著者
堀田 龍也 中川 一史
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.325-335, 2003-03-20
被引用文献数
10

情報通信ネットワークを利用した交流学習を継続させている教師が意図している点の特徴を知るために,テレビ会議交流学習プロジェクト参加校の教師14名と,電子掲示板交流学習プロジェクト参加校の教師13名に対してアンケート調査を行った.それぞれの参加校を交流学習継続群と非継続群に分割し,アンケート調査の結果を比較した.その結果,交流学習を継続させている教師が意図した点の特徴として,次の2点が明らかになった.1)交流学習に取り組む教師は,その利用する情報手段や継続の程度にかかわらず,学校間の交流担当者との密なやりとりを行い,他の交流方法との併用をしていた.2)交流手段として中心に据えている情報手段の違いによらず継続群の教師にのみ見られる特徴的な点として,交流にかかわる活動時間の保障,内省をうながすための授業場面の設定や掲示物の作成があげられた.
著者
相原 健郎 堀 浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1377-1386, 2001-06-15
被引用文献数
1

本論文は,人間の創造的な思考を支援するための手法と,それに基づく支援システムを提案する.まず,創造性についての認知科学研究に基づいた思考過程のモデルを提示し,思考の制約となっているものを変更することで創造的な思考が進むことを述べる.そして,思考の制約のうち,記憶の想起の障害となっている時間的な制約に着目し,それをシステムによってユーザに変更を促すことで創造的な思考を支援することを提案している.提案手法では,時間的な制約を空間的な制約に変換してユーザに提示することで,ユーザの想起を促し,それによって思考を支援することを行う.支援システムEn Passant 2は,思考活動で最もよく用いられる紙に書かれたメモを利用し,それをシステムに入力することで,ユーザの記憶の想起のきっかけを与えるのに利用している.ユーザは,システム上でメモのマークをつけることでメモを特徴づける.それを用いてシステムはメモ間の関連度を算出し,メモを2次元空間上にマップしてユーザに提示する.システムを用いた長期実験を行い,システムの有用性を示している.In this paper,we propose a method and its implementation to aid the process of creative thought.The objective of this research is to enhance the human creativity with computers.This paper deals with a scientific creativity.In order to aid the process of creative thought,we have implemented a system named En Passant 2,which stores the user's research notes.The user can put his/her own mark as an index onto his/her notes in the system.The unique feature of En Passant 2 lies in the function to deal with indices and a time attribute of the user's thought explicitly.Using indices and time information,the system shows the user's notepads related to his/her awareness of the issues.The recall of his/her memories in present context makes a collision of two contexts,and that triggers the user's creativity.We have carried out several experiments and show the results.
著者
堀口 利枝 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.57-66, 2009-11-30

本稿は、絵巻物にみられる「笠」の意匠を観察・解析したものである。調査対象とした平安時代から室町時代のおよそ400年間に制作された絵巻物33巻の中に、人々が使用する「笠」の図像が1153点みられた。それらの図像の観察を通して、本稿では「笠」の意匠の特質を下記のように析出した。(1)平安時代は巾子のある「笠」のみであったが、鎌倉時代以降には、「笠」の材料や製作方法の進展とも関連し、巾子のない「笠」や塗りの「笠」がみられ多様な「笠」の文化が繰り広げられる。(2)「笠」は、上流者から庶民に至るまで多くの階層で使用されていたが、階層ごとに、使用者と「笠」の種類・形状との間に一定の関係性がみられる。(3)「笠」の使用目的は、風雨・風雪・陽光などを避ける物理的・実用的機能のみならず、女や僧・尼たちの間では顔・面を覆い隠す道具でもあった。(4)祭りに登場する「笠」には特異な風流が施され、神が降り立つための標、降り立った神そのものの標としての役割を果たした。
著者
堀越 昌子 大森 久和
出版者
滋賀大学
雑誌
滋賀大学教育学部紀要. 自然科学 (ISSN:04886291)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.94-101, 1980

Tar dyes were determined quantitatively in ice candies by double-wavelength spectraphotometry. Tar dyes were detected in 80% of colored ice candies, The meanvalue of the concentrations of tar dyes in ice candies was 7.78±6.40ppm. Tartrazine(Y4) was used most extensively and detected in 77% of ice candies which contained tar dyes. Brilliant blue FCF(B1) was detected in 43% of them. The mean value of the concentration of tartrazine was 7.21ppm and that of brilliant blue FCF was 0.76ppm. Ice candies which contained a single dye were 37%. The most ice candies contained plural species of dyes. The ratio of the mixture of dyes was determined by double-wavelength spectrophotometry. When there were many samples which contained a mixture of dyes and their specific absorption peaks different with one other, the double-wavelength spectrophotometric method was very useful.
著者
加藤 由樹 加藤 尚吾 杉村 和枝 赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.403-414, 2008

