著者
伊藤 博士 中野 佑樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

太陽内部におけるスピンフレーバー振動模型はローレンツ不変性を破り、電子ニュートリノが反電子ニュートリノへ振動すると予想されている。これによる太陽からの反電子ニュートリノ流量に対して、太陽標準モデルによる流量は無視できるが、従来検出器で検出するためには新たな技術が必要である。本研究はSK-Gd実験を用いて反電子ニュートリノの検出効率を従来から10倍以上改善する。4年間のSK-Gdの運用でローレンツ不変性を破る新物理を探索する。本研究を達成するために以下の項目について遂行する: SKデータを用いたBG推定, シミュレーション開発, 太陽磁場の解析, 系統的な不確定性誤差の評価。
著者
阿部 真由子 中島 まゆみ 木村 郁美 中野 はる代
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第58回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.96, 2009 (Released:2010-03-19)

〈はじめに〉年間平均10件の頸部郭清術が行われている。 今回,頸部リンパ節郭清を受けた患者から,退院間近に頸 部から肩,上肢にかけての疼痛と上肢の挙上困難の訴えが 聞かれ,また,家族より退院後の生活についての不安が聞 かれた。このことから,早期からの退院指導が必要である と感じ,頸部リンパ節郭清術後の退院後の患者の精神的・ 身体的・社会的苦痛について調査し明らかにした。 〈研究方法〉頸部リンパ節郭清を受け,現在腫瘍外来に通 院中の20名に対し,半構成質問紙法で調査を行った。 倫理的配慮では研究の主旨説明,プライバシーの保護, データを研究以外に用いないことを書面で説明し,署名で の同意を得た。 〈結果〉予測されていた肩,上肢の疼痛,可動域制限から 手に力が入りにくく,フライパンを握りづらい,運転時な ど後方確認などの振り向き動作が難しかったなどの日常生 活の苦痛が聞かれた。 〈考察〉患者の生活背景や性別により,個別の苦痛などが ある。入院中には気付かなかったことが退院後に明らかに なることがあり,早期から患者のライフスタイルに合わせ た指導,助言が重要である。退院の方向性がみえ医師と相 談した上で試験外泊を行ってもらい,患者・家族が不安を 軽減し退院できる援助が必要である。 〈おわりに〉今回インタビュー調査した事で退院後の患者 の現状を知る事ができた。スタッフ各々が患者の状態を把 握し,個別性を考えた指導が出来ることが重要である。そ のためにはアンケート結果を基にしたパンフレットを検討 していく必要がある。
著者
畠山 兵衛 鈴木 金道 飯塚 堯介 中野 準三 右田 伸彦
出版者
日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.1399-1402, 1967

リグノスルホン酸およびチオリグニンの過酢酸分解において,457mμの吸光度の減少と280mμのそれとの間には比例関係があることに基づき,両リグニンを過酢酸で酸化した場合の淡色化と,各種官能基の含有率の変化および低分子化との関係を考察した。<BR>1.280mμの吸光度に関与する構造型:フェノール性水酸基,カルボニル基および環開裂に由来するカルボキシル基をもっ6種の構造型を選び,これらの構造型を有するモデル化合物の280mμにおける吸光度を測定し,各構造型がリグニンの280mμの吸光度に関与する割合を調べた。各構造型の関与率は合計70%以上を示した。しかし,これらのモデル化合物は457mμにおいて吸光を示さないから,以上の各構造型はそのままの状態では可視部に吸光を示さない。<BR>2.過酢酸酸化および水素化ホウ素ナトリウム還元によるリグニンの色の変化:未処理,酸化処理,還元処理および酸化後に還元処理したリグニンにっいて,C.I.E.のXYZ系でリグニンの色を表示すると,明度は酸化,還元のいずれの処理によっても向上するが,酸化してから還元処理すると,著しく向上する。<BR>3.ゲルロ過法による分子量分布の比較:Sephadex G-25を用い,ゲルロ過法による分子量分布を測定し,過酢酸酸化による変化を検討した。その結果,リグニンの分子量が低下することを認めた。<BR>以上の結果を総括して過酢酸酸化によるリグニンの淡色化には,発色団あるいは助色団となる官能基あるいは芳香核が酸化によって減少することばかりでなく,低分子化も重要であると結論した。
著者
吉村 哲彦 中野 美穂 千原 敬也 鈴木 保志
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第131回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.189, 2020-05-25 (Released:2020-07-27)

