著者
宗森 純 川津 美菜穂 伊藤 淳子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.560-571, 2021-02-15

インターネットの普及により,自国にいながらにして世界中の人とインターネットを通じてMMORPGを楽しむことができる.そこでは外国人とグループを組んで協力して楽しむ機会が増えている.しかし外国人とのコミュニケーションは言語が壁となりお互いの共通言語,たとえば英語などを理解していないとコミュニケーションをとることは難しい.そこで,定型文を含む絵文字のみで文章化してコミュニケーションをとる,チャットシステム「EMO-GコミュニケータII」を提案する.絵文字定型文を既存のゲームを参考に6つにジャンル分けしたところに特徴がある.遠隔地間で「EMO-GコミュニケータII」を用いて外国人とのゲーム内でのコミュニケーションの理解度を計算した結果,コミュニケーションの理解度は平均89.6%となり,チャットのうち絵文字定型文の使用率は73.7%であった.このことからゲームの展開を定型文である程度示すことが可能であることが示唆された.また,絵文字定型文によるコミュニケーションは,ゲームだけでなく定型文のコミュニケーションが多く含まれる対象では使用できる可能性が示唆される.
著者
伊藤 将司 森本 章倫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_101-67_I_108, 2011
被引用文献数
1

本研究は,参加型の社会資本整備より,市民主体の継続活動に展開する要因を明らかにするものである.既往研究及び事例調査から,人(参加者とつながり),意識(目標と信頼関係),環境(適正な合意形成の場)の3つの要因を仮定し,詳細の事例分析によって検証を行った.<br>その結果,参加型の社会資本整備より,市民主体の継続活動に展開する流れを明らかにするとともに,その過程において,継続活動において3つの要因の形成が重要であることが明らかとなった.また,3つの要因に課題が生じた場合においては,継続活動が停滞する場合があることも分かった.
著者
伊美 裕麻 伊藤 孝行 伊藤 孝紀 秀島 栄三
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.1996-2010, 2015-10-15

オンライン議論に関する研究分野では,多様な視点を持った大規模な人数による意見集約が重要な研究課題となってきている.たとえば,都市開発での市民参画の分野において,強い民主主義や効率的な都市計画の実現を目指し,市民から直接的により多くの意見を集める議論システムの実現が求められている.一方で,集合知の観点から,WikipediaやLinuxのような大規模な参加を前提としたオープンな協働活動やオープンソースソフトウェア開発活動では,一部のマネジメント層による管理や整理がきわめて重要であることが指摘されている.オンライン議論においても,自然に集約が進むわけではなく,マネジメント層が必要であるといえる.本論文で提案するシステムCOLLAGREEでは,大規模なオンライン議論におけるマネジメント層の役割として,人間のファシリテータを導入し,適切な議論プロセスの進行を導く.社会実験として,名古屋市次期総合計画に関するインターネット版タウンミーティングにCOLLAGREEを導入した.本社会実験では,2週間で,264名の登録者,1,151件の意見,18,466件の閲覧を得ることができた.実験結果より以下の4つの知見を得た.(1)ファリシテーションの有用性が確認できた.また,ファシリテーション支援機能とファシリテータによる(2)炎上のような不適切な状態の回避と,(3)議論における発散と集約の適切な進行ができた.さらに,インターネット版のタウンミーティングとして,(4)若い年齢層の参加者を集めることができた.
著者
佐藤 光政 伊藤 一幸 宇佐美 洋三 小泉 博
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.377-384, 1990

日本国内における除草剤に抵抗性を示す雑草のバイオタイプの出現の状況を把握するため, 1989年3月にアンケート調査を実施した。<br>1. ハルジオン, ヒメムカシヨモギ, オオアレチノギク, ヒメジョオン, オニノゲシ, スズメノカタビラ, ノボロギク, オニタビラコ, イヌガラシの9種およびノエビ類において除草剤抵抗性のバイオタイプが見られた。比較的多くの地点で抵抗性バイオタイプが見られたのはハルジオン, ヒメムカシヨモギ, オオアレチノギクの3種で, ハルジオンの除草剤抵抗性バイオタイプは関東地方を中心に出現し, ヒメムカシヨモギとオオアレチノギクの抵抗性バイオタイプは関東地方から九州地方に至る比較的広い地域に出現した。<br>2. 除草剤抵抗性バイオタイプが見られるようになった時期は,「5年以上前から」または「2~3年前から」が多かった。<br>3. 除草剤抵抗性バイオタイプは果樹園, 桑・茶園, 路傍, 畑地および放棄地などで多く見られた。それらの場所で使用している除草剤はパラコートが多かった。
著者
木村 一裕 清水 浩志郎 伊藤 誉志広 呉 聲欣
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.17, pp.973-980, 2000
被引用文献数
1

