2 0 0 0 OA 肝不全

著者
垣花 泰之 岩倉 雅佳 谷口 賢二郎
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.327-333, 2016 (Released:2017-04-12)
参考文献数
25

急性肝不全・劇症肝炎では,安静時エネルギー消費量の増加,グルコースおよび遊離脂肪酸利用率の低下,BCAA/AAA 比の低下が特徴であり,一方,慢性肝不全・肝硬変では,貯蔵グリコーゲン減少に伴う飢餓状態,アミノ酸代謝異常による肝性脳症が特徴的である.栄養状態の悪化を防ぐため,肝性脳症の急性期以外に蛋白質制限を行わないことや,肝硬変例には1.2 g/kg/日を目安に十分量の蛋白質を投与することが推奨されている.さらに,肝不全用アミノ酸製剤は肝性脳症に限定され,経口分岐鎖アミノ酸製剤の積極的な投与が,生存率やQOL 向上につながることが報告されている.グリコーゲン貯蔵量が少ない慢性肝不全・肝硬変例に対して,早期飢餓状態の軽減や栄養状態改善に対する夜間就寝前捕食の有効性,ビタミンB1, 亜鉛,脂溶性ビタミンなどの欠乏症に対するアセスメントなどの推奨項目が提示されている.本稿では,エビデンスに基づいた肝不全の栄養管理法を示すとともに,肝性脳症に対する急性血液浄化療法の最新の知見に関しても解説した.
著者
倉本 到
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,インタラクションエージェントに個性を付与することにより,その対話経験を豊かにすることを目指した.その結果(1)人間の性格を付与したエージェントとの意思決定対話の満足度や推薦への影響が見られた,(2)外見的性質に基づきユーザの内面的性格を表出する手法として,アニメ―ションや漫画などで用いられるステレオタイプ性の強い性格表現法および「母親らしい」テキスト表現を用いることで,擬人化エージェントが提供するインタラクティブシステムの機能性や性質を明らかにしたり,ユーザへより親密な,かつより強く印象付けられるような表現を作り出すことができた.
著者
板倉 悠里子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2010年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.96, 2010 (Released:2010-11-22)

