著者
藤田 聡 浅谷 哲也 熊倉 重人
雑誌
あたらしい眼科 = Journal of the eye (ISSN:09101810)
巻号頁・発行日
vol.21, no.12, pp.1647-1648, 2004-12-30
参考文献数
4
著者
香西 真由美 石山 美香 朝倉 理映 森 寿々子 池内 明子 越田 美穂子
出版者
医学書院
雑誌
保健師ジャーナル (ISSN:13488333)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.406-412, 2014-05-10

はじめに 社会情勢の変化や制度・法改正などにより,保健師の業務は,20年前の3~4倍の事業が国から移譲され,業務量は増大するとともに,虐待・健康危機管理・生活習慣病などの健康課題の対応により高度な専門能力が求められるようになっている。また,近年は,団魂の世代の退職による保健師業務の継承が危惧されることから,次期を担う保健師の人材育成が大きな課題となっており1,2),高松市(以下,本市)でも,2010(平成22)年度から保健師の技術習得に焦点をあてた新人教育に取り組んでいる3)。 本市は香川県のほぼ中央に位置し,南は讃岐山脈,北は瀬戸内海に向かって讃岐平野が広がる温暖な気候で,1999(平成11)年4月,中核市に移行し,2005(平成17)年度には周辺6町と合併し,2012(平成24)年4月1日現在の人口約42万人,世帯数約17万8000の市である。 1999年4月に中核市となり,保健所と市町村機能を合わせもったことで,保健師の配置部署が増加した。さらに,2006(平成18)年度には地域包括支援センターが保健所内に設置され,2012年4月1日現在保健師の配属部署は8か所となり,保健師総数(正規職員)は90名となっている。とくに保健センターの保健師は20~30代が多く,平均年齢は37.6歳で,2011年度の産後・育児休暇取得者は55名中11名と20%を占め,休暇者のフォローが大きな課題となっていた。 このようななか,出産した先輩保健師の見舞いに訪れた後輩保健師が,「沐浴や乳房ケアの指導に自信がない」と言うのを聞いて,その先輩保健師が,「自分の子どもを沐浴の練習に使ってくれたらいい。授乳中のおっぱいに触ってみたらいい」と答えた。この会話をきっかけとして,先輩保健師から新人保健師への技術研修の提案が生まれた。 そこで,実態把握のため,入職後2年目までの新人保健師11人に対して,沐浴・乳房マッサージの技術習得状況のアンケートを実施したところ,学生時代の実習経験だけでは指導に自信がない者が多いことがわかった(表1)。 この結果をもとに,産後・育児休暇中の先輩保健師(以下,先輩保健師)の協力を得て,沐浴・乳房マッサージの技術研修(以下,研修)を実施し,その効果評価と課題を明らかにすることを目的に調査を行った。これらを明確化することは,新人保健師の教育プログラムの質の向上とともに,休暇中の保健師のフォローへの示唆が得られるという意義をもつと考えるので報告する。
著者
片倉 徳生 三上 勝夫
出版者
北海道文教大学
雑誌
北海道文教大学研究紀要 = Bulletin of Hokkaido Bunkyo University (ISSN:13493841)
巻号頁・発行日
no.43, pp.15-27, 2019-03

管理職から見た学級経営の困難な状況の特徴とその対処を検討するために,北海道内33 市部の公立小学校627 校を対象に調査を行った.調査の結果,194 校から回答があり,学級経営の困難な状況が生じた学校(経験校 72 校)と生じなかった学校(未経験校122 校)に分けて検討した.因子分析の結果,経験校の管理職は,「学習に臨む構えの欠如」,「教師への反発・授業妨害」,「教師への反抗・暴力」が,学級経営の困難な状況の特徴であると捉えた.具体的には,「授業中の私語が多く,教師の注意でやめない」「授業開始後も横を向いて座ったり,教科書やノートを出さなかったりする子の方が多い」が,一番割合が高く,17 年前の調査と同様の結果であった.また,その対処として,「校内教育体制の確立と関係機関との連携・協力」「教師と児童との信頼関係の構築」など,多岐にわたり多面的な対処が大切であることが窺えた.
著者
山本 希 三浦 哲 市來 雅啓 青山 裕 筒井 智樹 江本 賢太郎 平原 聡 中山 貴史 鳥本 達矢 大湊 隆雄 渡邉 篤志 安藤 美和子 前田 裕太 松島 健 中元 真美 宮町 凛太郎 大倉 敬宏 吉川 慎 宮町 宏樹 柳澤 宏彰 長門 信也
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

