著者
伊藤 京子 古田 真也 上東 大祐 石井 裕剛 下田 宏 大林 史明 谷口 和宏
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.235-244, 2019-05-25 (Released:2019-05-25)
参考文献数
24
被引用文献数
1

In order to improve intellectual concentration, few studies have verified the effect of indoor airflow among the thermal environment conditions, and the differences in effects have not been studied based on the season. In this study, an experiment was conducted to investigate the influence of a room airflow in winter on intellectual concentration. As a result, no significant difference of intellectual concentration was found between a condition with airflows and a condition without airflows. The thermal sensation vote showed that the airflows caused the participants to feel colder and it is the same as the results of an experiment in summer, although the intellectual concentration was not improved in winter. In addition, covariance structure analysis was carried out to analyze the effects for intellectual concentration. The participants were classified into two groups. A group improved intellectual concentration by the airflows and another group did not improve it. The former group showed that the airflows caused the comfortable feeling of the room and the latter group showed the airflows caused the feeling of coldness. It was shown that different persons like different airflows from the results. One of our future challenges is to provide each person a controllable airflow.
著者
河合 秀紀 伊藤 明良 王 天舒 黒木 裕士
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual59, no.Abstract, pp.236, 2021 (Released:2021-10-17)

末梢神経損傷は運動機能障害を引き起こし生活の質を低下させる。損傷した末梢神経は自己再生能をもつが、再生速度は1日に1-2mmと遅く、神経再支配が遅延すると筋や神経筋接合部の変性が原因となって運動機能回復は妨げられる。そのため、損傷後の末梢神経再生を促進させる治療方法の開発が必要である。末梢神経損傷に対する治療として、運動介入や物理的刺激を用いた介入は不動による筋萎縮や関節拘縮を予防するだけでなく、末梢神経再生や運動機能回復を促進することが報告されている。物理的刺激の中でも、超音波刺激は非侵襲的で痛みを生じない介入方法として注目されており、骨折治療をはじめとして臨床においても用いられている。損傷した末梢神経に対しても超音波刺激が再生を促進すると動物実験において認められているが、その刺激条件や介入時期といった末梢神経再生に最適な介入方法は明らかになっていない。更なる末梢神経再生促進のためにも最適な超音波刺激介入方法を解明する必要がある。我々は坐骨神経挫滅損傷モデルラットを用いて超音波刺激の強度や介入開始時期の検証研究を行ってきた。本演題では、末梢神経再生に最適な超音波刺激方法の開発に向けた研究結果を紹介する。
著者
高砂 浩史 小野 元 伊藤 英道 大塩 恒太郎 田中 雄一郎
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.313-318, 2016 (Released:2016-09-23)
参考文献数
20
被引用文献数
6

【目的】水頭症を伴う脳室内血腫に対する治療として脳室ドレナージ(EVD)が一般的であるが,神経内視鏡を用いた脳室内血腫除去術の有用性と安全性をEVD 単独治療との比較により検討する.【方法】2010 年から2014 年までの水頭症を伴う脳室内出血28 例中,EVD 単独治療の9 例と神経内視鏡下血腫除去とEVD を行った9 例を対象とした.年齢,GCS,脳室内血腫量,EVD 留置期間,離床でのリハビリテーションまでの期間,在院日数,シャント術の必要性,合併症,退院時予後について検討した.【結果】EVD 留置期間と離床でのリハビリテーション導入までの期間は神経内視鏡治療群で有意に短かった.内視鏡治療はより重症例に適用されていたが,退院時の転帰に有意差がなかった.【結論】内視鏡下脳室内血腫除去術はEVD 留置期間を短縮もしくは不要にし,本格的なリハビリの導入期間も早まる.そこで神経学的予後の改善が期待される.
著者
米道 宏子 伊藤 麻衣 阿部 啓子 高橋 有希 中里 弥生 上遠野 雅美 平野 加奈子 阪本 靖介 福田 晃也 笠原 群生
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Supplement, pp.s75, 2021 (Released:2022-05-12)

