著者
原 清治
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.7, pp.59-72, 2008

先進諸国において近代化を促進するプロセスを解明するひとつの理論として人的資本(humancapital)論がある。人的資本論は、個人により高度な教育機会を提供することが人間の資本としての資質を向上させ、良質な労働力を多く輩出し、結果として国家の近代化が促進されることにつながるという文脈を辿るものである。たとえば、発展途上国における教育開発や教育計画の多くは人的資本論にもとついていた。しかしながら、先進諸国の経済成長から理論化された人的資本論は限界を迎えつつある。その証左として、先進諸国を中心として、正規雇用に就くことができずに非正規雇用に就かざるをえない若者である「使い捨てられる若者」の増加があげられる。本研究は、先進諸国のなかでもとくに高学歴フリーターの多い日本において、「使い捨てられる若者」がどのように排出されているのかという過程について、計量分析を用いて明らかにすることを目的としている。結果として、日本型の「使い捨てられる若者」は、学力を基底とした分布によって使い捨てられる過程に大きな違いがみられ、その背景に応じた就業支援をしなければ、彼らを再び正規雇用へ移行させることは難しいという実態が析出された。翻って、その対策としては、子どもたちに対する教育の熱意やまなざしが彼らの人的能力を向上させるという「教育資本」論の視点が、日本型の「使い捨てられる若者」に対して一定の効果をあげることができるのではないかという点にも言及している。人的資本教育資本使い捨てられる若者教育開発
著者
菅原 清文
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.1456-1464, 2008-12-15
著者
新藤 辰二 佐々木 義幸 三木 啓道 江口 通 萩原 清和 市川 富夫
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.419-422_1, 1988-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
15
被引用文献数
23 34

新しい天然甘味料として期待されるエリスリトールのイオン交換樹脂カラム CK 08SHを使用した, 示差屈折計付き高速液体クロマトグラフィーによる迅速, 簡便な定量法を検討し, 良好な結果を得た. この方法により, 清酒, ワイン, しょう油, みそそしてビール中の含量を測定した. この結果エリスリトールは清酒, ワイン及びしょう油0.015~0.09w/v%, みそ0.13%, ビールには微量含まれていることが分かった.
著者
白井 杏湖 河野 淳 齋藤 友介 冨澤 文子 野波 尚子 太田 陽子 池谷 淳 塚原 清彰
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.576-582, 2018-12-28 (Released:2019-01-17)
参考文献数
26
被引用文献数
1

要旨 : 人工内耳 (以下 CI) を装用する中学生40人を対象に, 相対式学力検査である教研式 NRT (国語) を実施し, 5段階評定値 (評定5が最良) を確認するとともに, CI 手術時年齢, CI 装用期間, 直近の CI 装用閾値および語音聴取能, WISC で評価した動作性知能 (以下 PIQ) ならびに言語性知能 (以下 VIQ), 在籍する学校種, との関連について検討した。国語学力の評定値は,「読み」「書き」ともに評定2が最も多かった。国語学力と, CI 手術時年齢, 装用期間, 装用閾値および聴取能においては, 有意な相関を認めなかった。他方, 国語学力と VIQ および PIQ, 学校種は有意に関連していた。「読み」では PIQ と r=0.4, VIQ と0.6,「書き」では PIQ と0.6, VIQ と0.7,「読み」と学校種は0.50で相関が示された (p<0.01)。しかしながら, 偏回帰分析により VIQ の影響を固定すると, 学校種と「書き」との関連は消失した。
著者
前原 清隆
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ドイツ語圏諸国(ドイツ、スイス、オーストリア)におけるエコロジー憲法(エコロジーを構成原理とする憲法)について、学説や運動による構想、諸国の連邦および州(ラント、カントン)における実定憲法化の過程と現状を明らかにした。同時に、それが憲法に関する近代的な原理(人権の保障や民主主義など)との関係で一定の緊張関係にたつものでもあることを示唆した。
著者
秋山 雄次 鈴木 輝彦 田中 政彦 小林 厚生 片桐 敏郎 石橋 俊子 北川 秀樹 今井 史彦 原 清 土肥 豊
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.542-547, 1990

混合性結合組織病(MCTD)として経過観察中に強皮症(PSS), 全身性エリテマトーデス(SLE), 多発性節炎(PM), シェーグレン症候群(SjS)の重複症候群に進展した1例を経験したので報告する.症例は42歳の女性で18歳より日光過敏症があった.昭和61年レノイー現象, swollen hands, 関節痛が出現し, 抗RNP抗体81920倍, 抗Sm抗体陰性, 血清CPK値上昇を認めたため, MCTDとして経過観察を開始, 昭和63年多関節痛, 節痛の増強を主訴に入院.理学所見では開口制限, 皮膚硬化, 筋力低下, ラ音を認め, 検査所見では節原性酵素の上昇, LE細胞, 抗核抗体, 抗DNA抗体, 抗ENA抗体, 抗SS-A抗体を認めた.又, 皮膚生検でPSSに一致した組織所見, 節電図で節原性変化, 口唇生検で慢性唾液腺炎像, 腎生検にてメサンギウムの増殖性変化を認めた.MCTDの概念, 殊に重複症候群との差異は明確でなく, さらなる症例の蓄積・検討が必要である.MCTDの経過中にPSS, SLE, PM, SjSへ移行した報告は見当たらず, MCTDの研究上, 貴重な症例であると思われた.
著者
榊原 清則
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.26-33, 2010-09-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
24

