著者
西岡 和昭 伊藤 正裕 林 省吾 平井 宗一 福沢 嘉孝 大滝 純司
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.199-204, 2012-06-25 (Released:2014-01-09)
参考文献数
8

献体標本を用いて各部位の名称や機能を問う実習試験と一般的な解剖学的知識を問う筆記試験の正答率を比較して解析した.1)実習試験の正答率と筆記試験の正答率との相関は弱かった.2)実習試験では,通常の筆記試験では測れない能力を評価している可能性が示唆された.3)人体の構造の多様性・個体差の要素が含まれる献体を用いた実習試験と解剖学知識を問う筆記試験の併用は,学生を評価する上で有用であることが推測された.
著者
小林 正秀 伊藤 進一郎 野崎 愛
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース 第114回 日本林学会大会
巻号頁・発行日
pp.60, 2003 (Released:2003-03-31)

カシノナガキクイムシ(以下カシナガ)の穿入に伴うナラ類集団枯死被害について、カシナガの天敵に関する報告はほとんどない。筆者らは、カシナガが繁殖に失敗している坑道内で、ある種の線虫が増殖していることを発見した。そこで、この線虫がカシナガの密度抑制要因、つまり天敵である可能性を明らかにするための予備実験を行った。被害発生年度が異なる4林分で、健全木、穿入生存木、穿入枯死木から線虫を分離したところ、被害発生初期の林分からは線虫がほとんど分離できなかった。また、有意差はなかったが、健全木と穿入生存木からの線虫の分離数は少なく、穿入枯死木からの分離数が多かった。この線虫は、カシナガ生存成虫から分離できたが、死亡個体や他のキクイムシからは分離できなかった。また、カシナガ成虫を解剖したところ、線虫は鞘翅裏側に存在することが判った。線虫はカシナガ孔道内から分離した酵母でよく増殖した。線虫のカシナガ繁殖に及ぼす影響を調べるため、増殖させた線虫を穿入枯死木と健全木に接種した。その結果、枯死木からは再分離されたが健全木からは再分離されなかった。また、再分離数が多かった木ではカシナガの死亡率が高い傾向が見られた。以上のことから、この線虫はカシナガと共に移動し、カシナガが繁殖した坑道内で、カシナガの餌と考えられる酵母を搾取して間接的にカシナガの密度を低下させることが示唆された。
著者
伊藤 香織
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1268-1275, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
29
被引用文献数
12 2

質の高い都市環境はシビックプライドを高めると言われているが,その仕組みは明らかになっていない.また,日本の都市に対するシビックプライドのありようは,イギリスをはじめとしてシビックプライドが重視されてきた地域とは異なる部分があると考えられる.そこで,本研究では,シビックプライドの多面性,特に日本の都市・市民のシビックプライドの構成を明らかにすることを第一の目的とし,都市環境の評価とシビックプライドとの関係を明らかにすることを第二の目的とする.まず,シビックプライドの概念を整理してシビックプライド尺度を作成し,事例として今治市の都市環境に関する市民アンケート調査を行い,シビックプライドの構成及び,都市環境の評価がシビックプライドに及ぼす影響構造を明らかにする.分析の結果,今治市の事例では,シビックプライドには「アイデンティティ」「参画」「愛着」「持続願望」の因子があることがわかった.また,中心市街地の評価が参画と持続願望に影響し,高評価有名地の評価が愛着に影響する他,回答者属性では居住年数がアイデンティティと愛着に影響していることなどがわかった.
著者
澤 隆雄 青木 太郎 大澤 弘敬 井上 朝哉 田原 順一郎 伊藤 和彰 吉田 弘 石橋 正二郎 渡辺 佳孝
出版者
特定非営利活動法人 海洋音響学会
雑誌
海洋音響学会誌 (ISSN:09165835)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.26-32, 2009 (Released:2009-08-18)
参考文献数
7
被引用文献数
1

The Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology is developing an automatic bottom inspection and sampling mobile (ABISMO), which is a full-depth rating ROV (Remotely Operated Vehicle) for reaching to the deepest sea bottom, observing it with a camera and sampling the bottom layer. ABISMO consists of a launcher and a vehicle. The launcher is a kind of depressor with many observation devices, and the vehicle is an underwater crawler to move on the sea bottom and inspect it. The mother ship can determine the vehicle's position directly with the ultra-deepwater transponder. The transponder is small and lightweight, with a release system, and it operates at about a 14-kHz frequency. The frequency is higher than that of a conventional full-depth transponder, and it features greater navigation accuracy in shallow water, where many ROV do most of their work. These advantages are emphasized when the transponder is loaded onto an ultra-deepwater vehicle, which needs to be small and lightweight.
著者
伊藤 正人 小林 奈津子 佐伯 大輔
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.122-140, 2002-03-30 (Released:2017-06-28)

本研究は、並立連鎖スケジュールにもとづく同時選択手続きを用いた3つの実験を通して、ラットにおける強化量の選択行動に及ぼす絶対強化量、体重レベル、経済環境の効果を、選択率と需要分析における価格弾力性を測度として検討した。強化量条件としては、相対強化量を1:3として、絶対強化量(1個45mgの餌ペレット数)を1個:3個から4個:12個の範囲の4条件設け、給餌が実験セッション内に限られる封鎖経済環境と実験セッション外給餌のある開放経済環境の下で各被験体に選択させた。また、セッション時間やセッション外給餌量により体重レベルを実験間で操作した。実験lと3では、体重を自由摂食時安定体重の約80%に維持し、実験2では、体重を自由摂食時安定体重の約95%に維持した。その結果、絶対強化量条件間を比べると、開放経済環境における1個:3個条件よりも4個:12個条件の方が高いことが認められた。選択期と結果受容期の反応に需要分析を適用すると、いずれの体重レベルにおいても、開放経済環境において弾力性の高いことが示された。これらの結果は、経済環境の相違が体重レベルやセッション時間ではなく、セッション外給餌の有無に依存することを示唆している。
著者
南條 道夫 金井 俊治 伊藤 良雅 谷内 研太郎
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.382-388, 1984-07-30 (Released:2008-07-23)
参考文献数
25

Bauxite was chlorinated in molten salts using chlorine gas and carbon to produce Alcoa Electrolyte such as AlCl3-NaCl-KCl melt. Chlorine gas was mildly introduced at 820°C into the suspension of bauxite and carbon powder in NaCl-KCl eutectics. AlCl3-FeCl3-NaCl-KCl melts are obtained without significant loss of AlCl3, carbon and chlorine gas. Hematite in bauxite dissolves in molten NaCl-KCl salt. Chlorination of alumina is enhanced by ferric chloride. Selective chlorination of bauxite is performed with hydrogen chloride gas and carbon in NaCl-KCl salt bath to give FeCl2 not FeCl3. The selective chlorination to remove hematite as FeCl3 is also achieved when a large amount of bauxite is introduced in a small amount of molten salt.
著者
石川 匡子 内田 詩乃 佐藤 春香 伊藤 俊彦 渡辺 隆幸
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.105, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】生活習慣病のため,減塩が推奨されており,おいしさを損なわない減塩には,うま味や風味の付与が有効だと言われている。日本の伝統調味料である魚醤はその両方を有しており,減塩に効果があるのではないかと考えた。しかし魚醤は魚種や製造法により,その特性は多種多様である。本研究では市販魚醤の成分分析,官能評価を行い,減塩に対する魚醤の効果について検討した。 【方法】市販魚醤33種を用い,塩分,アミノ酸,有機酸、グルコース測定を行った。香りをSD法により評価した。有機酸及びアミノ酸組成に特徴的な5種類の魚醤を塩分濃度0.8%に調整し,一対比較法にて官能評価を行った。また,醤油ベースのお吸い物と魚醤を添加したものを2点比較法にて評価し,調理への利用についても検討した。 【結果】各魚醤の製法は,魚介類と塩のみを原料としたもの,これらに麹や酵素を加えたものの2種に大別された。魚介類と塩のみで製造された魚醤の塩分濃度は,25%以上と高かった。一方麹や酵素を添加した魚醤は20%未満と低かった。アミノ酸はいずれの魚醤もAsp,Glu,Gly,Ala,Leu,Lysが多く含まれていたが,麹添加魚醤のGlu量はわずかに少ない傾向がみられた。グルコース濃度は麹添加魚醤で高かった。香りは魚介類と食塩のみで製造したものは,製品毎に独特の香りが感じられたが,麹添加魚醤は麹由来の甘い香りであった。官能評価の結果、GluやAlaが多い魚醤はうま味や甘味が強く,乳酸が多い魚醤は酸味が強く感じられた。一方,乳酸量が多くてもGluやAlaが多い魚醤では酸味が弱く感じられた。うま味や甘味が強い魚醤はお吸い物に添加した場合,好ましく感じられる傾向にあり,魚醤の添加量を工夫することで,減塩調味料として料理への利用が期待できる。
著者
齋藤 正文 花立 麻衣子 伊藤 英恵
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00177, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
10