蔵王山は,東北日本弧中央部に位置し宮城県と山形県にまたがる第四紀火山であり,現在の蔵王山の火山活動の中心となる中央蔵王においては,火口湖・御釜周辺での火山泥流を伴う水蒸気噴火など多くの噴火記録が残されている.一方,蔵王山直下では,2011年東北地方太平洋沖地震以後,深部低周波地震の活発化や浅部における長周期地震や火山性微動の発生が認められ,今後の活動に注視が必要であると考えられる.そのため,地震波速度構造や減衰域分布といった将来の火山活動推移予測につながる基礎情報を得るために,「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の一環として,人工地震を用いた構造探査実験を実施した.本人工地震探査は,全国の大学・気象庁あわせて9機関から21名が参加して2015年10月に行われ,2箇所のダイナマイト地中発破 (薬量200kgおよび300kg) によって生じた地震波を132点の臨時観測点 (2Hz地震計・500Hzサンプリング記録) および定常観測点において観測した.測線は,屈折法解析による火山体構造の基礎データの取得およびファン・シューティング法的解析による御釜周辺の地下熱水系の解明を目指し,配置設定を行った.また、地中発破に加え、砕石場における発破も活用し、表面波解析による浅部構造推定の精度向上も目指した.得られた発破記録から,解析の第一段階として,初動到達時刻を手動検測して得られた走時曲線のtime term法解析を行った結果,P波速度5.2~5.5 km/sの基盤が地表下約0.5kmの浅部にまで存在することが明らかとなった.また,本人工地震探査時および2014年に予備観測として行った直線状アレイを用いた表面波の分散性解析の結果も,ごく浅部まで高速度の基盤が存在することを示し,これらの結果は調和的である.一方,ファン状に配置した観測点における発破記録の初動部および後続相のエネルギーを発破点からの方位角毎に求め,御釜・噴気地帯を通過する前後の振幅比から波線に沿った減衰を推定した結果,御釜やや北東の深さ約1km前後に減衰の大きな領域が存在することが示された.中央蔵王においては,これまで主に地質学的手法により山体構造の議論が行われてきており,標高1100m以上の地点においても基盤露出が見られることなどから表層構造が薄い可能性が示唆されてきたが,本人工地震探査の結果はこの地質断面構造とも整合的である.一方で,得られた速度構造は,これまで蔵王山の火山性地震の震源決定に用いられてきた一次元速度構造よりも有意に高速度であり,今後震源分布の再検討が必要である.また,御釜やや北東の噴気地帯直下の減衰域は,長周期地震の震源領域や全磁力繰り返し観測から推定される熱消磁域とほぼ一致し,破砕帯およびそこに介在する熱水等の流体の存在を示唆する.今後のさらなる解析により,震源推定の高精度化など,火山活動および地下流体系の理解向上が期待される.
著者
鈴木 幸久 清澤 源弘 若倉 雅登 石井 賢二
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.405-410, 2017-12-25 (Released:2018-01-29)
参考文献数
14

眼瞼痙攣は,眼輪筋の間欠性または持続性の不随意な過度の収縮により開瞼困難をきたす疾患である.局所性ジストニアの一型であり,病因についてはまだ解明されていないが,脳の機能的異常が原因と考えられている.眼瞼痙攣患者の自覚症状の訴えは,「まぶしい」,「眼を開けていられない」など多様で,特に初期では眼輪筋の異常収縮がみられないことも多い.眼瞼痙攣と鑑別を要する疾患として,ドライアイ,眼瞼ミオキミア,片側顔面痙攣,開瞼失行症などが挙げられるが,これらの疾患は眼瞼痙攣に合併することもある.診断は,問診,視診,既往歴などから総合的に判断するが,特に明らかな眼輪筋の異常収縮がみられない症例に対しては,速瞬,軽瞬,強瞬などの誘発試験を用いると有用である.また,薬剤性眼瞼痙攣も存在するためベンゾジアゼピン系薬などの服薬歴の聴取も必要である.ポジトロン断層法と18F-フルオロデオキシグルコースを用いて本態性眼瞼痙攣患者21例,薬剤(ベンゾジアゼピン系)性眼瞼痙攣患者21例,ベンゾジアゼピン系薬を使用している健常人24例の脳糖代謝を測定した.本態性および薬剤性眼瞼痙攣群では,健常群63例と比較して両側視床の糖代謝亢進がみられ,薬剤使用健常人においても視床の糖代謝亢進がみられた.眼瞼痙攣では,基底核-視床-大脳皮質回路の賦活化によって視床の糖代謝亢進がおこっており,それが病因の一つになっていると推測した.
著者
倉林 義正
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.25-32, 1991

