著者
福田 直樹 伊藤 孝行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.2324-2335, 2007-09-01
被引用文献数
5

本論文では,10,000〜100,000を超えるような多数の入札がある組合せオークションに対して,勝者決定の近似解法を提案し,その特性を評価する.提案アルゴリズムでは,従来手法のLehmannアルゴリズムにおける入札ソート順位の決定因子に着目し,更に山登り法及びシミュレーテッドアニーリング(SA)による解の洗練を行うことで,安定して高い最適性を持った解を得る.入札数が1000程度の場合に,本提案手法では最適解に対して平均して0.997程度の総落札額が得られる解を見つけられることを示す.更に,従来の最適解探索手法と比較して十分に高速に動作し,10,000を超える入札数をもつオークションに対して数秒(入札数10,000)から数分程度(入札数100,000)の実用的な時間で計算が行えることを示す.本近似解法の限界点の一つとして,本近似解法を用いた組合せオークションが一般には真実申告最良とはならないことを,Monotonicityという条件が成り立たないことから示す.一方で,真実申告最良とはならないものの,本近似解法の一部では,解探索の過程におけるランダム性を排除し順序性を保存することで,近似解に対して特定の好ましい性質を満たすことを示す.
著者
伊藤 伸江
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.12-21, 2000-12-10

伏見院は、持明院統の治天の君として、二度政を執っているが、京極為兼を撰者に加えた勅撰集編纂の試み(永仁勅撰の儀)がついえた苦い経験を持っている。為兼配流、自らの退位、後継の後伏見天皇の退位と続く政治的な挫折と、勅撰集編纂計画の頓挫を経験する第一次院政期において、伏見院はどう詠歌を試みたか。『歌合』(正安元年〜嘉元二年)を題材に、後鳥羽院を意識し継承しようとする伏見院の帝王たらんとする心情を論じた。
著者
平藤 雅之 世一 秀雄 三木 悠吾 木浦 卓治 深津 時広 田中 慶 松本 恵子 星 典宏 根角 博久 澁谷 幸憲 伊藤 淳士 二宮 正士 Adinarayana J. Sudharsan D. 斉藤 保典 小林 一樹 鈴木 剛伸
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.60-70, 2013
被引用文献数
3

フィールドサーバは,野外における情報収集,灌水等の制御,センサ等新デバイスの実験を行うためのセンサネットワーク用プラットフォームである.そのためには多機能かつ十分な拡張性を備えると同時に,機械作業や栽培ステージに応じて手軽に移設でき作業者等の安全性にも配慮したオールインワン化及びワンユニット化が必要とされる.また,半導体技術の進歩やCPU等LSIの世代交代にあわせてハードウェア及びファームウェアの更新と機能向上を迅速に行う必要がある.ところが,大量生産ができない段階では低コスト化と高機能化を両立させることは困難であり,しかもそのような初期段階においては低コストで高機能な試用機がないとアプリケーション開発ができず市場が拡大しないというジレンマがある.これらの問題を解決するための制作手法としてオープンソース・ハードウェアを用いる方法を考案し,オープンソースのフィールドサーバ(Open-FS)を開発した.さらに,Open-FSを用いて測定したデータを低コストに収集・閲覧・共有するための方法として,既存のクラウドサービス(Twitter等)とHTML5で記述した閲覧用ソフトウェアからなる"センサクラウド・システム"を提案し,試作及びインドと日本における長期現地実験によってその有効性を評価した.<br>
著者
伊藤 明巳
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然人間社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.75-90,

本稿では、ウルトラマンというポピュラー文化を沖縄で読む試みを文芸批評的にではなく、オーディエンス論から考察する。テレビ番組などの視聴体験は、社会的なアイデンティティの差異によって異なる読みが生み出される可能性が指摘されているが、ウルトラマンは、それにかかわった沖縄出身者との関係から、読むという実践をアイデンティティを強化しながらおこなうことを可能にする素材となる。その事例分析として、沖縄にてウルトラマンを読むことを素材にしたフォーカス・グループ・インタビューによる調査を行った。その結果、沖縄出身か否かで読みの差異がみられたことが観察できたが、その差異は従来のオーディエンス論調査の事例とはまた異なり、社会的カテゴリーよりも社会的境遇による共感を重視したものであった。
著者
西守 隆 伊藤 章
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.318-323, 2006-10-20
被引用文献数
3