チャイルド・ライフ・スペシャリスト(以下CLS)とは、医療現場において心理社会的サポートを提供する専門職である。アメリカ小児学会はChild Life Programの必要性を明確に提言している。今回、急性肝不全症例の患者サポートに関して必要性・重要性をCLSの視点から報告する。当院へ紹介される小児急性肝不全の患児は転院後にICU管理となる重症症例がほとんどである。通常の移植患者と異なり小児劇症肝炎症例は鎮静管理下・人工呼吸・血漿交換治療を継続し、治療によって自己肝が回復しない場合は緊急肝移植手術が必要となる。そのため移植術前に患児への十分な説明が行えず、患児の理解や受容が欠けた状況の中で患児は術後に覚醒するため、医療的トラウマのリスクが高まる。これらの要因が、長期管理における患児の病識の欠落、内服コンプライアンスの低下の原因となると考えられる。当院の急性肝不全患者に対し、CLSは主に①ティーチング、②プリパレーション/ディストラクション、③治癒的遊び、④復学支援を行う役割を担い、病状や手術への理解促進・医療環境への適応・治療に対する患児の協力・ご両親の治療への理解・積極的介入を引き出すことに成功している。小児急性肝不全以外にも緊急で移植を行わなければならない状況は多い。しかし日本ではCLSの数や認知度が不十分な為、今後、患児と家族へのサービスの影響や効果を識別する研究を行いCLSの重要性を啓発してゆく必要がある。
著者
伊藤 実桜 胡 楚羚 伊藤 貴之
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第300回研究会講演予稿 (ISSN:02853957)
巻号頁・発行日
pp.227-229, 2022 (Released:2023-03-31)

楽曲の印象はメロディ・ジャンル・編成・録音状態など多様な要因が影響する.特に商業音楽では楽曲を売るためのコンセプトが先行して制作されることが多く,メロディ以上に伴奏の印象が大きな影響を及ぼすことが多いと考えられる.この仮説にもとづいて本報告では,同一楽曲の同一歌唱者による音源を対象として,伴奏だけを多様なジャンルに差し替えた状態で印象評価を実施し,どのように印象が変化するかを観察した.本報告では音源制作の過程を紹介し,印象評価結果を紹介する.
著者
松島 憲一 伊藤 卓也 北村 和也 根本 和洋 南 峰夫
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.391-399, 2022 (Released:2022-12-31)
参考文献数
34

日本産在来トウガラシ52品種を用いてRAPD法により多型解析を行いその類縁関係を解析した.その結果に基づくUPGMA法による系統樹ではI~Vの5つのクラスターに分類することができ,そのうちのクラスターIVは2つのサブクラスターに分けることができた.クラスターIおよびIIは京都の伏見系4品種と石川県の ‘剣崎なんばん’,クラスターIIIは上向き着果の香辛料用品種,クラスターIVのサブクラスターIV-aは観賞用開発良品種および果実色に特徴を有する品種で構成されたが,最大の品種数によって構成されたサブクラスターIV-bは雑多な品種群が混合して構成された.残るクラスターVはベル・ブロッキー型の大果品種によって構成された.以上の結果,大まかな日本の在来品種の類縁関係や遺伝的関係が明らかになり,その一部は文献などの史実と一致した.
著者
伊藤 美紀子 坂上 元祥 加藤 陽二 田中 更沙
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

透析患者では低栄養によるサルコペニア・フレイルの発症率が高い。その要因として高リン血症による心血管疾患を予防するためのリン摂取制限がある。リン摂取制限はたんぱく質の摂取不足につながる。マグネシウムは石灰化を抑制する。そのためマグネシウムの摂取は透析患者の血管石灰化と低栄養を抑制できる可能性がある。本研究では動物モデルを用いて、食事中のリン/マグネシウム比が血管石灰化と筋肉量に与える影響を明らかにする。さらに透析患者の食事調査を行い、リン/マグネシウム比と低栄養との関連を解析する。これらの研究結果にもとづいて栄養療法を開発する。
著者
伊藤 毅志
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.641-646, 2008-06-15
著者
竹本 淳史 伊藤 寿茂
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.57-62, 2023-07-11 (Released:2023-07-11)
参考文献数
15

