著者
杉山 広 森嶋 康之 賀川 千里 荒木 潤 巖城 隆 小松 謙之 味口 裕仁 生野 博 川上 泰 朝倉 宏
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.103-108, 2020-08-25 (Released:2020-10-02)
参考文献数
20
被引用文献数
2

回虫は土壌伝播蠕虫の代表となる寄生虫で,ヒトは虫卵に汚染された植物性食品を摂食して感染する.日本では少数の国内感染症例が継続的に報告されているが,症例数の推移や感染源となる植物性食品の汚染状況は不明な点が多い.そこで,近年の回虫症例発生状況および感染源を明らかにするため,日本臨床寄生虫学会誌,PubMedおよび医中誌Webを用いた文献検索,および臨床検査機関・食品検査機関を対象としたアンケートによる聞き取り調査を行った.文献検索の結果では,1990より2018年の29年間に計193例の回虫症例が確認された(年平均6.7例).しかし2002年以降の報告数は激減し,年平均1.3例にとどまった.臨床検体における回虫症例数も,2000から2008年の年平均19.7例が,2009年以降2.8例と激減した.回虫の感染源となる植物性食品は12,304検体が検査されたが,アニサキス類の幼虫が検出された(11例)ものの,回虫は検出されなかった.ただしキムチは,173検体中の1検体から虫卵が検出され,回虫の感染源であることが疑われた.回虫症例は減少傾向が明らかだが,いまだに発生は確認され,このために感染源を特定して予防対策を確立するために,食品の調査を今後も継続する必要があると考えられた.
著者
佐々木 貴正 岩田 剛敏 上間 匡 朝倉 宏
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.126-131, 2020-08-25 (Released:2020-10-02)
参考文献数
24
被引用文献数
3

カンピロバクターは,食品媒介性感染症における最も重要な原因菌の1つである.カンピロバクター感染症の際に抗菌薬が使用されることは稀であるが,症状が重度である場合や長期間持続する場合には使用されることがある.カンピロバクター感染症の原因の1つは,カンピロバクターに汚染された牛肝臓の喫食である.牛肝臓は,と畜場において胆汁により表面と内部が汚染される可能性がある.以上のことから,われわれは,と畜場において,胆汁のカンピロバクター汚染状況およびその分離株の性状を調査した.カンピロバクターは35.7%(55/154)から分離され,C. jejuniとC. fetusが上位2菌種であった.C. jejuniでは,テトラサイクリン(63.0%)とシプロフロキサシン(44.4%)に高率な耐性が認められた.Multi-locus sequence typingにより,C. jejuniは12型に分類され,ST806が最も多く,37.0%を占めていた.すべてのC. fetusは全身性疾患の原因となることがあるC. fetus subsp. fetusと同定された.C. fetusでは,シプロフロキサシン(66.6%),ストレプトマイシン(58.3%)およびテトラサイクリン(33.3%)に高率な耐性が認められた.すべてのC. fetusは,ST3 (16株)およびST6 (8株)に分類された.16株のST3のうち,15株(93.8%)はストレプトマイシンとシプロフロキサシンの両方に耐性であった.本調査結果は,牛胆汁の高率なカンピロバクター汚染とその分離株の高率な薬剤耐性を示していている.と畜場における牛肝臓の胆汁汚染防止は,カンピロバクター感染のリスク低減策の1つである.
著者
山口 大輔 山口 真弥 千田 忠賢 倉光 君郎
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.2, 2017-02-27

