著者
市川 富夫 辻 啓介 萩原 清和 津田 明子 山中 優美子
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.44-48, 1986-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

スクアレンを多量に含有する深海産サメ肝臓エキスが健康食品として市販されているが, 根拠となる作用機作については明らかにされていない部分が多い. スクアレン経口投与ウィスター系ラットの体重変化, 血清及び肝臓中の脂質濃度を測定した. 0.1ml及び0.5mlのスクアレンを41日間投与したとき, 体重増加量はコントロールに比べて小さかった. 血清中ではHDL-コレステロールの減少と過酸化脂質 (チオバルビツール酸反応陽性物質値=TBA値) の増加が認められ, 肝臓ではトリグリセリド, リン脂質, TBA値の増加が見られた. 0.1ml, 0.5ml投与時における見かけの吸収率は50%前後であった. 肝臓中のスクアレン量は投与量に比例して増加した. 以上のことからスクアレンは吸収され, 体内において脂質代謝に影響を与えていることが推測された.
著者
金谷健一 浅原 清太郎 菅谷 保之 ハノ・アッカーマン
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.88, pp.131-138, 2005-09-06
被引用文献数
8

Tomasi・Kanadeの因子分解法によって3次元復元を行うにはカメラモデル(平行,弱,疑似透視)を指定する必要がある.本論文ではそのような特定のカメラモデルを指定する必要のない方法を提案する.まず因子分解法の原理を,撮像がアフィンカメラであるという以外には何も仮定しない形で記述し,カメラモデルに依らない計量条件を導く.次に,撮像が透視投影を近似するための最小限の要請を置くと2個の不定関数を含むカメラモデルが得られることを示す.そして,その関数値を入力画像から自己校正によって定めれば自動的に適切なモデルが選ばれることを実験的に検証する.In order to reconstruct 3-D Euclidean shape by the Tomasi-Kanade factorization, one needs to specify a camera model such as orthographic, weak perspective, and paraperspective. We present a new method that does not require any such specific camera models. We first state the principle of 3-D reconstruction in the most general form without assuming anything about the camera except that it is affine and derive a camera-model-free metric constraint. We then prove that a minimal requirement for the affine imaging geometry to mimic perspective projection leads to a camera model that has two free functions. We experimentally confirm that if we optimally determine their values from input images by self-calibration, an appropriate camera model is automatically selected.
著者
松原 清
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.660-663, 1983-09-01 (Released:2011-10-11)
参考文献数
17
著者
宇次原 清尚 加藤 克彦 三輪 俊貴
出版者
岐阜県農業技術研究所
雑誌
岐阜県農業技術研究所研究報告 (ISSN:13464396)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-6, 2006-03

平成11年にオーストラリア、ニュー・サウス・ウェールズ州立園芸研究所から育成中のフランネルフラワーの矮性系統の挿し木苗を導入した。自家受粉により得た種子から増殖と選抜により鉢花として形質の優れた系統を育成した。育成系統は、草丈が20-30cm程度のわい性で、四季咲き性を有する。花の形態及び大きさは、野生種と同じである。平成17年7月に品種登録申請を行った。
著者
原 清治 山崎 瞳
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.7-18, 2006-03-14