I はじめに 文学作品を扱った地理学的研究は,作品のジャンルや分析の視点において多岐に渡っている.その中で,複数の作家の作品群を使用した場所のイメージ研究では,文学作品の記述のみを分析の対象としたものが多く,作品に多大な影響を与えると想定される作家の経験はほとんど対象とされてこなかった.また,作家の経験を元にしたイメージの研究では,特定の作家のみが扱われ,複数の作家において,場所の経験の違いによるイメージの差違は明らかにされてこなかった. そこで本研究では京都を舞台とした文学作品を事例に,作品を書いた作家の場所の経験,特に京都での居住経験により,文学作品に出現する場所の分布や出現数,出現した場所の傾向,その場所に対して付与されたイメージに差異があるのかを明らかにする.また,作品全体において京都のどのような部分が認識されているのかを明らかにし,作品の舞台としての「京都」の特性を考察する. II 研究方法 研究対象地域は京都府京都市とし,研究の対象となる作品は,京都を舞台にした文学作品を紹介している書籍から,主に近現代(明治~昭和)の文学作品を抽出し決定した.それらの作品中に現れた場所とそのイメージを表す語の抽出を行い,場所の出現数や分布状況から,出現した場所の傾向,イメージを表す語の構成に関して特徴を分析した.その際,分析の視点として作家の京都での居住経験を主な視点とし,作家を類型I:京都で生まれ育つ,類型II:京都に一時的に住む,類型III:京都に住んだことはない,という3類型に分け分析を行った.また,作品を総合して京都のどのような部分が作品中に現れたのか,その分布の特徴や出現した場所の傾向から作品の舞台としての京都の特性を考察した. III 結果・考察 場所の出現数に関しては作家類型による差違が見られなかった.場所の分布状況に関しては作者の場所の経験による特徴も見られるが,同時に作品の内容に依るところも大きく,居住経験による明確な差違はないと考えられる.場所の表記の仕方や出現した場所に関して,類型Iの作家は通り名での表記が多く,観光地ではない場所を出現させる傾向がある.対して類型IIIの作家は地点名での表記が多く,観光地を多く出現させる傾向がある.類型IIの作家は類型Iと類型IIIの中間的な特徴を有している. 場所のイメージに関しては,類型Iでは場所のイメージが地物で構成されていることが多く,その場所がどのような雰囲気か,その場所をどのように感じたかということがあまり含まれない.それに比べ,類型IIIではその場所の雰囲気や,場所に対して感じたことでイメージが構成されている.類型IIではイメージを構成するものとして比較的地物が多いが,その場所の雰囲気や感想も含まれており,類型IとIIIの中間的な存在であると言える. 以上のことから,場所の認識やイメージには,京都に対して「内部者」であるか「外部者」であるか,つまり京都をどのように経験しているかという違いが大きく影響していると考えられる.類型Iの作家は京都で生まれ育った「内部者」であり,彼らにとって周りにある風景は当然の物であるため,場所への意識は希薄となる.そのため,場所のイメージはその場所を認識するためのもの,すなわちその場所を構成する要素が主となる.一方で類型IIIの作家は京都に居住したことがない「外部者」であり,場所に対する意識は高い.そのため,場所のイメージは自身がその場所で実際に経験した感情が主となる.類型IIの作家は両者の中間的な存在であると言えるが,類型内で居住経験の仕方によって「内部者」よりの視点と「外部者」よりの視点に別れる. また,作品全体において,京都として意識されている場所は京都駅よりも北側,特に四条河原町を中心とした繁華街の地域や,嵐山に代表される観光地,寺社仏閣,そして山や川が多い.ここから,文学作品で表された京都の特性には、以下の3つがあげられる.(1)生活の場としてではなく観光や遊びのための場,すなわち「娯楽の場」としての特性.(2)「寺社仏閣の街」という特性.(3)「盆地地形」「河川」という地形的・自然的な特性.これらの特性は,京都に対して人々が持つイメージの形成にも大きく関わっていると考えられる.
著者
倉井 龍太郎
出版者
ERATO湊離散構造処理系プロジェクト
巻号頁・発行日
2011-06

インターネットの本格的な普及から十数年が経過し、成熟しつつあるように見えるWebサービス業界ですが、現在も驚くべき速度で技術革新や新たなサービスが生まれています。なかでもTwitterやFacebookといったリアルタイム性が高く、そしてソーシャルな関係性をもったサービスは高い関心を集めています。一方で各サービスが扱うデータベースはより大量かつ高速な処理が求められており、RDBMSだけでは対処できず、NoSQLと呼ばれるSQLに代わるDBシステムが台頭しはじめています。またWebサービスを通じて集積された巨大なデータに対してはMapReduce(Hadoop)を利用したデータマイニング・機械学習が、クライアントサイドに対しては、スマートフォンに向けたアプリケーション開発が注目されるなど、幅広く様々な技術がWeb業界と関わるようになっています。今回はこれらの現在注目されている技術やサービスについて、株式会社はてなでの研究開発事例も交えながら解説します。また、はてなでの研究開発事例については、現在Webで注目されているドキュメントの発見、ドキュメントのクラスタリングとトピック抽出といった研究事例、スマートフォンアプリ開発動向について説明させていただきます。
著者
立松 宏一 廣田 誠一 高倉 政寛 月館 司 鈴木 大隆 羽山 広文
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.80, no.707, pp.67-77, 2015-01-30 (Released:2015-03-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1 3

