著者
鎌谷 美希 伊藤 資浩 宮崎 由樹 河原 純一郎
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第18回大会
巻号頁・発行日
pp.75, 2021-03-15 (Released:2021-03-15)

衛生マスクを着用することで,着用者の顔の魅力が総じて低下することが報告されている (衛生マスク効果: Miyazaki & Kawahara, 2016)。これは,マスクによって顔の一部が遮蔽されることと,マスクから想起される不健康さの2要因によって生じるとされていた。しかし,COVID-19流行でマスクの着用が常態化したことにより,マスクから想起される不健康さがその色にかかわらず低減している可能性がある。本研究では,白・黒マスク着用者に対する信念の調査 (研究1),および素顔と白・黒マスク着用顔の魅力評定実験をおこなった (研究2, 3)。その結果,COVID-19流行前よりも流行後において,マスクの色にかかわらず,その着用者に対して不健康だと回答する人が減少した。また,マスク着用者に対する不健康さの知覚の低減に伴い,衛生マスク効果のうち,遮蔽の効果のみが魅力評定値に影響を与えていた。衛生マスク効果の変容は,不健康だと考えられていた黒色マスク着用顔に対してもみられた。
著者
伊藤 徹哉
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p>本研究は,ドイツ・ミュンヘン大都市圏を事例として,交通インフラの整備の特徴を道路網と鉄道網の整備に着目して分析し,ヨーロッパにおけるモビリティの持続的発展の特徴を明らかにすることを目的とする。ヨーロッパでの交通インフラの整備の特徴を欧州連合EUのEurostat HPでの統計データを用いて概観した後,ミュンヘン大都市圏での交通インフラ整備の特徴を統計の分析に基づいて,モビリティの維持・拡大の特徴を考察する。</p><p> 分析の結果,ヨーロッパでは,ヨーロッパ内外を結ぶ世界的な移動,EU域内の移動,主要都市間の移動,日常生活圏の移動など,異なる空間スケールで交通インフラが有機的に整備されていた。また,ミュンヘン大都市圏におけるインフラ整備では,高速道路網や,高速道を補完する州道や自治体道路の整備がすすむ。都市間の高速鉄道網や,大都市圏内での都市部と周辺地域を結合する中・近距離鉄道網が,継続的に廃止や整理されている。交通インフラの整備を通じ,都市圏内,主要な都市間,国際的な地域間などの様々な空間スケールでモビリティが持続的に発展していた。</p>
著者
伊藤 哲哉 中島 葉子
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.57-61, 2020

&emsp;薬剤性L‐カルニチン欠乏症は医原性に生じる二次性L‐カルニチン欠乏症の一種である. 原因となる薬剤としては, 抗てんかん薬, 抗菌薬, 抗がん剤, 局所麻酔剤, イオンチャンネル阻害剤, AIDS治療剤, 安息香酸ナトリウムなどの報告があるが, 長期投与を必要とする抗てんかん薬や, カルニチン欠乏のリスクが高い乳幼児期に投与される薬剤には特に注意が必要である. バルプロ酸ナトリウムの副作用として肝障害や高アンモニア血症が知られているが, これらはカルニチン欠乏やカルニチン代謝の異常が大きく関与すると考えられており, L‐カルニチン投与を行うこともある. また, ピボキシル基含有抗菌薬では腸管からの吸収後に生じるピバリン酸がL‐カルニチンと結合して尿中へ排泄されるためL‐カルニチン欠乏を生じる. 副作用として, L‐カルニチン欠乏からくる低血糖, 意識障害, 痙攣などの重篤な症状が報告されているが, これらの副作用は長期投与ばかりでなく短期間の服用でも認める例があるため, 抗菌薬投与の必要性やその選択について十分吟味したうえで適正に使用することが重要である.
著者
久島 裕 伊藤 悟 鵜川 義弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

