著者
秋山 陽子 西田 裕介 重森 健太 水池 千尋 金原 一宏 兵永 志乃 池谷 直美 福山 悟史 川久保 知美
雑誌
リハビリテーション科学ジャーナル = Journal of Rehabilitation Sciences Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
no.8, pp.19-33, 2013-03-31

研究報告【はじめに】H-Ex.の実施状況と、動機づけの関連性を検討した。【対象】外来患者24名(平均年齢61±17歳、男性7名、女性17名)とした。【方法】質問紙調査法にて、H-Ex.の実施状況と動機づけの強さおよび個人属性を調査した。動機づけの強さの測定には『Behavioral Regulation in Exercise Questionnaire-2』を一部修正して使用した。【結果】実施状況と動機づけの強さには、有意な相関はなかった。痛みが強いほど、H-Ex.を行わないという有意な相関があった。家族数が多いほど、内発的調整スタイルの得点が低いという負の相関があった。H-Ex.を行わない日が多い群と外的調整スタイルの得点の高い群との間に、有意な分布の差があった。就労形態と、同一視的・取り入れ的調整スタイルとの間にそれぞれ有意な分布の差があった。【考察】H-Ex.の実施状況と動機づけの強さの関係については、両者間に有意な相関がなかった。その要因として、介入そのものが動機づけを強くしたこと、実施状況調査の時期や期間が実施結果を良好にしたのではないかと考えた。
著者
三原 一幸 高岡 京
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.389-393, 1959

リシノール酸およびそれを酸化して得られる12-ケトオレイン酸のサッカロースモノエステルを合成して,その界面活性剤としての諸性状を明らかにするとともに,既に報告があるサッカロースモノステアレートおよびオレエートと,同一条件下における比較検討を行って,脂肪酸基の構造の差異によるその界面活性能の相違について研究を行った結果,(1)これら4種のエステルの表面張力,界面張力は各濃度においてほぼ同じであり,大きい差異はない。(2)浸透性は1%以下の濃度にあっては12-ケトオレエートが,1%にあってはリシノレートが大で,脂肪酸部に親水基を持つものが良好であり,ステアレート,オレエートと大きい差異を生じた。(3)起泡性は12-ケトオレエート>リシノレート>オレエート>ステアレートの順となり,特にステアレートは小さく,1%濃度においては12-ケトオレエートの約1/10であった。(4)乳化性は植物油6種,鉱物油1種について行った結果W/O型エマルジョンでは,ステアレート,オレエートが,O/W型ではリシノレート,12-ケトオレエートが良好であった。(5)その他溶剤に対する溶解性,ミセル限界濃度,ビルダーの影響等について調べた。
著者
朝岡 誠 林 正治 藤原 一毅 岩井 紀子 船守 美穂 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.168-175, 2020

<p> 研究データの再利用を促進するためには,単純な公開だけではなく,条件付き公開(制限公開)に対するニーズを満たしたシステム基盤の整備が不可欠である.本研究では,制限公開データを提供している機関のワークフローを調査し,研究データを提供するフローの類型化を行った.さらに,汎用的なリポジトリシステムWEKO にその機能を実装し,JGSS 研究センターの制限公開ワークフローをシミュレートすることでその運用を検討した.</p>
著者
渡邊 保貴 小峯 秀雄 安原 一哉 村上 哲 ベ ジェヒョン 豊田 和弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.788-799, 2010

水道事業から排出される浄水汚泥を道路構成材料として有効利用する上で,浄水汚泥の排出量が少量であることから一般の土質材料と混合して利用することが検討されている.しかしながら,こうした混合利用の効果は力学的側面から検討されることが多く,環境負荷低減の側面からは十分に検討されていない.本研究では,最終処分量の削減や天然資材の保全の観点から浄水汚泥の環境価格を定義し,浄水汚泥を砂質土と混合利用したときの環境負荷低減効果を貨幣価値に換算した.その結果,浄水汚泥の混合利用は必ずしも環境負荷低減に結びつかず,浄水汚泥を単体で利用することが最も望ましいこと,そして,浄水汚泥を混合する場合には,混合する天然資材の量を減少させることが重要であることを示した.
著者
原田 和弘 阿保 勝之 川崎 周作 竹迫 史裕 宮原 一隆
出版者
一般社団法人 水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:09161562)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.26-35, 2018

<p>播磨灘北東部沿岸(兵庫県明石市から加古郡播磨町沖)のノリ漁場周辺における溶存態無機窒素(DIN)の動態とノリの品質を調査した.当海域の表層DIN濃度は,港湾内や下水処理水放流口周辺で高い傾向にあった.また,表層DIN濃度の水平分布は海岸線に沿った岸寄りの東西方向に比較的高い濃度域が広がり,沖合域は低かった.塩分やアンモニア態窒素濃度の観測結果から,調査海域東部沿岸に位置するノリ漁場周辺では,下げ潮時(当海域では東流)に港湾からの流出水および下水処理水からの栄養塩供給を受けている可能性が示唆された.また,数値シミュレーション結果でも,放流された下水処理水は下げ潮時に東の方向に流れ,ノリ漁場に到達すると判断された.さらに,同漁場のノリの色調は,港湾流出水や下水処理水等の影響を受けやすい沿岸側で良好であることが判明した.</p>
著者
河原 一彦
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.65-70, 2010-02-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
蛯原 一平 Ippei Ebihara
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.131-165, 2009-10-30

狩猟のなかでも特に,対象の姿が捕獲段階まで見えない罠猟など待ち伏せ猟の場合,対象動物についての的確な行動予測と猟場の選択が猟果に大きく影響する。それらは個々の猟師の経験知に基づいていると考えられるが,複数年にまたがり狩猟活動の分析をおこなった研究事例は乏しく,猟師達がそのような経験知をどのように蓄積していくのかという点に関して具体的に論じられることは少ない。本稿では,11 年間にわたり猟師自らが記した,罠の設置場所や捕獲個体に関する記録(罠場図)を分析し,複数年度の狩猟活動と捕獲結果について明らかにする。そして,猟師がイノシシの動きや環境の変化をいかに捉え,狩猟を実践しているのかについて考察をおこなうことを目的とした。 まず,罠場図に記された捕獲の記録を分析し,罠効率や捕獲個体の性比など猟期内における捕獲個体の量,質的な変化のパターンを大まかに抽出しつつも,年による違いが大きいことを指摘した。そして,それら予測しがたいイノシシの動きを猟師は「まわり」と捉え,見廻り間隔や罠の撤収日,罠を掛ける場所などを年によって変え,空間的,時間的に様々な試行錯誤を重ねていることも明らかにした。長い狩猟歴においても新たな餌場を「発見」するように,それら実践を積み重ねることで,イノシシの生態や餌場など自然環境についての認識を深めていくという経験科学的な側面が狩猟活動には存在する。そして,それは罠場図を書くことによって,イノシシの「まわり」を理解しようする猟師の実証的な志向に支えられていると考えられる。