著者
萩原 清和 小篠 栄 矢野 友啓 市川 富夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.111-116, 1994-04-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
37
被引用文献数
1 2

VE欠乏ラットのGSH低下による腎臓障害に対するγ-glutamylcysteine ethyl esterの投与効果を明らかにするため, リポフスチン生成および腎臓機能や組織障害を指標に検討を行った。1) γ-GC投与およびGly+γ-GC投与は腎臓内GSH量を増加させ, リポフスチン量の急激な上昇を抑制した。2) Gly+γ-GC投与は血清クレアチニン量の増加, LDH活性の上昇, および腎臓内酵素活性の低下を抑制した。3) γ-GC投与は近位尿細管上皮細胞壊死を完全には防御することはできなかったが, Gly+γ-GC投与は近位直尿細管上皮細胞の壊死が観察される程度に障害をとどめることができた。4) GSHは過酸化脂質からのリポフスチン生成を抑制し, 腎機能低下や腎障害の防御に関与する可能性が強く示唆された。
著者
中島 隼人 今井 良行 笠原 清司 久保 真治 小貫 薫
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.257-260, 2007 (Released:2007-06-25)
参考文献数
9
被引用文献数
5 5

熱化学水素製造法ISプロセスの要素反応であるヨウ素と水の混合系への二酸化硫黄ガス吸収反応について,323 K,ヨウ素飽和条件で,二酸化硫黄分圧の影響を調べた.定圧二酸化硫黄ガス存在下,2相分離(硫酸相とポリヨウ化水素酸相),擬似平衡状態への到達が観察され,同状態におけるポリヨウ化水素酸に対してブンゼン反応の逆反応による理想的脱硫操作を行って得られる溶液の酸濃度(HI/(HI+H2O))は,高二酸化硫黄分圧の元で高く,最大15.7±0.3 mol%に達した.
著者
宮澤 佳之 林 優美 小林 尚貴 七五三木 史拓 藤井 一弥 笠原 詩織 榊原 清
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.C-121_1-C-121_1, 2019

<p>【はじめに、目的】</p><p>群馬県理学療法士協会(以下,県協会)広報部では、平成26年度より毎年7月の理学療法週間に合わせて、介護予防や理学療法の啓発を目的として理学療法フェスタを開催している。今回、平成29年度の"第4回理学療法フェスタinぐんま"の実施内容と来場者へ実施したアンケートの結果について報告する。</p><p>【方法】</p><p>平成29年7月16日(日)前橋市の前橋プラザ元気21にて、テーマを「理学療法×健康×栄養」として開催し、来場者へ無記名式のアンケートを配布した。理学療法フェスタについての県内への事前告知として、高校、市町村保健師、マスコミ、県協会会員非所属施設、県協会会員へ告知チラシと広報資料の送付を行った。またマスコミの協力にて新聞に告知を掲載、さらに会場へのポスター掲示を行った。内容は、ご当地体操である「ピンシャン!元気体操」・「ひらめきタオル体操」、「シルバーリハビリ体操」の講座と実演、「栄養補給で筋肉痛と熱中症を予防しよう!」と題した栄養に関する講座、重心動揺・体組成測定、栄養ブースでの栄養補助食品の紹介・配布、日本理学療法士協会の動画放映を実施した。来場者へはオリジナルグッズと広報資料の配布を行った。運営スタッフは広報部員7名とボランティア12名であった。</p><p>【結果】</p><p>来場者は70名でアンケート回答者数は39名(男性15名、女性24名)であった。来場者の年代は50代が最も多く(23.1%)、次いで60代(20.5%)、20代(17.9%)、10代(12.8%)、40代と70代以上(10.3%)となった。来場者の職種は医療・介護職が最も多く28.9%、次いで主婦(15.8%)であった。「理学療法にとても興味を持った」または「興味を持った」と回答した来場者は97.4%であった。印象に残った企画は、身体測定で51.3%であり、体操や栄養講座でいずれも30%以上の方が印象に残ったと回答したが、栄養ブースは12.8%となり低値となった。その他意見として「日常生活でできる簡単な運動を教えてほしい」、「また参加したいといった」といった回答が得られた。</p><p>【結論】</p><p>来場者数は過去最高の人数となった。アンケートの結果から、幅広い年代の来場が得られ、理学療法に関心を持った方が多数であったことがわかった。企画内容として、体操などの講座や身体測定などの体験企画に興味を持つ方が多く、今後も体験型企画を多く実施することで、運動に対する意欲が向上し健康増進や理学療法に関心をもってもらうことができると考える。職種としては医療専門職の来場が多く、一般の方の参加が少なかったことから、さらに広くの事前告知を検討する必要があると考えられる。今回、来場者は70名と少なく、今後、同時期に同じ場所で企画を継続して実施し毎年のイベントとして定着することで、さらに来場者の増加が図ることができ、健康増進への意欲や関心の向上につながると考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本アンケート調査の実施にあたり、アンケート調査用紙内へ集計結果を学会発表に使用する旨を記載した。</p>
著者
齊藤 実祥 原田 魁成 寒河江 雅彦 栁原 清子 Saito Misaki Harada Kaisei sagae masahiko Yanagihara Kiyoko
出版者
金沢大学大学院人間社会環境研究科
雑誌
人間社会環境研究 = Human and socio-environmental studies (ISSN:18815545)
巻号頁・発行日
no.36, pp.1-11, 2018-09-28