本研究の目的は,歩行・走行時の骨盤と体幹の回旋角度を測定し,移動速度との関係や位相性変化を検討することである。大学陸上競技部の男子短距離選手6名を対象とした。移動速度条件として,歩行は1.3,1.9m/sの2条件,走行は2.5,4.5,6.5m/s及び最高速度の4条件とした。全試技を3台のハイスピードカメラを用いて撮影した。得られた座標値から骨盤回旋角度と体幹回旋角度を求めた。得られた骨盤回旋角度と体幹回旋角度について,時系列データとして相互相関分析を行ったあと,位相性の違いを算出した。その結果,歩行では移動速度の増加と共に骨盤回旋運動の振幅は直線的に増大した。走行では2次曲線の傾向を示し,2.5m/sから6.5m/s付近まで増加したが,それ以上の速度では逆に減少した。骨盤回旋と体幹回旋との関係は,歩行では互いに逆方向に回旋していたのに対し,走行では移動速度の増加とともに同方向への回旋運動に変化した。これは移動速度が向上するに従い,歩行周期における骨盤回旋運動の位相が変化し,体幹回旋運動の動きの方向に近づいていくことを示している。
著者
伊藤 眞
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.301-324, 2008-02

商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty論文環境省は自主参加型排出量取引を平成17年度より実施しており,平成19年3 月15日付で「排出削減クレジットにかかる会計処理検討調査事業」を公表した。そこには,キャップ・アンド・トレードの会計処理について複数の会計処理が提示され,クレジットの無償交付時に,①クレジットもその償却義務も認識しない,②クレジットとその償却義務を認識する,③クレジットのみ認識(償却義務は温室効果ガス排出時に認識)する3 つの考え方が示され,②と③については,事後測定につき原価法と時価法が示されている。 2004年12月に公表された国際財務報告解釈指針第3 号の方法は③の基であるが,この処理に対し欧州財務報告アドバイザリー・グループ等からの懸念が表明され,直ちにこの解釈指針は廃止された。その批判は,約束期間はじめのクレジット無償交付時にクレジットのみ公正価値で認識するため受贈益が生じるのに対し,クレジット償却義務は,その後の事業活動によるガス排出につれて認識するという処理が,両者は一体であり利益は生じないという経営者の感覚に反し,また,当該受贈益は政府補助金として繰延処理するが,利益の繰延べが負債の定義を満たさないため,政府補助金の繰延処理について廃止検討予定である点,さらに,クレジットは原価又は公正価値(評価差額は資本直入)で測定されるのに対し,排出削減義務は現在価値で測定され変動差額は損益に計上されるため,事後測定と報告においてもミスマッチが生じる点にある。 基準年度の実績排出量から削減義務量を控除して算出された総排出枠(キャップ)と同量のクレジットが無償交付されるが,継続企業であればガスを排出する約束期間後に,通常,当該クレジット量を償却するという契約に基づく義務も存在する。無償交付クレジットは企業にとって生存権的な意味合いのもので,収益によりカバーされる必要のないものである。もし収益によりカバー,又は削減義務以上に排出削減できるのであれば,それがほぼ確実となった時に利益認識すればよい。これに対し,有償で取得したクレジットについては,収益により回収されるか,費用削減によってカバーされる必要があるから,償却義務は実際にガスを排出したときに費用とともに認識すればよい。また,認識したクレジット償却義務の範囲でクレジットの時価評価を行うことにより,経済実態を適正に表示することができると考えられる。したがって,経営者の感覚に合うものは上記②の時価法であり,これが適切な会計処理ということになる。 さらに,クレジットは,企業が対象事業活動を行わない,又は廃業した場合には,契約違反として返還しなければならないと考えられるため,クレジットの返還義務は解除されていないと解され,上記条件付償却義務と一体となって無償交付時の負債を構成するものと解釈できる。
著者
伊藤 文香 吉田 直樹 村木 敏明
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.67-73, 2004-03
被引用文献数
1

本研究の目的は, 包丁操作について, 三次元空間内の各座標軸に対する包丁の回転角度に着目し, 包丁操作の巧緻度を決定する要因を検討することである。被験者は42歳から66歳の右手利きである健常女性15名である。きゅうりの輪切り動作について利き手, 非利き手において三次元動作解析装置にて20秒間測定し, 各軸周りの回転角度の分散Vx, Vy, Vzを求め, 利き手, 非利き手における分散の差異を分析した。結果, 左右軸周り, 前後軸周りの角度の分散Vx, Vyに差異 (p<0.0001, p<0.0l) が認められた。臨床において当該操作の指導を行う際には, まな板に対する包丁長軸の傾きのブレに関連するVxを小さくするように指導することが有効である可能性が示され, 包丁長軸周りの回転角度の時間的周期性が熟練と未熟の差であることが示唆された。包丁の回転角度から当該操作の巧緻度を評価できることが見出された。
著者
伊藤 由貴
出版者
大阪大学国語国文学会
雑誌
語文 (ISSN:03874494)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.99-85, 2015-06
著者
伊藤 敏晴 尾高 一彦
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, 1988-03-20

