著者
須藤 圭治 今井 義廣 沖井 明 喜多 憲司 近藤 圭三 松本 初男 宮川 智 左古 多佳子 奥野 秀樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.G0405, 2008

【はじめに】ポートフォリオとは、学習者自身の意志で成果や情報を一元化したファイルのことを指す。その作成を通じて学習のプロセスを再確認し、新たな価値を見出すことをポートフォリオ評価という。鈴木らは、当事者の内省と主体性の発揮を促す面で医療者の卒前卒後教育へのポートフォリオ評価導入の有用性を説いているが、理学療法士の臨床実習においては未だ導入経験の報告がない。今回我々は、鈴木の提唱する「ポートフォリオ評価」を基軸にした臨床総合実習を試みたのでその経過を報告する。<BR>【方法】対象:臨床総合実習生1名。期間:実習期間8週、指導者2名が担当。報告会は、医師、作業療法士も同席する症例検討会型式で行い、実習生へのフィードバックは口頭及び用紙記入で行い、回収した用紙は学生に明示した。総括は実習終了時のレポート、感想文、成長報告会での意見を参考に行った。実習の進行は以下のとおり。第1週「目標書き出しシート」にもとづく「目標カード」の作成とオリエンテーション、第2週:主症例の評価開始、第3週:症例初期評価報告会、第5週:文献抄読の報告会、第7週:症例最終評価報告会、第8週:成長報告会。<BR>【結果】ポートフォリオはクリアファイル2冊分になり、内容の割合は症例関係5割、勉強会関係3割、自己学習2割であった。実習生の感想は「気づきのチャンスが増え、主体的に学習できた」「自身の成長過程がわかった」「実習後の取り組みに生かせる」であり、要望は「実習前、実習初期にこの評価の十分な説明があればよかった」であった。スタッフの感想は「振り返る機会になる」「自己の問題点と改善点が整理できている」「自身の目標を持ち続ける大切さを学べたのではないか」である一方で、「この評価法を理解していないため意見し難い」「勉強会が必要」との意見があった。<BR>【考察】一般的な臨床実習は症例の初期評価に始まり最終評価で帰結し、養成校の評価表にそって指導者が実習生を評価するものであるが、今回の試みは、この流れを踏襲しながらも、「ポートフォリオ評価」を導入する事によって実習生の内省が常に必要とされる点が特徴といえる。実習導入期の「目標シート」作成、展開期の報告会および多面的なフィードバッグ、最終週の成長報告会は、ポートフォリオの見直しを通じての自己省察を深める機会となった。課題としては、実習生に簡潔に説明できる当院での「ポートフォリオ評価」マニュアル作成とスタッフ内の周知の必要性があげられる。今後、実習施設でのポートフォリオ評価が浸透すれば、学内教育と臨床教育との連携を強化するための有効なツールになると考える。<BR>
著者
松本 伊左尾 今井 誠一
出版者
新潟県食品研究所
巻号頁・発行日
no.25, pp.1-3, 1990 (Released:2011-03-05)
著者
藤川 佳則 今井 紀夫 近藤 公彦 大川 英恵 堀内 健后
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.44-56, 2022-01-07 (Released:2022-01-07)
参考文献数
22

本論文の目的は,デジタル・トランスフォーメーション(DX)のダイナミック・プロセスモデル(Fujikawa, Kondo, & Imai, 2022)が捉えようとするDXの動的過程について,事例分析を通じて詳述することにある。Fujikawa et al.(2022)が提唱する概念モデルは,プラットフォームの有無とステークホルダーの広狭の2つの次元を組み合わせた4つの象限(段階)からなり,特定の段階から別の段階への移行(パス)を動態的に記述する。本論文は,この概念モデルを用い,理論的サンプリングの手法に基づき,「DXの発展段階を異なる移行過程(パス)を通じて経時的変化を遂げた事例」として選択した4事例(アスクル,パイオニア,コマツ,日本交通)を分析する。新たな発見をもたらす事例,ならびに,経時的な変化を扱う縦断的事例としての事例分析から得た新たな知見や論理を概念モデルに反映する可能性について議論する。
著者
笠原 浩三 今井 〓蔵
出版者
鳥取大学農学部
雑誌
鳥取大学農学部研究報告 (ISSN:03720349)
巻号頁・発行日
no.45, pp.p135-143, 1992-11
被引用文献数
1
著者
多田羅 勝義 石川 悠加 今井 尚志 河原 仁志 神野 進 西間 三馨 福永 秀敏
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.57-62, 2007