再帰下降構文解析は人気の実装方法であるが,バックトラッキングにより,最悪ケースにおいて指数時間を要することが知られている.現実のパーサでは,最悪ケースはほとんど発生しないが線形時間性を保証することは難しい.本研究では,再帰下降構文解析の形式モデルとしてPEGを用い,PEGの文法定義から線形時間性を判定する方法に取り組んだ.
著者
羽賀 里御 浦辺 俊一郎 深澤 桃子 加藤 亜輝良 松沢 翔平 加藤 基子 檜山 英己 栗井 阿佐美 南雲 三重子 尾崎 美津子 古森 くみ子 清水 美智江 水品 伊津美 山本 茉梨恵 白鳥 恵 巽 亮子 倉田 康久 兵藤 透
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.465-470, 2020 (Released:2020-09-28)
参考文献数
13

当院はCOVID-19感染者の多い神奈川県にある無床外来維持血液透析クリニックである. 透析患者は学会指針のマスク着用, 手洗い等の標準予防策を遵守し通院している. 今回, 血液透析患者1例がCOVID-19に罹患していることが判明した. この普段からの標準予防策に加えて, 発生から2週間, 感染者が出た透析時間帯の患者は時間帯を固定, 同一メンバーとし, 不要不急の検査, 受診, 手術は延期し, 感染防御対策を行うこと (集団的隔離透析) を補完的に加えることで, 二次感染が防止できたと考えられる事例を経験した. 特にマスク, 手洗い等の普段からの学会指針の基本を遵守することが二次感染防止に非常に有効と考えられた.
著者
松本 剛 山口 元太朗 秦 大介 坂野 喜一 利倉 悠介 田上 友香理 上野 隆司
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CcOF2079, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 肩関節後面筋のトレーニングは上腕骨の回旋運動を用いてトレーニングされることが多い。しかし、肩関節後面にある回旋筋の棘下筋、小円筋の走行を考えると、側臥位で肩関節屈曲位からの水平外転運動もトレーニングの方法として適切なものと考えられる。そこで今回水平内転方向の負荷をあたえ、側臥位にて肩関節屈曲角度を変えた状態で肩後面筋の筋活動を計測し、その筋活動を肩関節下垂位での外旋運動(以下1st外旋)と比較することで回旋運動を伴わない状態での肩関節後面の筋活動を明らかにすることを目的とした。【対象および方法】 対象は肩関節に愁訴のない男性18名(年齢24.4±3.9歳、身長173.6±5.8cm、体重67.6±11.1kg)で運動特性のない非利き手(全例右利き)を計測に用いた。測定肢位は側臥位にて仙骨部と足部を壁に接地し、体幹は20°屈曲位とし頚部と体幹の側屈、回旋はおこさないよう指示した。計測肢位は1st外旋位、肩関節60°屈曲位、90°屈曲位、120°屈曲位、150°屈曲位で前腕遠位部に重垂1kgを把持させ、それぞれ8秒間の等尺性収縮を計測した。被検筋は三角筋後部線維(DP)、小円筋(TM)、棘下筋(ISP)とし、得られた波形は2秒間の平均振幅を求め各筋の最大収縮時の値で正規化(%MVC)した。筋電計はMYOSYSTEM1400を用い解析にはMyoresearchを用いた。統計学的分析には二元配置分散分析および多重比較検定を用い有意水準5%未満とした。【説明と同意】本研究の対象者には研究前に主旨と方法を口述にて説明し書面にて同意を得た。【結果】 %MVCは各筋DP、TM、ISPの順に1st外旋位では、2.06±1.33%、3.67±1.55%、3.32±1.45%、60°屈曲位で11.35±6.46%、6.43±2.67%、4.36±1.74%、90°屈曲位で9.91±5.22%、7.40±3.73%、5.53±2.44%、120°屈曲位で、6.03±3.05%、7.86±6.06%、5.70±2.43%、150°屈曲位で7.58±4.15%、8.96±5.29%、5.78±2.47%であった。DPでは1st外旋位とすべての肢位、60°屈曲位と120°屈曲位150°屈曲位、90°屈曲位と120°屈曲位150°屈曲位において有意差を認めた(P<0.05)。TMでは1st外旋とすべての肢位、60°屈曲位と150屈曲位°に有意差を認めた(P<0.05)。ISPにおいては有意な差は認められなかった。DPは60°、90°屈曲位において活動量が増加し、1st外旋位は有意に活動量が減少していた。TMは120°、150°屈曲位で筋活動量が増加し、1st外旋で有意に減少していた。ISPは1st外旋と屈曲位との活動量に有意差はないが肩関節の屈曲角度の増加に伴い筋活動の増加が認められた。【考察】 DPは1st外旋位と比較すると他の全ての肢位に有意な活動量の増加がみとめられた。Reinoldらは側臥位での1st外旋は三角筋の活動を抑制した状態で棘下筋、小円筋を選択的に活動することができると報告している。今回の結果はこの報告の通り1st外旋位でのDPの活動は他の全ての肢位と比較すると活動量は減少していた。逆にTMは報告とは異なり1st外旋位での活動量が他の全ての肢位よりも増加した。またTMは60°屈曲位と比較すると150°屈曲位で有意に活動量が増加していた。TMは肩甲骨外側に起始部をもち上腕骨大結節外側部に停止部をもつ筋である。肩関節が挙上位になるとその距離は離れ筋の長さは長くなる。これによって仕事量が増加しTMの活動量が増加したと考えられる。DPは他に60°、90°屈曲位では120°、150°屈曲位と比較すると有意に活動量が増加していた。これはDPが起始部を肩甲棘、停止部を三角筋疎面にもち肩関節60°、90°屈曲位での水平内転方向への負荷は起始部と停止部が直線上にあり、筋の走行に対して垂直方向に負荷がかかるため活動量が増加したと考える。120°、150°屈曲位で活動量が減少した理由は上腕骨が挙上するにつれて肩甲棘に起始部をもつDPは起始部と停止部が近く、筋の走行が一直線にならず水平方向へ参加する筋線維の量が減少したためと考えられる。ISPは肩関節が挙上するに伴い活動量も増加傾向をしめしたが、有意な差はなかった。これはISPが起始部を肩甲骨棘下窩という広範囲にもつこととKuechle、Kuhlmanらは中部繊維や下部繊維の大きさは外転により顕著な差が生じず、上肢挙上に伴い筋の発揮する力は小さいことから、肢位に関わらず最も強力な外旋筋であると報告していることから肩関節屈曲角度の増加に伴い筋の長さが長くなり増加傾向をしめしたが、有意な差がみとめられなかった一因と考える。【理学療法学研究としての意義】 臨床場面において肩関節屈曲方向の可動域獲得ができれば回旋運動を伴わずとも肩後面の筋活動を高めることができる。等尺性の筋力トレーニングでは負荷量だけでなく起始停止の位置つまり、筋の走行を考慮した様々な角度、肢位で実施することが重要である。
著者
倉橋 淑子
出版者
サイコアナリティカル英文学会
雑誌
サイコアナリティカル英文学論叢 (ISSN:03866009)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.15, pp.37-53, 1992 (Released:2011-03-11)
参考文献数
15