去る1990年11月,ニューヨークの国連本部は,現行の「新SNA」に対してさらに改訂の草案を発表した。SNAは産業連関表や資金循環勘定,さらには国民貸借対照表を含む総合的な国民経済計算のシステムである。その改訂が意味するところは各国の経済・社会政策にとってもきわめて大きな影響を及ぼす。筆者はこの再改訂のさなかの3年有余を国連統計局長として在任され,再改訂に直接関与された。この再改訂の動きを実感のこもった,貴重な体験を含めて,以下に展開する。
著者
高倉 弘喜
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.126-133, 2015

サイバー攻撃の手法は日々進歩している.従来,サイバー攻撃に使用されるプログラムの開発では,有効性確認のためにインターネット上のコンピュータを無差別に攻撃する試し撃ちが世界中で観測された.それを観測・解析することにより攻撃者が狙っている脆弱性の推定,攻撃プログラムの開発状況を把握し,事前に防御策を講じることも可能であった.しかし,2010年代に入り,攻撃者の目的が愉快犯的なものから機密情報や個人情報など価値のある情報窃取に移行したため,試し撃ちの観測は困難となりつつある.攻撃者は事前の綿密な調査を経て,標的とする組織や人物に特化した攻撃プログラムをインターネット上で試用することなく開発し,対象者のPCに直接感染させ乗っ取ることができるようになった.このため,従来の観測手法ではサイバー攻撃の状況を把握しにくくなっている.この問題に対処するため,組織内ネットワークの通信を監視し,基準を超える異常な通信を見つけ出す手法が求められつつある.
著者
佐倉 統 福住 伸一 中川 裕志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.4Rin138, 2019

<p>この論文の目的は,人とAIが一緒に写っている写真を対象にしてそれらの構図を分析すること(図像分析)が,人−AI関係の文化的相違の解明に資すると示すことである.試行的に得られたインターネット上の画像から,日本由来の写真では人とAI/ロボットは横並びに位置してこちらを見ていることが多く,欧米由来の写真では人とロボットがお互いに向き合っている構図が多いことがわかった.共視論研究(北山,2005)によれば,日本の浮世絵の母子像は何か別の物(第三項)を一緒に注視していることが多く,西洋の絵画ではこのような共視は少ないという.このような"共視"は人では生後9か月から見られるようになる.浮世絵の母子関係と同じパターンが人−AI関係にも見られるのだとすると,それはAIやロボットが人間の子供と同じく何物か(第三項)を共同注視することのできる存在,それだけの認知能力をもった存在として日本では無意識に認知していることを示唆する.欧米ではAI/ロボットはもっと人に従属する存在として位置づけられているのではないか.今後より体系的な図像分析をおこない,東アジア内での国際比較(日韓台)をおこなう必要がある.</p>
著者
衛藤 久美 中西 明美 藤倉 純子 松下 佳代 田中 久子 香川 明夫 武見 ゆかり
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.252-266, 2019-05-15 (Released:2019-06-11)
参考文献数
17

