著者
蕪木 友則 須崎 紳一郎 勝見 敦 原田 尚重 原 俊輔 伊藤 宏保 安田 英人
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.207-212, 2013

経動脈的塞栓術が有効であった穿通性腹部臓器損傷症例を経験したので報告する。症例1は35歳の女性。路上歩行中に果物ナイフで数箇所を刺され受傷した。そのうちの右前胸部の刺創は,胸腔から腹腔内に達していた。来院時血圧は維持されており,腹部造影CT上,肝右葉に損傷を認め,造影剤の血管外漏出所見,腹腔内出血を認めた。主要な損傷は肝損傷のみで,損傷部からの持続出血を認めたが,肝動脈塞栓術で出血のコントロール可能と考えて,経動脈的塞栓術を施行した。塞栓術により,出血はコントロールできた。症例2は63歳の男性。妻と口論の末,果物ナイフで右背部を刺され受傷した。来院時血圧は76/43mmHgであったが,輸液負荷により上昇し,腹部造影CT上,造影剤の血管外漏出所見を伴う右腎損傷を認めた。腎動脈の分枝からの出血と判断し,腎動脈塞栓術にて出血のコントロール可能と考えて経動脈的塞栓術を施行した。塞栓術により,出血はコントロールされた。穿通性腹部臓器損傷に対する止血法として,循環が維持され,CT検査が施行できる症例に関しては,経動脈的塞栓術も選択肢の一つになると思われる。
著者
池原 瑞樹 山田 耕三 斉藤 春洋 尾下 文浩 野田 和正 荒井 宏雅 伊藤 宏之 中山 治彦 密田 亜希 亀田 陽一
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.231-236, 2001-06-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

造影CT画像と単純GT画像におけるCT値の差によって, 肺野微小病変の質的診断を試みた報告はある. しかし造影thin-section CT (以下造影TS-CTと略す) 画像のみでのCT値の解析でその質的診断を試みた報告は少ない. 今回, CT画像上充実型を呈する肺野末梢微小病変を対象として, CT画像による質的診断を目的に造影TS-CT画像におけるCT値の解析を行った. 対象は, 最近3年間に当施設で切除された20mm以下の肺野微小病変47例である. 組織型は原発性肺癌が23例, 転移性肺腫瘍が6例であり, 非癌性病変は18例であった. CT画像は造影剤35mlを経静脈的に0.8ml/秒の速度で注入を開始し, その50秒後の画像である. CT値は病変内に真円に最も近い最小のROIを作成し, 病変の中心部と大動脈中心部の平均CT値を測定した. 結果は, 原発性肺癌では非癌性病変に比べて “病変部のmean CT値” および “病変部のmean CT値と大動脈のmean CT値の比” のいずれも高値を示し, 有意差を認めた. 以上より, 造影TS-CT画像でのCT値の計測は, 充実型を呈する肺野微小病変の質的診断に寄与する可能性が示唆された.
著者
淺間 一 太田 順 土屋 和雄 伊藤 宏司 矢野 雅文 青沼 仁志 大須賀 公一 高草木 薫 太田 順
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

計画班および公募班が,本領域の特徴とする生工連携がスムーズにかつ効果的に行えるように,班間の連携を促進した.また,国際シンポジウム,ワークショップの開催,非公開シンポジウムの開催,内部評価の実施,国際会議・国内学会講演会などでのオーガナイズドセッションの企画,移動知教科書シリーズ出版企画,若手の会の支援,ホームページの更新,研究成果・活動記録に関するデータベースの作成などの広報,報告書の作成などを行った.
著者
肺癌放射線治療計画用のリンパ節部位アトラス作成委員会 小宮山 貴史 板澤 朋子 玉置 幸久 西村 恭昌 中山 優子 伊藤 宏之 大出 泰久 楠本 昌彦 坂井 修二 鈴木 健司 渡辺 裕一 淺村 尚生
出版者
The Japan Lung Cancer Society
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.189-205, 2015
被引用文献数
1