車いすの走行環境に関して, 縦断勾配や横断勾配, 段差など, 個別の課題に関する研究は行われているが, これらの多様な交通抵抗が連なっている実際の歩行空間に関する評価は行われていない。本研究では, 実際のルートにおいて車いす走行実験を行うことで, 車いす利用者にとって, 走行する時に縦断勾配などの物理的要因だけではなく, 道路横断などの心理的要因もかなり負担を感じていることを明らかにすることができた。また段差や縦断勾配, 横断勾配はその値が大きくなるにつれて負担ウェイトが指数的に増加することが明らかとなった。
著者
吉松 藤子 下村 道子 福永 淑子 伊藤 汎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.22-27, 1992-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12

“Geppei” is a traditional Chinese food. A way of preparing “Geppei” is as follows: First of all, the mixture of sugar, water and vinegar is boiled until the sugar content becomes 67%. This sugar solution is used after aging for several weeks. Then, the sugar solution, lard, wheat flour, and “kan-sui”, which is a Chinese special alkaline solution, are kneaded to a dough. Bean paste wrapped in the dough is baked into “Geppei”. A characteristic of the crust of “Geppei” is that it retains its soft texture during several weeks storage. In this study, the effects of the vinegar in the sugar solution on the physical properties of the crust were studied.The crust made of the sugar solution with the vinegar was softer than the crust without vinegar. Invert sugar was produced markedly in the sugar solution with the vinegar during boiling or aging. The crusts were made using the sugar solution which contains sucrose, glucose and fructose in various ratio, and the breaking strength was measured by a Rheoner. The more the glucose and fructose was included, the smaller the breaking strength and the softer the crust was. This is thought to be due to high hygroscopic property of invert sugar. In addition, the effect of “kan-sui” was to make the crust a desirable brown color.
著者
加藤 信介 伊藤 一秀 村上 周三
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.78, pp.45-56, 2000-07-25 (Released:2017-09-05)
参考文献数
9

空気調和・衛生工学会で提案されたHASS 102換気規準では,室内の換気効率(=排気濃度で無次元化された居住域平均濃度,規準化居住域濃度)を加味した換気設計を行うことを推奨している.本研究では,各種換気システムを採用したオフィス空間を対象として,空調吹出空気に含まれるReturn Air(再循環空気)の割合を変化させた場合のこの室内の換気効率,すなわち規準化居住域濃度の構造をVisitation FrequencyおよびPurging Flow Rateの指標を用いて詳細に解析する.本稿においては,筆者らが提案・導入している換気効率指標(Visitation FrequencyおよびPurging Flow Rate)とHASS 102換気規準で定義されている規準化居住域濃度の関係を,室内における循環流とReturn Air(再循環空気,即ち室全体に対する循環流)の相似性から考察する.更に具体的解析事例として一般的オフィス空間を対象として行ったReturn Air(再循環空気)が変化した場合の規準化居住域濃度,Visitation FrequencyおよびPurging Flow Rateの解析結果を示し,3種の異なる換気システムの評価を行うことで,それら換気効率指標の有用性を確認する.
著者
プロハースカ ズデネク 伊藤 崇之 岡本 敏雄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
vol.1998, pp.283-284, 1998

In this paper we present a new method for automated warping of images. Proposed method is based on variational approach, and the deformation mapping is obtained as a solution which minimizes squared sum of pixelwise differences under smoothness constraints. We applied the proposed method to real images with encouraging results.
著者
伊藤 正子 舟島 なをみ 野本 百合子 鈴木 美和
出版者
日本看護教育学学会
雑誌
看護教育学研究 (ISSN:09176314)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.62-75, 2006

