- 著者
-
菅原 清康
- 出版者
- 日本雑草学会
- 雑誌
- 雑草研究 (ISSN:0372798X)
- 巻号頁・発行日
- vol.1973, no.16, pp.53-57, 1973-09-30 (Released:2009-12-17)
- 参考文献数
- 13
(1) 本研究は, 個々の雑草草種が原野, 新開墾畑, 未熟畑ならびに熟畑に単一群落を形成している位置の土壌pH値を群落の規模別に測定し, その草種が生育するための土壌の最適pH値の段階や範囲を究明しようとしたものである。(2) 同一草種では, 単一群落形成の規模の大小によって, 適応pH値の段階や範囲にさほど相異がみとめられない。(3) 個々の草種では適応pH値の段階に著しい相異があるとともに, その範囲にも広狭の相異がある。(4) 土壌のpH値が低く比較的適応範囲の狭い草種は原野に, 土壌のpH値が高く比較的適応範囲の狭い草種は熟畑に, また適応範囲の広い草種は未熟畑に多く発生するようである。また宿根性雑草の多くは, おおむね土壌pH値の適応範囲が広いようである。(5) 土壌pH値の段階や範囲の適, 不適によって個々の草種の発生および消滅が生起し, これらの現象が草種の転換としてあらわれるもののようである。(6) 適応酸度の強弱によって雑草を5段階に分類して1~5の序数をつけ, これを尺度として単位面積当りの平均反応数を出すことが可能である。一方, その場所の土壌酸度を測定し, 土壌酸度を顧慮して雑草を群落の形で土壌の指標としてあらわすことができる。