著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47050, (Released:2023-10-27)
参考文献数
9

Web から信頼できる情報を収集するための批判的思考の技能を児童が獲得できるようにする手立てを検討することを目的に,小学校第5学年1学級を対象に批判的思考の技能を学ぶテキストを活用した実践を1ヶ月間実施した.その結果,Web からの情報収集について基礎的な指導を受けている学級においては,①教科等の学習の文脈で児童がWeb から情報を収集する際に,自分の必要とするタイミングでテキストを参照でき,②学習した批判的思考の技能を実際に発揮しながら鍛えることができる学習環境が,手立てとなることが示唆された.
著者
前田 朗 堀部 秀二
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.196-203, 1999-07-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7

関節は, 骨, 関節軟骨, 靱帯, 関節包, 滑膜, 支帯, 半月, 関節唇などで構成され, 運動の中心, テコの支点, 荷重負担, 衝撃緩和, 位置覚のセンサーとしての機能がある. 関節の運動は並進運動 (すべり) と回転運動 (ころがり) が組み合わさって行われる. 関節の物理的特性としては, 粘弾性特性や小さな摩擦力が特徴的である. 関節の安定性は骨形態, 靱帯, 半月, 関節唇, 関節周囲筋, 関節内の陰圧, 拮抗する関節周囲筋などによって保たれているが, なかでも靱帯の果たす役割は大きい. 靱帯は関節において骨と骨を連結する紐状あるいは帯状のコラーゲン線維組織であり, 関節の安定化, 関節運動の誘導, 過度の運動に対する制動, 関節の固有知覚のセンサーとしての機能がある.
著者
横堀 進
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3-4, pp.95-99, 1951-04-30 (Released:2010-06-28)

蒸汽機関車用自動給炭機の各種型式の利害得失を歴史的に論じ, 次に国鉄で採用された蒸汽噴流撒布式自動給炭機の構造と性能を紹介して居る。構造は炭水車より焚口までスクリユコンベヤがあつて, 之に依り炭水車より焚口迄自動的に石炭が運ばれ, その間に粉碎も行われる。焚口にて撒布台に落下し蒸汽にて撒布される。此際, 撒布台について居る案内板に依り火格子各部に於ける撒布の均一性が保たれる。コンベヤの動力は, 2シリンダー複動蒸汽機関で, 蒸汽の使用量は撒布用のものを含めて発生蒸汽の約1~2%であって, 又, 石炭輸送能力は450~1, 925kg/hrの広範囲に亘り良く作動し, 粉砕能力の1例を示すと, 給炭が25~37mmの中塊のみの時, 焚口の粒度は13mm以下の粉炭が52%, 元の粒度のもの13%を示して居る。燃焼状態は手焚の時に較べて非常に改善され, 例えば過剰空気量25%の時CO発生量は手焚の時0.4%のものが, 自動給炭機にて0.05%と低下した。之は投炭の際の過剰空気の入る事が少いことと蒸汽に依る燃焼の促進に依ると述べて居る。然し, 罐効率は反対に手焚の場合より低く, 燃焼率400~450kg/m2hr, 5, 510kcal/kg発熱量の石炭を用いた路上試験に於て約6%低く, 石炭使用量に於て約7%多くなつたと述べ, 之はシンダ損失に依るものであろうと述べて居る。然し, 以上の欠点は今後次第に改良されるものと思われ, 機関車が大型となると共に, 自動給げ炭機は必須なものになるであろう。
著者
大久保 紀一朗 和田 裕一 窪 俊一 堀田 龍也
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.19-35, 2018 (Released:2018-11-30)
参考文献数
31
被引用文献数
1