本研究では,テキストコミュニケーションの受信者の感情面に及ぼす感情特性の影響について検討するために,電子メールを用いた実験を行った.本実験の被験者は,42名の大学生であった.彼らを,無作為に2人1組のペアにし,電子メールを使ってコミュニケーションを行ってもらった.そして,電子メールを受け取るたびに,どんな感情が生じたか(感情状態)と,送信者の感情状態をどのように解釈したか(感情解釈),について尋ねる質問紙に回答を求めた.また,感情特性の指標である個別情動尺度-IVによって被験者を3群に分類し,受信者による感情解釈と受信者の感情状態の関係と,送信者の感情状態と受信者による感情解釈の関係を,3群で比較した.結果,これら二つの関係は,受信者の感情特性の影響を受けることが示された.結果から,テキストコミュニケーションで生じる感情的なトラブルの原因を考察した.
著者
犬伏 和之 堀 謙三 松本 聰 梅林 正直 和田 秀徳
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.318-324, 1989-08-05
被引用文献数
13

堪水土壌中で作られたメタンが水稲体を経由して大気へ放出されることを確かめ,この過程を解析することを目的としたポット実験を行った.水稲体以外からのメタンの放出をできるだけ除外した方法を用いて,以下の結果を得た. 1)水稲を経由したメタン放出量は,それ以外の経由からのメタン放出量に比べ2〜10倍多く,0.16〜23 mg C/h/m^2 の範囲にあった.測定期間中(8月後半以降)では9月上〜中旬にメタン放出量のピークが認められた.またメタン放出量には日変化のある可能性が認められた. 2)日中に遮光すると,自然条件に比べメタン放出量が1.6〜5倍に増加した. 3)土壌にあらかじめ稲わら麦わらを混合した場合メタン放出量は2〜10倍に増加した.供試した土壌種別にみると,グライ土>灰色低地土>褐色低地土の順になった. 4)水稲根圏へメタン溶存水を注入すると,ただちに水稲地上部から大量のメタンが放出された.一方,水稲根圏へ酢酸ナトリウム溶液を注入すると,22日後に水稲地上部からのメタン放出量が極大に達した. 5)水稲を地上約 10cm で切断し切断面からのメタン放出量を経時的に測定したところ,切断直後に放出量は一時減少したがその後漸増し4時間後には切断直後の1.5〜4倍になった.
著者
堀内 陽介 井上 智雄 岡田 謙一
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.567-576, 2011

Theatrical play is the composite art which involves producers in different charge. In planning production phase, sharing the same image of theatrical space among the producers is not easy. To assist the multiple users' work in planning, this paper proposes a system that actually reproduces a theatrical stage through two spaces: one is a physical miniature stage presented on the tabletop interface, and the other is a virtual theatrical stage linked with the miniature stage which reflects actions on the miniature stage in real time. By reproducing the actual stage situation through the two spaces, users become easy to create and share a picture of the whole theatrical stage.
著者
平松 玲治 堀江 典子
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.585-590, 2009
被引用文献数
4

インタープリテーションは米国の国立公園で発達し、わが国では自然公園の分野で導入された。特に1990年代から「解説」や「自然解説」等の訳語ではなく、「インタープリテーション」(以下「Ip」と表記する)としてカタカナ表記で紹介されてから、環境教育や都市公園をはじめとする多くの分野で使用し広まった。本研究がとりあげる国営公園は、1974年に三箇所の公園が開園し、1976年の法制化によりはじまった大規模都市公園である。特に自然資源を活用した利用サービスについては、自然公園・観光・環境教育・博物館等で導入されている手法や取り組みの影響を受けた展示・案内解説・プログラム提供がなされてきているが、Ipの概念や展開手法が分野によって必ずしも一様ではないことを考えれば、各分野に共通する概念や相違点を把握した上で、国営公園の目的に合致したIpを導入する必要があろう。そこで、国営公園の役割を踏まえたIpの導入と展開手法を構築するため、関連分野におけるIpの比較分析を踏まえてIpの概念と構成について現状を整理し、国営公園におけるIpの展開の方向性と課題について考察する。
著者
堀川 三郎
出版者
慶應義塾大学大学院社会学研究科
雑誌
慶応義塾大学大学院社会学研究科紀要 (ISSN:0912456X)
巻号頁・発行日
no.31, pp.p21-28, 1991