Four Quartets shows us the world which T. S. Eliot attained after his long spiritual pilgrimage. His chief concerns in this work are 'life and death', 'light and darkness' and 'time and timeless'. 'the still point'. There are the necessary and important elements to be discussed in order to get the salvation for him. Eliot's concepts of 'opposites and reconciliation' can also be found in C. G. Jung's process of analysis. By comparing their works, we can find great similarities between their ways to 'Acceptance'. Both sought for the salvation of human soul all through their lives and finally attained almost the same world of 'Acceptance'.
著者
立石 欣也 山本 晴彦 岩谷 潔 土谷 安司 倉橋 孝夫 門脇 稔 金子 奈々恵
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.251-255, 2012 (Released:2012-07-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ブドウ‘デラウェア’において,魚眼レンズを装着したデジタルカメラを用いたLAI推定技術を確立するため,その撮影方法と撮影条件の検討を行った.デジタル画像の2値化により,葉とそれ以外の部分に分け,そのピクセル値から光学的仮説に基づき,LAI推定値を算出した.晴天日の日中は開空度が大きく変化するため,LAI取得のための全天画像の撮影は曇天日,および,晴天日では太陽高度の低い時間帯である日の出や日没付近が望ましいことが示唆された.高さ150 cm程度の棚面に植栽された‘デラウェア’の性質上,棚面からの距離が100~150 cmの間で撮影すれば,より実測値に近いLAI推定値となることが確認されたが,LAI推定値は過大評価傾向を示した.過大評価となる原因を検討したところ,果実の有無の影響は撮影の時間帯による影響よりも小さかった.棚面,ハウスの構造材などの影響は無視できなかったため,開空度にその影響を加算し,LAI推定値を再計算する補正を行った.この補正により,従来の新梢長と葉面積の関係式から推定する手法より,迅速かつ簡易なLAI推定が可能であることが示された.
著者
櫻井 香織 臼倉 京子
出版者
埼玉県立大学保健医療福祉科学学会
雑誌
保健医療福祉科学 (ISSN:2186750X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.20-25, 2018-03-31 (Released:2019-12-03)
参考文献数
8