肺癌の放射線治療ではCT画像に基づく三次元放射線治療計画が行われており,リンパ節部位の照射野設定は重要である.現在の肺癌取扱い規約のリンパ節マップはInternational Association for the Study of Lung Cancer(IASLC)mapに準拠したものである.放射線治療計画においては,CTの連続横断像を用いてリンパ節部位を設定する必要がある.そこで,日本肺癌学会と日本放射線腫瘍学会と共同で,肺癌放射線治療計画のためのリンパ節部位のCTアトラスを作成した.
著者
嶺井 明子 関 啓子 遠藤 忠 岩崎 正吾 川野辺 敏 水谷 邦子 森岡 修一 福田 誠治 松永 裕二 澤野 由紀子 大谷 実 高瀬 淳 木之下 健一 タスタンベコワ クアニシ デメジャン アドレット ミソチコ グリゴリー アスカルベック クサイーノフ セリック オミルバエフ 菅野 怜子 サイダ マフカモワ 伊藤 宏典 アブドゥジャボル ラフモノフ ズバイドゥッロ ウバイドゥロエフ
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中央アジア4カ国は独立国家樹立後、国連やユネスコ加盟を果たし、脱・社会主義、民主的法治国家の樹立をめざし教育改革に着手した。国外からの協力と援助(ユネスコ、国際援助機関、ロシアなど)、及び国内事情(多民族国家、イスラム的伝統、都市と農村の格差、経済の人材需要など)の葛藤の中で教育政策が推進されている。初等中等教育の高い就学率、教育の世俗制、多民族への配慮などソ連時代からの正の遺産を多く継承しているが、教育へ市場原理が導入され競争的環境が強化されている。高等教育ではボローニャ・プロセスに対応した改革が進んでおり、無償制は後退している。
著者
新見 將泰 中島 祥夫 坂本 尚志 遊座 潤 伊藤 宏文 三浦 巧 鈴木 晴彦
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.97-104, 1994

近年,運動関連脳電位については手指の単純な屈伸運動に関する詳細な研究はあるが,発声に関する報告は少ない。本研究では,ピッチ変化と母音の変化における発声関連脳電位の変化を等電位図法と双極子追跡法(頭部均一媒質による)を用いて解析することを目的とした。18-35歳の健康な男女10名(右利き)を対象とし,高低数種類のピッチで母音を自己のペースで発声させた。脳波は頭皮上においた21個の表面電極より導出した。喉頭前面皮膚上においた加速度計波形の立ち上がりをトリガーとして用い,発声前2.5s,発声開始後2.5sの脳波を加算平均し,等電位図の作成と双極子追跡法により電源位置の推定計算を行い,被験者のMRI画像を用いて電源位置を検討した。発声に約1200ms先行して両側の中側頭部に緩徐な陰性電位が認められた。これは正常のヒト発声時の大脳皮質の準備状態を反映する発声関連脳電位と考えられた。この陰性電位は,分布範囲,強度とも左半球優位の場合が多かった。また発声のピッチを高く変化した場合には,右側の振幅の変化が,より大きくなる傾向があった。一般にヒトの発声において言語中枢は(左)優位半球に広く存在すること,発声周波数(ピッチ)の変化は(右)劣位半球の関与が大きいことが知られている。上記の結果はこの説に一致すると考えられた。発声に先行する陰性電位の電源部位は双極子追跡法により両側の中心前回下部付近に限局して分布した。発声のピッチや母音を変えても電源位置に変化は認められなかった。
著者
伊藤 宏之 中山 治彦 藤田 敦 石和 直樹 池原 瑞樹 田中 学 山田 耕三 野村 郁男 野田 和正 亀田 陽一 密田 亜希
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.132-135, 2000
参考文献数
6