本研究の目的は、患者の安全保証に向け看護師が講じている対策と実践を明らかにし、その特徴を考察することである。測定用具には、日々の実践の中、看護師が患者の安全保証に向けて何を実践しているかを問う自由回答式質問からなる質問紙を用い、郵送法により全国の病院に就業する看護師1056名に質問紙を配布した。回収された質問紙622のうち、自由回答式質問に回答した588名分の記述をBerelson,B.の内容分析の手法により分析した。その結果、対象者の記述は患者の安全保証に向け看護師が講じている対策と実践38カテゴリを形成した。この38カテゴリとは、【与薬・処置・検査などを確実に行うために最適な確認方法を選択すると共に、状況に応じて複数の確認方法を組み合わせて用いる】【可能な限りクライエントと直接関わることを通して個別状況を把握し、危険が予測される場合には頻繁に訪室し要点を捉えた観察を緻密に行う】などであった。Scott, W.Aの式によるカテゴリへの分類の一致率は76.7%,72.5%,71.3%であり、カテゴリが信頼性を確保していることを示した。考察の結果は、看護師の講じている安全保証対策と実践が8つの特徴を持つことを示唆した。これらの38の対策と実践、その特徴は、安全教育の系統的な知識の提供や、安全に関する実践を自己評価できるための指標として活用可能である。
著者
杉村 敬一郎 堀 悦子 栗原 良雄 伊藤 澄麿
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-7, 1984-01-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
12
被引用文献数
10 14

家畜の飼料原料として数多くの種類の飼料が用いられているが,その中で粗放的飼育の場合,家禽は節足動物,環形動物等を相当摂取していることが観察されている。そのうち,蛋白質含有量の高いミミズの栄養価については,これまで,吉田や目加田の報告があるがバッタについての報告はほとんどみあたらない。そこで著者は,ミミズを飼料として用いる場合,乾燥方法(自然乾燥,凍結乾燥)の違い,さらに,白然乾燥したバッタを加えての栄養価について検討を行なった。1. 一般成分分析の結果から粗蛋白質含量(以後CPとする)については,ミミズは魚粉とほぼ同等の値(60%)を示し,バッタは70%と魚粉よりも高い値を示した。2. アミノ酸組成は,ミミズは魚粉に比べてメチオニン,グリシン等が低い値を示し,バッタは魚粉に比べて全体的に低いアミノ酸含量を示した。3. 17日齢の雛を用いた消化試験の結果から,CPの消化率は,ミミズ,バッタともに70%以上を示した。その中でも凍結乾燥ミミズは87%と最も高い消化率を示した。粗脂肪の消化率は,凍結乾燥ミミズ,自然乾燥ッタともに88%と高い消化率を示したが,自然乾燥ミミズは59%と低い値を示した。その他の消化率においても凍結乾燥ミミズが最も高い値を示した。4. 可消化養分総量においては,凍結乾燥ミミズが81.9%と高い値を示し,自然乾燥バッタおよび自然乾燥ミミズはそれぞれ66.5%,59.6%であった。5. 代謝エネルギーにおいても,凍結乾燥ミミズが3.76Kcal/gと高い値を示し,自然乾燥バッタおよび自然乾燥ミミズはそれぞれ2.69Kcal/9,2.41Kcal/gであった。6. さらに,魚粉6%と凍結乾燥ミミズ,白然乾燥ミミズ,自然乾燥バッタでそれぞれ代替した飼料で飼養試験を行なった結果,増体重,飼料摂量および飼料効率の成績は魚粉区(対照区),凍結乾燥ミミズ区,白然乾燥ミミズ区,自然乾燥バッタ区のいずれの区間においても統計的に有意の差は認められなかった。7. また,飼養試験終了後,すばやく屠殺,放血した後体重に対する各臓器重量の割合を測定した。その結果,対照区と他の区間において統計的に有意の差は認められなかった。8. さらに,肝臓,腎臓,膵臓,脾臓および腿筋,胸筋の解剖を行なった結果,外観上の異常は各試験区とも認められなかった。これらの成績から,養鶏用飼料の動物性蛋白質源である魚粉の代替としてミミズの重要性が考えられる。