本研究は、常に選択の自由がある状態での作業課題実施が気分およびストレスに及ぼす影響を検証することを目的とした。常に選択の自由がある状態に設定できる作業課題としてぬり絵を用い、色を自由に塗る群を選択群、黒のみで塗る群を非選択群とした。POMS2短縮版と唾液アミラーゼ活性値を用いて課題前後の変化を評価した結果、POMS2短縮版において、選択群で「怒り-敵意」「抑うつ-落込み」「緊張-不安」の尺度得点が有意に低くなる傾向が、「混乱-当惑」の尺度得点が有意にやや低くなる傾向がみられた。非選択群では「抑うつ-落込み」「活気-活力」の尺度得点が有意に低くなる傾向がみられた。唾液アミラーゼ活性値については有意差がみられなかった。POMS2短縮版の結果から、ぬり絵では色の選択の自由がある方がネガティブな感情を軽減させる効果が得られる可能性が示唆された。唾液アミラーゼ活性値に関しては、統制条件を更に検討する必要があると考える。
著者
白井 邦博 丹正 勝久 篠原 克浩 小倉 真治
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1-11, 2008 (Released:2011-06-08)
参考文献数
35
被引用文献数
4 4

はじめに: 重症急性膵炎に対する膵局所動注療法; continuous regional arterial infusion(以下, CRAI)において, meropenem投与(以下, MP群)とimipenem投与(以下, IP群)で前向き無作為比較試験を行い, meropenemの有効性について検討した. 対象と方法: 対象は30症例で, 入院時にMP群(n=16)またはIP群(n=14)に無作為に割り付けた. 特殊治療は, 持続血液ろ過透析, 選択的消化管内殺菌法と経空腸的栄養療法を行った. 検討項目として, CRAI開始時期と施行期間, 動注部位, 特殊治療施行率, また厚労省重症度スコアとAPACHE IIスコア, SOFAスコア, CRP値を入院時と2週間後で比較した. 感染症と膵炎関連合併症や感染性膵壊死の発症率, 手術施行率, 死亡率, 感染部位, 起炎菌について検討した.結果: 年齢, 男女比, 成因, CRAI開始時期と施行期間, 動注部位, 特殊治療施行率は差がなかった. 各スコアとCRP値は, 入院時と2週間後で差はなかった. 感染症発症率はMP群37.5%, IP群42.9%と差はなく, 膵炎関連合併症発症率, 感染性膵壊死発症率, 手術施行率, 死亡率も有意差はなかった. 感染部位は喀痰とカテーテルが多く, 起炎菌に差はなかったが, 耐性菌や複数菌感染を認めた. まとめ: 重症急性膵炎の感染予防として, 発症72時間以内のmeropenemを用いたCRAIは, imipenemと同等の効果を認めた.
著者
熊倉 正修
出版者
明治学院大学国際学部付属研究所
雑誌
研究所年報 (ISSN:13443976)
巻号頁・発行日
no.22, pp.67-72, 2019-10