近年の「学力低下論争」において、その中心にあった議論のひとつが子どもたちの学力の二極化であった。ゆとり教育によって、自主的に学習に取り組む姿勢が身につき始めた子どもたちがいる一方で、学力が低下し、「学びから逃走する子どもたち」が生み出されているというのである。本稿では、この学力の二極化現象において、学力が低下していない子どもたちの層に注目した。今日では塾に通うこと(通塾)が、学力を保障するうえで大きな影響力をもつことは先行研究より明らかであるが、塾に通う子どもたちの意識に注目した場合、時代の変化につれてその実態も大きく変化していたのである。インタビュー調査の結果、塾に通う子どもたちのなかには「塾がつらい」と感じている傾向もみられたが、それでも驚くほど長期に渡って通塾を続けるのが一般的であることが指摘された。その背景には、塾に通わない、いわゆる「勉強のできない子」たちとは明確に区別されたいという考えがはたらいているからであった。また、これまで塾がもち合わせていた「補習」型の機能が、学力低位の子どもたちから、学力上位群のなかにいる下位層(文中では「偽装エリート」群と表記)へと対象を変えており、塾の機能そのものにも変化がみられ始めていることも考察された。通塾する子どもたちの層の変化は、親がわが子を強制的に通塾させることが少なくなったことと無関係ではなく、親のなかにも子どもたちと同様に、教育に対する価値の二極化傾向が進行していると考えられる。
著者
松井 希代子 柳原 清子 佐藤 正美 能登原 寛子 下 綾華 塚本 愛実 中村 優希 西野 ひかり 東 郁江 兵田 亜未 村田 奈穂 元橋 茉佑 森田 恵里 米澤 智亜紀
出版者
ウェルネス・ヘルスケア学会
雑誌
Journal of wellness and health care (ISSN:24333190)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.125-135, 2017

Cancer medicine is becoming more sophisticated and complex, and therefore it is becoming more difficult to care for people at the end of life. This study was performed to identify the nature of positive attitudes to nursing practice of nurses in general hospitals, and to examine their associations with various different factors. The participants were 683 nurses working in 41 wards in eight regional general hospitals. The survey was carried out as an anonymous self-administered questionnaire. Four factors were identified as constituents of nurses' positive attitudes to nursing practice. These consisted of three factors concerning attitudes and knowledge, comprising [The practice of specialist end-of-life specific care], [Making the best arrangements until the end], and [Spiritual care], and one affirmative sentiment, that of [The confidence to nurse someone at the end of life]. The mean score for factors related to knowledge of nursing practice was > 4 points on a 6-point scale, corresponding to "Somewhat applicable," whereas the mean score for the sentiment [The confidence to nurse someone at the end of life] was > 3 points, corresponding to "Not really applicable." In terms of related factors, for all factors other than spiritual care, positive attitudes to nursing practice increased significantly with increasing experience. There was no association with having cared for a dying family member. Although having experienced an educational opportunity was not associated with the practice of case conferences for deceased patients, it was significantly associated with the experience of having been able to talk at length about the care they had provided and their own thoughts in venues such as case conferences, receiving recognition by colleagues at their own level of seniority or above, and reflection. Improving nurses' positive attitudes to nursing practice in end-of-life care in general hospitals, therefore, depended not on personal characteristics, such as having taken care of a dying family member, but rather on having repeatedly overcome difficulties in the course of nursing experience. Talking at length about care and expressing one's own thoughts, receiving recognition from colleagues at one's own level of seniority or above, and reflection on nursing practice were all important in this process.がん医療が高度・複雑化し、結果、人々が「死」を看取っていくことが難しくなっている。本研究の目的は、総合病院における看護師のがん終末期の実践への肯定感はどのようなものかを明らかにし、要因との関連を見ることとである。対象は地方の 8 つの総合病院 41 病棟683 名の看護師である。自記式質問紙調査を行い、看護師の実践への肯定感は 4 因子の構造として見いだされた。それは【終末期固有の専門的ケア実践】、【最期までの最善の調整】、【スピリティアルなケア】という実践への態度や認識と、【最期を看取っていく自信】という肯定的心情であった。実践への認識の平均値は 6 段階中 4 点台で、「どちらかといえばできる」レベルであり、【最期を看取っていく自信】の心情は 3 点台で「どちらかといえば自信がない」であった。関連要因では、スピリティアルケアを除く全ての因子で、経験年数が増すと実践への肯定感が有意に高まっていた。また、身内の死の看取り経験は関連がなかった。一方、教育的働きかけを受けた経験との関連は、デスカンファレンス実施の有無とは関係がなかったが、自分の行ったケアや思いを十分に語った経験、先輩や同僚に認められた経験、そしてリフレクションが有意に関係していた。つまり、総合病院の終末期ケアにおいて、看護師の実践への肯定感の高まりは、身内の死の看取りなどの個人的特性ではなく、看護経験の中で、困難感からの転換の形で積み重ねられていた。その過程では、ケアや思いを十分に語り、先輩や同僚に認められ、そして実践をリフレクションすることが重要となる。
著者
熊田 克幸 桑原 清人 柴田 由美 白川 舞 堀田 宏 近澤 豊
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.322, 2008

