著者
荻野 敏 原田 保
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.282-287, 1996-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7

アレルギー性鼻炎はストレス, 疲労などにより悪化する. 今回, 全身倦怠感, 不眠などを伴った5例のアレルギー性鼻炎に補中益気湯を投与した. 症例1は22歳, 女性, 数年間のHD減感作治療を受け鼻症状は落ち着いていたが, 中耳炎の手術後から再び鼻症状の悪化を見た. 同時に食欲不振, 全身倦怠感, 不眠, 耳鳴も出現してきた. 症例2は43歳女性. 子宮筋腫により子宮全摘を受けている. 全身倦怠感, 不眠を伴つていた. 症例3も43歳, 女性. 中等度の貧血を伴つていた. 症例4は26歳, 男性. 不眠, 倦怠感, 仕事でのストレスを伴つていた. 症例5, 18歳, 男性. 受験による不眠, 倦怠感を訴えていた. 全症例に補中益気湯の投与を行ったところ数日から1ヵ月以内に鼻症状の改善を見た. 特に症例1, 2では本薬剤の投与のみであつた. この成績から, 補中益気湯は全身倦怠感, 不眠などの全身状態の良くないアレルギー性鼻炎に対しては有効な薬剤であると思われた.
著者
原田 恭行 小善 圭一 横井 健二 里見 正隆
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.529-537, 2016-11-15 (Released:2016-12-23)
参考文献数
46
被引用文献数
1

魚味噌仕込み時にクエン酸を添加することにより,魚味噌中のヒスタミン蓄積抑制を試みた.また,クエン酸の添加時期が魚味噌中のヒスタミン蓄積抑制効果に及ぼす影響と,魚味噌の呈味性に及ぼす影響をそれぞれ検討した.その結果,終濃度0.6%のクエン酸添加がヒスタミン生成菌の増殖を顕著に抑制し,ヒスタミンの生成を抑制した.このため,ヒスタミンの蓄積抑制効果は,クエン酸の添加時期が早いほどが大きかった.また,クエン酸の添加は,好塩菌の増殖にも抑制効果を示し,好塩菌の代謝による乳酸や酢酸等の生成を減少させた.このため,呈味性への影響は,クエン酸の添加時期が早いほど酸味を弱め,かつ旨味の変化も小さかった.これらのことから,魚味噌熟成中のヒスタミンの蓄積を抑制するには,仕込み直後にクエン酸を添加することが望ましいと考えられた.
著者
守谷 健弘 鎌本 優 原田 登 杉浦 亮介
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.246-256, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
87

多様な信号処理の全般で重要な役割を果たしている線形予測分析技術の利用の観点で,音声音響符号化技術の進展を紹介する.開発当初から線形予測分析による合成フィルタは音声生成の声道モデルと親和性が高く,音声合成や電話音声に特化した音声符号化で広く使われてきた.一方,現在普及している典型的な音響符号化には線形予測符号化技術が使われていないが,低ビットレート化,音声音響統合符号化の要請に合わせて,スペクトル包絡を効率的に表現する手法として広く使われるようになった.これらの経緯を説明し,あわせて最近実用段階にあるロスレス音響符号化MPEG-4 ALS,携帯電話用の符号化3GPP EVS について紹介する.
著者
小垣 匡史 伊佐 常紀 村田 峻輔 坪井 大和 奥村 真帆 松田 直佳 河原田 里果 内田 一彰 中塚 清将 堀邉 佳奈 小野 玲
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.5-12, 2020-03-31 (Released:2020-04-10)
参考文献数
28

目的:本研究の目的は,9~12歳の児童において日常的な外遊びと遂行機能の各項目(作業記憶, 認知柔軟性,抑制機能)の関連を性別で層別して調査することとした。方法:神戸市内の公立小学校2校に通う小学4年生から6年生314名を対象とした。作業記憶はDigit Span Test(DST),認知柔軟性はTrail Making Test(TMT),抑制機能はStroop testを用いて測定した。外遊びは自記式質問紙を用いてその頻度を測定し,週3日以上外遊びを行う児童を外遊び高頻度群,週3日未満外遊びを行う児童を外遊び低頻度群とした。児童期における外遊びの特性は性別で異なるため,解析は性別で層別して実施した。統計解析は,目的変数を遂行機能の各項目,説明変数を外遊びの頻度とし,学年で調整した回帰分析を実施後,交絡因子を学年,body mass index(BMI),身体活動量とした強制投入法による重回帰分析を実施した。結果:男児は女児と比べて身体活動量および外遊びの頻度が有意に高かった。男児において外遊びの頻度と遂行機能に有意な関連は認められなかったが,女児において外遊びの頻度と認知柔軟性にのみ有意な関連が認められた[偏回帰係数(B)=−8.90, 95%信頼区間:−16.97,−0.82]。交絡因子の調整後も女児において外遊びの頻度と認知柔軟性は有意な関連を示 した[B=−10.76(−19.42,−2.10]。結論:児童期後期において,女児の外遊びの頻度が認知柔軟性と有意に関連することを初めて示した。本研究は,特に外遊びが少ない女児において,遂行機能の一部と関連が示された外遊びが重要であることを示唆した。