【フォーラム/Forum】
著者
倉員 正江
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成30年度は大河内秀元著『朝鮮物語』の写本・版本の諸本調査を基に、写本成立の背景と流布、版本成立前後の状況と流布を考察した。『朝鮮物語』は秀元が慶長の役(慶長二年〈一五九七〉~三年)に従軍した際の朝鮮における実体験と日記を基に、寛文期(一六六一~)になってから成稿した書である。従来も「続群書類従」「通俗日本全史」の二種類の活字翻刻があり、後年の回想による誇張や文飾も皆無ではないが、内容のリアリティについては相応の評価を得ている。今回の調査で、東京大学史料編纂所蔵押小路家蔵写本が古態を示す点、写本に嘉永二年版本(「通俗日本全史」底本)の系統と「続群書類従」の系統の二種があり、後者巻末に本文の省略がある点、従来ほぼ未紹介の宮内庁書陵部蔵本「武辺叢書」系統の写本は、内容の大概は版本型と一致しているが宛漢字・表記にやや特殊な語彙や傍訓が目立つ点、版本には嘉永二年の刊記を持つ初版本(大本)と再版本(半紙本)があり、ともに伝本は多いが後者は明治期の二代目和泉屋善兵衛の刊行とみなされる点、等の知見が新たに得られた。また版本の序を執筆した儒者藤森弘庵が起用された事情、版元となった江戸の書肆和泉屋善兵衛の初代・二代にわたる動向等、幕末から明治にかけての出版界の状況について考察した。版本の蔵版者となった糸魚川藩家老の佐治信については不明な点も多いが、和泉屋と縁戚関係にある可能性から積極的に出版に関わったとみられる点、早稲田大学図書館蔵『朝鮮物語』は依田学海旧蔵本で岩本贅庵の書入れがあり、知識人の間に外圧による海防意識が高まり、こうした時代風潮が『朝鮮物語』の好評につながった点も浮かび上がった。
著者
土倉 莞爾
出版者
関西大学出版部
巻号頁・発行日
1999-05-24

第1章 フランス革命とフランス急進派の系譜……………………………………………… 1第2章 急進社会党と第三共和制……………………………………………………………… 34第3章 地方史の急進社会党…………………………………………………………………… 60第4章 急進派議員の政治行動 : 急進社会党史のなかで…………………………………… 105第5章 急進社会党と圧力団体………………………………………………………………… 121第6章 アベ・ルミール小論 : 十九世紀末フランス政治史の一側………………………… 139第7章 初期ド・ゴールの政治思想 : 「フランスの栄光」という保守主義……………… 162第8章 M・アンダーソン「フランスの保守政治」(紹介) Malcolm Anderson, Conservative Politics in France, London, 1974.………………… 198
著者
丹波 寛子 高橋 久美子 大倉 雅絵 佐藤 栄子 佐々木 司郎 伏見 悦子 竹内 雅治 高橋 俊明 関口 展代 林 雅人
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第54回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.68, 2005 (Released:2005-11-22)

