著者
原田 柚子 今井 一博 髙嶋 祉之具 中 麻衣子 松尾 翼 南谷 佳弘
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.621-626, 2022-09-15 (Released:2022-09-15)
参考文献数
16

区域切除はIA期の非小細胞肺癌(NSCLC)に対する標準的治療の一つであるが,根治を目的として区域切除を行う際は適切なリンパ節転移の評価と,切除断端の確保が必須である.本研究の目的は,術中判断で区域切除から肺葉切除に移行した症例の頻度と理由,予後を検討することである.当院で2014年から2020年までに臨床病期IA期のNSCLCに対して区域切除が予定された121名の転帰を検討した.121例中8例が術中診断と術者の判断により区域切除から葉切除に変更されていた.4例が術中迅速診断でリンパ節転移陽性の診断,4例は手術手技に関する問題が変更の主な要因となっていた.リンパ節転移の評価には迅速免疫組織化学染色も併用した.区域切除を完遂した患者(n=113)と肺葉切除術に変更した患者(n=8)の間で,全生存期間に有意差はなかった(P=0.5828).適切な術中の判断がなされれば,術前に区域切除の適応と考えられた症例のうち,肺葉切除すべき症例を発見することができる.
著者
今井 悦子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.194, 2002-06-01 (Released:2003-07-29)

目的 属人器の実態の地域による違いを明らかにすることを目的とした。方法 2001年2月、放送大学の宮城、新潟、京都、広島および鹿児島学習センター所属の学生3,482名に対し、家族構成、食器の専用·共用状況と共用への抵抗感、外食の食器に対する抵抗感などをアンケート調査した。解析はχ2検定、CHAIDおよびコレスポンデンス分析を行った。結果 回収率は46%であった。1人世帯を除き、既に報告した埼玉のデータを加えて分析した。どの食器も、各地域の専·共·その他の割合には違いがあった。共用することへの抵抗感の有無は、飯碗、汁物椀および箸において地域差があった。食器の専用実態と共用に抵抗感ありの実態から見て、宮城と新潟、京都と広島はそれぞれ似ていた。
著者
植松 夏子 柴原 弘明 今井 絵理 吉田 厚志 西村 大作
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第60回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.343, 2011 (Released:2012-02-13)

【背景】がん患者には様々な苦痛症状が出現する。原発部位や基礎疾患により投与できる薬剤が限られ、副作用により投与中止となる場合もみられる。また各症状に対し個々に薬剤を使用することは薬剤の相互作用や内服負担増の面で患者に苦痛を与えることもある。ミルタザピンはノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)に分類されH1受容体拮抗作用、5-HT3拮抗作用を有するため、緩和医療領域では抗うつ作用以外の効果も期待されている。 【目的】がん緩和医療における苦痛症状へのミルタザピンの有用性を明らかにすること。 【対象と方法】2010年10月から2011年5月までに緩和ケア科でミルタザピンが処方された24例。自覚症状の変化を「著効(症状の消失)」「有効(症状の軽快)」「無効」「中止」の4段階に分けretrospectiveに評価した。なお当研究調査には十分な倫理的配慮を行った。 【結果】性別は男性11例 女性13例、原疾患は膵癌7例、胃癌5例、乳癌3例、胆管癌2例、大腸癌2例、肺癌1例、肝癌1例、前立腺癌1例、リンパ腫1例、GIST1例であった。ミルタザピンは不安・吐き気・食欲不振・掻痒感・疼痛・せん妄のいずれかまたは複数の症状がみられた患者に処方されていた。全24例のうち著効11例、有効6例、無効3例、中止4例で、中止理由は4例とも眠気であった。至適投与量は15mg 2例、7.5mg 9例、3.75mg 10例、1.875mg 3例であり、7.5mg以下の低用量投与が92%であった。 【考察】ミルタザピンはがん患者の苦痛症状に対し有効で、低用量で十分な効果がえられていた。本研究は少数例であり,さらなる症例を蓄積したうえでの検討が今後必要であろう。 【結語】ミルタザピンは低用量で各苦痛症状の緩和をもたらす。
著者
上田 凌大 今井 啓輔 山本 敦史 猪奥 徹也 角谷 昌俊 濱中 正嗣
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.624-629, 2021 (Released:2021-09-28)
参考文献数
19

