著者
堀 元 秋田 次郎 三宅 充展 鴨池 治 芹澤 成弘 林山 泰久
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1)非家父長的利他性、すなわち、他者の判断基準を尊重した上で、他者が望ましい状態にあることを自らも望ましいとする他者への配慮、に由来する効用の相互依存関係の分析を非定常モデルへ拡張した。2)最適な自己資本比率規制を分析するために、自己資本比率が銀行収益に及ぼす効果を検討し、銀行の期待自己資本収益率と銀行の破綻確率の間にはトレードオフが存在することを証明した。3)アロンソ型離散土地市場モデルを分析し、競争均衡を計算するための有限アルゴリズムを導出した。4)地球温暖化問題に対処する「京都メカニズム」が京都議定書でとりまとめられたが、京都メカニズムには先進国と発展途上国の利害対立等、多くの問題が指摘されている。京都メカニズムの問題のうち特に争点となっているCDMについて分析を行った。5)環境を利用することから生じる総価値を補償的偏差および等価的偏差の概念で定式化し、総価値が利用価値および非利用価値の加法分離形で表現できることを示し、利用価値は、直接的利用価値および純間接的利用価値に分離可能であることを示した。6)制度・経済システムといったものに付随する「本質的な不確実性」は、伝統的なリスクによる分析を越えるものとして、ナイト流不確実性として捉えることが出来る。不確実性が高まれば留保価格が低下する、というこれまでのフレームワークでは説明できなかった主張を証明した。7)所有と経営が分離している企業とオーナーが経営上の意思決定を行うことの出来る企業を比較すると、役員に対して金銭的報酬を通じて株主の利益を追求するインセンティブが与えられているのは後者であるということを実証した。8)メカニズムに戦略的虚偽表明を防止するという条件を課した場合、純粋交換経済モデルにおいて、パレート効率性と最小消費保証条件の間にトレードオフが存在することを証明した。
著者
尾形 凡生 植田 栄仁 塩崎 修志 堀内 昭作 河瀬 憲次
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.251-259, 1995-09-15
被引用文献数
3 10

数種類のジベレリン生合成阻害物質がウンシュウミカンの着花促進に及ぼす効果について調査した.<BR>1. パクロブトラゾール, ウニコナゾール-P, プロヘキサジオン-CaおよびCCCを秋期 (1986年10月末~12月末) に3回散布したところ, パクロブトラゾールおよびウニコナゾールーP処理が翌春の着花数を有意に増加させた.<BR>2. パクロブトラゾール, ウニコナゾール-P, プロヘキサジオン-CaおよびGA<SUB>3</SUB>を冬期 (1992年12月19日~1993年3月10日) に散布処理した. パクロブトラゾールでは, 1月10日および1月30日, ウニコナゾール-Pでは1月30日, プロヘキサジオン-Caでは, 12月20日~1月30日の処理によって有意な花数増加が得られた. GA3は各処理時期とも着花を著しく抑制し, とくに1月10日処理における着花抑制効果が高かった.<BR>3. 1993年1月30日にパクロブトラゾール, ウニコナゾール-Pおよびプロヘキサジオン-Caの100,300,1,000および3,000ppm溶液を散布したところ,パクロブトラゾールでは100~1,000ppm, ウニコナゾール-Pでは100ppm, プロヘキサジオン-Caでは300~1,000ppm処理で花数の増加効果が認められたが, このうちパクロブトラゾールの100ppm処理区では着蕾後の落花 (果) が発生した.<BR>4. パクロブトラゾール, ウニコナゾール-Pおよびプロヘキサジオン-Caの1,000ppm溶液を1993年1月10日~2月20日に1~3回散布したところ, いずれの薬剤でも3回処理が最も効果的で, 1,2回処理でも花数は増加する傾向にあった.<BR>
著者
堀口 悟史 井垣 宏 井上 亮文 山田 誠 星 徹 岡田 謙一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.61-71, 2012-01-15