論文0. 問題の所在1. 本論文の課題と限定2. 環境問題の推移 : 「加害-被害」の発現パターン2.1. 環境問題の論調の変化2.2. 「加害-被害」の発現パターン2.2.1. 公害問題における「加害-被害」パターン2.2.2. 環境問題における「加害-被害」パターン2.3. 社会的ディレンマの発生2.4. 社会的ディレンマ論の展開3. 問題構造の変化と新しい社会運動の台頭3.1. 環境を争点とする住民運動3.2. 新しい社会運動の台頭3.3. 社会的ディレンマの発生と運動の転回4. 新しい社会運動台頭の背景と意味4.1. 環境問題と新しい社会運動4.2. 新しい社会運動の可能性と今後の課題
著者
西堀 すき江 並木 和子
出版者
東海学園大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

焙焼したココア,コーヒー,ピーナッツ,ポップコーン,ローストビーフ,チキン等を加熱すると,それらの食品中の糖とアミノ酸が反応し、褐変と同時に芳ばしい香気が発生する.この中にはきわめて多種多様の揮発性物質が存在するが,これらはNH3・H2S・CH3SCH3・CH3SHのような常温でガス状のもの,ストレッカー分解により生成するアルデヒド類,N・Sを含むヘテロ環化合物に大別することができる.ピラジンはN・Sを含むヘテロ環化合物の一種で,焙焼によって生成するフレーバーの主なものはピラジン誘導体である.焙焼した食品からは70種以上のピラジンが同定されている.これはストレッカー分解の結果生成したエナミノール,またはアミノケトン誘導体の縮合により生成するもので,アルキル置換基C1〜C3が普通であるが,アセチル基,シクロペンタン環,フラン環を有するものも存在する.12年度はピラジン標品の生理活性と構造相関に関して検討した.今年度は実際の食品であるコーヒーと胡麻について検討した.胡麻は水蒸気蒸留の変法でLickens-Nickerson型の改良でSimultaneous distillation extraction(SDE)法と称される連続水蒸気蒸留法により抽出した.抽出溶媒により,血小板凝集阻害率が異なり,エーテル抽出の方が抗血栓効果が高くなった.コーヒーの焙煎における抗血栓効果は焙煎度の高いイタリアンローストがノーマルローストより高いことが分かった.また,抽出液を酸性,中性,塩基性の3種類に分類し検討すると,塩基性区分の抽出液が最も高い抗血栓効果を示すことが分かった.ピラジンは塩基性の物質であるため,コーヒーの揮発性抽出物の中でピラジンが抗血栓効果に関与することが示唆された.ガスクロマトグラフィーによるピラジンの生成量に関するピークの検出で,イタリアンローストがノーマルローストより多くのピークが認められたことは,コーヒーの抗血栓効果におよぼすピラジンの寄与が考えられた.
著者
小山 幸伸 佐藤 由佳 金田 直樹 米田 瑞生 新堀 淳樹 田中 良昌 林 寛生 梅村 宜生 堀 智昭 阿部 修司 上野 悟 元場 哲郎
巻号頁・発行日
2012-05-21

日本地球惑星科学連合2012年大会(JpGU Meeting 2012), 2012/05/20-25, 幕張メッセ(千葉県)
著者
干場 隆志 堀田 純一
出版者
山形大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

歯根膜細胞(PDL)、間葉系幹細胞(MSC)、および線維芽細胞(NHDF)より形成した脱細胞化マトリックスを作製した。脱細胞化前にはアクチンおよび細胞核が観察されたが、脱細胞化後には観察できなかったことから、細胞が除去できていることを確認できた。作製した脱細胞化マトリックス上にPDLは接着することができ、その接着はPDLが形成した脱細胞化マトリックス上で最も多かった。さらに、PDLの増殖性を評価したところ、脱細胞化マトリックス上でPDLは増殖できたが、PDLおよびMSCが形成した脱細胞化マトリックス上ではその増殖は抑制された。このように、歯根膜細胞のニッチェの生体外での再構築が期待できる。
著者
堀江 重郎
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

Pkd^<-/->マウスにおいて、腎嚢胞形成に関する遺伝子群を包括的に解析する目的で腎嚢胞形成前の胎生14.5日における、野生型およびPkd^<-/->マウスの胎児腎からmRNAを抽出し、約3,000の遺伝子を含むDNAチップで発現遺伝子を検討した。野生型及びPkd^<-/->マウスの胎児腎で3倍以上mRNAの発現が異なった遺伝子は23みられた。Pkd^<-/->マウスで増加していた遺伝子にはPOLD1(DNA polymerase delta catalytic subunit-1)が認められた。Pkd^<-/->マウスで減少していた遺伝子では、apoptosis driving genesとしてのcaspase 1、7、11およびIL-1β、Trancscription factorsであるGATA2、Lbx 1、cell cycle related genesであるjun D1が認められた。以上の結果から腎嚢胞形成には、適切なアポトーシス装置が作動していないこと、細胞周期回転の亢進が関与していることが示唆された。