〈緒言〉近年、オーダリングシステムや電子カルテシステムの導入によってコンピュータ端末がより身近な存在となり、院内ネットワークを利用することで医薬品情報をはじめ様々な情報を共有することが可能になった。しかし、最新の情報を提供するためには、医薬品情報の頻回にわたる更新、膨大な労力と時間、コストの問題からも難しい状況にある。 その配信方法においても医療従事者が必要とする際にはいつでも最新情報を見慣れた形式で閲覧できるシステムを構築し運用することは非常に有用であると思われる。そこで、今回市販データベースソフトウエアのMicrosoft Access 2003を用い、オーダリングシステム端末上で利用可能な院内電子医薬品集とそれにリンクした添付文書参照システムの構築と運用について検討を試みたので報告する。<BR>〈方法〉1.医薬品集の機能・項目の検討<BR>簡便な操作性、必要最小限な機能、シンプルな表示とし薬品検索は医薬品の商品名または一般名の一部を入力することで可能にした。 検索薬品表示後にはワンクリックで情報の印刷や同効薬品の表示および各製薬会社から提供される医薬品添付文書のPDFファイルを表示する。<BR>2.利用可能な端末の検討<BR>医事ネットワーク上のデスクトップ端末103台(オーダリング端末62台、レセプト端末28台、看護システム端末7台、事務用端末6台)。OSはすべてMicrosoft Windows XP Professional SP2である。<BR>3.利用端末における更新方法の検討<BR>各端末における更新は、メンテナンスフリーにするために端末起動時または24時間毎に操作の必要なしで自動に更新されたファイルをダウンロードしサーバーと同期する。<BR>4.医薬品情報の更新・チェック機能の検討<BR>情報更新はサーバー上で随時行い、医薬品添付文書のPDFファイルは、各製薬会社の提供または医薬品医療機器情報提供ホームページよりダウンロードしサーバー上のファイルを更新する。添付文書改訂情報はインフォコム社の医薬品データベースDICSを利用し更新をチェックする。<BR>〈結果〉日常業務の中で検索したい医薬品情報は医薬品集に掲載されている薬品の効能・効果や用法・用量であることが多い為、その内容を短時間で検索し充分理解できることが重要である。また、その内容では不十分な際、より根拠に基づく詳細情報である添付文書の参照が出来るように、電子医薬品集は紙媒体の医薬品集をデータベース化した基本の医薬品情報と医薬品添付文書PDFファイルの2段階とした。また、薬効分類は実務に使用できる分類がないため、当院で細分化し同効薬品の検索および表示に利用した。<BR> 医薬品情報の更新や添付文書の改訂は不定期に案内があるうえ、随時行う必要があり平成19年度は当院採用1,362品目のうち815品目の添付文書改訂があったがチェック機能により更新時期を容易に把握することができた。また、各端末はサーバー上のファイルを参照するのではなく任意にファイルをダウンロードして使用できるため、常時ネットワークに接続していないモバイル端末でも使用可能であり、複数の端末での同時使用やメンテナンス中にも制約を受けることなく使用できる。今後、電子医薬品集の需要も高まることが予想され、電子医薬品集の機能向上を図ることが重要である。
著者
柏原 清江
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.31-44, 2006-07