[はじめに]たこつぼ型心筋障害(以下TAKO)は冠動脈攣縮やカテコラミン上昇など種々の原因が想定されているが、その詳細は不明であり、また経過中に心尖部肥大(以下APH)様を呈した報告は非常に稀である。我々は、TAKO経過中にAPH様を呈した2症例を経験したので報告する。[症例]〈症例1〉76歳女性。平成16年8月冷や汗を伴う胸痛が出現し前医を受診。心電図(以下ECG)のV3-4でST上昇、心エコー図(以下UCG)で心尖部領域に壁運動異常があり急性心筋梗塞(以下AMI)あるいはTAKOが疑われ、当院へ救急搬送された。緊急冠動脈造影(以下CAG)で有意病変は認められなかったが、左室造影(以下LVG)では心尖部がakinesisであることからTAKOと診断された。胸部X-pで心拡大、肺うっ血像、胸水は認められなかった。peak CK 279IU/l、CK-MB 9.9ng/ml。UCG所見として初診時は、乳頭筋レベルの前壁中隔から心尖部でakinesis 、壁の菲薄化と内腔拡大があった。また左室基部が過収縮なため、左室流出路では60mmHg程の圧較差が認められ、左室全体の収縮能としてはEF20-30%に低下していた。血圧低下があり少量のβ遮断薬が使用された。第16病日、内腔が縮小、EF87%と改善され、左室流出路の圧較差も消失していた。しかし、心尖部短軸断面では急性期のakinesis部に一致して壁が肥厚し、拡張期の内腔狭小化と拡張障害の所見があり、心尖部肥大型心筋症様の形態を呈していた。6か月後のUCGでは肥厚はみられず、収縮拡張ともに良好に改善されていた。ECG変化として、初診時はV2-6の軽度ST上昇のみで、第16病日にはI,II,III,aVL,aVF,胸部誘導に陰性T波、特にV3-5は巨大陰性T波を示したが6か月後には消失していた。〈症例2〉65歳女性。前医にて平成14年12月くも膜下出血術後、約1か月後にV-Pシャント術を施行。術後よりECGのV3-6でST上昇があり、AMI疑いで当院へ救急搬送された。緊急CAGでは有意病変は認められなかったが、LVGでは心基部が過収縮で、中部から心尖部にかけてdyskinesisであった事より、TAKOと診断された。胸部X-pで心拡大、肺うっ血像、胸水は認められなかった。peak CK 276IU/l、CK-MB 29ng/ml。UCG所見として初診時、基部の収縮は良好だったが乳頭筋レベルから心尖部でakinesis、壁の菲薄化も認められた。第4病日、心尖部側は縮小していたが、心尖部短軸断面では肥厚があり、内腔の拡張期狭小化と収縮拡張能の低下があった。また乳頭筋レベルの前壁中隔も厚い印象をうけた。ECGは初診時、I,II,III,aVL,aVF,V2-6でST上昇があり、第4病日には同誘導は陰性T波へ、特にV2-4では巨大陰性T波と変化した。第10病日には前医へ転院し、5か月後のECGでは発症前にほぼ戻っていたが、その後、不慮の事故により他界されたため改善後のUCGのfollowはされていない。[考察]今回報告した症例は、一例はくも膜下出血術後、もう一例はβ遮断薬が奏功したことより内因性カテコラミンの過剰分泌状態であったことが示唆される。一方、心尖部肥大型心筋症においては、心尖部の交感神経受容体異常が知られ、その成因に内因性カテコラミンの関与が報告されている。以上より、今回の2症例が経過中にAPH様を呈したことにおいて、カテコラミンの過剰分泌の関与が強く疑われた。[結語]TAKO経過中にAPH様を呈する2症例経験したが、その原因は不明である。今後多数例の検討を重ね、その病態および原因を追究していく必要がある。
著者
門倉 信 奥脇 徹也 今川 直人 島村 成樹 高田 ひとみ 雨宮 史武
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.229-236, 2019-07-01 (Released:2019-07-18)
参考文献数
26
被引用文献数
1