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著者
原田指月 著
出版者
文武書院
巻号頁・発行日
1924
著者
原田 健一
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.383-387, 2019-12-16 (Released:2019-12-16)
参考文献数
8

新潟大学の研究プロジェクト「にいがた 地域映像アーカイブ」は、地域の町や村と連携しながら、新潟を中心とした地域の生活のなかにある映像を発掘して、整理・保存を行い、デジタル化をし、さらには、その内容を整理、分析し、映像メディアの社会的あり方を考え直し、新たな社会の文化遺産として映像を甦らせるものとして構想された。地域のデジタル映像アーカイブは、デジタル化という現在の大きな社会変容のなかで、機能しなくなった研究状況を打破する装置であり、地域の時間層へのボーリング調査によって、社会変容の基層にあるものが何なのか、デジタル化することによって再帰的に実証し、地域そのものをブーツストラップ(編み上げ直す)するものだ。
著者
原田 幸一
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.16-31, 2015-07

本稿は,若年層による日常会話をデータとし,「トイウカ」の使用を分析した。分析の結果,「トイウカ」の用法は発言改正用法(<暫定提示><言い換え><譲歩補足>)と話題調整用法(<話題導入><話題維持>)に分類できること,種々の形式のうち縮約形「てか」が出現数と使用者数が最多であること,テ系では発言改正用法より話題調整用法のほうが「てか」の割合が高く,ツ系でも発言改正用法より話題調整用法のほうが「つか」の割合が高いことを明らかにした。分析結果にもとづき,縮約形「てか・つか」の使用に関して「単純化(simplification)」の傾向を指摘した。また,広義文法化の立場から「トイウカ」が文法化の一事例として位置付けられることを主張した。
著者
原田 隆史 高久 雅生 小野 永貴 杉岡 秀紀 真山 達志 逸村 裕 江草 由佳 岡部 晋典 小泉 公乃 山本 順一 安形 輝 桂 まに子 岸田 和明 佐藤 翔
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,「資料」「来館者」「非来館者」「知の拠点」「図書館制度・経営」という5つの観点を研究する5 つのグループを設定して,日本の公共図書館全体を対象とする大規模な質的・量的調査を実施する。これによって日本の公共図書館に関して,それぞれの機能・サービスの基準とし,規模や地域経済など,図書館の状況に応じたベースラインを明らかにする。本研究により日本の公共図書館すべてに適用可能な評価パッケージを開発可能にすることが可能になると考えられる。
著者
原田 大樹
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.31-40, 2010

本稿は,昭和30年代に行われた共通語指導を明らかにする研究の一環として,鹿児島県で作成・使用された教材『ことばのほん』について,その内容・特徴・及び意義について明らかにすることを目的としている。『ことばのほん』は,鹿児島県国語教育研究会・鹿児島県教育委員会の共編で,それまでの標準語・共通語指導において,確固とした教材がなかったことや,教師の経験不足等による共通語指導の不振に対応するために作成された。そのねらいは,児童が共通語を自由に使用できることにあり,児童の日常生活や経験に基づく指導を行おうとしている。そのため本書の内容は,「ことば」の矯正に加え,アクセント・イントネーション等の音調に関する事項が多く含まれている。さらに,その使用方法については,特設の時間で,実践的活動によって,また,音声機器も併用して指導するように示され,音読,劇化などによって指導している。この結果,本書は,児童が共通語を体系的・経験的に学べるテキストであるという点に特徴と意義が見いだせる。
著者
阿部 幸浩 原田 正志 渡辺 直樹 水戸岡 靖子 久保田 冬彦 大田 康雄
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
ポリマー材料フォーラム講演要旨集 第15回ポリマー材料フォーラム
巻号頁・発行日
pp.145, 2006 (Released:2008-03-11)

ポリインジゴは、その化学構造から還元するとロイコ体になり、また、空気酸化により容易に元のインジゴ構造に戻ることが予想され、このことはポリインジゴ繊維はリサイクル可能であることを示唆する。また、分子軌道計算より理想的に紡糸できれば、p-アラミド繊維の約2倍の弾性率を示す可能性が示された。我々は、この繊維の開発を目指して原料合成ルートの探索を行い、ポリインジゴ重合の検討を行った。