論説(Article)近年、「企業再生」という言葉が、わが国において頻繁に耳にされるようになってきた。日本経済の長期不況が続くなかで個々の企業を過去のしがらみから脱却させ、再出発させることの重要さが理解されるようになり、政府や金融機関による本腰を入れた「企業再生」への取り組みが始まった。筆者は、現在企業のM&Aに携わる業務を行うなかで、主に再建型法的手続を適用した企業に買収監査(Due Diligence)を行い、管財人および経営者、従業員の事情聴取を行ってきた。そのなかで、一番多く耳にしたのは、従業員が再生に対しての管財人並びに旧経営陣の経営続投に対する不安感であった。一方では、経営者たちも後継者難の悩みを抱え、再生に対する不安を募らせていた。また、経営者たちは「現状の再建型法的手続では、大型倒産事件に関しては、社会的影響から司法、行政が優先的に再生に関与するが、中小企業の場合は関与さえされない。むしろ、中途半端な再建をしなければならない状態である。」これでは、敗者復活(再生)ができるのか不安で、再建型法的手続を申立てる意味がない。 本稿の目的は、以上の実務経験から再建型法的手続の倒産処理において「企業再生」に何が必要なのか。再建型法的手続の主旨である「企業再生」を有効にかつ早期実現できるように、人的・制度枠組みを提言したい。Word "Corporate reproduction" has come frequently to be heard in our country in recent years. The importance of getting rid of past bonds an individual enterprise on the inside where a long-term recession of Japanese economy continued, and making it start afresh came to be understood, and the approach on "Corporate reproduction" that put the set about in earnest by the government and the financial institution started. The author audits purchase (Due Diligence), and has questioned the administrator, the manager, and the employee to the enterprise that chiefly applies the rebuilding type legal procedure on the inside where the business to be involved in M&A of the enterprise now is done. In a lot of hearing by the average, the employee was the anxieties to management the consecutive pitching of the administrator and former executives to the reproduction. On the other hand, managers also held the worry about the successor accident, and uneasiness to the reproduction was felt increasing..Moreover, managers :. 「Administration of justice and the administration take part from the social influence in the reproduction by priority in the rebuilding type legal procedure of the current state for the large-scale bankruptcy event, and even participation is not done for the small and medium-sized enterprise. It is necessary to do a halfway rebuilding. 」,With this, it can be a consolation (reproduction) or there is no meaning to be uneasy, and to state the rebuilding type legal procedure. What of the purpose of this text is necessary for "Corporate reproduction" in the bankruptcy processing of the rebuilding type legal procedure from the business experience of the above-mentioned?"Corporate reproduction" that is the purport of the rebuilding type legal procedure does, and I am effective and to achieve it at the early stage, want to propose the human system frame.
著者
市原 清志 細萱 茂実 奥谷 竜太 吉本 茂 井藤 一久 亀子 光明 栢森 裕三 高木 康 中野 幸弘 芳賀 利一 本永 秀夫 中 甫
出版者
一般社団法人 日本臨床化学会
雑誌
臨床化学 (ISSN:03705633)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.280-294, 2006-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
20
被引用文献数
4

Practicality of the guideline “Protocols for determination of limiits of detection and limits of quantitation (EP17)” issued by NCCLS was evaluated both theoretically and experimentally by the JSCC Committee on Quality Management, In this report ISO 11843 document describing the concept of detection limits was reviewed and the NCCLS guideline was interpreted and summarized. The following two modifications were made to the guideline based on results of the evaluation: (1) methods for selection and preparation of blank specimens are presented and (2) use of so-called precision profile, which is constructed from replicate measurement of multiple clinical specimens, was proposed as a practical way of determining limits of quantitation.
著者
萩原 清和
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.21-26, 1980-04-30 (Released:2013-04-26)
参考文献数
39
被引用文献数
1
著者
河野 真典 萩原 良巳 萩原 清子
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 第21回(2008年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
巻号頁・発行日
pp.67, 2008 (Released:2008-11-28)