組織研究の柱のひとつはイノベーション研究である.サイモンの『人工物の科学』は,組織論を科学として確立するためのアジェンダを示した重要な業績であるが,組織とイノベーションに関心を持つ研究者の立場で言えば,別種のアジェンダもあり得る.本稿では,「意味や価値を論じる人工物の科学」という方向で組織研究の将来を展望する.
著者
加藤 伸子 奥野 智江 狩野 均 西原 清一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.1104-1112, 2000-04-15
参考文献数
16
被引用文献数
1

本論文では仮想都市生成の第1段階である道路網生成をL-systemで行う手法を提案する.ここ?linebreakでは実際の道路網が自己相似性を持つことから,自己相似図形の表現に適したL-systemを用いて道路網を生成する.すなわち,道路網の交差点の形状をL-systemの書き換え規則で表現し,確率L-systemを適用する.この際,その特徴の違いから,幹線道路網では枝分かれ型L-systemを,区画道路網では領域分割型L-systemを用いる.ここでは,道路網の生成手法と実際に道路網を生成した例について述べ,自動的に多様な道路網が生成できること,幹線道路網,区画道路網の2つの生成手法により,自然発生的で不規則なパターンの道路網と計画的で規則的なパターンの道路網が各々生成できることを示す.This paper proposes a novel method that enables automatic modeling of road networks that provides the basic structure of the virtual cities. We show a set of rewriting rules of an L-system works very well to produce realistic road networks including road shapes, block shapes, and graphical topology. The road networks are composed of two types of roads -- arterial roads which are generated by using the Tree L-system and access roads which are generated by using the Map L-system. The fundamental structure of real road networks and generation procedures for road networks are described. Examples of road networks verify following: various type of road networks can be generated, and both of the irregular pattern and regular pattern of the road networks are generated successfully by using Tree L-system and Map L-system respectively.
著者
岩崎 裕子 大越 ひろ 石原 清香 船見 孝博
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.84-95, 2012-02-15 (Released:2012-03-28)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

コンニャク入りゼリーの破断特性に及ぼす測定条件および調製条件の影響を検討した.コンニャク入りゼリーは比較として用いた寒天ゼリーに比べて測定条件の影響を受けやすいことがわかり,この結果をもとに測定の再現性,普遍性および実用性という観点から力学測定条件を決定した.さらに,コンニャク入りゼリーは,膨潤時間のような調製条件によっても破断特性値が変化することが明らかになった.コンニャク入りゼリーの力学試験方法を標準化する際に,これらの知見は有益である.
著者
大河原 清
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.123-138, 2006

本論は、高等看護学院生37名を対象に、DVD『バトル・ロワイアル』の視聴後の感想文を手掛かりとして、DVD『バトル・ロワイアル』の映像とその内容の印象、特に、佐世保小6女児同級生殺害事件の加害少女への影響度合いを、看護学生はどのように捉えていたかについて述べたものである。結果から、高等看護学院生37名のうち31名(83.8%)がDVD『バドレ・ロワイアル』の映像が女児に何らかの影響を与えたと捉えていた。映像は真っ赤な血、その飛び散る様、首が切られるなど極めてリアルであり、音声は大きく、画面全体は暗く、話し言葉は乱暴で、殺し合いの反復が続く。結果として、怖い、残酷だ、気持ち悪い、嫌だ、見たくないという感想になった。映画の意味は特定しがたく、小学生にはただの殺人映画として捉えられ、殺害方法の参考になったのではないかと捉えていた。また1本を3回に渡って視聴した経過から、残酷な映像への慣れが生じていることが分かった。
著者
米川 直樹 鶴原 清志 藤田 匡肖
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 教育科学 (ISSN:0389925X)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.69-86, 1994

青少年のスポーツ活動は、心身の健全な発育発達にとって必要不可欠なものとなるが、他方、その発育・発達の途上にある青少年のスポーツ活動の実態は、勝利志向重視による心身の問題も指摘されている。そこで、青少年の健全な育成の基礎的な段階の時期にあると考えられる若年層に焦点を当て、スポーツ活動が彼らの心理的側面に及ぼす影響について検討することにした。その結果、運動への積極的な参加は、児童達の運動に関わりのある能力についての自己への認知に望ましい影響を示していると考えられた。また、POMSから見た場合、運動量が多くなると元気さや活動力の程度が低く、TEGから見た場合、対象となった年齢層の全体的な傾向としては自己肯定・他者否定のものの見方や考え方をしていること、その中でも運動を頻繁に実施している児童は自我のエネルギーレベルが高いものであった。
著者
篠原 清昭
出版者
日本教育経営学会
雑誌
日本教育経営学会紀要 (ISSN:02872870)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.69-80, 1983 (Released:2017-07-06)

The main purpose of this thesis is to make the following points sufficiently clear: (1) what position village communities held, and (2) what role they played, in the construction and maintainance of village elementary schools in the beginning of the Meiji era. To attain this purpose studies have been made into the subject of the School Farm System introduced in Aomori Prefecture of those days. In conclusion, (1) village elementary schools were regarded as the common. property of the village community members and (2) the Meiji administrative power practiced usurpation upon village communities so as to establish modern educational system in their place.