著者
小川 浩 岩堀 恵祐
出版者
Japanese Society of Water Treatment Biology
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.69-77, 2002-06-15 (Released:2010-02-26)
参考文献数
20
被引用文献数
4 2

Domestic wastewater treatment facilities, being called ‘Gappei-shori johkasou’, play an important role in the wastewater countermeasures of Japan. In small-scale gappei-shori johkasous for less than 50 persons'use, anaerobic filter process has been usually adopted as a primary treatment. Removal characteristics of organic compounds in this process have been reported, but the greater part of these results cannot be applied to the operation of johkasous as a practical matter, because of using artificial wastewater in the laboratory work. In this paper, therefore experimental investigations were carried out to make clear the removal characteristics of suspended solids, in addition to organic compounds, in this process of the actual johkasous.The results showed that high SS removal ratio was achieved when netlike plates filter medium with a dimension of 100 mm×70 mm and ball-like skeleton filter medium were used in the 1st chamber and 2nd chamber of anaerobic filter tank, respectively. The BOD removal rate in this tank can be expressed by a linear reaction. Compared to a sedimentation/separation tank in which there is no filter medium, low molecule-ization of organic compounds in anaerobic filter tank progressed faster even though the HRT is three-fifth of that in sedimentation/separation tank. Most of the VFA in anaerobic filter tank was found to be decomposed into acetic acid and propyonic acid.
著者
堀川 裕司
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.60-73, 2010-09-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
22

自然現象を解明することを目的とした科学と,モノを作ることを目的とした技術はどのように相互作用するのだろうか.本研究は,この問いに対する一つの仮説を提示する.本研究の基本的主張は,明示的な知識の世界と考えられている科学の世界には,暗黙的知識が副産物として深く蓄積されており,この暗黙知が新しい技術を生み出し,それを実用化していく上で非常に重要な役割を果たしている,というものである.
著者
川上 和人 鈴木 創 堀越 和夫 川口 大朗
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究 = Ogasawara research (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
no.44, pp.217-250, 2018-07

南硫黄島の鳥類相の現状を明らかにするため、2017年6月14日~27日の期間に現地で調査を行った。その結果、過去に繁殖が確認されていた各種鳥類の生息が確認され、いずれの種についても特に大きな個体数の変動はないものと考えられた。ただし、コルと山頂の間では過去10年で高茎草本を中心とした密度の高いブッシュが発達しており、このような場所ではミズナギドリ科、ウミツバメ科の営巣が減少していた。セグロミズナギドリ Puffinus bannermaniは2007年の調査では山頂付近でのみ確認されていたが、今回の調査から標高300mの崩落地内の岩石地でも営巣していると考えられた。山頂周辺ではオーストンウミツバメ Oceanodroma tristramiの巣立ち前後の雛や成鳥が見つかり、南硫黄島における初めての繁殖の証拠となった。海鳥の営巣は、海岸部では植生が沿岸部に認められる場所において、山上部では森林が発達した場所で密度が高い傾向があった。UAVによる調査で南部の海岸に面した崖上ではアカアシカツオドリ Sula sulaの集団繁殖地が国内で初めて確認された。同じくUAVによる調査で北部の崖上のモクビャクコウ Crossostephium chinense群落において地上に下りている複数のクロアジサシ Anous stolidusが確認された。ここでは証拠は得られなかったものの営巣している可能性があると考えられた。アナドリ Bulweria bulwerii、カツオドリ Sula leucogaster、アカオネッタイチョウ Phaethon rubricaudaでは、羽毛にシンクリノイガ Cenchrus echinatus及びナハカノコソウ Boerhavia diffusaの果実を付着させた個体が見られ、これらの海鳥が種子散布者となっていることが示唆された。
著者
堀口 嵩浩 橘川 雄亮 古谷 航一 福井 範行
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.8, pp.637-639, 2022-08-01