症例は34歳男性。5年前に近医で右肺野の腫瘤陰影を指摘され, mucoid impactionを伴ったcystic brochiectasisと診断された。1999年3月, 健康診断で胸部異常陰影を再度指摘され, 4月26日に当院を紹介受診した。胸部CTでは, 右B^6bを中心に経約4cmの気管支に沿って拡がる樹枝状の, 内部に一部空洞を伴った充実性腫瘤陰影を認めた。この空洞にcystic brochiectasisに特徴的所見とされるair fluid levelがないことから, 気管支鏡検査を行ったところ, B^6内腔を閉鎖する赤紅色の易出血性のポリープ状腫瘤を認め, 生検によりatypical carcinoidと診断された。6月10日, 右下葉切除およびR2a郭清を施行した。摘出標本の病理組織所見においても, B^6より出現した腫瘍が気管支を拡張しつつ, 長軸方向への気管支内発育をし, 樹枝状の形態をとっていたことが確認された。また画像上腫瘍内部に認められた空洞は, 腫瘍末梢の嚢状の拡張気管支であることが判明した。
著者
伊藤 宏
出版者
プール学院大学
雑誌
プール学院大学研究紀要 (ISSN:13426028)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.111-126, 2005-12
被引用文献数
2

This paper reports on continuing research concerning the verification of the kind of"media agenda"shown by the Asahi Shimbun when reporting on development and use of nuclear energy in Japan. This research analyzes the period from 1981 to 1994. The report clearly shows that up until the Chernobyl nuclear power-plant disaster in 1986, and even for a while after that, the"media agenda"of the Asahi newspaper was based on the premise of promoting the development and use of nuclear energy, the exception being that of the nuclear-powered ship"Mutsu". However, after 1988 the subject of nuclear power plants moved onto the critical agenda and since that date the degree of criticism seen in reporting on the development and use of nuclear energy became stronger.
著者
伊藤 宏司 湯浅 秀男 淺間 一 新 誠一 上田 完次 藤田 博之
出版者
東京工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

1.機能モジュールの開発マイクロ技術を用いて多数の素子を製作し,それらが機能モジュールを構成できるような人工システムを開発した.2.機能モジュールの理論解析1)機能モジュール群の追加・削除及び結合形態とシステム全体の安定性との関係をH∞制御におけるLMI設計法を適用し解析した.2)機能モジュール群の相互作用を反応・拡散、分散・波動などの発展方程式により記述し,秩序形成を獲得する仕組みを明らかにした.3)動物のロコモーションや上肢動作の時空間パターンの創発機構とそのモデリングを理論・実験の両面から解析した.3.人間とロボットの行動創発1)免疫ネットワークの工学モデルを構築し、未知環境における自律移動ロボットの行動発現に適用した.2)概念の相違の定義並びにその検出法を与えるとともに、ヒューマンインタラクションにおける概念構造の発見や知的操作のプロセス創発と呼び、そのプロセスを決定木により可視化することを試みた.3)ロボットが共通の座標系を獲得する問題、衝突回避問題、長尺物運搬時の経路決定問題を理論的に解析し、多様な行動パターンを生成させた.4)ロボットと環境との局所的な情報交換に着目し、その通信手段として小型可搬のインテリジェントデータキャリア(IDC)を製作した.5)自律ロボットが他のロボットと競合を起こさない適切な行動戦略を自己組織化する手法を強化学習的なアプローチにより解析した.6)数10台のマイクロロボット群を製作し、個々のロボットの知能とマクロ的な群知能の関係を実験的に検証した.4.生物指向生産/経済システム1)個体の発生・成長および生物集団の進化・適応の特徴を取り入れた生物指向型生産システムのモデリングとプロトタイプの開発を行った.2)セルラ-・オートマタによる流行モデルを提案し、初期条件の微妙な違いによって消費者の行動パターンが全く異なってくることをシミュレーションにより示した.
著者
塚本 昌克 近藤 敏之 伊藤 宏司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.577, pp.41-44, 2006-01-20
被引用文献数
3

パターン識別を用いた筋電義手は, 高い動作識別精度を実現しているが, EMGは実際の運動より100msec程早く観測されるので, データ長を100msec未満にしなければ高い識別率の代わりに義手の動作遅れを発生させてしまう. 本研究ではこの問題を取り上げ, 動作遅れのない義手実現を目指し, 前腕部に装着した複数対の電極から計測される筋活動開始時におけるEMGの立ち上がり部分を用いてニュールネットワークによる動作識別と義手制御のシステムを提案する.