2022 年7 月23 日に神奈川県相模原市中央区の水田周辺においてヌマガエルFejerverya kawamurai の幼体を採集した.ヌマガエルは関東地方において国内外来種となるが,これが相模川流域における本種の初記録となる.
著者
山内 厚志 寺田 和憲 伊藤 昭
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.240, 2011 (Released:2012-02-15)

単純なデバイスで実現可能な人工物(ロボット等)の感情表出として,発色の色相と,輝度の時間的変化に関するパラメータ(点滅周期と点滅波形)の 3要素により感情を表出する手法を提案した.この手法の有効性を直感的に伝えるために,作成したロボットと参加者がインタラクションするデモを行う.インタラクションでは,参加者の行動に応じてロボットの感情が変化するという想定で,感情の変化を発色や身体動作によって表出する.
著者
伊藤 理廣
出版者
日本生殖免疫学会
雑誌
Reproductive Immunology and Biology (ISSN:1881607X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1+2, pp.1-11, 2011 (Released:2012-03-28)
参考文献数
39

最近、不妊症や反復着床不全の患者に対してスクリーニング的に抗リン脂質抗体を測定する施設が散見されるが、その意義について検証した。凝固第XII因子、抗フォスファチジールエタノールアミン抗体 (aPE抗体)、抗カルジオリピンβ2GPI抗体とループスアンチコアグラントの測定を施行した。不妊症の中にも凝固第XII因子欠乏症とaPE抗体陽性例が不育症の1/2程度の頻度で存在した。不妊症や体外受精の反復着床不成功の原因として、抗リン脂質抗体やthrombophiliaを取り上げるか否かは、さまざまな意見があり、エビデンスをあきらかにできていない。抗リン脂質抗体やthrombophiliaがあるから、即ヘパリン使用とは推奨できない。但しこれらの患者は卵巣過剰刺激症候群 (OHSS) の兆候がある際は可能な限りの回避策をとり、OHSS症状が消失するまでは、抗凝固療法を続けるべきであろう。それ以外の場合は現時点で抗凝固療法を必要とするエビデンスはまだ不十分である。
著者
春田 佳代 山幡 朗子 篠田 かおる 伊藤 眞由美 春日井 邦夫 鈴村 初子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.5_71-5_75, 2011-12-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
17

浣腸による直腸損傷事例は,年間数例報告されている。一要因として,カテーテル挿入の長さが考えられるが,基礎看護技術の書籍に記載されている長さはさまざまである。そこで,下部消化管造影の画像を用いて,浣腸時の体位である左側臥位での成人の生体による肛門縁から直腸前壁までの長さを調査し,安全なカテーテル挿入の長さを検討した。 その結果,性別による肛門管直上部から直腸前壁までの長さに有意な差は認められないため,性別によりカテーテル挿入の長さを変える必要性はないと考えられた。また,年齢が高くなるにつれて,肛門管直上部から直腸前壁の長さが長くなる傾向がみられたが,年齢層別の最小値と最大値に大きな差がみられた。したがって,左側臥位でカテーテル挿入時に直腸前壁に損傷を与えない安全な長さは,測定最小値の2.9cmに解剖学的肛門管2.5cmを加えた5.4cm以下であり,基礎看護技術の書籍では5.0cm以下とすることが安全である,と考えられた。
著者
矢部 広樹 塚本 美月 竹内 詩保美 伊藤 沙夜香 大見 関 塩﨑 みどり
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.605-609, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
19
被引用文献数
3