症例は57歳男性.1型糖尿病と気管支喘息,副鼻腔炎の既往あり.上気道炎罹患後,急速進行性の手袋靴下型の感覚障害と左右非対称性の運動障害を生じた.血液検査で好酸球増多,神経伝導検査で多発性単神経障害をみとめた.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis,以下EGPAと略記)とGuillain-Barré症候群(Guillain-Barré syndrome,以下GBSと略記)を疑い,免疫グロブリン大量静注療法とステロイドパルスを実施するも奏効せず,腓腹神経生検による血管炎の病理診断後にシクロホスファミドパルス療法を追加すると,症状は改善し血中の好酸球数も正常化した.GBS様の急性経過をとるEGPAでは早期の神経生検による診断と適切な免疫療法の選択が重要である.
著者
今井 隆太
出版者
Japan Association for Urban Sociology
雑誌
日本都市社会学会年報 (ISSN:13414585)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.39, pp.56-72, 2021-09-04 (Released:2022-09-07)
参考文献数
66

This empirical study examined the following four hypotheses with reference to J.Jacobs' research, Urban Sociology, and Commercial Science. (1) When local residents go to the shopping street in their neighbourhood, they communicate more with shop assistants, than when they go to other shopping districts. The more they go to the shopping street, (2) the more they trust their neighbours, (3) the more they get local information and (4) the more they are attached to their area.     As a result, the hypotheses (1), (3), and (4) were statistically verified with the survey research. Therefore, Japanese shopping streets can be the place they communicate with each other, exchange information, and make sure their local connections. However, shopping streets is not associated with the trust for their neighbours. Further studies are needed to examine the relationship between average levels of residents' trusts and features of local lifestyles.
著者
石澤 幸江 小熊 隆夫 今井 信行 斎藤 トシ子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.501-506, 2022 (Released:2022-09-01)
参考文献数
28

丸呑み・早食い・詰込み食い等摂食嚥下に課題を有する統合失調症女性患者1人を対象に、管理栄養士が定期的な咀嚼練習に介入し、栄養状態、喫食に要した時間、咀嚼回数、食事満足度の変化を検証した。3カ月間、週3回、1回15分間の舌運動と食品を用いた咀嚼練習を昼食前に行い、開始時、4週目、8週目、12週目に各項目を測定した。栄養状態は、Alb値が開始時3.6g/dLから12週目には4.0g/dLへ、GNRIは90から96へと上昇した。喫食時間および咀嚼回数は開始時に比べ4週目には急激に増加し、それ以降の増加はほぼ横ばいであった。食事満足度は、聞き取り調査に変化は見られなかったが、食事中の表情(フェイス・スケール)は、開始時1点(無表情、口角が曲がる)から12週目は5点(笑顔、口角が上がる、口を開く)となった。統合失調症患者への咀嚼練習は、噛むことへの意識付け強化となり、喫食時間および咀嚼回数が増加したことで、栄養状態の改善につながった可能性がある。
著者
大曽根 眞也 森口 直彦 今井 剛 篠田 邦大 伊藤 剛 岡田 恵子 三木 瑞香 田内 久道 佐藤 篤 堀 浩樹 小田 慈
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.127-132, 2015 (Released:2015-08-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