100例の肝細胞癌終末期患者を対象に,予後予測モデルの週単位(3週生存)の精度について後ろ向きに検討した.Receiver operating characteristic(ROC)解析とArea Under the Curve(AUC)より3週生存における各モデルのcut off値を選定し,予測能を感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率・正診率を用いて評価した.Palliative Prognostic Index(PPI)がAUC 0.89,正診率80%・Biological Prognostic Score(BPS)2がAUC 0.72,正診率72%・BPS3がAUC 0.82,正診率79%・Model for End-Stage Liver Disease(MELD)スコアがAUC 0.71,正診率70%と優秀な予測能を示し,これらの組み合わせで予後予測の層別化が可能であった.
著者
河上 邦彦 泉 武 宮原 晋一 卜部 行弘 岡林 孝作 名倉 聡
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.6, no.7, pp.95-104, 1999-05-14 (Released:2009-02-16)

黒塚古墳は奈良盆地の東南部,奈良県天理市柳本町に所在する全長約130mの前方部を西に向けた前方後円墳である。周辺一帯には多数の前期古墳が集中して分布し,大和古墳群と呼ばれる。1997年8月~1998年5月,1998年7月~1999年2月にかけて,奈良県立橿原考古学研究所・天理市教育委員会を主体とする大和古墳群調査委員会によって学術発掘調査が実施された。埋葬施設は後円部中央に南北に設けられた内法長約8.3mにおよぶ大規模な竪穴式石室である。石室石材は川原石と大阪府柏原市に産出する芝山玄武岩・春日山安山岩板石を使用する。石組の排水溝を備えているほか,石室の構築にあたっては前方部に向かってのびる切り通し状の作業道(墓道)を設けていたことが判明した。石室内におさめられていた木棺は,クワ属の巨木を使用した長さ6.2m,最大直径1mを超える割竹形木棺である。中世に大規模な盗掘を受けているが,それ以前に石室が大きく崩壊していたことが幸いし,盗掘は基本的に石室床面付近にはおよんでいない。結果として,副葬品の大半は後世の撹乱を免れ,奇跡的に埋葬当時の状況をとどめていた。副葬品は三角縁神獣鏡33面,画文帯神獣鏡1面のほか,大量の鉄製武器・武具・農工具類など豊富である。三角縁神獣鏡33面はすべて舶載鏡で,鏡式の上では三神三獣鏡を含まず,現在までに知られる最古の組み合わせである。7種15面の同笵鏡を含み,京都府山城町椿井大塚山古墳出土鏡との間に10種の同笵鏡を分有する。棺内副葬品は画文帯神獣鏡1面と若干の刀剣類のみで,それら以外はすべて木棺と石室壁体との隙間に置かれていた。また,三角縁神獣鏡はいずれも木棺側に鏡面を向け,西棺側に17面,東棺側に15面,棺北小口に1面を,棺の北半部をコの字形に取り囲むように配列していた。前期古墳の豊富な副葬品の内容と,副葬時の配列方法が具体的に判明する貴重な資料である。同時に,作業道(墓道)・排水溝の存在や石室壁体の構築状況,副葬品の配列状況などから,古墳祭祀の具体的復元に向けての良好な資料が得られた。築造時期は古墳時代前期前半と考えられる。
著者
菅原 慶勇 高橋 仁美 清川 憲孝 笠井 千景 渡邊 暢 藤井 清佳 柏倉 剛 本間 光信 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.177-181, 2008-10-29 (Released:2016-12-28)
参考文献数
11

当院において呼吸リハを行っている安定期COPD患者を対象に栄養状態を調査し,身体組成,筋力,運動耐容能,炎症性サイトカインとの関連を検討した.呼吸リハを行っている半数以上が%IBW<90%で,REE/REE predictは1.37倍,エネルギー充足率は83%であった.%IBW分類では,低体重群が他2群と比較し,FMI,FFMI,REE,Leptin,FVC,PImaxが有意に低値で,Ghrelin,TNF-aは有意に高値であった.%IBWとTNF-aおよびIL-6において,弱い逆相関が認められた.COPDの体重減少には,REE/REE predict亢進,エネルギー充足率低下および炎症性サイトカインの上昇がかかわっているであろうと推察された.