日本の各地で放置竹林の拡大が課題となっており、その対策として竹の伐採・搬出を伴う竹林整備が行われている。竹の内部は空洞であるため、その重量は一般的な木材に比べて軽量であるが、生産性や安全性の観点から機械化が必要ではないと考えた。そこで、本研究ではチェーンソーのエンジンを動力とするカナダ製のチェーンソーウインチ(Lewis Winch 400 MK2)を用いて、竹の長材および短材の搬出作業を下げ荷で行った。比較のために、人力による搬出作業も行った。その際、生産性と労働負担を明らかにするために、搬出作業のビデオ撮影を行い、あわせて心拍計(Polar製OH1)を作業者に装着して心拍数を計測した。その結果、生産性の観点でも作業負担の観点でも短材による搬出が不利になることがわかった。生産性の観点では人力による搬出が有利となるが、人力による竹の搬出作業の労働負担は極めて高く、継続的な作業は好ましくないことも明らかになった。結論として、竹の搬出作業は短時間であれば人力でよいが、長時間継続する場合にはチェーンソーウインチのような機械を用いる必要があることが示された。
著者
中野 博昭 大上 悟 西野 友朗 福島 久哲 小林 繁夫
出版者
The Mining and Materials Processing Institute of Japan
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.128, no.10_11, pp.590-595, 2012-09-25 (Released:2013-10-28)
参考文献数
15
被引用文献数
3 5

Electrodeposition of Cu was conducted in a synthetic electrorefining solution to investigate the effect of gelatin, thiourea and chloride ions on the polarization curve for Cu deposition, morphology, texture, surface roughness and the throwing power of the deposited Cu. In a solution containing both gelatin and chloride ions, the cathode potential for Cu deposition was significantly polarized at current densities above 200A/m2, while the thiourea depolarized the potential for Cu deposition at 200 to 1000A/m2. In a solution containing the three additives, i.e. gelatin, thiourea and chloride ions, the potential for Cu deposition was polarized at 500A/m2. It is supposed that the synergistic effect of gelatin and chloride ions on the polarization prevailed over the depolarization effect of thiourea. In the Cu deposited at initial stage, the chloride ions promoted the field-oriented texture with the orientation of direction. However, Cu deposited at initial stage from the solution containing gelatin, thiourea and chloride ions was composed of both the inclined texture type and the epitaxial growth type of crystals. The surface roughness and throwing power of the deposited Cu was most improved in the solution containing gelatin, thiourea and chloride ions, showing the synergistic effect of three additives. The thiourea had an effect on decreasing the surface roughness of the deposited Cu, and chloride ions improved the throwing power of Cu.
著者
塩入 とも子 中野 和美 塩原 まゆみ 横山 俊樹
出版者
信州大学医学部附属病院看護部
雑誌
信州大学医学部附属病院看護研究集録 (ISSN:13433059)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.46-49, 2008-03

今回、特発性肺線維症(IPF)の急性増悪をきたした患者に対し、陽・陰圧体外式人工呼吸器(RTX[○!R])が有効であった症例を経験した。本人の主訴として呼吸困難と排痰困難の自覚症状があったが、RTX[○!R]の排痰モードおよびコントロールモードの使用により呼吸筋疲労の軽減や排痰の介助に効果が認められた。また、医師・看護師・理学療法士などがチームとなって積極的に関わることができ、患者の満足感もえられた。
著者
中野 珠実 阪田 篤哉 岸本 章宏
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.5-6, 2020-02-20

本稿では、人間の認知特性に基づいた映像のハイライトシーンの自動抽出の方法を新しく提案する。映像視聴時の人々の瞬きは、ハイライトシーンでは一斉に抑制され、出来事の分節で揃って発生するという特徴を示す。そこで、映像に対する瞬きの発生確率を多層1次元畳み込みニューラルネットワークに学習させ、その推定値が急峻に低下している箇所を同定することで、映像のハイライトシーンを自動的に抽出することができた。瞬き情報は外部から容易にセンシングできるため、この手法を使えば、より人間の情報処理スタイルにマッチした映像のハイライトシーンの自動抽出を手間のかかる作業なしに行うことが可能になる。
著者
西田 博 小柳 仁 本田 喬 関口 守衛 椎川 彰 江石 清行 高 英成 富沢 康子 中野 清治 清野 隆吉 遠藤 真弘 林 久恵
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.139-143, 1987

今回, 自験例の4例を中心に緊急手術を目的としたIABP駆動下CCU間搬送の問題点, および10機種のIABPの移送に際した性能, 特性の比較検討をおこなった。移送に際し, 問題となる点としては, IABPのサイズと搬送車のサイズの問題, 搬送距離と消費電力, 内蔵バッテリー容量, そしてその容量を越える長距離間の搬送時の電源確保などであった。新型になるにつれ, 装置の小型化がはかられているが, 旧型のものでは, サイズ的に一般救急車には搭載不能でワゴン車などのレンタカーを用いる必要があった。また省エネ化も進んでいるが, 長距離搬送の際の電源としては, 予備バッテリーの使用, 100VACへのインバーターを用いて車より確保する方法, ポータブル発電機の使用などがあげられるが, 高容量車からの確保がもっとも実際的と考えられた。
著者
木平 真 小菅 律 岡村 和子 中野 友香子 藤田 悟郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.212-221, 2016

<p>パトカーは,警察活動における特殊な使われ方のため弁別されやすい外観をしているが,他の交通参加者との衝突を防ぐためにはパトカーの視認性は重要である.本論文では車両後部デザインの変更が車間距離の評価にどのように影響するか,コンピューター画面による実験で基礎的な検討を行った.結果,「POLICE」表記を付加すると車間距離の評価に影響を及ぼす可能性があること,および「POLICE」表記に下線を追加することによりこの実験環境では距離の評価が改善し,改善案になり得ることが判明した.</p>
著者
谷 聖一 佐久間 拓也 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介;中野由章 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 久野 靖 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
情報教育シンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.7-14, 2016-08-15