〔目的〕大腸がん患者の周術期における体重減少に影響する要因を検討した.〔対象と方法〕大腸がん患者57例を対象に,手術前と術後10日目の体重,Short Physical Performance Battery(SPPB),6分間歩行距離,握力,骨格筋指数,体脂肪率を,手術後の離床経過として端座位獲得日,病棟歩行開始日を,栄養摂取状況として術後10日間における食事開始日,総エネルギー摂取量,エネルギー充足率を測定し,体重減少率との相関関係を検討した.〔結果〕体重減少率は骨格筋指数(r=-0.62)と体脂肪率(r=0.33)の変化量と有意な相関関係を認めた.その他の項目とは有意な相関関係を認めなかった.〔結語〕大腸がん患者において,体重減少の防止には骨格筋の維持と脂肪の燃焼が関連する可能性が示された.
著者
上田 優輔 廣瀬 雅哉 伊藤 拓馬 安本 晃司 川口 浩実 宗重 彰 中島 正敬
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.593-597, 2016 (Released:2016-07-19)
参考文献数
24

妊娠中のuterine synechiaは,一般的に子宮腔を横切る索状構造物を同定することにより診断に至る.今回,妊娠中期に内子宮口付近に現れた嚢胞性病変を契機としてuterine synechiaと診断した症例を経験した.26歳の初産婦が,妊娠26週0日に初めて,経腟超音波検査上,68×44 mmの嚢胞性病変を内子宮口付近に認めた.妊娠30週5日のmagnetic resonance imagingで頭尾側が丸く中央がくびれた,ひょうたん型の羊水腔を認めた.上部の羊水腔に横位となった胎児を認め,子宮体部正中を前後に交通する索状構造物を認めた.上部の羊水腔から11×10×10 cmの球状の羊水腔が内子宮口に向かって膨隆していた.妊娠36週6日に臍帯が下部の羊水腔に下垂しているのが観察されたため,妊娠37週3日に選択的帝王切開術を施行し,3,062 gの女児をアプガースコア9/9(1分/5分)で娩出し,索状構造物も同時に摘出した.経腟超音波で内子宮口付近の嚢胞性病変を同定することは,uterine synechiaの診断の契機になり,これを正確に診断することにより妊娠中の合併症を防止することにつながるものと考えられた.
著者
伊藤 真人
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.91-96, 2019 (Released:2020-06-10)
参考文献数
9

小児の閉塞性睡眠時無呼吸症(obstructive sleep apnea:OSA)に対する口蓋扁桃摘出術+アデノイド切除術(Adeno-tonsillectomy)は,有効な治療法として広く施行されている.しかし,従来法の手術には術後出血のリスクや,術後の強い痛みによる食事摂取の遅れ,不十分な切除による症状の再発などの問題が指摘されてきた.特に術後出血は時に生命予後にも関わる場合もあることから,Adeno-tonsillectomyは外保連難易度Bランクの基本的な手術ではあるが,患者・術者ともにストレスのかかる手術でもある. 近年,マイクロデブリッターシステムなどのパワーデバイスを用いた口蓋扁桃・アデノイド切除術(Powered Intracapsular Tonsillotomy and Adenoidectomy:PITA)により,従来法よりも安全確実に同等の有効性が得られることがわかってきた.本稿では,我々が行なっているPITA手術の実際を解説するとともに,その有効性と安全性,さらには問題点と今後の課題について述べる.
著者
上原 浩一 伊藤 元己 渡辺 洋一
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究はアザミ属植物について次世代型DNAシークエンサーを用いた遺伝解析と形態形質の計測をおこない、現在適用されている分類の妥当性を検討した。アザミ属の系統は、葉緑体ゲノムのシークエンス等を進めた結果、従来の節・亜節の区分とは一致せず、日本産のアザミ属は北海道の系統と、本州以南に分布する系統の2つに大別されることが示された。また、近縁種間で、形態形質を比較解析した結果、種の識別ができない例が見られたほか、カガノアザミ亜節の2倍体種についてRAD-seq法による解析では、集団内の遺伝的変異が大きく、種間変異には有意性が認められなかった。この結果からアザミ属全体の分類の再検討が必要と考えられた。