周防灘は瀬戸内海における最も広い海域であり,対岸距離が長く,入り組んだ湾形状が多く全体的には南向きの海岸であるため,台風時における高潮の影響を受けやすい.本研究では,周防灘に影響を与えた過去の台風と高潮による潮位偏差を整理し,大きな被害をもたらした高潮について,経験的台風モデルと非線形長波モデルによる再現計算を実施した.さらにT9918等の実際の台風経路を基本に平行移動による台風コースを幾通りも設定し,最大規模の高潮の推算を行った.周防灘沿岸方向の潮位偏差の発達と台風経路との傾向が明らかとなり,観測値の潮位偏差を元に最大規模の確率年についても検討した.
著者
松澤 明黎 井澤 康祐 伊藤 慎也 長谷川 雄也 水口 淳 佐藤 亜紀 城 由起子 松原 貴子
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0720, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】我々は痛いときに痛み部位に手を当て,軽く擦ったり圧迫したりすることで痛みを和らげようとする。このような皮膚への軽微な触刺激(touch)による鎮痛効果については,従来,gate-control theory(Melzack,Wall 1965)による仮説が唱えられてきたが,推論の域を出ず解明には至っていない。近年,ヒトにおいてはtouchによる熱痛覚感受性低下が報告され(Mancini 2015),また,動物実験においてもtouchが内因性オピオイドを介してC-fiberなど侵害受容ニューロンへの特異的な抑制作用を惹起する可能性が示されおり(Watanabe 2015),その鎮痛機序に中枢性疼痛修飾系の関与が推察される。そこで本研究は,ヒトを対象にtouchによる鎮痛効果を,痛覚感受性に加え中枢性疼痛修飾系の機能指標であるtemporal summation(TS)を用い調べた。【方法】対象は健常成人16名(男性8名,女性8名,年齢21.0±1.1歳)とした。Touchは,上肢への軽擦(T-touch)および自覚しない圧(P-touch:圧覚閾値の90%強度,平均3.1±1.6N)と電気(E-touch:1.0Hz,平均2.5mA)刺激の3条件とした。評価は熱痛閾値,圧痛閾値および熱痛・圧痛のTSとし,各touch前・中に測定した。TSは,熱痛閾値+3℃の温度ならびに圧痛閾値の125%の圧力で刺激を10回加え,各疼痛強度をvisual analogue scale(VAS)で測定し,1~10回目までのVAS値の傾き(熱痛TS,圧痛TS)を測定値とした。統計学的解析はWilcoxonの符号付き順位検定を用い,有意水準はBonferroniの補正により1.6%未満とした。【結果】touch前と比べ熱・圧痛閾値はともにT-touchとP-touchにより有意に上昇し,熱痛TSはT-touchとE-touch,圧痛TSはT-touchにて有意に減衰した。【結論】今回,touchにより,これまでに報告されている熱痛覚感受性だけでなく圧痛覚感受性も低下し,さらに両TSの減衰を認めた。TSは近年広く用いられている痛みの定量評価指標の一つであり,TSの減衰は上行性疼痛伝達系の感作抑制や内因性オピオイドを介した鎮痛効果を反映していると考えられる。一方,動物実験においてtouchは低閾値Aδ,C-fiberを興奮させ,無髄C-fiberの求心性入力によって引き起こされる体性心臓交感神経性C-反射を抑制することが示されており,さらにこの効果はオピオイドの拮抗薬であるナロキソン投与により減弱することが報告されている(Watanabe 2015)。これらのことから,touchは内因性オピオイドなどが関与する中枢性疼痛修飾系を作動させ,表在性の熱痛覚感受性だけでなく深部組織の痛覚を反映する圧痛覚感受性までも低下させることで疼痛を緩和する可能性が示唆された。本研究の限界点として,touch条件による鎮痛効果の違いやtouchによる広汎な鎮痛効果については明らかでなく,臨床応用に向けて更なる検討は必要である。
著者
宮本 礼子 藤本 泰成 井上 薫 伊藤 祐子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.289-298, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
22

