著者
佐藤 真 山高 博 古明地 勇人 望月 祐志 中野 達也
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.2P10-2P10, 2011

水性溶媒中での<I>t</I>-BuClの加水分解反応は、求核的溶媒関与(NSA)と求電子的溶媒関与(ESA)の反応に与える影響が長年の間議論の対象となっている。本研究ではフラグメント分子軌道法と分子動力学法を組み合わせたFMO-MDを利用して、溶媒分子をあらわに含んだ液滴モデルにおける、<I>t</I>-BuClの加水分解シミュレーションを行い、反応プロファイルの作成およびNSAとESAの定量的な評価を行った。
著者
大西 正光 小林 潔司 中野 秀俊
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_231-67_I_242, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
16
被引用文献数
2

民間資金を活用して,インフラストラクチャーの建設及び維持管理運営を行うPPP (Public-Private Partnership)は世界的な潮流となっている.PPP事業における資金調達先も多様化する中,イスラーム金融が果たす役割が大きくなっている.本研究ではイスラーム金融の発展がPPP投資に与える影響を分析するため,イスラーム金融における金利決定メカニズムを明示的に表現したイスラーム金融市場モデルを定式化する.その結果,イスラーム金融の利益配分率(疑似利子率)は,預金,貸出の両市場において,通常金融の利子率よりも小さくなることが示された.さらに,預金者のイスラームに対する自覚が高まるほど,疑似貸出利子率が低下する一方,イスラーム金融に伴う取引費用が軽減されれば,疑似貸出利子率が増大することが示された.
著者
木原 博 岡本 郁男 大森 明 中野 博文
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1973, no.4, pp.713-718, 1973-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4

はんだ付けにおける金属ステアレートなどの金属塩のフラックス作用を,金属の種類を変えて,金属塩とSn-Pb共晶はんだ間の反応がはんだの銅板上におけるぬれに対していかに作用しているかを研究した。その結果,金属塩のフラック作用機構はつぎのとおりであることが明らかにされた。まず,金属塩はSn-Pb溶融共晶はんだ中のスズと反応し,金属およびスズ塩を与える。その生成した金属ははんだ中へ溶解し,その結果はんだが母板上をぬれていくものと思われる。そして金属塩と溶融Sn-Pb共晶はんだとの反応は,金属の酸化還元電位および金属ステアレートの生成標準自由エネルギーに支配されるのではないかと思われる。
著者
中野 晃一
出版者
上智大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1993年以降の政党政治の変動が地方分権改革の政治過程にどのような影響を与えたのかを探る観点から、以前の改革過程に比して、政策結果・政策過程・アクター・リソースに関して変化が見られたか否かに焦点を絞って研究を進めてきたが、平成14年度までに調査そのものは概ね完了し、平成15年度では、主として調査結果を英文論文の第としてまとめることに意を注いだ。研究計画の順調な進捗を受けて、平成16年度には、論文の最終的な国際学術誌・論集等への投稿(ないし寄稿)・出版を目的とした。そのため、補足的調査をし、論文の更なる推敲を行い最終稿をまとめることが本年度の研究活動の中心となった。従って、研究経費としては、研究補助・資料整理のための謝金、論文執筆のための図書・ソフトウェア・コンピュータ関連消耗品・文具等の物品費、地方分権改革関連資料についての補足調査を目的とした宮城県仙台市への国内旅費が主たるものとなった。本研究計画を締めくくる研究成果の発表としては、1990年代の日本における政党政治の変動(政権交代および連立政権)が、政策過程と政策そのものの変化に影響を与えた事例として、日本社会党と総評の役割に注目して、地方分権改革を(情報公開と立法府の行政府チェック機能強化とともに)考察した英文論文「‘Democratic Government' and the Left」をRikki Kersten・David Williams(編)、The Left in Japanese politics(Routledgecurzon/Leiden Series on Modern East Asian Politics & History)(Routledge,2005)に出版した。
著者
土井啓成 戸田智基 中野倫靖 後藤真孝 中村哲
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-96, no.5, pp.1-9, 2012-08-02

