著者
西村 竜一 竹本 浩典 加藤 宏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.333, pp.19-24, 2008-11-27

頭部伝達関数は,一般に外耳道をふさいだ状態における,音源から外耳道入口までの特性で与えられる.しかし,実環境と同じ聴感を与えるためには,頭部伝達関数に加えて鼓膜面での音圧が実環境での場合と十分近くなるように制御する必要がある.そこで,ヘッドホン受聴時の補正を,外耳道閉そく状態における外耳道入口の信号で行った場合の,外耳道入口と鼓膜面で実現される特性について検討を行った.先ず,HATSを用いて,外耳道入口と鼓膜面での音圧比を,複数のヘッドホンを用いて測定したところ,必ずしも一定ではないことが確認された.さらに,ヘッドホン聴取時の音響伝搬路の簡単なモデルを想定し,計算機シミュレーションで同様の検討を行った.その結果,共振周波数とその倍音において影響が大きいことが確認された.さらに,実際のヒトが聴取した場合にも同様の傾向が見られるかを調べるため,純音マスキングの聴取実験を行った.その結果,ヘッドホンの違いによる影響の周波数依存性が一部に観測された.
著者
加藤 雪枝
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.249-259, 1995-03-15

三色配色模様の色と形がイメージにいかに影響するかについて検討した.具象形,幾何形,抽象形の各種三色連続模様をテレビモニター上に呈示し,形容詞対を用いて評定した.そして多変量解析法により解析した.人はこれらの模様の色と形の物理的な性質によって類似性を判断し,そのイメージを誘導する.そのイメージは力量性,活動性,華やかさそして評価性の因子で表される.力量性と華やかさの因子には三色の配色関係が影響し,活動性の因子には形が,評価性の因子には色と形が関与することが明らかになった.
著者
野村 誠治 加藤 健次 前野 幸彦
出版者
一般社団法人日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.866-873, 2003-11-20
被引用文献数
1

Chlorine content of bituminous coal was determined and its behavior during carbonization was investigated. The chlorine content in the metallurgical coals used in this experiment was between 100 and 1,500 ppm. Most chlorine in coal and coke was removed by washing with water. CaO addition to coal increased the chlorine residue ratio in coke. The residue ratio of chlorine in coke increased with increasing Ca content in coal. This is considered because chlorine in coal is released as HCl, which is trapped in coke again in the form of CaCl_2 The chlorine residue ratio of coke produced in actual coke oven was higher than that of coke produced in laboratory scale tube furnace. This is considered because released gas from coal has more chances to contact with calcium in the actual coke oven than in the tube furnace. Furthermore the removal of chlorine from NaCl was promoted by co-carbonization of NaCl with coal. This implies that H_2O derived from coal decomposition may help chlorine to be released.
著者
加藤 好郎
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.11-16, 2004-08
被引用文献数
1

大学は、今「知の創造拠点」といわれ、COE、スーパーCOE等の研究基盤整備のための補助金がついている。大学組織の中で、学術情報整備を具体的に実施する機関として図書館が一番適していると考えられる。その事業を実施するために必要なものは、組織の再構築を専門職としての図書館員の育成である。前者については、図書館長あるいは事務(部)長のリーダーシップが、不可欠であり、後者については、現場の研修の充実が必要である。本稿では、現場の図書館員の具体的な研修計画を紹介すると同時に、専門職としての役割、そして主題についてもひとつの指針を示している。そのことは、近い将来、館種を超えた図書館育成コンソーシアム構築の際、その事業のひとつとして有効なものになると思われる。
著者
加藤 圭介 野沢 和典 山下 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.519, pp.223-228, 2003-12-11
被引用文献数
1

本報告では、日本人英語学習者の英文発話における韻律を自動評定する手法について述べる。学習者と英語母語話者の発話を比較し、基本周波数、パワー、発話長の類似度を算出して韻律パラメータとする。2つの発話を比較する際には単語や単語境界部など様々な比較単位ごとに比較し、比較単位による結果の違いを考察した。また、基本周波数とパワーに関してはパターン距離などの従来手法に加え、回帰曲線近似誤差を用いた評定手法を提案し、評定結果の妥当性を検証した。さらに、複数の韻律パラメータを組み合わせ、学習者発話の韻律を評定するモデルを作成した。
著者
宮森 恒 赤峯 享 加藤 義清 兼岩 憲 角 薫 乾 健太郎 黒橋 禎夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.158, pp.103-108, 2007-07-17