HTML講義資料を用いるプログラミング講義では受講生が講義資料に自由にアクセスできるため,講師の意図した順序やタイミングで資料を閲覧させることが困難である.講師の意図したとおりに資料を閲覧させることができなければ,結果として受講生の講義内容に対する理解が不足してしまう可能性がある.本稿では,受講生個別の講義資料へのアクセス状況を閲覧ログとして収集・分析する授業進捗管理システムを提案する.授業進捗管理システムは閲覧ログに基づいて受講生がどのような状態にあるかを分析し,講師に提示する.実際にプログラミング講義において我々のシステムを利用したところ,遅れているのべ73%の受講生を検出できることが確認できた.
著者
西堀 すき江 並木 和子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.144-148, 1998-02-15
被引用文献数
6 5

野菜ジュースの<SUB>O2</SUB>-消去能を2種類の測定法(NBT法・ルミネッセンス法)で比較した.<BR>(1) NBT法において実験に供した20種類の生ジュースはいずれもO<SUB>2</SUB>-消去能を有していた.特にブロッコリー・キャベツ・ピーマン・ニラ等は強い活性を示した.しかし,ルミネッセンス法ではニンジンの生ジュースに活性は認められなかった.<BR>(2) 加熱処理によりキュウリ・カボチャ・レタスの活性が最も低下した.1O<SUB>2</SUB>消去能が高いと報告されているカロテノイド系の色素を含むトマト・ニンジンも,加熱により活性が低下した.特に,加熱後のニンジンはほとんどO<SUB>2</SUB>-消去能が認められなかった.タマネギ・モヤシ等のフラボノイド系野菜も加熱により活性が低下した.<BR>(3) クロロフィル系野菜は品種によって幅があるが,比較的加熱後もO<SUB>2</SUB>-消去能が持続した.クロロフィル類縁体の存在比率は,生・加熱に関わりなくクロロフィルaが圧倒的に高く,加熱によってクロロフィルaは減少するものの,1/2~2/3量残存した.逆にフェオフィチンaは1.5~2倍に増加した.<BR>一般的に,野菜の色素の中ではカロテンの活性酸素消去能が高いと報告されているが,実際に野菜ジュースにおいて,特に温野菜においてはクロロフィル系の色素を含む野菜に,活性酸素消去能の活性が持続することがわかった.
著者
堀江 秀樹
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1063-1066, 2009 (Released:2010-01-25)
参考文献数
8
被引用文献数
6 4

Important taste compounds in vegetables are organic acids (sour taste), free sugars (sweetness) and some amino acids (umami-taste). The author tried to analyze these important taste compounds (oxalic acid, citric acid, malic acid, aspartic acid, glutamic acid, fructose, glucose, sucrose) in various vegetables simultaneously using capillary electrophoresis. The electrolyte used was 20 mM 2,6-pyridine dicarboxylic acid and 0.5 mM cetyltrimethylammonium bromide at pH 12.1. The capillary tube was rinsed between every analysis for 1.5 min with water, 3 min with methanol, 4 min with sodium hydroxide (1 M) and 5 min with a running electrolyte, respectively, for the purpose of improving the stability and peak shape of the pherogram. The signal was indirectly detected at 270 nm. The taste compounds of various vegetables purchased in Japanese market were successfully analyzed using this method. These comparative data, based on the same analytical methods are very rare in the literature, and our data clearly indicate the characteristics of each vegetable.
著者
余田 成男 石岡 圭一 内藤 陽子 向川 均 堀之内 武 小寺 邦彦 廣岡 俊彦 田口 正和 柴田 清孝
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

全球気象解析データおよび力学コアモデルから気象庁1ヶ月アンサンブル予報モデルまでを駆使して、成層圏変化が大気大循環の主要力学過程に及ぼす影響と力学的役割を明らかにした。特に、成層圏突然昇温現象に関連して、周極渦周縁の大規模前線構造を発見するとともに、極域循環の予測可能性変動の新知見を得た。また、化学-気候モデル実験結果も加えて、成層圏寒冷化、太陽活動変動などの外部要因変動が季節内変動・年々変動の及ぼす力学的役割を明らかにした。
著者
中島 宏和 小堀 志津子
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.453-462, 2007-07-01