本研究は,マンガの読みに固有の読解力や,文章の読みと共通する読解力の内実を明らかにするために,マンガの読解力と文章の読解力の関係性について検討することを目的とした。マンガの読解力および文章の読解力の測定にあたっては,マンガと文章それぞれについて,van Dijk & Kintsch(1983)の文章理解モデルにおける3つのレベルの表象(表層レベル・テキストベース・状況モデル)を反映する設問からなる理解度テストを実施し,得点間の媒介分析ならびに相関分析を行った。その結果,マンガと文章の表層レベルに関する問題の得点はテキストベースに関する問題の得点を媒介して,状況モデルに関する問題の得点に影響していることが示され,マンガの読解においてもvan Dijk & Kintsch(1983)の文章理解モデルが適用できることが示唆された。また,マンガと文章の読解力の関連性に関して,表層レベルの理解では異なる認知能力が寄与している一方,テキストベースや状況モデルの読解では共通する認知能力が寄与していることが示唆された。本研究で得られた知見を踏まえ,マンガの読解と文章の読解の共通点や相違点について議論した。
著者
堀野 緑 市川 伸一
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.140-147, 1997-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
24
被引用文献数
11 15

This study explored the structures of learning motives and strategies, and examined a model positing that motives affected strategy selection, which in turn influenced performance in English learning of high-school students. Six scales for learning motives were employed, which had been made through a classification of students' free responses. Correlation analysis revealed that the six scales could be divided into two groups, i. e.,“content-attached” and “content-detached” motives. On the other hand, factor analysis showed that learning strategies for English words were classified into the following three: organization, imaging, and repetition. The content-attached motives correlated significantly with each of the strategies, but the content-detached motives did not. Moreover, only the organization strategy had a significant effect on performance which was represented by three scores in an achievement test. That was consistent with theories and experimental findings in cognitive psychology, and supported the effectiveness of organization strategies in verbal learning. It was concluded that content-attached motives were needed to use organization strategies, and that the framework of so-called “intrinsic motivation” should be reexamined.
著者
堀口 申作 斎藤 洋三
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1-2, pp.16-18,74-75, 1964 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
8

我国においては, 諸種の観点から花粉症の存在は予想される所であるが, 現在までの所, アレルゲンの確定せる花粉症の報告は極めて少い.今回我々は, 日光地方において季節性に特に春季に起る鼻腔, 咽頭並びに眼結膜のアレルギー症状を呈する21症例に遭遇し, これらに対し, 各種の臨床的検索を行った.これらの症例の罹病時期は, スギの開花時期と一致し, 更にアレルゲンの検索を行った結果, スギ花粉による乱刺法では71.4%に陽性, アレルゲンエキスによる皮内反応では, スギに対し85.7%に陽性, スギ花粉による結膜反応は85.7%に陽性, 鼻粘膜反応は100%に陽性, 2症例にP-K反応を打って陽性の成績を得た.以上を綜合した結果, 本症がスギ花粉をアレルゲンとする花粉症であることが確認されたので, これをスギ花粉症Japanese Cedar Pollinosisと命名した.
著者
山川 宣大 小堀 聡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.402-403, 1997-09-24
被引用文献数
1

学習についての研究を行うには, 人間の脳における情報処理過程の解明や, コンピュータでのシミュレーションによるモデルの妥当性の検証が必要である。そこで, 本研究では複雑な思考を要する'Calculation'というカードゲームを題材にして, 人間の情報処理過程について検討することを目的としている。Calculationを取り上げた理由は, 解法自体が確立されていないこと, 成功率が学習によって大きく改善されるということにあり, 人間の学習過程を解析するのに適当な問題であるといえるからである。Calculationというゲームは, トランプを用いて行う一人遊びである。よく切った手札を順番にめくり, ある規則の通りに台に札を並べるが, その際に作業領域として場を使うことができる。場をうまく使いながら, 手札をすべて台に並べることができれば, 成功である。このゲームは, 初心者のうちはほとんど成功しないが, プレイを重ねるうちに成功率も上がり, 熟達者にもなれば95%以上になるといわれている。つまり, 成功させるためには何か重要なキーポイントがあり, 人間はそれを経験から獲得すると予想される。Calculationに関してのこれまでの研究では, 人工知能的な研究として, ゲームをプレイするプログラムがいくつか開発されたが, 95%以上という人間の熟達者の成功率を超えるものはまだなく, 成功率の比較的高いものも人間の方略を完全にまねしたものとは異なるようである。このようにCalculationはとても興味深いゲームであるので, 認知科学, 人工知能, ヒューマンインタフェースという3つの視点からの研究が可能であると考えられる。本論文は, 特に熟達者のプレイに着目し, 分析した結果についての報告である。
著者
中山 樹一郎 堀 嘉昭 占部 篤道
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.121-126, 1994-02-01 (Released:2011-07-21)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