本研究は右利き者の筆順に着目した際の左右手の運筆機能の相違を解明することを目的とした.20名の健常右利き男女を対象に,日本語の字体的特徴を含む図形4種に筆順条件を付加した課題を実施した.収集したデータは 図形を要素に分解し,描画時間・筆圧・仰角・方位角・筆跡躍度・筆跡一致率に関する左右手データを比較した.結果,多くの要素で右手での筆圧が高く,仰角と方位角は要素毎に特徴的な左右差を示した.一方筆跡躍度と筆跡一致率に左右の有意差はなかった.今回筆順条件を加えたことで左右手の運筆機能の違いを示すことができた.非利き手では筆順の影響に伴う不自然な運動方向となり,筆圧がかかりにくいことが明らかとなった.
著者
木田 知宏 伊藤 陸 楠 貴光 大沼 俊博 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.76-82, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
4

One-sided lower limb raising motion during sitting is carried out in various daily living activities. In clinical practice, we often encounter patients experiencing instability during maintenance of the sitting posture. When such patients lift the lower limb of one side, the balance of the sitting posture is disturbed, leading to instability at the back and the side, necessitating assistance for basic daily chores in some cases. Physiotherapy training includes practice exercises for raising the legs to various heights for patients who find it difficult to raise the lower limb of one side in the sitting position. We hypothesized that movement of the spine, the pelvis, and a change in the pressure center of the seating surface accompany lifting of the lower limbs, and analyzed the spinal, pelvic, and limb positions using two-dimensional image analysis in physical movement, and the center of pressure displacement responses to changes in the height of unilateral lower limb elevation in the sitting position. The objective was to examine the characteristics of COP displacement. In the 30% elevation task, displacement of the right and left COP locus was observed in response to lower limb elevation, and with regard to the longitudinal COP locus, there was a tendency of the COP locus to displace backward after the COP shifted forward. In the 90% elevation task, COP displacement to the support side and the rear side was observed. Considering these facts, a pattern of characteristic COP displacement corresponding to the change in height of the leg lifting was seen. In healthy volunteers, it has been observed that the supporting side hip joint is always held in internal rotation, and that the load is applied at the sole so that efficient operation with less COP displacement occurs. In cases of instability in one side lower limb elevation, it has been suggested that evaluation of the alignment of the supporting side hip joint is as important as that of the elevated lower limb and the trunk.
著者
伊藤 善典
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.117-129, 2021-03-30 (Released:2023-03-30)
参考文献数
21