歌声の声質には,歌手の個人性が反映されており,他者の声質に自在に切り替えて歌うことは難しい.そこで我々は,歌声の声質を他者の歌声の声質へと自動変換することで,任意の声質での歌唱を実現する手法を提案し,歌唱という音楽表現の可能性を広げることを目指す.従来,統計的声質変換に基づく歌声声質変換が実現されていたが,提案手法では様々な声質に少ない負担で変換可能にするため,多対多固有声変換を導入する.これにより変換時に数秒程度の少量の無伴奏歌声さえあれば,任意の歌手の歌声から別の任意の歌手の歌声への声質変換が実現できる.しかし,その声質変換モデルの事前学習データとして,ある参照歌手の歌声と多くの事前収録目標歌手の歌声とのペアから構成されるパラレルデータセットが必要で,その歌声収録は困難であった.そこで提案手法では,歌唱表現を模倣できる歌声合成システム VocaListener を用いて目標歌手の歌声から参照歌手の歌声を生成することで,その学習データ構築を容易にする.実験結果から提案手法の有効性を確認した.
著者
若林 上総 中野 聡 加藤 哲文
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.145-156, 2016-03-25 (Released:2017-06-22)
参考文献数
15

研究の目的 定時制課程の高等学校において、生徒の課題遂行を高めることを目的とした行動コンサルテーションを実施し、介入厳密性(treatment integrity)を保つのに必要となる支援の検討を行った。研究計画 2学級を対象としてA-B-C-CD-CDEデザインで実施した。場面 定時制高等学校の数学Iの授業に介入した。参加者 コンサルタントとして特別支援教育コーディネーター、コンサルティとして教職経験4年目の数学Iの教科担当、クライエントとして教科担当が指導する2つの学級に在籍する生徒35名が参加した。介入 教科担当の介入厳密性を高めるために、2度の打ち合わせ、遂行する教授行動の毎朝の確認、パフォーマンス・フィードバック、台本の提示を行った。行動の指標 授業ごとの生徒の課題遂行率および教師の教授行動の遂行率を測定した。結果 介入とともに発達障害の生徒を含む各学級の生徒の期間ごとの課題遂行率が上昇の傾向を示した。それに応じて教師の介入厳密性も高まった。結論 コーディネーターの働きかけが教師の教授行動に与えた影響が示唆された。考察 コンサルテーションで生じた教師の教授行動の変容の要因、生徒の課題遂行率の上昇との関連を議論した。研究の限界として厳密な場面の統制ができなかった。
著者
中野 和典 千木良 純貴 中村 和徳 矢野 篤男 西村 修
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.III_87-III_92, 2012
被引用文献数
2

畜舎排水を処理するフルスケールの多段鉛直流式人工湿地について運転開始から2年間の水質モニタリングを行い,汚水処理施設としての性能を評価した.運転開始1年目の人工湿地の水質浄化性能は水温に依存する季節特性を有していたが,2年目には水温の低い冬季の浄化性能が有意に向上し,年間を通した浄化性能の安定性が向上した.これは,人工湿地の水質浄化性能が運用開始から1年間は発展途上にあり、運用から1年を経て気候条件に適応した頑健性を発揮するようになることを示唆するものである.2年目の年間汚濁負荷量と年間平均除去率により求めた各水質項目の浄化性能原単位は、BODでは26.2g/m<sup>2</sup>・d、SSでは21.0g/m<sup>2</sup>・d、TKNでは1.60g-N/m<sup>2</sup>・d、TNでは1.55g-N/m<sup>2</sup>・d、TPでは0.36g-P/m<sup>2</sup>・dであった.
著者
秋山 豊和 寺西 裕一 岡村 真吾 坂根 栄作 長谷川 剛 馬場 健一 中野 博隆 下條 真司 長岡 亨
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1249-1264, 2008-03-15

大阪大学では,高いセキュリティレベルと標準的なインタフェースを兼ね備えた認証技術として注目されている公開鍵基盤(PKI: Public Key Infrastructure)に基づく全学IT 認証基盤を導入した.本学で導入した全学IT 認証基盤システムでは,署名・暗号化,学内認証,グリッドシステム認証,という異なるポリシに対応する複数のCA を導入・共存させている.これら複数のCA 向けの証明書発行を自動化することにより,安全性と利便性を両立した証明書発行サービスを実現している.また,PKI に対応したシングルサインオン(SSO)機能を導入し,学内ユーザが各システム間で統一的なインタフェースにより認証を行えるようにした.アプリケーションWeb サーバに認証機能を組み込むエージェント型のSSO 機能の導入により,1 度アプリケーションをSSO 対応させてしまえば,アプリケーションを変更することなくシームレスにパスワード認証からPKI 認証へ移行・共存することが可能となった.さらに,ユーザID 体系として,公開用に変更を許容するユーザID と,システム間連携用に1 人に1 つ決まる不変のユーザID とを設け,それらの対応付けを内部的に行うことにより,安全性・柔軟性ある運用を可能とした.本稿では,本認証基盤の設計と実装について述べるとともに,システムの導入により得られた技術的ノウハウや今後の展開についても述べる.
著者
森泉 由恵 本藤 祐樹 中野 諭
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.16-27, 2017-01-20 (Released:2017-01-31)
参考文献数
16
被引用文献数
4