本稿では,情報の信頼性を自然言語処理に基づいて分析する際に必要となる評価用データおよびプロトタイプシステムWISDOMについて述べる.われわれは,ウェブ上のテキストを主な対象として,情報信頼性を分析することを目指したプロジェクトを2006年4月より進めている.本プロジェクトでは,ウェブ上の情報の信頼性を,情報内容,情報発信者,情報外観,社会的評価といった4つの基準で捉えることを提案しており,これらを述語項構造を単位とする自然言語処理によって論理的に分析・組織化することを目指している.本稿で述べる評価用データは,これら種々の分析処理の学習・検証用データとして構築されたものであり,時事問題,医療問題等の20トピックを選定し,各100ウェブページを収集して,各評価尺度のデータを人手で付与したものである.また,情報信頼性を多角的に評価するプロトタイプシステムWISDOMを開発した.本システムを用いて上記評価尺度で条件を様々に変化させて情報閲覧することにより,興味のトピックについて,信頼できる情報をより確実に見極めることができるようになる.
著者
関谷 勇司 長 健二朗 加藤 朗 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.87, no.10, pp.1542-1551, 2004-10-01

DNSはインターネットの基盤サービスである.しかし,DNSのサービス状況を測定するための手法はまだ確立されていない.そこで本研究では,インターネットにおける名前解決システムであるDNSのパフォーマンスを測定並びに評価するための手法を確立する.本研究にて提案する手法は,世界各地において手軽に実施できる測定手法であり,どのようなDNSサーバ,若しくはDNSサーバ群に対しても行える手法である.本手法では,dnsprobeというツールとダイヤルアップを用いて手軽に測定を行い,基準DNSサーバを用いることによって,測定結果を補正することが可能である.これによって,世界各地からの測定結果を,補正して一律に比較することが可能となる.今回は,この手法を用いて,ルートDNSサーバヘの到達性を27地点から測定する.この結果によって,現在のルートDNSサーバヘの世界の各地点からの到達性と傾向をつかむことができる.本研究の手法を利用することにより,DNSサービスの公平性を判定したり,新たにDNSサーバを設置する場合の設置場所決定に関する一助とすることができる.
著者
小柴 等 加藤 直孝 國藤 進
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.96-104, 2008-01-15

本論文では,AHP (Analytic Hierarchy Process)を用いたグループ意思決定場面において,グループ構成員間のコミュニケーションを支援するための機能を提案し,その妥当性を実験により検証する.グループで意思決定を下す場合にはグループ構成員間で対人説得など,様々なコミュニケーションが必要となる.しかし,既存のグループ意思決定支援システムの研究ではコミュニケーション自体に関する支援手法の検討はこれまで積極的になされていなかった.そこで本論文では,グループ構成員間のコミュニケーションを支援するための機能として判断メタ情報を提案する.判断メタ情報は精緻化見込みモデルでいうところの周辺的手がかり,なかでも知識・専門性と関心・配慮の知覚を支援しようとするものである.これにより各グループ構成員が有する知識や価値観に対する気づきが促され,互いの思惑が伝わりやすくなること,つまりは円滑なコミュニケーションの実現が期待できる.今回は"対人説得を遂行するうえで重要となる妥協の引き出しやすさという点での他者の思惑の読み取りに,判断メタ情報が有効である"という仮説について検証した.大学院生を被験者とした実験からは,判断メタ情報のある方が相手からの妥協の引き出しやすさを予測しやすいという傾向が見られ,コミュニケーション支援機能としての判断メタ情報の有用性を支持するデータが得られた. : In this paper, we propose communication support function for AHP (Analytic Hierarchy Process) based GDSS (Group Decision Support System). And, we endeavor to verify the effects of this newly proposed function. When we are in group-decision-making process, it is indispensable to communicate with other group-members. However, existing research on GDSS dose not cover the essential elements of the communicational support function. Therefore, to support the communication among group members, we proposed "Negotiation Meta-Information (NMI), " which acts as a peripheral route determinant in Elaboration Likelihood Model (ELM). Especially, we focused on and tried to support "knowledge, specialty and interest, " and "perception of consideration, " among group members that led to support and share the coexistent, as well as group-oriented values. To evaluate, whether NMI is effective or not to generate some clues regarding the possibilities of compromise among group members, we conduct an experimental test with graduate students. Our results suggest that with NMI environment, it is more effective to read the possibility of compromises, than without NMI environment. Hence, we revealed that NMI as a communicational support in GDSS is useful.
著者
藤野 昇三 榎堀 徹 桂 敦史 花岡 淳 小西 孝明 浅田 佳邦 山下 直己 朝倉 庄志 加藤 弘文 森 渥視
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.89-94, 1994-02-20