本稿では,EU28か国における社会支出の変動とその要因を分析し,それを踏まえ,今後の社会支出と福祉国家の方向性を考察した。福祉国家グループの個々の社会支出は,経済社会の変動に対応する必要がある一方,価値,規範意識や制度といった各国固有の構造の下に置かれるとともに,政府債務危機後,EUにより厳しい財政規律が課されたため,それらの制約の下で,社会支出の収斂への動きは弱まり,各グループの特徴を維持又は強化する方向に進んでいる。社会支出の側面から見たEUの福祉国家の形は,当面,①新しい社会的リスクに対応して現物給付を重視する社会民主主義型,②伝統的な社会的リスクに対応する現金給付中心の保守主義型(南欧),自由主義型及び新規加盟国,③徐々に新しい社会的リスクへの対応を進めている保守主義型という3つのクラブにまとまっていくのではないかと予想される。
著者
辻田 純三 伊藤 清臣 黛 誠 田中 信雄 堀 清記 小石 秀夫
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.2-11, 1980 (Released:2011-10-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

パプアニューギニア高地人の成人男子18名,日本人成人男子20名の身体計測およびパプアニューギニア現地での戸外および家屋内の環境温度の測定を行なって次の結果を得た。1)パプアニューギニア人の身長および体重の平均値は夫々,158.4cm,61.3kgで日本人の夫々の平均値,171.6cm,68.2kgより有意に小さかった。しかし,パプアニューギニア人のRohrer's indexおよびBrugsch's indexの平均値は逆に日本人の平均値より大きかった。2)パプアニューギニア人の胸囲,腹囲,上腕囲,大腿囲,下腿囲の平均値は,日本人の平均値よりやや小さいかその差はわずかであった。パプアニューギニア人の前腕囲の平均値は日本人の平均値より大きかった。パプアニューギニア人の上肢長の平均値は日本人の平均値よりわずかに小さかったが,手の長さ,下肢長,足の長さはパプアニューギニア人の方が日本人より長く,パプアニューギニア人の四肢長と身長との比は日本人の値より有意差をもって大きかった。3)パプアニューギニア人の皮下脂肪厚は日本人のそれより有意に薄かった。又,皮下脂肪厚より算出された体脂肪含有率は日本人のそれより有意に少なかった。4)パプアニューギニア人の足の形は,日本人と比べて足長に比し足巾が長く,足底面積が広く,親指と小指が長軸に対して扇形に開いており,山道の歩行に適応して変化していた。5)パプアニューギニア人のBushhouseは日本製木造家屋,スチール製建物に比べて日中の室内温が低く,環境温度の観点よりみると秀れた家である。6)パプアニューギニア人の身体的特徴は,彼等が日常生活において毎日山歩きの激運動を行なっていること,摂取カロリー量が少ないこと,および熱帯高山気候の影響によって形成されたものと思われる。
著者
佐藤 稔久 長谷川 国大 Wu Yanbin 木原 健 中野 公彦 楊 波 合田 美子 戸田 真志 松葉 龍一 新目 真紀 半田 純子 伊藤 誠 周 慧萍
出版者
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
雑誌
SIP成果報告書 (ISSN:27584089)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.103-107, 2021 (Released:2023-03-31)
参考文献数
16

SIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)の“走行環境条件の逸脱や自動運転システムの機能低下における適切な運転引継のためのHMI等に関する研究開発”と“運転者や歩行者等が習得すべき知識とその効果的な教育方法に関する研究開発”の取り組みを概説する.前者では,自動運転から手動運転への運転交代前におけるドライバーの周辺監視状態の評価指標の検討や,HMIによるドライバーのシステム理解への効果の検討等に取り組んでいる.後者では,主な研究目的に基づき,(1)個人特性を踏まえた教育方法の提案,(2)動機づけ手法の提案,(3)部分教育を意識したモジュール化可能な完全教育教材の開発の3つの研究テーマを設定し研究を行っている.また,試作した教材を用いて,自動運転に関する一般的な知識を事前に提供することの効果についてドライビングシミュレータを用いた検証を行った.これらの成果をもとに,日独連携として自動運転と教育についてのワークショップを担当した.
著者
伊藤 陸 貝尻 望 藤本 将志 大沼 俊博 渡邊 裕文 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.49-52, 2015 (Released:2016-01-06)
参考文献数
5
被引用文献数
1