ARシステムの活用を試みた本授業では、観光ルートの策定をテーマとした。すなわち、生徒自身が市役所の観光課に勤務しているものと仮定し、市外から来た観光客向けの観光マップに記載する観光ルートを考案することとした。当日の参加者は高校生2人1組のペア3組と指導する教師(授業者)1名である。<br> 授業者が各組共通に指定した3か所の観光スポットを結ぶルートの策定を求める一方で、「安全性(見通しのよさ、交通量、迷いやすさ)を意識したルート」、「商業性(観光客による商店の利用期待)を意識したルート」、「景観性(風情のある小道、歴史的な建物、自然)を意識したルート」のように、組ごとに相異なるテーマを意識しながらルート策定を行なうものとした。<br> 実施場所は高校から近い武生駅前商店街とその周辺である。上記で指定した3か所の観光スポットを含めて20か所近くのスポットをコンテンツとしてシステムに組み込み、それらの位置がエアタグで表示されるようにした。<br> 授業は60分の間に、まず、全員が一緒に出発地点からjunaioを使って歩き始め、3つの観光スポットの位置をエアタグでたどり、各地点に到着できたら紙の地形図に場所をチェックした。三つ目の観光スポットの位置を紙地図上でチェックできた後は各組に分かれ、タブレット内のエアタグと、周囲の様子を確認し合いながら観光ルートを思考、議論しながら回った。その際、ルート策定において重要と思われる要素(建物、道路、その他)があれば、タブレットを利用して撮影を行うこととした。 終了5分前までに出発地点に戻り、各組で考えた観光ルートを紙の地形図に赤ペンで書き込んだ。<br> ARシステム活用の効果としては、(1) 紙の地図と違い、画面を通して実際の様子を把握できるため、テーマに即した思考・判断が可能、(2) 紙の地図では城下町の街路形態から道に迷いやすいが、目的地の「方向」や「距離」を把握しやすい、(3) 調査時の生徒の楽しそうな様子から、生徒の関心・意欲の向上には大きく寄与した、などが考えられた。
著者
堤 純 鵜川 義弘 福地 彩 伊藤 悟 秋本 弘章 井田 仁康
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

本ポスター発表は、今大会で同じ題目のもとにシリーズで行った2つの口頭発表と連動し、石川県金沢市の卯辰山麓寺院地区を対象に構築したARシステムについて、タブレット端末を用いた実物のデモンストレーションを行いながら、その機能と特長を紹介し、地理教育への応用の可能性を検討するものである(ポスター発表のコアタイムにデモンストレーションを実施予定)。<br>口頭発表において取り上げなかったいくつかの機能のうち、実際に野外での活動時に有効な機能の1つとして、ブログとの連携を挙げることができる。ブログと連携することにより、スマートフォンやタブレット端末のみならず、パソコンを含めた多様なデバイスから、各自のIT環境に左右されずに情報にアクセスできるため、教師や生徒が野外か屋内かを問わずに情報を閲覧できる上、様々な情報を書き込むこともできる。 今回は、全体を1つのブログとして、1寺院に1ブログ記事を対応させ、記事本体(図1)は教師が作成し、そのコメント(図2)は生徒が寄せるものと想定した。いずれも、テキストの書き込みとともに、画像の投稿もできる。本システムによる作業のフローは以下の①~④のようになる。<br>①ARにより端末画面に表示されたエアタグに着目&rarr;②AR内での当該寺院の説明文を(野外で)閲覧&rarr;③ブログ記事へジャンプ&rarr;④上記記事へのコメントを入力、閲覧<br>上記のフローのうち、④の行程として、教師が用意した情報を一方通行的に見せるだけでなく、ブログ上でコメントの投稿・返信を通じて情報を双方向にやりとりできる点も、地理教育上の効果が大きいと考えられる。 また、投稿されたコメントの掲載許可の権限を教員がもつことにより、ブログシステムへの投稿内容の管理が可能である。こうして掲載されたコメントはキーワードごとに、ブログの1つのタイムライン上に掲載されるため、閲覧や検索が容易である。これらのコメントが記載され、一般に公開されることは生徒の励みにもなり、地理教育上のメリットも期待できる。<br>
著者
鵜川 義弘 福地 彩 伊藤 悟
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

AR 拡張現実アプリ Junaio <br>拡張現実とは現実環境に情報を付加して見せる技術で、カメラ、GPS、コンパス、モーションセンサーを持つスマートフォン(スマホ)の出現により、画面に映し出される生の映像の中にGIS地理情報システムから得た情報を重ね合わせて見せる「位置情報型AR」として利用できるようになった。 スマホARアプリJunaioを使用すると、地理情報を保存する自前UNIXサーバと連携させることにより「自分たちが表示したい情報」を「表示したい緯度経度の位置」に、スマホの画面に浮かぶ「エアタグ/バルーン」として出現させることができる。 Junaioにはコンパスとモーションセンサーを用いてカメラを向けた方向の別画像を見せるパノラマモードが存在し、別の日時に撮影したパノラマ写真を表示して、同じ方向に見える現実の風景と比較することもできる。 <br>Googleスプレッドシートの利用<br>Junaioの地理情報は、自前UNIXサーバにXMLという言語で書いてアップロードしなければならないが、これをUNIXサーバの操作知識を持たない教員が登録/変更するのは難しい。そこでExcelの表と同様だが、インターネットに接続されているWebブラウザから利用できるGoogleスプレッドシートを用いることにした。このシートはユーザを編集者として登録すれば、同じ表を共有して同時に編集することも可能である。自前UNIXサーバ側では、シートの内容をPHP言語のfile_get_contentsという方法で読み取りJunaioに転送する。このことにより、登録・編集が簡単で教員の変更内容もリアルタイムに反映できるようになった。
著者
伊藤 眞
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.13-37, 2017-10