高脂血症を伴う尋常性乾癬患者20例(3例は血清脂質レベルは正常範囲であったが何らかの血清アポタンパクの異常を認めたもの)に抗高脂血症剤のベザフィブラート(一般名bezafibrate, 商品名ベザトール®SR錠)の内服治療とステロイド外用療法の併用療法を施行しその乾癬皮疹および血清脂質の改善効果について検討し, 以下の結果を得た。1)乾癬の潮紅, 鱗屑, 浸潤·肥厚のいずれも統計学的に有意な改善がみられた。中等度改善以上の改善率は50%(20例中10例)であった。2)血清脂質値では, 治療後に総コレステロール, トリグリセライドが有意に低下し, またVLDL-コレステロールが有意に低下した。アポタンパクはA-IIが有意に上昇し, B, C-III, Eが有意に低下した。他に総脂質, エステルコレステロール, 遊離コレステロール, リン脂質が有意に低下した。血清脂質の中等度以上の改善率は60%であった。3)皮膚症状改善度と血清脂質改善度を総合的に考慮した全般改善度は中等度以上の改善率で50%であった。4)血清脂質の各パラメーターの変動と皮膚症状改善度との相関性では総コレステロールと皮膚症状の改善度に有意の相関が認められた。5)副作用は2例にみられ, その内訳は軽度の動悸と嘔気であった。薬剤との因果関係は断定できなかった。6)全般改善度および概括安全度を総合的に判断した有用度では, 有用以上が50%であった。以上の結果より高脂血症を伴う乾癬患者の外来での治療にはステロイド外用剤とベザフィブラートの内服療法の併用療法は試みるべき有用性の高い治療法と考えられた。

10 0 0 0 OA OS-18 感情とAI

著者
日永田 智絵 堀井 隆斗 長井 隆行
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.34, 2019-11-01
著者
丹羽 徹 渋川 周平 堀江 朋彦 相田 典子 橋本 順
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.44-49, 2022 (Released:2022-04-15)
参考文献数
24

小児MRIにおいては,撮像にあまり時間がかけられず,使用できるシークエンスおよびその設定には制限があったが,近年の装置の進歩に伴い比較的短時間で画像データを取得できるようになってきている.本稿では主に小児頭部MRIにて日常臨床的にて使用可能な近年の撮像法に関して解説する.
著者
波戸 謙太 金堀 哲也 谷川 聡 梶田 和宏 奈良 隆章 川村 卓
出版者
日本コーチング学会
雑誌
コーチング学研究 (ISSN:21851646)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-17, 2021-10-20 (Released:2021-12-28)
参考文献数
32

This study delineates the common characteristics of pitching motion in professional baseball pitchers by focusing on their lower limbs. Further, to gain an insight into the development of athletic capacity, the pitching motion of the Top group was compared with the Minor group, resulting in the clarification of lower limb issues in the Minor group. Data analysis was performed using a test with the highest score in a 5-point objective evaluation by the observer and the highest ball speed in the tracking data obtained from Trackman, with the following results: (1) The common characteristics in a professional baseball pitcher was that the hip joint was flexed while the stride leg knee joint angle was fixed to MBV (Minimum Ball Velocity), MER (Maximal Shoulder External Rotation), and the stride leg hip joint and knee joint were slightly extended to MER, REL (Ball Release). (2) Regarding the difference between the Top and Minor groups, it is suggested that the Top group accelerates the rotational speed of the lower torso to SFC (Stride Foot Contacts Ground), which increases the angular velocity of adduction of the hip joint of the stride leg, resulting in torsion of the trunk and stable force transmission after MBV. (3) In the Top group after SFC, the angular displacement and angular velocity was such that the hip joints of both legs were fixed. Additionally, the stride leg hip joint was in adduction, which caused the motion to increase the rotation of the lower and upper torsos. Authors suggest considering these key points while coaching baseball.
著者
吉川 直孝 伊藤 和也 堀 智仁 玉手 聡 豊澤 康男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_125-I_130, 2011 (Released:2012-01-20)
参考文献数
6