The thermal performance and equipment type specified for a newly built house were investigated as benchmarks to enable the selection of appropriate insulation and equipment specifications. The prevalence of electric heater installations for space heating and hot water supply decreased in 2012, compared to 2011. However, it is estimated that the primary energy consumption is high in particularly cold areas of Hokkaido, because this type of equipment remains common in these areas. Because there is an initiative to contractors when the equipment type is determined, it is important to provide appropriate information to these contractors.
著者
倉恒 弘彦
出版者
医学書院
雑誌
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 (ISSN:18816096)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.11-18, 2018-01-01

本稿では,プライマリ・ケアを担っている医療機関において利用されることを目的に厚生労働科学研究班より2016年3月に改訂された筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)臨床診断基準を紹介するとともに,ME/CFS診療が行われている代表的な医療機関において現在実施されている治療法やその予後についても解説する。
著者
原田 圭裕 古屋 貴大 高橋 信道 長谷川 光洋 中里 智章 大倉 典子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.68, pp.131-134, 2014-05-22

近年,若者の車離れが指摘されている.その問題に対して先行研究では,若者が車に対して魅力を感じてもらうためには,車の外見だけではなく「運転する楽しさ・喜び・感動」といった「わくわく感」を体感できることが重要だとされている.そこで本研究では,若者の「わくわく感」を生体信号で定量評価し,そこで得られた知見を,車載機器に適用し,評価することを目的とする.本報では,作成したわくわくするコンテンツに対して,生体信号から導出される生理指標を用いて評価した実験について報告する.
著者
階堂 武郎 鈴木 幸子 本田 靖 本城 綾子 前倉 亮治
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.85-93, 2017-05-31 (Released:2017-06-26)
参考文献数
18
被引用文献数
1

A cohort study was conducted on 27 patients suffering from chronic obstructive pulmonary disease (COPD) and visiting outpatient medical facilities within Osaka Prefecture, to elucidate meteorological factors related to their complaints of dyspnea and disease exacerbation.Measurements in patientsʼ bedrooms made daily between 00:00-06:00 from July 1 to August 31, 2012 showed that the percentage of patients exposed to a wet-bulb globe temperature (WBGT) of ≧ 28°C increased between mid- and late July, reaching a one-day peak of 21%. In addition, 62.5% of patients experienced a WBGT of ≧28 °C at least once during the monitored hours in the same period. The results of applying a logistic regression model to data from June 1 to September 30, 2012 showed that the minimum WBGT in a patientʼs bedroom, even when controlled for daily minimum temperature, has statistically significant association with complaints of dyspnea and bad physical condition. This finding demonstrated that regulating a patientʼs bedroom environment is very important in the summer season.
著者
朝倉 徹
出版者
東海大学
雑誌
東海大学課程資格教育センター論集 (ISSN:13492438)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.43-49, 2006

1910年代からアメリカ,フランス,ドイツ等を中心に「科学的管理法」が浸透し,その後日本にも波及した。「科学的管理法」は「効率・能率主義」を生み,それが社会思想,教育思想にも大きな影響を及ぼした。その一例は,多くの小説や映画,教科書教材(等のメディア)が露骨な主題主義,単純明快な人物感情描写へと変質した(「道徳的価値」の分かりやすい提示=強制)ことであり,その過程で効率良く「正解」を教え込むために事実の捏造も行われた。その後,敗戦による価値観の大変動という転換期を経て,小説や映画は主題を隠し,受容者(読者と視聴者)の解釈に依存する形をとるようになった。学校教育(国語科)でも読解に力を入れ,主題や人物感情の思惟に時間を割くようになった。しかし,1990年代以降,社会にも学校教育にも「効率・能率主義」が復権してきている。「役に立つ」ことを教授することが,教室の中でも,教育研究者の間でも疑うことなく是とされる傾向が見え始めている。「役に立つ」ことは,教育する側が価値づけした事柄であり,それについて逡巡することなく安易に,一方的に提示する指導法は戦前・戦中の思想教育と同質である。この現状に対する処方箋は,「価値ある事柄・事実」を提示・受容(学習)することを懐疑し,「価値・事実」を相対化する(疑いながら受容する)過程の重要性を確認するところから生まれる。人間の認識は,必ず状況(文脈)に依存する。ならば「自明の価値」を流通させる一方通行型の授業は,生理的な認識機能に反することである。「明示された価値」を理解(暗記)する授業ではなく,文脈(状況)に隠れた主題,様々な感情の可能性について逡巡する授業がメディア(映画や文学作品)を用いた授業の方法論として検討されるべきである。それらは甚だ「非効率的」であるが,その有益性について,教育研究者が思惟することは非常に重要なことであると考える。
著者
中田 晋平 倉光 君郎
雑誌
研究報告システムソフトウェアと オペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2010-OS-113, no.16, pp.1-8, 2010-01-20