大庄過労死事件の判決における高裁の判断を争点ごとに要約したうえで, 対応するワタミと電通の想定される争点および法的判断について検討する。死亡前の実際の時間外労働時間は3件とも過労死認定基準を超えており, 長時間に及ぶ時間外労働と過労死との因果関係が認められ労災認定された。過労死の「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」は専門検討会報告を基礎として定められ, 時間外労働が発症前1ヶ月間に100時間を超える場合, または発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって1ヶ月当たり80時間を超える場合, 業務と心臓疾患の発症との関連性が強いと判断されている。この認定基準を, 大庄事件において経験則として重視することに何らの問題もない, と大阪高裁は判断した。ワタミおよび電通の過労死に関しては「心理的負荷による精神障害の認定基準」が適用されるが, 同様に専門検討会報告を基礎として定められ, 経験則として重視することに何らの問題もないと解される。大庄では, 三六協定で定めた1ヶ月45時間を超える時間外労働が常態化し100時間超も少なくなかった。ワタミ久里浜店で美菜さんの141時間の時間外労働は三六協定の時間を遙かに超え, 電通でも12月の三六協定適用以前から深夜残業・休日残業が常態化し, その限度基準を超えていた。大庄事件判決で, 労災規定の脳・心臓疾患の認定基準につき「①現行基準発出以前から過重労働と心臓疾患との関係を一般社会が認識。②著名な訴訟事件につき過重労働と心臓疾患との関係を認める判例も積み重ねられている。③これら事件は一般にも報道されてきていた。④これらを踏まえ専門検討会報告に基づき厚生労働省により定められた現行認定基準が発出。⑤この発出から事故発生までに5 年以上が経過, 大庄にとっても十分認識可能な状況であった」と判断された。それゆえ, 大庄は労災認定基準をも考慮に入れ, 社員の長時間労働を抑制する措置をとることが要請されており, 長時間労働による災害から労働者を守るための適切な措置をとらないことによって災害が発生すれば, 安全配慮義務に違反したと評価されることは当然とされた。ワタミの過労死についても, 脳・心臓疾患および心理的負荷による精神障害等に関する現行認定基準を考慮に入れて, 社員の長時間労働を抑制する措置をとることが要請されているから, 「安全配慮義務に違反したと評価されることは当然である」という結論はそのまま当てはまる。電通の過労死についても, 1991年に入社2年目の男性社員が過重労働で自殺, 遺族が起こした裁判で2000年3月に最高裁が会社側の責任を認定したので, 認定基準について熟知していたにもかかわらず, 労働状況は変わっていなかったから, 「安全配慮義務に違反したと評価されることは当然である」という結論になる。大庄は, 社員の長時間労働の抑制のために, 社員の労働時間を把握し, 長時間労働の是正のための適切な措置をとっていたとは認められない, と判示された。ワタミも電通も同様である。ワタミの他店配属の美菜さん同期によれば「勤務時間は改竄している。店長もエリアマネージャーも知っている。休憩は1時間取っていることになっているが, 実際は店内が忙しく, 30分しか取ることができない。30分の休みの中で食事, トイレへ行く。そして, 12時間の労働が続く。よっぽどのタフな人でないと社員はできないと思う」状況であった。電通も, まつりさんの深夜残業・休日出勤の業務を私的情報収集・自己啓発などの名目で認めず, 残業申告時間は月70時間に収まっていて, 正確な実態を把握していなかった。専門検討会報告は, 心疾患発生の医学的機序が不明とされる事案においても長時間労働と災害との因果関係の蓋然性を認めるものであり, 多数の社員に長時間労働をさせていれば, そのような疾患が誰かには発生しうる蓋然性は予見できるから, 災害発生の予見可能性はあったと考えるべきと, 高裁は大庄に判示している。精神障害の労災認定基準に関する専門委員会報告書も長時間労働と災害との因果関係の蓋然性を認めるものであり, ワタミおよび電通の場合においても, 同様に災害発生の予見可能性はあったと考えるべきことになる。上記判断に基づき, 大庄において現実に全社的かつ恒常的に存在していた社員の長時間労働について, これを抑制する措置がとられていなかったことをもって安全配慮義務違反と判断された。この高裁の判断は, 同様にワタミと電通(まつりさんの場合, さらに直属上司の苛烈なパワハラがあり, セクハラもあった)にも当てはまる。大庄取締役らの責任についても, 高裁は, 従業員の多数が長時間労働に従事していることを認識あるいは極めて容易に認識し得たにもかかわらず, 会社にこれを放置させ是正するための措置をとらせていなかったことをもって善管注意義務違反があると判断。不法行為責任についても同断である, とした。また, 責任感のある誠実な経営者であれば自社の労働者の至高の法益である生命・健康を損なうことがないような体制を構築し, 長時間労働による過重労働を抑制する措置をとる義務があることは自明であり, この点の義務懈怠によって不幸にも労働者が死に至った場合は悪意または重過失が認められると判断。不法行為責任についても同断である, とした。ワタミおよび電通の取締役らについても, 損害賠償請求裁判の判決が出た場合には, 大庄の場合と同様に上記判断が示されることになると解される。それゆえ, ワタミは, 東京地裁において遺族の主張をすべて認める和解をせざるを得なかった。ワタミの認識と思考方法を見るため, 遺族との和解に至るまでの交渉過程を概観する。また, 電通和解の開示された内容を概観する。さらに, 3社の従業員の心得を概観し経営者の考え方を見てみる。論文
著者
伊藤 みちる 工藤 理恵 徳増 紀子
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究
巻号頁・発行日
vol.2018, no.28, pp.752-792, 2018