高齢化が進むにつれて医療・介護の需要と費用が増加することで,地域社会へ与える影響を経済的観点から分析を試みる。具体的には,石川県K市の家族介設者全貝を対象としたアンケート調査を行い.その結果に基づいて,家族介護者の介護離職・転職等の経済損失と貨金換算の推計を行う。また、K市産業連関表を用いた経済波及効果の推計を行う。なお、両推計ではモンテカルロ・シミュレーション分析を用いる。アンケート調査から,要介護・要支援者の平均年齢は83.5歳,家族介護者の平均年齢は64.9歳である。家族介護者の就労状況については,家族介護者の30.8%が介護離職・転職等しており、そのうち介護離職の割合は29.3%で.家族介護者全体の9.0%が介護離職していることが明らかに なった。推計の結果.有業者に対する介護離職・転職等の経済損失額は16.6億円で.介護離職のみでの 経済損失額は4.9低円であった。他方.無業者の介護労働の経済損失は.介護離職・転職等の対 象外となるため.介護労働時間を賃金換算することで推計を行った。無職・専業主婦の介護労働 時間の石川県最低賃金換算額は16.3億円で.石川県介護福祉士平均時給換算額は24.8億円であっ た。また,医療費と介護費の経済波及効果は2014年の433.7億円から2025年の522.5億円に増加する。 それに伴って,K市生産年齢人口における雇用誘発数も2014年の15%から2025年の22%に上昇する。そのため,医療・介護の連携による地域経済波及効果から発生する新たな雇用誘発による約 2,500人の雇用枠を活用し,家族介護者を柔軟に雇用する政策が地域包括ケアの新しい方策案として検討可能である。
著者
海老原 清
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.3-9, 2008 (Released:2008-12-19)
参考文献数
40
被引用文献数
9 9

食物繊維は難消化性のために,栄養素中心の栄養学では注目されることはなかった。しかし,食物繊維には栄養素では達することのできない種類の栄養・生理機能があり,健康を維持する上で必須な食品成分であることが明らかにされた。現在,食物繊維の定義,分類,分析法については,まだ意見の一致をみていない。食物繊維の研究が進む中で,小腸で消化されないでんぷんの存在が明らかになり,それらはレジスタントスターチとよばれ,食物繊維と同様の栄養・生理機能を有することが明らかになった。食物繊維の栄養・生理機能は粘性やかさ形成能などの物理・化学的特性によって影響された。食物繊維やレジスタントスターチは生活習慣病予防を目的とした食品の開発に応用されている。
著者
横田 和幸 船瀬 新王 藤原 清悦 内匠 逸
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2-3, pp.58-67, 2019-06-10 (Released:2019-08-20)
参考文献数
19

