不登校傾向との間に有意な関連はみられなかった。<br/><b>結論</b> 不登校傾向の保有状況は小学生では男女差は明らかではないものの,中高生では女子は男子より高かった。また,不登校傾向は,不登校者においてしばしば観察されるような様々な自覚症状と関連していた。