上皮成長因子受容体Epidermal Growth Factor receptor(EGFr)を, 50例の原発性非小細胞肺癌切除組織において, ^<125>I-EGFを用いた。competitive binding assay法で測定し, 各種臨床パラメーターと対比した.50例の平均assay値(平均値±標準偏差値)は, 31.83±44.07fmol/mg・pで, I期21.25±18.99, II期13.20±12.85, IIIA期41.28±69.27, IIIB期30.08±34.28, IV期57.67+63.50, N_0 26.12±33.21, N_1 14.88±12.75, N_<2,3> 54.55±65.14であった.進行症例で高い傾向にあり, I期とIV期, 早期(I, II期)(19.39±17.86)と進行期(III, IV期)(45.31±58.53), N_0とN_<2,3>, N_1とN_<2,3>およびN_<0,1>(23.00±29.25)とN_<2,3>の問にp≦0.05で有意差が認められた.組織型, T因子, 性別, 年齢などとは, 関連は認められなかった.肺癌組織中のEGFr値は, 核酸量などと同様に肺癌の性格を表すものとして, 予後に関連する可能性があるものと考えられた.
著者
阿部良行 中村 雅登 加藤 優子 小川 純一 井上 宏司 多田 伸彦
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.279-284, 1992
被引用文献数
15

症例は56才男性.胸部異常陰影を指摘され, 肺癌の術前診断で, 左下葉切除・リンパ節郭清術施行(病理診断:大細胞癌, T2NlM0).術後6ヵ月, 急性腹症で緊急入院し, 諸検査で肺癌の副腎転移が疑われた.はっきりした感染がないにもかかわらず, 白血球数は21, 800/μlと異常高値を示した.疼痛軽減を目的に腹部腫瘤摘出術施行し, 病理学的に肺癌の転移と診断された.術直後, 白血球数は低下傾向を示したが, 再上昇し, 術後23日目に腫瘍死した.死亡直前の白血球数は46, 500/μlであった.血清中の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は146pg/ml(正常<60)と高値を示し原発巣および転移巣の腫瘍組織より抽出したRNAをノザンブロット法で解析し, 両者にG-CSFのmRNAの発現を認めた.本症例では, 腫瘍細胞での自律的なG-CSF遺伝子の発現と血清中へのG-CSFの過剰分泌が分子生物学的に証明され, 白血球増多症に対する腫瘍産生性G-CSFの関与が明らかにされた.
著者
加藤 弘徳 千木良 雅弘
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.140-150, 2009-08-10
被引用文献数
1 3

四国中部において東西方向の中央構造線南側に平行する法皇(ほうおう)山脈には山体重力変形が生じている.変形は同構造線に沿う約20kmの区間にわたって断続的に発生しており,そのうち複数の区間では山上凹地の発達が認められる.中央構造線側の山脈北側斜面には脆弱な泥質片岩が流れ盤構造をなして分布し,中央構造線の南側の相対的な隆起運動に伴い,この流れ盤斜面が重力作用により不安定化し,斜面が全体的に北に移動するように変形している.一方で,一般に高角断層とされてきた中央構造線は山体変形箇所の下方で特徴的に南緩傾斜となっている.これは,山体変形に起因する荷重が作用した状態で南側隆起の断層運動が生じ深部の高角断層が地表付近で緩傾斜化して出現し,衝上断層となっているためと推定される.このように,山体重力変形と中央構造線の断層運動およびそれに伴う山体の隆起は相互に関係している.山上凹地の内部に分布するかつての湖沼堆積物の構造および年代測定結果から,山体変形は今から5万年以上前にはすでに発生し,山上には湖沼が形成されたが,今から4.5万〜2.4万年前の間に湖沼は決壊し,現在の地形が形成されたことが明らかになった.
著者
日高 哲雄 大浦 啓一郎 森田 哲之 倉 恒子 田中 明通 加藤 泰久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.244, pp.29-34, 2006-09-08

PC操作履歴は、過去に閲覧したことのあるデータを検索する際に、非常に有効な情報源となりうる。しかし、PC換作イベントをすべて保存する場合、プライバシーの問題など課題が多数存在する。そこで、本報告では、PC操作履歴蓄積に対する要求条件について検討し、その要求条件に基づき開発したシステムMemoryArchiverについて紹介する。さらに、その一機能である記憶忘却機能に関する評価実験結果について報告する。
著者
栗田 昌幸 白松 利也 三宅 晃司 加藤 篤 曽我 政彦 田中 秀明 三枝 省三 SUK Mike
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2005, no.5, pp.283-284, 2005-09-18

Today's head/disk interface design has a wide flying height distribution due to manufacturing tolerances, environmental variations, and write-induced thermal protrusion. To reduce the magnetic spacing loss due to these effects, we have developed an active head slider with nano-thermal actuator. The magnetic spacing of these sliders can be controlled in-situ during operation of the drive. After simulating the heat transfer in the slider and resulting thermal deformation of the air-bearing surface, we fabricated a thermal actuator by thin film processing. The evaluation by a read/write tester showed a linear reduction in magnetic height as electric power was applied to the actuator. The actuator's stroke was 2.5nm per 50mW with time constant of 1 msec. We found no significant impact to the reliability of the read element.
著者
加藤 信巳
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.443-444, 2001-07-31