カエル調査の活動への参加者を地域の児童・生徒及びその保護者から募集し、地域社会で行う環境学習のあり方について検討した。分布調査や観察会、学習会を行った後、学習の成果を発表する場としてシンポジウムを開催した。その結果、子どもも大人も今回の活動が、改めて自然を見つめ直すきっかけとなったり、世代を超えた新たな人間関係の構築につながる様子が伺えた。また、活動に参加した児童は、参加しなかった児童に比べ、生物と生物や生物と自然環境とのつながりなど、環境を幅広くとらえていることが分かった。
著者
獅々堀正幹 大西 泰代 柘植 覚 北 研二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.300-311, 2007-01-15
被引用文献数
1

近年,楽曲配信サービスの普及により,容易に音楽データをダウンロードして試聴できるようになった.しかし,サーバ側で蓄積している音楽データが膨大になるにつれ,音楽データに対する効率的な検索手法が必要になっている.特にハミングを入力とする検索手法が近年活発に研究されており,音楽特徴量間の類似度計算にDP マッチングやユークリッド距離を用いる手法が主流であった.本論文では,距離尺度としてEarth Mover's Distance(EMD)を用いたハミング検索手法を提案する.EMD は輸送問題における輸送コストの最適解であり,本手法では輸送問題における各供給地が有する資源量を各音符の音長,輸送コストを各音符の出現時間と音高情報から算出することで,リズムと音程との類似度を同じ距離尺度で計り,全体の曲調が類似した曲を検索する.さらに,EMD の計算量が音符数に対して指数関数的に増加することに着目し,検索精度を維持しつつ計算コストを低減可能な音楽特徴量を提案する.約500 曲の音楽データベースに対してハミングデータ40 曲を入力とした評価実験を行った結果,ユークリッド距離を用いる手法より検索結果上位10 位以内に正解データが出現する割合が約30%向上した.また,DP マッチングを用いる手法と比べて,極端に音高の外れた音符を含むハミングデータに対する柔軟性を確認した. 付録:<a href="http://www.ipsj.or.jp/08editt/contents/JNL4801/index.html#28"target="_brank">http://www.ipsj.or.jp/08editt/contents/JNL4801/index.html#28</a>Music retrieval systems are extremely useful for collecting digital music data from on-line music distribution sites. Especially, there is a great need to develop effective techniques for content-based music retrieval systems, which can retrieve by humming query. The main issues in this research is how to decide the similarity of each music features extracted from music data. In order to calculate the similarity, some conventional methods use Euclid distance or DP matching, but it is very hard to solve the problem of the vagueness of humming query. In this paper, we propose a new similar music retrieval method based on humming query using the Earth Mover's Distance as the distance measure. Computing the EMD is based on a solution to the transportation problem, and the EMD is applied as the distance measure on similar image retrieval systems. In addition, we focus that the time complexity of the EMD is exponential worst case toward the number of notes, the improved method to decrease the number of notes in the music feature is also proposed. Experimental results show that the proposed method can improve the retrieval precision of conventional systems.appendices:<a href="http://www.ipsj.or.jp/08editt/contents/JNL4801/index.html#28"target="_brank">http://www.ipsj.or.jp/08editt/contents/JNL4801/index.html#28</a>
著者
堀口 美智子
出版者
淑徳大学短期大学部
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.83-93, 2010-02-25

就学前の子どもをもつ親は、子どもの成長や発達が順調であるかを心配したり、子育てのしかたに悩んだりすることが少なくない。孤立して育児をする現代の親の状況を考えると、子育て支援とは、「子育ての方法を知りたい」という新米の親から「子どもの問題にどのように対処したらよいのか」悩む親までを、広い範囲で対象にする必要がある。また、親たちが抱える問題に対症療法的に関わるだけではなく、問題を未然に防ぐための予防的支援が重要となる。そこで、5段階の介入・支援プログラムをもち、親のニーズや問題の内容にあわせて複数のプログラムを重層的に展開するオーストラリアの「トリプルP-前向き子育てプログラム」に注目した。本稿では、「前向き子育てプログラム」の理論枠組みや先行研究などを紹介し、大学における地域子育て支援の試みとして、筆者が2009年度に行った活動を報告した。
著者
伊勢 雄也 森田 達也 前堀 直美 轡 基治 塩川 満 木澤 義之
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.213-218, 2010 (Released:2010-08-13)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