Several studies have reported on maze tasks for humans. From the results of these maze tasks, human brain function has been elucidated. However, few studies have verified the level of difficulty of maze tasks. Therefore, the validity of these studies is questionable. The purpose of this study was to investigate factors influencing the level of difficulty of maze task for humans. We conducted an experiment in which subjects search for a goal in mazes generated on a computer. Subjects explore the mazes on two different days. In making the mazes, we set the number of steps required to reach the goal position and the number of T-junctions from the start position to the goal position. We called such mazes “continuous-T mazes.” When a subject reached the goal position three consecutive times without extra steps, the subject moved on to the next maze. The number of trials before moving on to the next maze was recorded as the score. We established new parameters;“maze cost” and “weighted maze cost,” to estimate the level of difficulty of mazes, and compared the score with these parameters. The score correlated with both the “maze cost” and the “number of T-junctions from the start position to the goal position.” These results suggest that both parameters indicate factors influencing the difficulty of mazes.
著者
福川 英司 高濱 雅幹 地子 立 江原 清 八木 亮治
出版者
北海道立総合研究機構農業研究本部
巻号頁・発行日
no.99, pp.107-113, 2015 (Released:2015-07-06)

近年育成された黒皮系カボチャの新品種について,貯蔵性を含めた露地早熟移植栽培における特性を調査した。果皮色は濃緑色の品種が多かった。収量性では一部に対照の「えびす」と比べてやや優れる品種もあったが,多くの品種は同等~やや劣った。貯蔵性では「黒皮味マロン」が優れ,「くりほまれ」および「MSJ-1043」がやや優れた。貯蔵後の食味は「No. 571」,「くりゆたか7」,「くりほまれ」および「SB3018」で有意に優れた。収量性,貯蔵性,貯蔵後の食味等で特徴がある品種が見出されたことから,出荷時期別に品種を選択することで特色ある産地づくりに寄与できると考えられる。
著者
河原 清志
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要. 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
no.19, pp.13-28, 2011-01-31

本稿は英語“as”の多義性について接続詞に限定して統一的な説明を試みるものである。「“as”は潜在的意味として, <現実に生起している(した)出来事>(後景情報)を主節とゆるい等価で結ぶ函数関係を示す」という意味を有し, スーパー・スキーマ(コア)が潜勢態としてあり, 2つのパラメーターの状況的関係の力学(as節と主節がそれぞれ指標する出来事の内容と指標野における位相関係)の中で語義が確定するという理論構成が可能である。具体的には「接続詞」の用法として,(1)〔時〕は「同時性」を基本とし,(a)瞬間的時間の場合は「偶発性」, (b)多少の時間の幅がある場合は「同時進行性」, (c)かなりの時間の幅がある場合は「連動性(比例性)」が前景化し, 動的な出来事どうしが「等価」で結ばれる。(2)〔理由〕は「状態性」が特徴で, 後景的状況・事情を表すas節は静的な出来事として主節と「等価」で結ばれる。その他, (3)〔様態〕, (4)〔逆接〕, (5)〔比較〕, (6)〔局面〕といった語義も「等価」から導かれることが観察され, 多義現象に対して語義の連続性のある説明が可能であることが確認された。
著者
新藤 辰二 佐々木 義幸 三木 啓道 江口 通 萩原 清和 市川 富夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.419-422_1, 1988
被引用文献数
34

新しい天然甘味料として期待されるエリスリトールのイオン交換樹脂カラム CK 08SHを使用した, 示差屈折計付き高速液体クロマトグラフィーによる迅速, 簡便な定量法を検討し, 良好な結果を得た. この方法により, 清酒, ワイン, しょう油, みそそしてビール中の含量を測定した. この結果エリスリトールは清酒, ワイン及びしょう油0.015~0.09w/v%, みそ0.13%, ビールには微量含まれていることが分かった.
著者
堀江 典子 萩原 清子
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.82, pp.93-103, 2003