本論文ではトンネル切羽の肌落ちにより発生した死傷災害を調査し,その発生状況を分析した.山岳トンネルでは,装薬や支保工の建て込みに際して作業員が切羽に接近して作業するが,多くの災害はそのような作業時に発生している傾向が見られた.また,肌落ちした岩塊の大きさは0.6m角程度と比較的小さいことから,肌落ち・落石災害防止対策として,切羽変位計測,十分な照度の確保,鏡吹付,導水・さぐり削孔といったソフト・ハード両面からの対策を提示した.
著者
堀田 幸義
雑誌
宮城教育大学紀要
巻号頁・発行日
vol.55, pp.359-380, 2021-01-29

18世紀半ば、宝暦初年の頃、仙台藩₆代藩主伊達宗村をして蔵米制への移行を不可能だと思わしめた「自分下中」による「手作」の広汎な広がりは、如何なる歴史的事情によってもたらされたものなのか。通説的理解では、天正19年(1591)の国替えによって藩祖政宗が多くの所領を失い、それが家臣知行地の削減に繋がり、膨大な数の家臣たちを抱える政宗は、彼らに対して減知の補填を行い、かつ、荒蕪地を多く含む新領地の開拓を推し進めるために荒れ地や野谷地を与え、これを家臣たちが自らの家中(陪臣)に下し与え耕作開発せしめたことから、かくも広汎な「下中手作」をみるに至ったとされている。本論文は、大筋ではこの流れを認めつつも、これまでの通説に一定の修正を加えんとするものである。家臣知行地の削減が天正の国替え以後も何度も実施されていること、荒れ地や野谷地の付与政策は、初めから家臣知行地の補填、ないし、家臣救済策として実施されたものではなかったが、その政策的意図が時代の推移とともに変化し、通説がいうような家臣知行地の補填や救済策としての意味合いが強くなっていくものの、実際には、新田開発に乗り出さなかった者たちも多かったことについて明らかにしている。なお、紙幅の関係で内容を上・下に分けてあり、本稿はその後半部分にあたるが、予定していた論文の構成を一部変更したことを予めお断りしておく。
著者
堀田 幸義
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education
巻号頁・発行日
vol.54, pp.493-506, 2020-01-30

18世紀半ば、宝暦初年の頃、仙台藩₆代藩主伊達宗村をして蔵米制への移行を不可能だと思わしめた「自分下中」による「手作」の広汎な広がりは、如何なる歴史的事情によってもたらされたものなのか。通説的理解では、天正19年(1591)の国替えによって藩祖政宗が多くの所領を失い、それが家臣知行地の削減に繋がり、膨大な数の家臣たちを抱える政宗は、彼らに対して減知の補填を行い、かつ、荒蕪地を多く含む新領地の開拓を推し進めるために荒れ地や野谷地を与え、これを家臣たちが自らの家中(陪臣)に下し与え耕作開発せしめたことから、かくも広汎な「下中手作」をみるに至ったとされている。 本論文は、大筋ではこの流れを認めつつも、これまでの通説に一定の修正を加えんとするものである。家臣知行地の削減が天正の国替え以後も何度も実施されていること、荒れ地や野谷地の付与政策は、初めから家臣知行地の補填、ないし、家臣救済策として実施されたものではなかったが、その政策的意図が時代の推移とともに変化し、通説がいうような家臣知行地の補填や救済策としての意味合いが強くなっていくものの、実際には、新田開発に乗り出さなかった者たちも多かったことについて明らかにしている。なお、紙幅の関係で内容を上・下に分けてあり、本稿はその前半部分である。