本研究では,12種の再生可能エネルギー発電技術を対象に,ライフサイクルにわたる雇用創出効果の分析を行った。著者らが開発した再生可能エネルギー部門拡張産業連関表(REFIO)を用いて直接間接の雇用創出量を推計し,各技術の特徴を定量的に明らかにした。REFIOを用いることにより,12種の再生可能エネルギー発電技術について,共通の手法論に基づく比較を行うことができる。分析より,各発電技術固有の特徴が見出された。推計されたライフサイクル雇用創出ポテンシャルは,1.01~5.04人・年/GWhと技術により大きく異なることが示された。また,本研究では,雇用がどこで創出されるかに着目し,輸入による影響の分析を行った。その結果,太陽光発電と風力発電は,他の技術に比べて海外での雇用創出量が大きいことが示された。さらに,本研究では,量的側面だけでなく,創出される雇用機会の質的側面についても検討している。例えば,地熱発電における地熱井の掘削や木質バイオマス発電におけるプラント運転など,各技術に固有の活動を行うための人材が求められる。その一方で,全技術に共通して,法務・財務・会計サービスや輸送をはじめとする幅広いサービス部門において多くの雇用が誘発される。
著者
中野翠著
出版者
文藝春秋
巻号頁・発行日
2017
著者
山名 信子 岡部 和代 中野 慎子 銭谷 八栄子 斉田 つゆ子
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.171-178, 1984-06-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
12
被引用文献数
6 6

妊婦用衣服設計のための基礎資料を得るために, 妊婦520名から1,000例の計測値を得た. 経時的に, 妊娠2カ月から産月にいたる妊婦の身体を44項目について計測した. 腹部と胴部の矢状径および周径に関する項目に著しい変化を認め, これらは4カ月以後直線的な増加となった. しかし高径に関する項目には変化がなかった.主成分分析の結果, 妊婦の体型は次の3成分によって捉えることができた. 第1主成分は size factor で, 身体の大きさを表す因子である. 第2主成分は shape factor で, 身体の肥痩度を表す因子である. 第3主成分は妊婦の体幹部の特徴を表す因子である. 各主成分別個人スコアを妊娠月数別にみると, 第1主成分のスコアは上昇直線を示し, 第2, 第3主成分のスコアは直線的に漸減している.したがって, 妊娠用衣服のサイズは妊娠月数で決定することはできない. 妊娠月数の経過に伴う身体部位の寸法や体型の変化があるので, これらを考慮した衣服設計が要望される.
著者
中野 拓治 李 雨桐 阿部 真己 畑 恭子
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.I_9-I_17, 2018

農業集落排水施設流入水について農業集落排水施設から得られた実測データに基づき,状態空間モデルの適用を通じて日水量負荷変動の把握と変動特性の抽出を試み,日水量負荷の変動要因について考察した.日流入水量はトレンド成分,季節変動成分,週間変動成分,及び降水による変動成分に分離されるとともに,状態空間モデル解析により日流入水量の有する周期的な変動特性や観測データと対応した特徴を抽出できることが確認できた.日水量負荷変動には,供用人口に対応して変動する水道使用量,降水量,流入人口動態,お盆・年末・年始のイベントに対応する流量変動が関与していることが示唆された.状態空間モデルによる解析は,季節変動成分の解釈や降水に伴う変動成分予測精度に課題が残るものの,農業集落排水施設の日流入水量の変動特性の把握には活用できるものと考えられる.
著者
中野 政詩
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.103-104,a1, 1997-02-01 (Released:2011-08-11)

大学院の重点化の社会的意義が次世代の生活様式の加速度的向上に即するためのものであり, したがって重点化された大学院での教育・研究が社会の形態や事業にそのまま直結するものを目指していると分析して, 大学院で教育を受ける者にとってのメリットの幾つかを挙げ, 大学院の側から進学希望者および進学者に期待する準備や研さんの姿勢について述べた。