時間に依存したゲージ場中でのフェルミオンの散乱問題を粒子猫像(生成,消滅演算子及びFock空間)の時間発展を追うことによって定式化し,ゲージ異常の出現の仕方及びゲージ異常のない量子化の可能性について,フェルミオンのコーヒーレント状態を用いた径路積分を基に議論した。
著者
伊藤 詩乃 田中 佑岳 狩野 芳伸 榊原 康文
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.F-AI30Ge_1-10, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)
参考文献数
22

31 巻6 号AI30-G(2016 年)の論文において、本文引用箇所がすべて[?]として公開されているため、正しい情報を次ページより掲載します.
著者
佐藤 健二 伊藤 宣夫 岡 充
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.281-284, 1967

Braid silk sutures (size, 2-0) pretreated or non-pretreated with silicone (Toshiba Co., TSF 484) were subjected to gamma radiation and effects of irradiation on the tensile strength and the solubility of the sutures were investigated. On the other hand, grafting and water repellent degree of the sutures grafted by silicone with gamma irradiation, were compared with those of the siliconized sutures by heating. The tensile strength of the sutures were decreased with increasing radiation dose, but no difference was observed between the decreasing degree of the strength of the sutures irradiated at sterilization dose (2.5 Mrad) and that of the sutures autocraved. No significant decrease was observed in the water repellent of the grafted sutures for long boiling and for immersion in storage solution (ethanol or carbolic acid). It seems to be promissing to produce silicone grafted sutures sterilized by irradiation.
著者
跡部 恵子 井田 茂 伊藤 孝士
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.57-57, 2003

観測限界から、これまでに発見されている系外惑星は全て巨大ガス惑星と考えられているが、地球型惑星も存在しているだろう。惑星において、生命、特に陸上生命が誕生、進化するためには、ハビタブル・ゾーン(液体の水が存在できる軌道領域)での軌道安定性に加え、惑星表面の気候が安定に保たれる必要があると考えられる。惑星自転軸傾斜角の変動は、気候に多大な影響を与える。一般的に自転軸傾斜角の変動は数度であるが、自転・軌道共鳴によって数十度に達する場合がある(Ward 1974, Laskar et al. 1993)。実際、現在火星の自転軸は共鳴の影響で十数度の変動をしており、このような大変動は惑星の居住可能性に影響を与えるであろう。<BR> 本研究では、系外惑星系のハビタブル・ゾーンにある仮想的地球型惑星の自転軸傾斜角変動について調べた。自転軸の振幅を表す解析式を用いて計算を行った結果、巨大惑星が地球型惑星の軌道をかろうじて安定に保てる場所にある場合、地球型惑星は共鳴の影響を受けやすいことがわかった。つまり、軌道的に安定であっても、自転軸傾斜角の大変動が引き起こされる可能性がある。<BR> さらに実際の系外惑星系において、仮想的地球型惑星の自転軸変動を評価した。その結果、地球型惑星が、安定軌道、かつ小さな自転軸変動を示す可能性のある系は稀であることを示唆する結果を得た。しかし、惑星の逆行自転や、近接した巨大衛星の存在は自転軸変動を抑える傾向があり、これらが陸上生命発達の鍵を握っているかもしれない。
著者
木村 真二 藤田 健太 石隈 慎一郎 白岩 真弥 豊田 英里 浦川 聖太郎 佐藤 文衛 伊藤 洋一 時政 典孝 向井 正
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.88-88, 2005

1995年に初めて我々の太陽以外の恒星の周りを回る惑星、太陽系外惑星が発見されて以来、その数は現在までに160個に達している。太陽系外惑星の検出方法はいくつかあるが代表的なものとしては、ドップラーシフト法とトランジット法がある。我々はすばる望遠鏡でのドップラーシフト法による観測から視線速度に変化の見られる天体を、西はりま60cm望遠鏡を用いて観測し、トランジットの検出を試みている。今回は、西はりまでの観測においてトランジット検出に十分な測光精度を得られたことを報告し、さらにいくつかの天体の観測・解析結果を示す。
著者
神保 智子 石川 勝彦 伊藤 雅樹 津金 賢 田辺 義和 斎藤 由雄 富岡 秀起
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.96, no.18, pp.75-82, 1996-04-25
参考文献数
9
被引用文献数
1

ゲート酸化膜の絶縁耐圧に影饗を及ぼす有機物汚染の評価を行った。ゲート酸化-polySi成膿を窒素券囲気下で連続処理した場合、酸化膜の欠陥密度が低減することを確認した。非連続処理の場合に搬送・保管中のウェハ表面に吸着する成分を、大気圧質量分析計を用いた昇温脱離法で解析した。その結果、プラスチック製ウェハカセットケースからの脱ガスである有機物がpolySi成膜時に脱離せず、酸化膜とpolySi界面に残留し、これが欠陥密度増加を引き起こすと考えられる。