<p> 1965年の発足以来,日本政府の国際協力事業である青年海外協力隊は「日本語教師」隊員を継続的に世界の様々な国・地域に派遣してきた.2018年9月末までに累計2000人弱の派遣実績があり,公的事業として日本語教育支援を続けてきた.近年,特に隣国の政府主導の言語・文化学習施設の建設が世界中で見られるようになり,国内外の日本語教育に関する成果の数値化が盛んに行われている.本稿は,日本語教育の成果として,それら数値化された成果だけではなく,公的な日本語教育支援に関わった元学習者と元教師である当事者の立場から日本語教育の質的な成果に着目し,その成果を問い直すことを目的としている.</p><p> 本稿は,青年海外協力隊の日本語教師として2年間,それぞれブルガリア,ジャマイカ,ベトナムで活動した3名が,その個々の支援の姿に注目し,当事者の観点から,質的な成果を長期的視座に立って記録しようと試みたものである.協力隊活動を終え10年以上が経過した現在,当時の元学習者が,日本語を学習していた当時をどのように捉え,その後の歳月をどのように過ごし,現在を生きているのか.それぞれの国で日本語教育の現場における当事者であった元学習者と元教師という立場で,当時から現在までを振り返り,その成果を記録する.本研究は,長期的視座に立つというこれまでにない新たな視点で,青年海外協力隊に代表される公的な日本語教育支援の質的に示される意義を,海外における日本語教育の成果として示すことを目的とするものである.</p><p> 結論としては以下である.ブルガリアは公的支援を一定期間受けた後に,支援が終了し現在は被支援国ではなくなった.また,ジャマイカは公的支援により安定した日本語教育支援体制が整えられ,徐々に規模を広げつつある.そして,ベトナムは当時,公的支援が中心となり日本語教育を支え,現在は世界有数の日本語学習者数を誇る.このような多様な背景を持つ3カ国において,公的支援による日本語教育を長期的に実施する意義が同様に認められた.</p>
著者
森本 幸子 伊藤 智之 川村 有紀 菅原 里江 坂本 真士
出版者
日本精神保健・予防学会
雑誌
予防精神医学
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.92-101, 2016

当事者から声を発信する活動が多く行われるようになってきている。当事者やその家族が体験を話すことによって、スティグマが解消されることが報告されているが、当事者が自分の体験を話すことは当事者自身あるいは聴衆にどのような影響を与えるのだろうか。本シンポジウムでは、当事者から声を発信することがどのようにスティグマを解消するのか、その意義や残された課題について整理し、議論したい。
著者
明星 聖子 高畑 悠介 井出 新 松原 良輔 松田 隆美 中谷 崇 納富 信留 矢羽々 崇 伊藤 博明 Pekar Thomas 黒田 彰 近藤 成一 宗像 和重 杉浦 晋 武井 和人 北島 玲子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

