著者
櫻井 陽奈子 笹尾 健一郎 菅原 洋子 入野 志保 武部 元次郎 土屋 悠海 関根 和彦
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.307-310, 2018-12-31 (Released:2018-12-28)
参考文献数
5

症例は67歳独居男性。肺扁平上皮癌に対する左肺全摘除術後の II 型呼吸不全のため在宅酸素療法導入中であった。居室で倒れているところを知人に発見されて救急搬送となり, 深昏睡のため緊急気管挿管後に原因を検索した。トライエージ DOA®でtetrahydrocannabinol (THC) 反応陽性を認めたが, 特定のトキシドロームはなく, II 型呼吸不全急性増悪による意識障害と判断された。支持療法のみで速やかに呼吸不全から離脱し, 覚醒後に患者は大麻の使用歴を否定した。廃用萎縮の進行により入院中の大麻使用は不可能であったが, 退院前 (第100病日) のトライエージ DOA®でもTHC反応が陽性を呈した。入院中もHIV感染に対してエファビレンツ内服が継続されたが, エファビレンツの内服により簡易型尿中薬物検出キットでTHC偽陽性を示すことが文献で報告されていることから, 偽陽性が考えられた。
著者
梶原 洋
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館年報 = Tohoku Fukushi University Serizawa Keisuke Art and Craft Museum annual report (ISSN:21862699)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.57-80, 2010-06-23

小札は、アッシリアに始まり、内陸アジアを通して東西に広がった。本論では、ユーラシアに分布する小札について、アルファベットや記号、数字を用いて簡単に小札の縅孔、綴孔などの配置を表現し、それに基づいてA-Hの形式分類と細分を行った。小札鎧は、ユーラシア全体の分布をみると、内陸アジアを中心に西はヨーロッパから東は日本まで分布している(表1)。編年的には、5-6世紀を中心に古くは紀元前から新しくは19世紀まで用いられたことが分かる。(表2)。日本列島における小札鎧もユーラシアに広範に分布する小札鎧文化伝統の最東端に位置するものである。鎧文化における大陸との関係は、古代ばかりでなく中世もしくは近代にまで続き、大鎧の成立や北海道、樺太のアイヌ民族の鎧の存在にも大きな影響を与えたことが考えられる。 Lamellar armor, constructed of hundreds of small rectangular lamellae of wood, hide, bone, antler, bronze, or iron, has been widely used across Eurasia, from Europe to Japan. Rectangular lamellae with holes for lacing one to another with straps or cordsf irst appeared in Assyria in the eighth or seventh century B.C., then spread through central Asia to Siberia, Mongolia, China,Korea and finally Japan in the fifth century A.D.
著者
泉 千尋 藤森 一真 金森 貴洋 桑原 洋平 西谷 彰紘 鈴木 学 菅原 誠一 太田 真之 佐藤 宏行 林 健太郎
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.173-182, 2021-12-23 (Released:2021-12-24)
参考文献数
11

心房性頻脈性不整脈(AT/AF)のburdenを減少させる機能として,第2世代心房抗頻拍ペーシング(A-ATP)の有用性が報告されているが,導入後に治療が有効となる症例の特徴は明らかでない.そこでわれわれは,A-ATP(Reactive ATP, メドトロニック社製)作動症例22名の患者背景,心内心電図,12誘導心電図,エコー所見,BNPから治療が有効となる因子を検討した.AT/AF burdenの50%以上減少をA-ATP有効と定義し, AT/AF burden<5%の症例とAT/AFのエピソードが1件のみの症例は治療有効性の判断が困難なため,10名を除外した.有効群(5名)は無効群(7名)と比較して,心内AT/AF average tachycardia cycle length(AvCL)>300ms(28.6% vs 5.2%,p<0.05)および規則的なAT/AF(71.9% vs 48.5%,p<0.05)が多く,AT/AFに対するカテーテルアブレーション(CA)またはMaze手術既往が多かった(80% vs 14%,p<0.02).また,12誘導心電図において有効群はf波のCLが無効群より延長していた(220.5ms vs 141.4ms,p<0.05).A-ATPは延長したAT/AF AvCL,または規則的なAT/AF症例で有効であり,CAやMaze手術の既往,12誘導心電図のf波CL延長が植込み前に観察可能な有効性の予測因子として有用な可能性がある.
著者
笠原 洋子 越智 啓太
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.9-17, 2006 (Released:2018-06-29)
参考文献数
17
被引用文献数
1
著者
笠原 洋子 厳島 行雄
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.71-84, 2007