近年、プロセスグルーピングによるアイソレーションやリソースアカウンティングは、システムの信頼性、安定性向上のため重要な技術になってきている.これに伴い、プロセスグループ単位でのオペレーションが増えると、プロセスグループ単位のセキュリティが必要になる.Linux オペレーティングシステムでは、セキュリティフレームワークとして Linux Security Modules (LSM) フレームワークがあるが、LSM フレームワークではシステム全体でひとつのセキュリティモデルの適用しかできず、プロセスグループ毎にセキュリティモデルを変更したい場合に問題となる.そこで我々は、プロセスグループ毎に独立したアクセス制御モデルを適用させるため、Security Cube LSM を提案し、また、LSM だけでは解決できない問題に関しては LSM フレームワークの拡張を行った.本稿では我々の提案する Security Cube LSM と、LSM フレームワーク拡張のプロトタイプについて Linux 上で実装を行い、動作性能を測定した.測定の結果、オーバヘッドは 8% 未満で収まることを確認した.
著者
倉方 俊輔
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.817, pp.巻末11-13, 2006-03-13

深澤直人の名を知らない人でも、彼のデザインしたプロダクトは見覚えがあるに違いない。例えば、KDDI/auの「インフォバー」(2003年)。タイルのようなボタンが特徴的なバータイプの携帯電話は、二つ折りタイプ一辺倒だった携帯電話の潮流に一石を投じた。3年たった今も愛好者は多い。最近では「neon」という新機種も発表され、話題になっている。
著者
溝田 武人 山本 和幸 小倉 聡樹 大屋 裕二 岡島 厚
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会年次研究発表会・梗概集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.48-48, 2007

サッカーボールの無回転ボールがゆらゆら揺れる現象がある。この魔球は、流体力学的には未だ説明が付いていない。この論文では、サッカーボールの自由落下実験、TV画像解析、風洞実験により、ゆらゆら揺れる流体力学的なメカニズムを明らかにした。すなわち、抗力係数を測った浅井の研究によれば、サッカーボールは縫い目の影響などで滑面球の超臨界レイノルズ数領域に相当する流れで飛翔している。種子田の研究によれば、この領域では球背後に馬蹄形渦と二本の直線的な渦が形成されており、この発生位置が不規則に動く。これにともなって横力・揚力が発生する。風洞実験ではこれらの不規則な力が捕えられた。
著者
大倉 和博 保田 俊行
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

近年,スワームロボティクス(SR)と呼ばれる群ロボットの行動制御に関する研究が大きな注目を浴びるようになってきている.しかし,SR の自己組織化原理に基づく行動制御方式では,「定点に集合する」「互いに離れる」などの非常に限定的な単純タスクしか達成できないのが現状である.本研究では,これを打破すべく,研究代表者が提案している構造進化型人工神経回路網 MBEANN にベースとして可塑的群知能システムを構築するための新理論を開発し,従来法では不可能であった高難易度タスクを達成することに挑戦して SR の新段階を切り開く.
著者
朝倉 聖子
巻号頁・発行日
2016-03-20 (Released:2016-06-13)

平成27年度