L-アスパラギナーゼ(ASP)による血栓症は重大な治療関連合併症だが,本邦における発症実態は不明であり有効な発症予防法は未確立である.そこでASP血栓症の発症頻度と発症例の詳細,ASPを投与中に行われる凝固検査や血栓予防法の現状を知るために,JACLSに加盟している96施設を対象にアンケート調査で後方視的に検討した.47施設(49%)から回答を得た.2002年~2011年の10年間にASPを使用した1,586例中,8例(0.50%)で血栓症を認め,うち7例は寛解導入療法中に生じ,このうち6例では中枢神経系に生じていた.血栓症を発症した時,全例でステロイドを併用しており4例は発熱していた.血栓症発症時のアンチトロンビン(AT)活性は中央値71%,フィブリノゲン同93 mg/dL,D-ダイマー同2.2 μg/mLであった.血栓症を発症する前に4例でAT製剤を,1例で新鮮凍結血漿(FFP)を使用していた.血栓症で1例が死亡し1例で後遺症が残った.有効回答のあった45施設中,寛解導入療法でASPを投与する時に40施設がAT活性を週2~3回測定し,43施設がATを補充し,21施設がFFPを補充すると回答した.本邦でのASP血栓症の発症頻度は国外より低かったが,現在の凝固検査でASP血栓症の発症を正確に予測することは難しい.ASP血栓症を予測する新たな指標や適切な血栓予防法の確立が望まれる.
著者
今井 具子 加藤 友紀 下方 浩史 大塚 礼
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.161-173, 2022 (Released:2022-08-24)
参考文献数
40

一般住民の食事データを用いて日本食品標準成分表2015年版 (七訂), 及び2020年版 (八訂) で算出した栄養素等摂取量についてデータベース切り替えによる影響を検討した。対象は老化に関する長期縦断疫学調査の第1次から第7次調査参加者のうち秤量法による3日間食事調査を完了した累計男性7,596名, 女性7,566名とした。男女別に検討したところ, 有意な相関はあるものの, 七訂と八訂の差は測定法が変更されたエネルギー (5.1%), 炭水化物 (5.8%), アミノ酸組成によるたんぱく質 (6.0%) や, 成分値の収載数が大きく変わった有機酸などの栄養成分項目の算出値に差が生じ, 系統誤差が生じる可能性が明らかとなった。またこれらの差には性差が見られ, 対象者の食事内容により影響を受ける程度が異なる可能性も考えられた。栄養アセスメントの側面では, データベースの切り替えを慎重に行う必要があることが示唆されたが, 対象者をランク付けする等の疫学研究ではデータベース改訂の影響が比較的小さい可能性も示唆された。
著者
今井 あかね 松田 貴絵 横須賀 宏之 辻村 麻衣子
出版者
日本歯科大学新潟短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年、新しい細胞間情報伝達システムとしてエクソソームが注目されている。唾液中にもエクソソームが存在しており、内包されているmiRNAが癌の診断に応用されようとしている。唾液は非侵襲的に得られる検体として、多方面で実用化しようとする動きがあるが、外部環境の影響を受けやすく個人差が大きいため診断材料としてほとんど使用されることがない。また、他の体液に比べ、粘性などの物理化学的特性から安定的にエクソソームを抽出することが容易ではない。本研究では、唾液エクソソームの抽出法を確立し、そこに含まれるタンパク質の基礎的データを収集して、唾液エクソソームの働きや意義を提唱した。

1 0 0 0 OA 滑稽腹つゞみ

著者
今井雷堂 著
出版者
応来社
巻号頁・発行日
1912
著者
服部 健作 今井 益隆 中村 拓郎 堀口 敬
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.3_11-3_20, 2009 (Released:2011-12-22)
参考文献数
26

実環境における冬期の凍結融解,夏期の乾燥あるいは湿潤環境,淡水と塩水環境を想定してJIS A 1148 A法の応用を試みた。これらの実験結果から,環境条件および試験液の違いがコンクリートの耐凍害性に及ぼす影響は顕著であり,凍結融解行程に常温水中環境を設けた場合は相対動弾性係数の低下が顕著となる一方で,常温気中環境を設けた場合では耐凍害性が著しく向上した。また,スケーリング試験であるRILEM CIF/CDF試験の結果と比較することでJIS A 1148 A法によるスケーリング劣化評価の可能性も検討した。本研究の範囲内で,質量減少率が5%以内の供試体においては塩水を用いたJIS A 1148 A法とCDF試験のスケーリング量に良好な関係が認められ,JIS A 1148 A法において,相対動弾性係数の評価とともにスケーリング劣化評価の可能性が認められた。