Earwitness研究は、声の再認に関する研究と声から人物識別判断を行う研究の2つに大別される。本研究は後者の研究領域に位置づけられるものであり、その中でも声の様態変化が年齢判断に与える影響について検討することを目的とした。実験1では、声の偽装手段として実際の犯罪場面でしばしば用いられる、「ささやき」の影響について検討した。その結果、ささやくことにより、通常の発話よりも年齢が高く推定されることが示された。刺激として用いた音声を分析した結果、ささやくことにより声が全体的に高くなり、音圧レベルは全体的に小さく変化していた。そこで実験2で声の高さ、実験3では声の大きさを操作した。その結果、実験2では男性発話者は一音下げた条件において年齢が高く推定されることが見出されたが、実験3では条件間に差はみられなかった。これら一連の研究から、声からの年齢判断においては声の高さの変化が大きく影響し、声の大きさの変化は判断に影響を与えない可能性が示された。
著者
三島 和宏 櫻田 武嗣 萩原 洋一
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-36, no.25, pp.1-6, 2017-02-24

本稿では,小型かつ低価格な情報デバイスとして Raspberry Pi を用いてプロトタイプ実装したデジタルサイネージ表示デバイスの集約管理を行うための統合システムについて詳説する.東京農工大学 (以下,本学) では,従来から設置されていたデジタルサイネージシステムの置き換えを目的として,Raspberry Pi を用いたデバイス単体で自律的に動作し指定時間にコンテンツ表示を行うデジタルサイネージ表示デバイスを開発し,学内に展開してきた.これらの設置台数の増大とともに,集約管理に対する要求が高まったことから,集約管理に必要なシステムについても開発することとなった.デジタルサイネージデバイス集約管理システムは,1) 表示デバイス,2) コンテンツ,3) コンテンツアサインの各項目について管理する機能を持ち,データストレージにてコンテンツファイルのマスター管理を行う.これらは,Web インタフェースを通じて容易に管理が可能である.本稿では,集約管理システムのプロトタイプシステムの概要,実際に稼働させた際の状況と今後の課題などについてまとめる.本システムにより,集約管理型のデジタルサイネージシステムを容易に,低コストに実現することを可能とする.
著者
西村 竜一 西原 洋平 鶴身 玲典 李 晃伸 猿渡 洋 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.789-798, 2004-03-01
被引用文献数
65

実環境下での音声インタフェースの研究プラットホームとして,生駒市北コミュニティセンターの音声情報案内システム「たけまるくん」を開発した.本システムは,大語彙連続音声認識を基礎とする一問一答形式の音声インタフェースをもち,同センターや生駒市に関する受付案内を可能とする.システムはセンターのエントランスに常設され,開館時は誰でも自由にエージェントとのコミュニケーションを楽しむことができる.ユーザとシステムとのインタラクションの観察を目的とした5か月間にわたる本システムのフィールドテストを実施し,ユーザによる発話ログの収集を行った.本論文では,はじめに音声インタフェース部を中心に本システムの構成について説明する.フィールドテストの結果,男女幅広い年齢層のユーザによる発話を含む約1,362分の音声データを収集した.その分析の結果から,大人と子供で発話内容の傾向に違いはあるが,本システムは有効に利用されていることを示す.実験では,実際のユーザ発話によるベースラインの認識性能の評価を行い,大人に対して86%の単語認識率と76%の応答正解率を得ることができた.しかし,子供のユーザに対する精度が十分でないなど,音声インタフェースの実用化に向けて多くの課題が残されていることを確認した.
著者
松沢 寛 北原 洋生
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.232-235, 1966
被引用文献数
3 3

