著者
松倉 昂平
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部言語学研究室
雑誌
東京大学言語学論集 電子版(eTULIP) = Tokyo University linguistic papers (eTULIP) (ISSN:13458663)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.e1-e31, 2017-09-30

石川県加賀市塩屋方言は、母音の広狭、子音の有声性といった語の分節音の構造によってアクセント核の置かれうる位置が厳しく制限されるという特徴を有する。語音の構造に加え、語の長さ、語種、形態素境界の位置といった要素も複雑に関与する。これらの特徴は金沢市方言(上野・新田 1982, 1983)など石川県加賀地方の諸方言に広く共通する性質とみられるが、加賀地方南部にありながら子音の有声性がアクセントの分布に密接に関与する点など、従来報告のあった近隣の方言(加賀市大聖寺方言など)との相違点も認められる。論文 Articles
著者
Munchan Chutharat 倉田 修 畑井 喜司雄 羽柴 典子 中岡 典義 川上 秀昌
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.179-182, 2006-12-15
参考文献数
13
被引用文献数
4 13

2004年4月に養殖シマアジ幼魚に真菌病が発生し, 多数の魚が死亡した。瀕死魚は腹部膨満を呈し, 腎臓や脾臓は腫大し, 結節形成が見られた。病魚の腎臓から菌の分離を試みた結果, 純培養状に単一の集落が出現した。分離菌の集落は淡褐色で, 分生子は1端が丸い長円形で2細胞性であった。菌は<i>O. humicola</i> に同定された。本菌は通常, 海産魚の稚魚の皮膚に発生する真菌病であるが, 幼魚の内蔵に発生したのは初めての例である。
著者
五月女 華 小倉 明夫 浅井 歩実 藤生 敦哉
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.861-868, 2018

<p>Capillaries are the most basic and important blood vessel of the circulatory systems. The evaluation of the blood flow may contribute to many studies in future. We evaluated the capillary blood flow change of lower limb muscle over time before and after the exercise used by magnetic resonance imaging-intravoxel incoherent motion (MRI-IVIM) obtained perfusion information. Furthermore, we examined an association between the muscle pain after the exercise and the diffusion weighted image (DWI) indexes. DWI was imaged using multi-b values for a thigh and calf muscles. MRI was performed just after an exercise test, 3, 6, and 24 hours later, and the IVIM index and diffusion index were calculated. Furthermore, we interviewed the degree of the muscle ache 24 hours later. As a result, pseudo diffusion coefficient (D*) and f value as IVIM index increased after-exercise as compared with pre-exercise and decreased in 3 hours later. A similar tendency was found in the apparent diffusion coefficient and the diffusion coefficient as diffusion index. Furthermore, all indexes increased in after exercise from before exercise and decreased with time passed and increased again 24 hours later. In conclusion, IVIM could obtain capillary blood flow information, and it was suggested to contribute for sports medicine in future.</p>
著者
石倉 武 最首 貞典 助清 満昭 友澤 史紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.16-23, 1999
被引用文献数
2