<p>国立病院機構所属施設では,平成17年7月1日時点で89施設に2164名の長期人工呼吸患者が在院しており,昨年度より約100名増加していることが判明した.この内363名は,10年以上人工呼吸を続けている患者で,最長は27年であった.疾患別にみると,筋ジストロフィー1156名,筋萎縮性側策硬化症402名,重症心身障害児者304名であった.使用人工呼吸器は74.5%がポータブル型で,人工呼吸方法は,気管切開が61.3%,非侵襲陽圧人工呼吸が37.1%で,半数以上がアシストコントロールモードであった.人工呼吸下での外出,入浴の実施率から患者QOL向上への配慮が伺われる一方,モニタリング実施率の低さ等,安全管理上の問題点が明らかになった.</p>
著者
藤本 雄紀 今井 龍一 中村 健二 田中 成典 有馬 伸広 荒川 貴之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_259-I_267, 2017
被引用文献数
1

道路交通分析において,道路上に設置された様々な機器のデータを用いた定量的な分析に加えて,マイクロブログから道路利用者の意見を抽出する定性的な分析が行えるようになってきた.災害時での活用を念頭に置くと,道路管理者が瞬時に多種多様な投稿の中から信憑性の高い情報を確認できる必要がある.しかし,マイクロブログは誰もが自由に投稿できるため各投稿内容の信憑性が不明である.この特性は,災害時にマイクロブログを活用する際の弊害となっている.本研究では,投稿者の属性や投稿傾向の観点から,信憑性の高い記事の投稿者を特定する手法を考案し,その有用性を検証した.
著者
今井 理雄
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.159, 2010

規制緩和以降の乗合バス市場において,公営バス事業の民営事業者への移管や委託といった動きは,少なからずみられており,それに伴う影響や課題も顕在化している.これらは当初,移管および委託をスムーズに実施するためのプロセスに注意が払われてきたが,数年が経過し,路線や運行水準の維持および効率的な再編といった,サービスの持続可能性を問う課題が指摘されるようになってきた.公営バス事業は,その社会的な意義や民営事業者では運行が難しい不採算路線の維持など,民営バスとは異なる存立基盤にあることが,これまで経営を維持する目的となってきた.しかし一般的に公営バス事業は,おもに経費に占める人件費の割合の高さから,民営事業者に比べ経営環境が悪く,整理の対象となった(今井,2003).札幌市においては2001年12月,公営バス事業としては今後の収支の改善は望めないことを理由として,事業からの撤退を打ち出し,政令指定都市としては初めて市営バス事業すべてを段階的に民営事業者に移管し,2004年3月末をもって事業を廃止した.<br><br> 今井(2009)では,その移管過程,さらにその後生じた路線廃止をめぐる課題について整理,検討した.また地元紙などでは当初から,行政(交通局)と事業者とのあいだでの不協和音が指摘されてきた.その結果,市営バスから北海道中央バスに移譲された,市域東部に位置する白石営業所所管路線の存廃をめぐり,行政と事業者の公的補助についての思惑の違いから,2008年6月,市民や第三者となる別事業者を巻き込んだ混乱へと発展した.既存事業者が廃止届を提出したため,行政は受け皿となる事業者を選定し,さらに運行を委託することで補助金を拠出し,路線の維持を図ろうとした.しかし巨額の補助金に対する批判報道が集中したため,結局,既存事業者が継続運行することに表明し,廃止届を取り下げた.行政は抜本的な路線維持方策の変更が必要であると判断し,公的補助制度の拡大となる改定が行われたうえで,当該地区の路線を効率的に再編するため,行政,事業者,住民,市民団体を構成員とする検討会議を設置した.これにより「白石区・厚別区地域バス交通検討会議」として,2009年6月から5度にわたって会合がもたれ,意見交換がなされた.また従来,行政と事業者との協議内容が市民に開示されず,批判を受けたこともあり,会議は公開とされた.しかし,抜本的な改善をもたらすような議論がされているとはいい難く,目前の課題に対処するのが限界である.<br><br> 本研究では,札幌市における公営バス事業の民営移譲の事例に着目し,それに伴って生じた民営事業者によるサービス提供の限界に対して,行政や事業者,および住民の意思決定の過程を明らかにするとともに,その方策と課題について考察する.<br><br>(参考文献)<br>今井理雄 2003.規制緩和にともなう路線バス事業の変容.日本地理学会発表要旨集64:67.<br>今井理雄 2009.札幌市における公営バス事業の民営移譲による影響と課題.日本地理学会発表要旨集75:140.<br>
著者
ティラカラタネ ラール 今井 健 荒井 聡 ティラカラタネ エランガ
出版者
日本農業市場学会
雑誌
農業市場研究 (ISSN:1341934X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.34-45, 2000