多基準分析とは、複数の基準で代替案を評価し選択を支援しようとする分析手法の総称である。費用便益分析が費用と便益を全て貨幣尺度で捉えて比較するのに対して、多基準分析では複数の基準をそのままの尺度で評価し、それらを何らかの方法で統合しようとする。コストや効率性だけでなく、環境問題や公平性の問題といった時として相反する複数の目的が意思決定において考慮されなければならない社会状況の中で、貨幣尺度での評価が困難な基準を含めて多基準として明示的に扱うことができる手法は時代の要請でもある。しかし、多基準分析の範疇には様々な手法が含まれており、分析手順も理論的根拠も同じではない。本稿では、多基準分析についての歴史的経緯を振り返り、理論的根拠を整理したうえで、多基準分析の特色と今日的意義を明らかにした。また、多基準分析のうち、公的な意思決定をはじめ様々な意思決定の場面で多くの適用が見られる多基準意思決定分析MCDA(多属性意思決定分析MADAとしても知られている)の手順に沿って問題点を考察し、意思決定支援における可能性を示すことを試みた。多くの多基準分析手法における最大の問題はウェイティングシステムの恣意性である。この懸念を克服するためには、社会の選好をより反映させることが可能なウェイテイング手法を開発することが求められる。合意形成と意思決定のためにプロセスの透明性とわかりやすさを高めることによって、'audit trail'を明らかにする。このように判断の責任の所在を示すことによって恣意性に歯止めをかけることが必要であると考えられる。
著者
菅原 清文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.1456-1464, 2008-12-15
参考文献数
6
著者
林 邦忠 小田原 清史 笹崎 晋史 山本 義雄 並河 鷹夫 田中 和明 DORJI Tashi TSHERING Gyen 向井 文雄 万年 英之
出版者
日本動物遺伝育種学会
雑誌
動物遺伝育種研究 = The journal of animal genetics (ISSN:13449265)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.5-10, 2007-06-01
参考文献数
21
被引用文献数
3

In order to investigate the genetic diversity of the Bhutanese cattle, complete mitochondrial DNA displacement loop sequences from 30 Bhutanese cattle were determined and analyzed these in conjunction with previously published sequences. Sequence comparisons and phylogenetic analyses revealed the presence of <I>B.taurus</I> mitochondrial DNA haplotypes (13.3%), suggesting the genetic introgression of <I>B.taurus</I> genetic materials into Bhutanese population. The remaining <I>B.indicus</I> haplotypes indicated two clades of mitochondrial haplogroups, I1 and I2. The high frequency of I2 haplotype (46.2 %) was observed in Bhutanese cattle. Mean nucleotide divergence values were calculated within populations and Bhutanese population revealed higher value (0.75 %) than those of India (0.41 %) and China (0.19 %) . The results suggested the high genetic variability in Bhutanese cattle consisting of several haplogroups of mitochondrial DNA.
著者
柳原 清子 Yanagihara Kiyoko
出版者
Wellness and Health Care Society
雑誌
Journal of wellness and health care = Journal of wellness and health care (ISSN:24341509)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-7, 2020-08-03

"House/home" and "family" have become keywords once again during the current outbreak of COVID-19. Expectations are placed on "relationships" and "bonds" as well as "family nursing," which supports the resilience of the family to emerge from the crisis. This article describes what family nursing is, what kind of support it provides, and the latest family nursing practices. At the core of family nursing lies "family systems theory," according to which the family is a system, and patients, family members and health care providers are mutually influential members of an environmental system. Family nursing practice consists of taking an overview of individuals (patients), families, and society (the setting for healthcare) through systems thinking, and making adjustments to the system using circular communication. Recently, in medical fields including home care, conflict has frequently arisen between medical staff and the family; often, there is also intra-family conflict due to the reduced ability of the family to cope. A solution-oriented approach is effective in coordinating between health care providers and family members, and between family members themselves, including support in decision-making. The "Watanabe-style" family assessment/support model is based on this solution-oriented approach. The Watanabe-style assessment/support process involves: (1) narrowing down the goals to be solved "here and now" and the target people to approach, (2) grasping the context of each person, (3) distinguishing vicious circles from interactions, and (4) coordinating relationships through circular communication aimed at breaking the vicious circles. In family nursing in the age of COVID-19, it is important to provide support with a systematic and solution-oriented approach that enables the family to respond to environmental threats.