コンクリート廃材からの再利用はこれまで主に路盤材, 埋戻し材に用いられてきたが, 今後適用先を拡大するためには再生材料の高品質化が必要である。このような観点から原子力発電所の解体時に大量に発生するコンクリート廃材から, 高品質の再生骨材を製造する技術開発を実施してきた。機械すりもみ法および加熱すりもみ法による再生骨材製造技術に関する (1) 再生骨材, (2) 再生骨材を用いた再生コンクリート, (3) 実大壁モデルについて小規模装置で試験した結果, 普通骨材に匹敵する品質の再生骨材の回収に成功した。
著者
名倉 秀子 藤田 睦
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】平成24,25年度特別研究「次世代に伝え次ぐ日本の家庭料理」に基づき,昭和30~40年頃の家庭料理を含めた食生活の様子,家庭料理を聞き書き調査し,次世代に伝え継ぐ家庭料理における間食の特徴を検討した。<br />【方法】栃木県内の那須野ヶ原,日光山間,両毛山地,渡良瀬流域,鬼怒川流域2か所の全6地域について,家庭の食事作りに係わってきた19名を対象に面接調査を行った。対象者はその地域に30年以上居住している60歳以上とし,地域での暮らしと食生活の特徴と概要,印象に残っている食と暮らし,伝え継ぎたい家庭の料理を聞き書き調査した。その内容から,間食に関係する料理を抽出して,特徴をまとめた。<br />【結果】昭和30年~40年頃における栃木県内の農家数は約125,000戸,昭和16年~平成27年の農林センサスにおいて最も農家戸数の多い期間で,現在の2.3倍であった。調査対象者も農家(自給的農家を含む)であるため,間食の位置づけは農作業の空腹を満たす小昼飯(こじはん,こじゅはん)であった。料理では,芋類のさといもを「いも串」,じゃがいもを「いもフライ」,さつまいもを「かんそう芋」,「ふかし芋」,米類のもちを「揚げもち,のりもち,豆餅」,もち米とうるち米を使用して「かんごろし」,小麦類の「炭酸饅頭」などが挙げられた。芋類,小麦類,米類の他にトウモロコシを茹でるかまたは蒸したり,「そばがき」や「甘酒」などに加工するなど,収穫された農産物や屋敷回りにある生柿,干し柿などを間食に利用していることが明らかになった。また,お茶と一緒にぬか漬け,たくあん漬けなどの漬物(こうこ)を一緒に食べている事が特徴として挙げられた。
著者
相原 一貴 松下 和太郎 小野 武也 石倉 英樹 佐藤 勇太 松本 智博 田坂 厚志 積山 和加子 梅井 凡子 沖 貞明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】整形外科的手術で出血量抑制のために使用されるターニケットは,虚血再灌流障害を引き起こし骨格筋の浮腫や炎症,萎縮を発生させる可能性が報告されている。我々は先の動物実験において,圧力300mmHgで90分間ターニケットを使用すると,虚血再灌流後に筋収縮力の低下が生じ,その低下は再灌流後7日目においても完全回復に至らないことを明らかにした。しかし,7日目以降の筋収縮力の変化に関しては不明である。そこで,虚血再灌流後の筋収縮力の変化を明らかにする目的で,虚血再灌流後14日目における筋収縮力の測定,および歩行動作との関係について検討した。【方法】10週齢Wistar系雄ラット12匹(体重360.1±14.2g)を6匹ずつ正常群(以下C群)と虚血再灌流群(以下IR群)に分けた。IR群は,まず麻酔下で後肢にターニケットカフを巻き,圧力300mmHgで90分間の駆血を実施した。そして14日後に,両群の筋収縮力の測定と歩行観察を実施した。歩行観察は傾斜0°のラット用トレッドミル上を分速10m/minで歩行させ,その様子をビデオカメラで撮影し,その動画から足指伸展角と踵骨高を測定した。足指伸展角は爪先離地時に踵骨と第4中足骨を結ぶ線と床に平行な線がなす角度とし,値が小さい程伸展していることを示す。また踵骨高は足底接地時の踵骨と床の垂直距離とした。筋収縮力の測定は,ヒラメ筋を摘出し95%酸素および5%二酸化炭素の混合ガスを常時通気しているリンゲル液で満たしたオーガンバス内へ入れ,電気刺激を加え測定した。測定後のヒラメ筋は,凍結させHE染色し筋横断面短径を測定した。統計学的解析は,対応のないt検定を用い,危険率5%未満をもって有意差を判定した。【結果】筋収縮力はC群116.5±7.4g,IR群69.2±13.3g,筋横断面短径はC群58.6±2.8μm,IR群46.3±4.2μmであり,どちらもC群に比べIR群に有意な低下が認められた(P<0.05)。一方,歩行に関する測定項目である足指伸展角および踵骨高では,両群間に有意差は認められなかった(P<0.05)。【結論】本研究結果にて,筋収縮力や筋横断面短径はC群よりもIR群が有意に低下していたが,歩行に関する評価項目に有意差は認められなかった。一般的に筋収縮力は,筋横断面積と比例関係にある。また,虚血再灌流障害の症状として浮腫や炎症,筋萎縮が報告されている。そのため,IR群では虚血再灌流により低下した筋収縮力が完全回復していないことが推測できる。一方で,歩行に関して差がなかったことについては,歩行自体は低負荷の運動であるため,運動から筋機能の状態を評価するには,より負荷の高い運動に対する反応から判断する必要性が示唆されたと推測する。よって,虚血再灌流後14日では,歩行が正常であっても,筋機能の回復は完全ではない可能性があることを明らかにした。
著者
坂東 芳行 倉石 迪夫 西村 誠 服部 真 竹下 功
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.803-809, 1988-11-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

ガス吸込み式気液同時吹込みノズルを備えた気泡塔の流動特性について実験的に検討した.吸込みガス量およびガスホールドアップは, 液流量の増加につれて, 増大した.また, 前回報告したエアリフトと気液同時吹込みノズルを組合せた場合と比較した.本測定条件下では, 吸込みガス量についてのノズル部の最適寸法は次のようであった.ノズル長さ/ノズル径= 20 ~ 30オリフィス径/ノズル径 =0.5 ~ 0.6また, ノズル径 30mm以下では, ノズル径が大きいほど, 動力当たりの吸込みガス量は高くなった.一方, ガスホールドアップについては, 操作条件により最適ノズル径が変った.気泡塔内においては, エアリフトと組合せた場合と同様, 噴流部および斉流部が観察され, 気泡径は小さく, ガスホールドアップおよび気液界面積は高くなった.ガスホールドアップ, 気液界面積のエネルギー効率は本方式の方がエアリフト式よりも高かった.
著者
板倉 宏昭
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.22-22, 2011