1997年1998年にスリランカのエッパワラ地域で行った農家調査結果にもとづき、稲作農業に関するコストや所得を試算し、現代の稲作農家の経済状況に影響している要因について分析し考察した。その結果、第1に、肥料・農薬の投下量が米の収量に比例しており、このことはすでに稲作が近代化されていることを示しいてること。第2に、肥料・農薬の投下量は、経営面積に比例して増加し、稲作の収量は経営面積が大きくなるほど増加する傾向が見られる。しかし、それは肥料・農薬の投下量の増加ほど明確ではないこと。第3に、1エーカー当たりの稲作の粗収益と総コストは経営面積が大きくなるにしたがって増加するが、所得については、経営規模間の相違は見られないこと、などである。このように稲作の経営規模間の生産性にかかわる諸指標の間にズレがあることが明らかとなったが、その要因は、農業雇用労賃、農業資材費用と不十分な潅漑条件などにあると考えられる。スリランカの稲作は技術的には、一部潅漑条件や機械化などの不十分さはあるものの「緑の革命」や開放経済過程の条件下で近代化されたといえる。しかし、近年の低価格な輸入米の増加による生産者米価の低下や雇用賃金などのコストの高騰が、大規模経営のスケールメリットを不十分なものとし、経営的優位性が確認できない要因となっているといえる。そのため大規模経営農家は、稲作経営の一層の拡大ではなくて、金貸しや稲作以外の農業やサイドビジネスに投資する傾向が強まっでいる。
著者
伊波 香 今井 昭一
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
no.4, pp.118-124, 2003-03

昨年度の本誌に、scrape-loadingによって蛍光色素を細胞内に取り込ませ、周囲細胞への移行の様子で、gap-junctionを介する細胞間の情報交換について検討するEl-Foulyらの手法について紹介すると共に、この方法を用い、腎上皮由来の細胞と言われるNRK-52E細胞で得られた結果の幾つかについて報告したが、今回は、1つの細胞に、直接選択的に、蛍光色素を注入する事のできる微量注入装置を用いて、蛍光色素を直接細胞内に注入する方法で行った実験の結果について報告する。細胞は、昨年同様、NRK-52E細胞であり、細胞間情報交換の指標とした蛍光色素も同じくlucifer yellow(LY)である。色素が注入された細胞を明らかにする為、LYと共にethidium bromide(EB)を細胞内に注入した。微量注入装置の自動注入機能を利用し、保持圧を150 ヘクトパスカル、注入圧を800-1100ヘクトパスカル、注入時間を0.8秒に設定して注入を行った。その結果、NRK-52E細胞群では、1つの細胞に注入された色素は、ほぼ均等に周囲の細胞に拡がること、10-15分で、色素の拡がりはピークに達する事、代表的な腫瘍プロモーターであるTPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)(10-100 ng/ml)、10-20分処置によって、色素の拡がりが完全に抑制されることがわかった。Intercellular communication through gap junction was studied in NKR-52E cells in culture using the transfer of a fluorescent dye, lucifer yellow, as a measure. Instead of a scrape loading method used in our previous work(Une K. and Imai S.), a direct microinjection method was used. The dye was injected with a microinjector(Eppendorf FemtoJet) via a glass capillary (Eppendorf Femtotips) impaled into the cell. The microinjector was operated with a micromanipulator(Eppendorf 5171). Another dye, ethidium bromide, was injected together with LY to identify the cell into which the dye was injected. Fluorescence of the dyes was monitored with an inverted fluorescent microscope (Leitz DMIRB). Contrary to our previous findings obtained with a scrape-loading method, cell-cell communication was found to be inhibited completely by a representative tumor promotor, TPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate).
著者
佐居 由美 松谷 美和子 山崎 好美 中山 久子 大久保 暢子 石本 亜希子 三森 寧子 多田 敦子 印東 桂子 瀬戸山 陽子 村松 純子 小山 敦子 岩辺 京子 森 明子 有森 直子 今井 敏子 原 瑞恵 菱沼 典子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.116-124, 2007-06