To analyze walking turns, the influence the hip joint external rotation angle of the stepping limb in the standing position has on electromyographic activities of the upper and lower gluteus maximus muscle fibers was examined. The subjects were 10 healthy males with a mean age of 24.2. The standing position was defined as the position in which subjects stepped forward from a standing position. The hip joint external rotation angle of the starting position was changed, and the electromyographic activities of the upper and lower gluteus maximus muscle fibers were measured at each angle. The integrated electromyographic relative value of the upper gluteus maximus fiber significantly increased with the increase of the hip joint external rotation angle. The integrated electromyographic relative value of the lower gluteus maximus fiber also showed a tendency to increase. It is our opinion that the upper and lower gluteus maximus muscle fibers participate in the maintenance of the extension and external rotation of the support side hip through the actions of hip extension and external rotation. In addition, the support side hip performs adduction with increase in the angle of hip external rotation, indicating that the upper gluteus maximus fiber increases hip abduction to brake it.
著者
小俣 翔子 川上 陽子 下鳥 春奈 北林 紘 山崎 貴子 岩森 大 伊藤 直子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.55, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】加工食品には食品添加物として、無機リン化合物が使用されていることが多く、これらは有機リン化合物に比べ、消化吸収率がよいことが知られている。患者にとって、リンの過剰摂取は高リン血症を惹起するため、食品添加物の含有に留意する必要があるが、原材料表示からはリン含有の有無はわかりにくい。我々は、食パンの総リン量、水溶性リン(無機リンの含有が高い)及び不溶性リン(有機リンの含有が高い)量を調べた。【方法】 市販食パン及び透析患者用のタンパク質調整食パンを破砕後、水で懸濁し、遠心分離して水溶性画分と不溶性画分に分離した。これらの画分と無処理の食パンをそれぞれ灰化し、バナドモリブデン酸吸光光度法にてリン量を測定した。その後リンを用いている可能性の高い食品添加物(イーストフード・乳化剤)の有無でリン量を比較した。【結果】タンパク質調整食パンの総リン量と水溶性リン量は、市販食パンの平均に比べるとそれぞれ約54%、31%であった。市販食パンにおいて食品添加物の有無で総リン量を比較すると、有意差はみられなかったが、可溶性リン量は食品添加物含有食パンのほうが有意に多かった。また、可溶性リン、不溶性リンの推定吸収率をそれぞれ90%、50%として試算すると、食品添加物が添加されている食パンのほうが有意に多かった。【考察】市販食パンにおいてリン量には有意差はなかったものの、食品添加物としてイーストフード、乳化剤を含有している食パンでは推定吸収率が高いことが示唆され、腎臓病患者はこれらの含有には注意する必要があると考えられる。しかしパッケージには、いずれもリンの記載はなく、リン含有のわかる記載が望まれる。
著者
山上泰志 伊藤克亘
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.365-366, 2014-03-11

作曲を行う時、いきなり一曲を作り上げず、細かいメロディを思いつくたびに記録し、組み合わせてひとつの曲を作り上げる。メロディを記録する時、経験や知識があれば採譜や録音するのは容易だ。しかし初心者は採譜に時間がかかる上、楽譜の完成度も低い。また、録音した場合も、必要に応じて何度もメロディを聞き取ることになり余計な手間が掛かってしまう。これらは初心者が作曲を行う妨げとなっている。そこで本研究では、ギターの演奏動画を用いてユーザの個人差を考慮した楽譜を出力する自動採譜システムを開発した。本システムは認識部、採譜部の2つの項目からなる。認識部では、ギター演奏動画を用いることでバイモーダルな認識を、採譜部では、演奏ルールを用いることで認識部の誤検出の補正をそれぞれ行った。