情報入試研究会と,情報処理学会情報入試ワーキンググループは,2013年と2014年に引き続き,2015年と2016年に「大学情報入試全国模擬試験」を実施した.「大学情報入試全国模擬試験」の目的は,「どのような試験方法、どのような範囲・内容・水準の問題が適切であるかについて意見を交換し、その成果として具体的な入試問題の試作を行い世の中に公開すること」ことであった.2015年実施の模試には約2000名の高校生が,また,2016年実施の模試には約750名の高校生が参加した.本報告では,その実施概要と結果について報告する.適切な範囲・内容・水準を確立するためのの議論の素材となりうる具体的な入試問題を提示したという点で,目的をある程度達成できたといえる.
著者
中野 卓 木内 望
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.888-895, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
20
被引用文献数
2

気候変動により水害リスクが益々高まる中、都市計画分野においても浸水可能性の高い地域の土地利用規制や誘導等を含む水害対策の検討を迫られている。水害リスクを都市づくりで考慮する際に、今日では水防法に基づく洪水浸水想定区域が広く利用されるが、同区域は住民避難の観点から作成され、災害予防を目的とした土地利用の誘導等への活用を目的としたものでない。そこで、本稿では、作成方法と実際の指定状況から浸水想定区域の性格を整理すると共に、地理情報データを用いた浸水想定区域と都市計画の区域・人口集中地区等の重複関係、水害統計調査基本表から洪水による被害実績と浸水想定区域との対応状況を解析し、その結果を踏まえ、土地利用規制・誘導に向けた水害リスク情報としての浸水想定区域の活用可能性と課題を検討した。
著者
中野 由章 中山 泰一 筧 捷彦 萩谷 昌己 久野 靖 角田 博保 辰己 丈夫 Yoshiaki Nakano Yasuichi Nakayama Katsuhiko Kakehi Masami Hagiya Yasushi Kuno Hiroyasu Kakuda Takeo Tatsumi
出版者
情報処理学会
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
no.2021, pp.100-105, 2021-08-21

高等学校共通教科情報科は,2025 年度大学入学共通テストから出題されることが大学入試センターと文部科学省から発表されている.しかし,その検討素材としては,大学入試センターが 2020 年に示した試作問題(検討用イメージ)と 2021 年に公開したサンプル問題しかない.そこで,2022 年度から高等学校で始まる「情報Ⅰ」の授業内容の構築に資するべく,1997 年度大学入試センター試験から出題されている「情報関係基礎」の問題を分類し,高等学校共通教科情報科との対応を試みた.
著者
北田 暁彦 平島 秀水 小川 淳也 中野 美尚 松本 健俊 中村 潤児
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 = Journal of The Surface Science Society of Japan (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.580-585, 2004-09-10
参考文献数
18

The effect of step-edges on the dissociative adsorption of H<Sub>2</Sub>S has been studied on a Ni(111) surface using scanning tunneling microscopy (STM), Auger electron spectroscopy (AES) and low energy electron diffraction (LEED). Exposure of Ni(111) to H<Sub>2</Sub>S at room temperature results in the formation of S islands with the structures of p(2&times;2) and reconstructed c(5&radic;3&times;9) rect in the vicinity of step-edges. Subsequently, H<Sub>2</Sub>S dissociates on the terrace of Ni(111), leading to the formation of unique S species with a string structure. The STM observation indicates that the dissociation of H<Sub>2</Sub>S takes place on both step-edges and terraces. The dissociative adsorption of CO as well as formation of carbide islands also take place preferentially at the step-edges. It is thus suggested that a small amount of sulfur located at step-edges effectively deactivate CO dissociation in the methanation reaction.
著者
高野 裕太 武田 知也 坂野 雄二 中野 倫仁
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.18-27, 2022 (Released:2022-01-01)
参考文献数
24

本研究の目的は,大学生の不眠症状に対して実施されている支援方法を整理し,各支援方法における不眠症状の改善効果をメタアナリシスで明らかにすることであった.文献検索にはPubMed,PsycINFO,CiNii,メディカルオンラインを使用し,989編の文献を抽出した.7件の研究をシステマティックレビューの対象とし,6件の研究でメタアナリシスを行った.その結果,大学生の不眠症状に対しては,不眠症に対する認知行動療法,睡眠衛生指導,cognitive refocus treatmentが実施されていた.不眠症に対する認知行動療法では不眠症状が有意に改善した(Hedges’ g=−0.78).一方で,睡眠衛生指導では不眠症状が有意に改善しなかった(Hedges’ g=−0.21).Cognitive refocus treatmentではメタアナリシスは実施できなかった.本研究の結果,不眠症に対する認知行動療法は有効性が確認され,支援の提供形態についての議論もなされた.睡眠衛生指導は重症度別における実施,cognitive refocus treatmentは複数の無作為化比較試験での追試の必要性が示された.