本稿は,聖路加看護大学21世紀COEプログラムの一環である『第7回COE国際駅伝シンポジウム『子どもと学ぼう,からだのしくみ』の概要を記述し,その運営実施過程を分析評価することにより,People-centered Careの構成要素について考察することを目的とする。第7回駅伝シンポジウムは,5歳児がからだを学べる方法を提示し一般市民と有意義な意見交換を行うことを目的とし,5歳児と両親,保育士や幼稚園教諭,看護師・養護教諭など5歳児にかかわる専門家を対象として開催された。シンポジウムの企画運営は市民との協働で行われた。シンポジウムは,(1)子どもが「からだを学ぶ」ための教材としてのテーマソング「からだフ・シ・ギ」の歌と踊り,(2)人間の消化機能を解説した紙芝居「リンゴがウンチになるまで」の上演,(3)子どもとからだのしくみを学ぶことについてのシンポジウム「子どもと学ぼう,からだのしくみ」から構成された。プログラムは,1プログラム20分以内とし,紙芝居・歌・踊りなどを取り入れ,子どもが飽きない工夫を行った。シンポジウムの運営実施における市民との協働過程においては,これまでのCOE活動から得られたPeople-centered Careの要素〔役立つ健康情報の生成〕〔異なる視線でのつながり〕等が確認され,「コミュニティに潜伏しているニードを湧きあがらせ(互いに確認し)顕在化させ,活動を専門家との協働へと移行し発展させる」過程を経験し,新たに〔互いに確認する過程〕という要素を見いだした。また,駅伝シンポジウムにおいて,当初,模索されていた市民との協働(2004年)が,湧きあがったコミュニティとの協働(2005年)へと視点を移し,さらに,協働が進行しているコミュニティと専門家が活動のさらなる展開を共に模索するシンポジウム(2006年)へと,市民との協働のプロセスが発展していることが確認された。コミュニティとのさらなる協働のあり様,「5歳児がからだを学べる方法」の具体的評価方法,などが,今後の課題として再確認された。
著者
小俣 海斗 今井 慎一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.305-314, 2021-03-10 (Released:2021-03-15)
参考文献数
17

本研究では,小学校プログラミング教育の授業としてIoT 教材を用いたPBL 型授業を行い,児童はIoT 教材を活用して問題解決を行えるのか,また,PBL における活動人数の違いによる児童の反応の特徴を明らかにすることを目的として調査を実施した.全11回の授業を行い,児童の最終成果物を4観点(4点満点)で評価した分析と,自由記述の感想に対するテキストマイニングによる分析を行った.成果物の分析から,提出者129名の平均得点は3.42であり,113名(88%)の児童が3観点以上を満たしていたため,5年生の児童はIoT 教材を活用して問題解決を行うことができることが明らかになった.また,感想の分析から,問題解決を個人で行う場合は,考える時間を十分に確保する必要があり,難しさを感じる児童への支援が必要なこと,グループで行う場合は,児童が自分の意見を言えるような環境を整えることが必要であることが示唆された.