- 著者
-
菅原 哲也
五十嵐 喜治
- 出版者
- 公益社団法人 日本食品科学工学会
- 雑誌
- 日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.9, pp.516-520, 2013-09-15 (Released:2013-10-31)
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
-
2
6
現在,国内で栽培されている日本ナシの主要な栽培品種である ‘幸水’,‘豊水’ について,結実から成熟まで主なポリフェノール成分を定量するとともに,その構成成分とDPPHラジカル消去活性との関係を明らかにした.日本ナシの主要なポリフェノール成分は,‘幸水’ および ‘豊水’ ともに,アルブチンとクロロゲン酸であり,結実時の果実ではポリフェノール含有量が顕著に高く,成熟にともない減少するものの,果実1個体あたりのポリフェノール量には顕著な増加が認められた.また,日本ナシ果実のDPPHラジカル消去活性は,ポリフェノール含有量に比例して増加し,今回分析した成分の中でクロロゲン酸の寄与率が最も高い値を示した.日本ナシ成熟果のDPPHラジカル消去活性はアルブチン,およびクロロゲン酸が多量に蓄積している果皮において最も高い値を示し,続いて果芯において高い値を示した.日本ナシ果実において,ポリフェノールの局在部位は,果実や種子において,紫外線や酸化ストレスに対する防御機構に関与している可能性が示唆された.