高速FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダにレーダ信号帯域外の連続波(CW: Continuous wave)電磁ノイズを印加した場合,ノイズ周波数に対応した距離値と相対速度値に誤検出が生じる.本論文では,高速FMCWレーダのCW電磁ノイズによる誤検出の相対速度値の定式化を行い,実測値との比較によりその妥当性を示す.
著者
堀江 竜太 金子 真
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.940-946, 2003-11-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2 4

This paper proposes a tactile sensor capable of automatically adjusting its sensitivity, depending upon the contact information. Suppose a strain gauge based sensor, such as multi-axis force sensor and tactile sensor. One big issue for those sensors is the signal saturation due to large input for a particular direction. The proposed sensor system can automatically avoid such a situation with combination of Automatic Gain Control (AGC) . The sensor is composed of a controller and an analyzer. The analyzer provides with the contact force and the controller tunes up the amplitude of each frequency. We discuss the basic design relue where two theorems are introduced for guaranteeing the working principle of the sensor with AGC. Experimental results are also shown for validating the basic idea of the proposed sensor.
著者
堀田 文郎 松尾 哲矢
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
日本体育・スポーツ・健康学会予稿集 第71回(2021) (ISSN:24367257)
巻号頁・発行日
pp.246, 2021 (Released:2021-12-28)

彫刻のような肉体を作り上げ、ポーズを取って競い合う「ボディビル競技」、この競技は以前より、薬物問題等の問題を抱えてきた。例えばWADA(2020)によると、2019年のボディビル競技における陽性サンプルの割合は20%と非常に高かった。また、プロボディビルダーの間では薬物が公然の秘密とされているとの指摘もある(増田 2000)。以上を踏まえると、ボディビル競技には薬物使用までは至らずとも、競技に強くのめり込む競技者が数多く存在すると考えられる。ボディビル競技者はなぜ、多大な犠牲や健康的なリスクを負ってまで競技にのめり込むのだろうか。 国内のボディビル競技に関する先行研究は、競技方法に関する研究や生理学的な研究が主であり、社会学的な研究は竹崎(2015, 2019)の一連の研究、すなわち、男性高齢者ボディビルダーがいかにしてボディビルの価値を構築しているのかについて分析した研究と日本のボディビル文化を対象とした歴史研究に限定されている。 そこで本研究は、ボディビル競技者が競技へとのめり込む要因とその過程を明らかにすることを目的とした。また、本研究では、コンテストへの出場経験・予定のある競技者7名を対象とし、調査時期は4月~6月、調査方法は半構造化面接、主な調査項目は「競技に関する個人史」、「肉体の捉え方」、「競技実践の内容」とした。 その結果、競技者は、鍛えればその効果が必ず現れるという特性を持つ肉体に極めて高い予見可能性と成長可能性を感じ取り、その感覚を基に競技実践を漸次的に拡大させつつ徹底的なルーティン化を行っていること、また、競技者の行った競技実践は常にその意味が未来の競技実践へと外化される、いわば「意味の事後決定性」という特性を持っているために、競技者は過去の実践の意味証明と未来における成果を獲得すべく、現在の競技実践に没入せざるを得ない状況に置かれていることが明らかになった。
著者
堀尾 文彦 村井 篤嗣 小林 美里
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

ビタミンCであるアスコルビン酸(AsA)の欠乏時には肝臓のヘムタンパク質であるシトクロムP-450(CYP)が減少し、薬物代謝能が低下する。しかし、このAsAの作用機構は明らかではなかった。本研究の結果、AsA生合成不能のODSラットのAsA欠乏時には肝臓のヘム分解の律速酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の発現上昇が起こることを見出し、それに続いてCYP量の減少することを証明された。そして、AsA摂取下でもHO-1誘導剤投与が肝CYP量の減少させることを見出した。本研究により、AsA欠乏によりヘム分解が亢進して肝CYP量の減少をもたらすというAsAの新規な生理機能を提唱できた。
著者
金澤 悠介 朝岡 誠 堀内 史朗 関口 卓也 中井 豊
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.141-159, 2011 (Released:2012-01-31)
参考文献数
41