昨年度の検討を受けて、今年度は昨年度のテーマに若干変更を加えた以下のAからEの5つのテーマについて、さらに今年度からは総合的なFのテーマも加えて研究を進めた。A.ドイツ文献学の成立の事情とその日本における受容および明治/大正期の文学研究の確立をめぐる検討、B.日本文学における現在の文献学的状況を探るケーススタディ、C.再評価の機運が高まっているイタリアの文献学者S.Timpanaroの代表著作の 読解と翻訳、D.英文学研究および教育における編集文献学的方法論の実践、E.独文学研究および教育における編集文献学的方法論の実践、F.人文学テクスト全般における「信頼性」および「正統性」をめぐる総合的な編集文献学的考察。テーマごとの班活動以外に、全体としての研究会も3回、2019年6月16日に慶應義塾大学で、7月31日に放送大学で、また2020年1月26日に慶應義塾大学で開催した。第1回での研究発表は、「編集文献学の可能性」(明星聖子)、第2回は、「古典文献学の可能性」(納富信留)、「注釈の編集文献学」(松田隆美)、第3回は、「南朝公卿補任の真贋判断をめぐって」(武井和人)、「偽書という虚構ー近代日本の小説3つをめぐって」(杉浦晋)。なお、こうした活動が実を結び、2019年9月に刊行された雑誌『書物学』(勉誠出版)で、特集「編集文献学への誘い」が組まれ、そこでプロジェクトメンバーの論考6本がまとめて掲載されたことは、特筆に値するだろう。
著者
前田 規秀 伊藤 健吾 田所 匡典 加藤 隆司 渡辺 一功 根来 民子 麻生 幸三郎 羽賀 淑子 鬼頭 正夫 Shylaja Nuguri 大木 隆史 佐久間 貞行
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.224-232, 1992

小児期発症の局在関連性難治てんかん患者24例 (側頭葉てんかん12例, 後頭葉てんかん6例, 前頭葉てんかん6例) にMRI, SPECT, PETを施行し, その病態について検討した。全体では, MRIでは14例, SPECTでは15例, PETでは20例で大脳皮質に局在する異常を認めた。側頭葉てんかん12例では, MRIで10例に側頭葉に異常を認め, 5例は側頭葉内側硬化が, 他の5例では側頭葉内側硬化以外の病変が疑われた。SPECTでは9例で, PETでは11例で側頭葉に異常を認めた。後頭葉てんかん6例では, MRIでは4例で, SPECTでは5例で後頭葉に異常を認めた。PETでは6例全例で後頭葉に異常を認め, 視覚発作を伴う4例で1次視覚中枢の異常を認めた。前頭葉てんかん6例では, MRI, SPECTでは全例異常を認めなかったが, PETでは3例で局在する異常を認め発作焦点と考えられた。PETは焦点部位の検出に極めて有用であった。
著者
伊藤 一仁
出版者
純真学園大学
雑誌
純真学園大学雑誌 = Journal of Junshin Gakuen University,Faculty of Health Sciences (ISSN:21866481)
巻号頁・発行日
no.11, pp.57-62, 2021-03-31

COVID-19の世界的流行の中で,重篤な肺疾患に対し適用されるECMO治療に,一般社会からも注目が集まっている.本稿では,臨床工学技士が臨床の現場で携わるであろうECMO治療の概要やCOVID-19禍でのECMO治療適用の現状について紹介する.
著者
伊藤 勲
出版者
上智大學法學會
雑誌
上智法学論集 (ISSN:04477588)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.p101-164, 1986-03

相沢好則教授退職記念号
著者
奥山 慎 伊藤 香里 阿部 史人 齋藤 綾乃 奈良 瑞穂 小松田 敦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.986-991, 2019-05-10 (Released:2020-05-10)
参考文献数
5

症例1:14歳,女性.初潮1年後より,月経のたびに38℃以上の発熱,腹痛を認め,月経終了とともに自然軽快していた.症例2:41歳,女性.2年前より,月経4日目から39℃の発熱,筋肉痛,頭痛を繰り返していた.いずれも家族性地中海熱の診断で,コルヒチン内服により発熱エピソードは消失した.女性の月経周期に一致する発熱には,家族性地中海熱が潜んでいる可能性がある.