目的 埼玉県坂戸市が2006年より女子栄養大学と協働して取り組んできた,坂戸市全小・中学校における「坂戸食育プログラム」(以下,食育プログラム)の評価を行い,これまでの成果と今後の課題を明らかにすることを目的とした。方法 本プログラムの対象は,小学5年生から中学2年生の全児童生徒である。本研究では,2006年度から2014年度に実施された児童生徒および教師対象の調査データを用い,経過評価および影響評価を行った。食育プログラムの授業実施状況および学習者の反応を把握するための調査(調査A),食育プログラム実施者のプログラムに対する反応として,小・中学校教員の食育プログラムへの関わりによる変化を確認するための調査(調査B)のデータを用いて経過評価を行った。4年間の児童生徒の学習効果を確認するための追跡調査(調査C),各学年の児童生徒の学習効果を確認するための前後比較調査(調査D),4年間の食育プログラム学習後の生徒の状況を把握するプログラム終了後調査(調査E)のデータを用いて影響評価を行った。活動内容 小学校の4年目ならびに中学校の2年目に教員が回答した授業実施状況について,授業が指導案通り「実施できた」クラスが7割以上,教材を「すべて使用した」クラスが8割以上,学習内容を児童生徒たちが「ほぼ理解できた」クラスも5割以上だった。小学校教員ならびに中学校男性教員は,研修会参加や授業実施経験がある者において「食育への関心が高くなった」と回答した者の割合が高かった。児童生徒の学習効果について,4年間の食育プログラムの学習効果はみられなかったが,各学年の食育プログラム学習前後に,具体目標②「健康を考え,バランスの良い食事をとろう」に関する食態度が改善した。終了後調査より,4年度すべて9割以上の中学2年生生徒が,食育プログラムを「学習してよかった」と回答した。結論 食育プログラムは,継続的に実施され,教員の食育への関心を高めることに役立っていると示唆された。児童生徒は,授業に多く含まれる目標「健康を考え,バランスの良い食事をとる」ことに関する食態度で有意な変化がみられた。今後は,学習内容の改善や,継続的な食育プログラムの実施体制の推進の他,学校を拠点とし,児童生徒の家族等他世代へも波及するような食育の検討が必要である。
著者
沼間 雅之 宮崎 雅雄 梅原 健治 倉田 浩
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.173-177, 1997

食品製造工程上の汚れ (主に残留蛋白質) を検出する洗浄度判定キットを用い, 各種食品の検出感度, 牛乳濃度と大腸菌数の増殖経時変化を調べた.フキトリマスターを用いると牛乳ではおよそ80mg/m<SUP>2</SUP>, 脱脂粉乳では2mg/m<SUP>2</SUP>, 固形チキンコンソメでは20mg/m<SUP>2</SUP>, 卵白においては4.2mg/m<SUP>2</SUP>の汚れ量の検出が可能であった.これは目視観察できる汚れ量のおよそ1/3から1/400であった.分光光度計を併用すればさらに検出感度は向上することがわかった.一方, 大腸菌はわずかな栄養源の存在下でも増殖する可能性が示唆された.すなわち菌が増殖するレベルまで汚れの残存 (清浄度) を管理するためには, 目視観察による判定では管理不十分と考えられた.<BR>以上の成績から, 製造工程の自主衛生管理のための洗浄度モニタリグの極めて有効な手法の一つとして市販の洗浄度判定キット (フキトリマスター: コニカ) の使用を提案する.
著者
倉島幸雄編著
出版者
たいせい
巻号頁・発行日
1995
著者
小倉 加奈代 田中 唯太 西本 一志
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.15, pp.1-8, 2012-01-12

大皿料理が食卓で共有されると,場の一体感が生まれ,一見すると円滑かつ楽しいコミュニケーションが繰り広げられる.しかし,実際には,言葉をかわす範囲は限定的であり,さらには,日本特有の食文化である 「遠慮のかたまり」 からわかるように,個々人の意思疎通が必ずしもうまくいっているわけではなく,大皿を介した食卓でのコミュニケーションは,さらなる拡がりの余地が残されていると言える.そこで本研究では,大皿のとりわけに 「お酌」 行為を取り入れ,個々人のインタラクション機会を増加させるというアプローチをとることで大皿を介した食卓コミュニケーションの潜在可能性を引き出す試みを行った.We seem to enjoy conversations because we have integrated feelings when we share platter-foods. But we have a limitation of communications. In addition, we can't communicate freely as we know "the last piece we are waiting for someone to eat" as a Japanese food culture. We have a room for expanding and activating communications. In this study, we try to adapt 'oshaku' when we serve a food from big plates because we make many chances to communication and we draw possibilities of communication on platter-mediated communication.