本稿の目的は,エージェント・ベースト・モデルの方法の特徴を明らかにするとともに,この方法を用いた研究が社会学の中でどのように展開されてきたのか/されうるのかを議論することである.最初に,エージェント・ベースト・モデルの方法的な特色を,数理モデル分析や計量分析という既存の社会学の方法と比較を通じて,明らかにする.次に,社会学において,エージェント・ベースト・モデルを用いた研究がどのように展開されてきたのかを,社会秩序の生成と社会構造の生成というトピックを題材に確認する.最後に,社会学の重要なテーマでありながら,エージェント・ベースト・モデルを用いた既存の研究ではいまだ未探索となっている領域について議論する.
著者
服部 健作 今井 益隆 中村 拓郎 堀口 敬
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.3_11-3_20, 2009 (Released:2011-12-22)
参考文献数
26

実環境における冬期の凍結融解,夏期の乾燥あるいは湿潤環境,淡水と塩水環境を想定してJIS A 1148 A法の応用を試みた。これらの実験結果から,環境条件および試験液の違いがコンクリートの耐凍害性に及ぼす影響は顕著であり,凍結融解行程に常温水中環境を設けた場合は相対動弾性係数の低下が顕著となる一方で,常温気中環境を設けた場合では耐凍害性が著しく向上した。また,スケーリング試験であるRILEM CIF/CDF試験の結果と比較することでJIS A 1148 A法によるスケーリング劣化評価の可能性も検討した。本研究の範囲内で,質量減少率が5%以内の供試体においては塩水を用いたJIS A 1148 A法とCDF試験のスケーリング量に良好な関係が認められ,JIS A 1148 A法において,相対動弾性係数の評価とともにスケーリング劣化評価の可能性が認められた。
著者
向井 俊博 堀江 秀樹 後藤 哲久
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.76, pp.45-50, 1992-12-10 (Released:2009-07-31)
参考文献数
8
被引用文献数
27 25

荒茶価格1kg当り560円から12,000円の煎茶61点を集めアミノ酸含量と全窒素量を分析した。上級煎茶と下級煎茶では,グルタミン酸含量にあまり大差がなく,テアニン,グルタミン,アルギニン含量に著しい差が見られた。また,グルタミンの割合が上級煎茶ではグルタミン酸よりも多い傾向があったが,下級煎茶では少なかった。価格と全窒素量は下級煎茶と中級煎茶に相関が認められるが,上級煎茶では認められないため,全窒素量は上級煎茶の品質判定の指標として使用出来ないと考えた。それに対して,全アミノ酸量は,全ての価格帯において相関が認められ,より広い範囲の品質の煎茶の判定に利用できるものと考えられた。また,17種類のアミノ酸の中で最も価格との相関が高かったのはアルギニンとテアニンであった。本研究を進めるにあたって,試料の収集に御協力いただいた静岡県茶商工業協同組合関係各位及び,分析を手伝っていただいた天野いねさんに深く御礼申し上げます。
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[151],
著者
宮本 誠人 松下 光範 高岡 良行 堀 寛史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.1I1OS604, 2022 (Released:2022-07-11)

高齢社会における高齢者の自立した生活の支援に向けて医学的リハビリテーションの専門職である理学療法士の育成が求められている.その育成においては,理学療法熟達者の臨床経験から獲得された実践知の活用が重要である.本研究では,理学療法初学者の観察能力や論理構成力の評価支援を目的として実践知を獲得・共有する枠組みの提案とその過程における実践知の構造化・可視化を行った.提案手法では,理学療法士が患者の歩行を観察し問題点の分析を行う動作分析のテキストを対象とする.そこから実践知を表出するために,理学療法の診断における知識の最小単位をPBPU(Problem-based Physiotherapy Unit)と定義して抽出し,観察と推論の因果関係に着目して構造化した.得られた因果関係をネットワーク表現により可視化することで動作分析テキストに含まれる知識の関係を把握できるようにした.得られたネットワークを経験豊富な理学療法士に提示し定性的評価を行った結果,PBPUを用いて観察と推測の因果関係を可視化することで,動作分析における実践知の有無により生じる論理構成の差分把握に有効であることが示唆された.