現在, 麻薬及び向精神薬取締法施行規則が改正され, 麻薬小売業者間での麻薬の譲渡/譲受が可能となったが, その制度の問題点については明らかにされていない.本研究は, この制度の普及と運用上の障害を明らかにすることを目的として行われた. 全国3,000施設の薬局の薬剤師に対して質問紙による郵送調査を行い, 1,036施設より回答を得た. 麻薬小売業者間譲渡許可免許を取得することにより麻薬が取り扱いやすくなる, またはなったと回答した施設は全体の20.2%であった. 取り扱いやすくならない, またはならなかった理由として, 手続きの煩雑さに関する問題のほかに, 麻薬の譲渡/譲受の規制についての問題点が挙げられた. 以上の結果より, がん患者の除痛を適切に地域で行えるよう薬局が機能するためには, 他の医薬品と同じように「医薬品販売業者への返品を可能にする」, または「備蓄薬局からの継続的な譲渡を可能にする」などが必要であることが示唆された. Palliat Care Res 2010; 5(2): 213-218
著者
堀田 和弘
出版者
敬愛大学・千葉敬愛短期大学
雑誌
千葉敬愛短期大学紀要 (ISSN:03894584)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-9, 2002-02

下総台地に数多く存在する湧水は、印旛沼の貴重な水源であり、また、沼や河川の水質浄化に大切な水源であると共に、動植物にとっても、その生命体を維持するために欠くことの出来ない資源である。特に動物の生命維持にとって大切な湧水と湧水周辺部に、どのような種が飛来・生息しているかを調査した。その結果、各調査地点において、飛来・生息する動物種に相違があることが確認され、また、湧水に棲息する水生動物は、その存続を湧水に依存しているものが多く(特にサワガニとホトケドジョウ)、その棲息密度は、湧水地点および湧水周辺部に近いほど高い。
著者
坂元 昴 大西 文行 大橋 功 小田桐 忍 カレイラ松崎 順子 岸本 肇 光野 公司郎 近藤 俊明 末藤 美津子 出口 保行 藤後 悦子 馬場 伊美子 伴 浩美 福崎 淳子 益井 洋子 坂元 章 堀田 博史 松田 稔樹 磯 友輝子 岩崎 智史 高田 隆 高梨 珪子 坪井 寿子 鈴木 光男 田中 真奈美 竹内 貞一 山村 雅宏 齋藤 長行
出版者
東京未来大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、21世紀に生き、開拓する21世紀型能力を中核に、幼児・児童における未来型能力、幼児・児童における未来型能力の育成、未来型能力を指導できる指導者の育成の3段階にわたる研究を、既存研究の検討整理、独自の調査、研究を踏まえて、社会貢献する成果としてまとめた。初年度から2年度にかけて21世紀型の幼児像を様々な能力領域で明らかにし、2年度から3年度にかけて、各領域で、これらの能力を育成するシステムを設計試行評価し、さらに、能力育成を指導する指導者の教育システムを検討、整理、設計、試行実施した。
著者
鈴木貴文 今井慈郎 堀幸雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.519-521, 2011-03-02

近年人気の高まっているTwitterというサービスに投稿されたユーザのつぶやき情報を利用し、日本各県で興味を持たれている食品の特色を抽出した。Twitterにはユーザの行動に密接した内容の投稿がなされる傾向にある。食事や起床・就寝などの情報も頻繁に投稿される。このログを解析することによって各地域のユーザが何に興味を持っているのか推測する。彼らがどの時点で何を食べたか、あるいは食べたがっているかがわかれば、地域に出店しようとしている飲食店や企業の助けになるはずである。地域ごとの食文化間差異の発見を支援する機構を開発した。