ヒトスジシマカの生態, とくに, その産卵, 発育, 成虫の生存期間等を調査研究し(1965), 次のような成績をえた. 1) 野外から採集した吸血ずみの雌蚊は, 25℃で80%ぐらいまで, 正常に産卵した.これらは, 捕獲後3〜5日間に, 全卵の80%まで産卵した. 2) 1雌成虫あたりの平均産卵数は, 25℃の温度のもとで, 80個内外であつた. 3) 各ステイジの発育所要日数は, 20℃では, 卵8.1日, 幼虫10.2日, さなぎ5.9日計24.3日, 25℃では卵3.8日, 幼虫7.5日, さなぎ2.4日, 計13.7日となり, 30℃では, 卵3.8日, 幼虫5.9日, さなぎ2.3日計12.0日であつた.これらの成績から, 本種の発育零点は, 卵10°〜11℃幼虫9℃, さなぎ11.5°〜13.5℃, 全体を通すと9°〜10℃と推定された. 4) 成虫の25℃における生存日数は, 雌より雄の方が多少短かかつた.水のみを給与した場合は, 概して6〜7日, 砂糖水(20%)を給与した場合は, 21〜26日であつた.しかし, 飼育容器が適当であれば, いつそう生存日数が長びくものと思われる.
著者
組原 洋
出版者
交通権学会
雑誌
交通権 (ISSN:09125744)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.8, pp.24-32, 1989 (Released:2017-04-10)
著者
松原 洋子 石川 准 菊池 尚人 立岩 真也 常世田 良 松原 聡 山口 翔 湯浅 俊彦 青木 千帆子 池下 花恵 植村 要
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

視覚障害等により印刷物の読書が困難なプリント・ディスアビリティのある学生の修学支援では、資料のデジタル化とICTインフラの活用が有効である。しかし日本の高等教育機関の図書館では対応が進まず、大学図書館の情報アクセシビリティに関する研究の蓄積も乏しかった。本研究では、大学等の高等教育機関における読書環境のアクセシビリティについて、公共図書館や海外事例を参照しながら制度・技術の両面から総合的に検討した。その結果、印刷物のデジタル化では未校正データの提供も一定有効であること、電子図書館サービスにおいてはコンテンツの形式以上にウェブアクセシビリティが重要であること等が明らかになった。
著者
菊池原 洋平
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.217, pp.24-34, 2001 (Released:2021-08-17)

As a physician and a natural philosopher in the Renaissance, Paracelsus discusses in his works the structure of this world and individual things as well as the human body. All things in this world consist not only of four elements which Aristotle and his followers advocated, but also of three substances (sulfur, mercury and salt) which can be regarded as the offspring from the Arabic alchemical tradition. The aim of this paper is to consider a structural relationship between four elements and three substances form the viewpoint of the "life" concept, which was prominent in the Renaissance. My paper puts emphasis on the following items : 1. Every thing is given material body by just one element, not by four elements, in which qualitative difference can be discerned; four elements do not mutually transform as they do in the Aristotelian theory. 2. Four elements are the mother's womb bearing all things, and give to each of them nourishments for its activity. 3. Three substances are vital activities in the body, not a soul as assumed in the traditional Western thought. 4. An individualization of a thing is determined by both the activity of inherent three substances as a seed and their quantitative and qualitative differences. 5. A creation of this world is a process in which four elements are so fertilized by three substances as in biological fertilization. Therefore, a structural relationship between four elements and three substances is derived from an idea of the generative function based on the "life" concept. Accordingly we can safely say that four elements and three substances are theorized by his empirical thought which has "life" concept as an indispensable ingredient. It is not until four elements and three substances are combined each other that all things become of matter and life. In regard to the organization of a thing, it is not composed of just three substances; three substances do not in turn dominate four elements; rather, both need each other.
著者
楠原 洋之
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.370-380, 2012-11-30 (Released:2013-02-28)
参考文献数
44

血液脳関門は静的な障壁として中枢神経系を循環血から隔てている。そのため、中枢薬の開発においては、血中滞留性を最適化するだけではなく、血液脳関門透過性も最適化する必要がある。血液脳関門には、種々トランスポーターが発現し、中枢神経系と循環血間の物質交換を促進している。これらトランスポーターは医薬品の中枢移行性を改善するための標的分子となり得る。P-gpやBcrpなど、能動的に薬物を排出するトランスポーターも発現しており、こうしたトランスポーターを回避することでも、医薬品の中枢移行性を改善することができる。本稿では、血液脳関門に発現するトランスポーター群について、これまでの知見を紹介する。