水辺環境は場所によって変化し,その場にいる人に与える刺激は異なるため,感じ方も変化する.そこで,本研究は水辺の評価として印象に着目し,鴨川の左岸と右岸の印象の差を明らかにすることを目的とする.鴨川で2区間を設定し,それらの両岸で調査を行った.単純集計から左岸と右岸の差を明らかにした.次にクラメールの関連係数によって調査項目間の関連を明らかにし,次いで印象をプロフィール図と因子分析により考察した.単純集計からは「歩道」「特色」「変化の度合い」などで差があることが分かり,山の比較的見えやすい区間2の右岸では「風景がよい」という回答が左岸より多かった.プロフィールでは「変化の度合い」や「特色」で大きな差があることが分かり,因子分析では区間2の方が構成するI構成項目に差があることが分かった.関連分析と現地調査から,歩道の状態,遠景の見えやすさ,にぎわいが印象の差に影響を与えていると考えられる.
著者
加藤 聖 安井 裕子 菅原 清
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

セロトニンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つであるが、近年神経細胞のみならず、グリア細胞にもその受容体が存在することが明らかにされた。しかし、その意義については全く不明である。私達は、クローン化C6グリオーマ細胞にグルタミン酸を添加すると遅延型の細胞死が招来することを報告してきた。更にこのin vitro実験系にセロトニン(100μM)を添加すると、この遅延型細胞死が抑制されることを見い出した。セロトニンの最小有効濃度は35μMであった。その拮抗薬・類似体の使用により、このセロトニンの抗細胞死作用は5‐HT_<1A>サブタイプに属するレセプターを介した現象であると結論された。セロトニンの抗細胞死作用に伴い、LDHの放出や細胞膜脂質過酸化がほぼ完全に抑えられていた。又、細胞内グルタチオン(GSH)の濃度はセロトニン共存下でもグルタミン酸添加により著名に減少していたことより、セロトニンの抗細胞死作用はグルタミン酸によるGSH濃度の減少に抑えるのではなく、GSH減少による酸化的ストレス自身あるいはその産物を抑制、すなわち抗酸化作用によるものであることが判明した。次いで、in vivo実験系として、神経網膜グリア細胞に対して、グリア毒であるアミノアジピン酸を用いて同様な実験を行なった所、やはりセロトニンにより脂質過酸化物の生成が有意に抑えられた。現在電気生理学的実験を施行しており、データ取得およびその分析のためデーターレコーダー、パソコンを購入して解析を行なっている所である。以上から、in vitro、in vivo両系においてもセロトニンのレセプターを介した全く新しい抗グリア細胞死作用(抗酸化作用)がほぼ確認できた。今後更にこの抗酸化作用の分子機序を明らかにしたい。
著者
金 善南 塩澤 崇博 緒方 智成 野中 敬正 栗原 清二
出版者
THE JAPANESE LIQUID CRYSTAL SOCIETY
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.229-229, 2007

フォトニック結晶というのは誘電体の構造的な周期性によって特定の波長の光だけを反射する。つまり誘電定数を変えることで、光の制御ができる材料である。自然界では、例えば、虹色で輝く魚や蝶の羽などで見られる。一方、ブラッグ式によると反射波長は主に結晶の間隔と屈折率に依存する。フォトニック結晶に光応答性を導入することで、光によって屈折率変化が伴い、光-光制御機能を有するフォトニック結晶の開発が可能となると思われる。 本研究では、光応答分子であるpush-pull型アゾベンゼン分子を含む高分子液晶材料を合成し、silica逆オパール周期構造に充填することで可逆性のある光応答性のオパールフィルムを作製、照射によるブラック反射のスイッチングについて調べることを目的とした。
著者
上野 祐樹 北川 秀夫 柿原 清章 寺嶋 一彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.78, no.789, pp.1872-1885, 2012 (Released:2012-05-25)
参考文献数
11
被引用文献数
6