地域産品ビジネスには,消費者と生産者間の人間的な物語に対する能動的な共感によるヒューマン効果(human effect)が要素となる。理論的には,消費の外部性の議論だけでは不十分であることを示したい。消費者は、希少性、流行、奢侈性といった他の消費者に対する受動的な反応をしているだけではない。以上のことを四国地方のケーススタディを通じて検証したい。
著者
松田 研一 倉永 健史 脇本 敏幸
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.650-654, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
9

環状ペプチドは生物活性天然物に数多く見られる骨格であり、大環状化によって消化酵素による分解を免れ、膜透過性や標的分子への特異性が向上する。環状ペプチド生合成における環化酵素はこの大環状化反応を極めて効率的に触媒する。我々が見出した非リボソーム型ペプチド生合成における新しい環化酵素は2つの異なる鎖状ペプチドを環化するため、広い基質特異性を有し、ペプチド大環状化生体触媒としての応用が期待できる。
著者
福士 賢二 武内 春夫 倉内 博 森井 晶克 辻井 重男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.68, pp.21-26, 2002-07-18
参考文献数
1
被引用文献数
1

インターネットの普及に伴い、Webページ改ざんなどの被害を与える不正アクセスが多発している。侵入検知システムにより不正アクセスは検出できるが、各種被害の検出から、原因の特定、対策の提示までの一連の被害解析は、管理者が関連知識や専門的技術を駆使して実現している。本文では、不正アクセスによる被害の検出、原因の特定、および対策の提示を自動化することにより、管理者の被害解析を支援するシステムを提案する。さらに、そのシステムを試作して評価した結果について考察する。Illegal accesses such as Web page defacing have become frequent as the Internet gains popularity. Intrusion Detecion Systems can dtect illegal sccesses. But, the procedure of damage analysis, from detection of a damage, identification of its cause, to recommendation of countermeasures, are performed by system managers using expertise and knowhow. This article proposes a system which supports system managers in analyzing damages caused by illegal accesses, by automatically detecting a damage, identifying its cause and recommending countermeasures. We implemented and evaluated a prototype. We will examine the results.
著者
小倉 長雄 林 龍二 荻島 太一 阿部 雄幸 中川 弘毅 竹花 秀太郎
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.519-523, 1976
被引用文献数
1 6

Tomato fruits were harvested at mature green stage and stored at 4, 20, 33&deg;C and room temperature. The ethylene production by these fruits during the storage was studied along with carbon dioxide production.<br> At room temperature, a marked increase in ethylene production preceded the respiratory climacteric rise.<br> At 33&deg;C, respiratory rate declined progressively and ethylene production was greatly reduced during the storage. When the fruits were transferred to room temperature, ethylene production was recovered to a half level of production at room temperature.<br> At 4&deg;C, respiratory rate was repressed to low level and ethylene production was barely detectable during the storage. A large amount of carbon dioxide and a small quantity of ethylene were produced after the transfer to room temperature.<br> Ethylene treatment (50 ppm) at 20&deg;C, caused mature green fruit to ripe earlier and to cause the climacteric rise in respiration also more rapidly. At 4 and 33&deg;C, however, changes in respiratoy rate and progress of ripening were not observed.
著者
小泉 範明 國場 幸均 村山 康利 栗生 宜明 中西 正芳 阪倉 長平 大辻 英吾
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.1632-1638, 2011-12-01 (Released:2011-12-20)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

症例は52歳の男性で,他院でStage IIの直腸癌に対して低位前方切除術を施行されている.術後1年4か月で血清CEA値の上昇を認め,腹部CTおよびMRIで吻合部周囲に多発する嚢胞性腫瘤を指摘された.大腸内視鏡検査では吻合部の口側に粘膜下腫瘍様の隆起性病変として認められた.FDG-PETでは同部に一致してFDGの集積を伴っていたため局所再発と診断され,当科に紹介となり手術を施行した.病理組織学的検査では悪性所見を認めず,最終的にimplantation cystと診断した.本症は消化管吻合に伴って生じるまれな合併症であるが,いまだ広く認識されておらず,確定診断に苦慮することも多い.器械吻合の普及に伴って増加しており,再発との鑑別に際して念頭に置くべきである.血清CEA値の上昇やFDG-PETで集積を認めた報告は過去になく,本例はまれな1例であると考えられたので,文献的考察を交えて報告する.