Holonomic omni-directional mobile robots are very useful at narrow or crowded areas because of their high mobility performance, and omni-directional mobile robots equipped with normal tires are desired for their ability to surmount the difference in ground level as well as their vibration suppression and ride comfort. Up to the present, the caster-drive mechanism using normal tires has been developed to realize a holonomic omni-directional mobile robot, but some problems have been left. In this paper, we present an effective system to control the electric caster-drive wheel of omni-directional mobile robots, Differential Drive Steering System (DDSS) using differential gearing is proposed to improve the operation ratio of motors. The proposed DDSS generates the driving and the steering outputs effectively from utilizing two motors. Simulation and experimental results show that the proposed system is effective for both of the mobility and energy saving.
著者
萩原 清子
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.79-93, 1999

本稿では都市環境リスクを「都市において都市住民に安心・安全、快適、ゆとりをもたらす都市環境に対して望ましくない結果をもたらす可能性」と定義し、都市環境リスクを経済的に評価する手法について考察した。まず、都市環境リスクをもたらす事象との関係によって不確実性下での個人の選好状態を3つに分けた。すなわち、望ましくない結果をもたらす事象をどの程度把握しているかによって、(1)個人はある事象による影響を受けることがわかっている、(2)個人はある事象による被害内容やその程度がわかっている、(3)個人はある事象による被害内容・程度・生起確率がわかっている、の3つである。ついで、各状態、に対応した個人の選好に関する基本モデルを示した。さらに、基本モデルに基づく実際の評価手法をデータの種類として(1)顕示選好データか、(2)表明選好データか、および、(1)直接的手法か、(2)間接的手法かに分けて評価手法の分類を行った。特に、従来から提案されている完全合理性に基づく手法ばかりでなくこの仮定がなくても成立する手法として一般選好指標モデル手法を示した。最後に、都市用水利用における水環境汚染リスクを例として、都市環境汚染リスクの経済的評価を従来型手法と一般選好指標モデル法により行った。Economic valuation of urban environmental risk is considered in this paper. Firstly, urban environmental risk is defined as a measure of the probability and/or severity of the adverse effects to the urban environment that is defined by three levels, i.e., security and safety, comfortable and affordable welfare. Secondly, the individual preference under uncertainty is divided into three situations, i.e. (1) the environmental quality is appeared in the individual preference function; (2) the severity of the adverse effects is appeared in the individual preference function;(3)both the severity and the probability of adverse effects are appeared in the individual preference function. Then three basic models are shown corresponding to these three situations. Thirdly, the methods of environmental risk valuation are classified by two criteria, that is, revealed preference data or stated preference data and direct method or indirect method. As for the decision making under uncertainty, anomalies are presented especially from the psychological research recently. So, the general index of preference model that is independent from the premise of perfect rationa1ity, is shown. Finally, three types of economic valuation on risk of water pollution in urban water use are shown. Two methods of which are based on traditional one, and the other method is based on the general index preference model.
著者
岡本 伊作 塚原 清彰 佐藤 宏樹 本橋 玲 近藤 貴仁 岡田 拓朗 清水 顕
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.223-229, 2017-10-30 (Released:2017-11-22)
参考文献数
8
被引用文献数
3

頭頸部癌に対する手術の中で,最も重要な術式の一つに頸部郭清術があげられる。では,どのようにこの頸部郭清術を中心とした頭頸部癌に対する手術手技を,安全かつ効率よくトレーニングしていけばよいのかに関しては明確な指標はなく,施設によって異なっている。われわれの施設では,ドライラボで十分にトレーニングを行った初期・後期研修医,若手医師を対象に,cadaverやアニマルラボを用いた手術トレーニングを行っている。しかし,頭頸部領域でアニマルラボトレーニングを行っている報告はない。今回は,過去に施行したアニマルラボトレーニングにおいて,トレーニングの前と後で参加者による自己習熟度評価と,指導医による習熟度評価について検証した。それにより,頭頸部領域におけるアニマルラボトレーニングの有効性を検討した。アニマルラボとレーニングは手技の向上に関して有意に有効な結果であった。技術の向上は医療安全の観点からも非常に有用となると推察された。