著者
木村 亜矢子 堀 匠 佐藤 啓子 佐藤 智美 先崎 章
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.421-427, 2017-12-31 (Released:2019-01-02)
参考文献数
4

記憶障害と発動性低下のため日常生活の遂行が難しい患者 1 例に対し, SNS (social networking service) を用いた支援を行った。症例は 40 代, 男性の運転手で前交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症した。身体, 言語機能はほぼ問題ないが, 重度記憶障害, 発動性の低下を中心とした高次脳機能障害を認めた。入院当初メモリーノートや, アラーム機能による行動指示を試みたが, 活用は困難であった。 本人が使い慣れていた SNS (LINE のトーク機能) を使用し, 多職種チームが連携して支援を行った結果, 病棟生活では標準意欲評価法 (CAS) による評価が改善し, 退院後もLINE を用いて屋外での単独行動が安全に可能となった。家族にとっても行動を遠隔に確認し見守ることができ, 退院後の安心や省力化につながった。SNS (LINE) による行動指示や記憶を補完する支援は, 患者が自立した生活を送るために有効であった。
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[244],
著者
朝比奈 泰子 堀 里子 澤田 康文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.130, no.2, pp.271-275, 2010-02-01 (Released:2010-02-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1

Hyperkalemia is common in patients with renal disease, and is sometimes caused by dietary potassium intake. We aimed to determine and compare the content of potassium in nine brands of glucosamine supplements sold in the Japanese market and via the Internet. The potassium content was 0.165-3 mg per daily dose in Japanese products, which contained glucosamine hydrochloride or N-acetylglucosamine, while the content in foreign products, in which glucosamine was sulfated, was 197-280 mg. Our results show that the potassium content in glucosamine sulfate supplements can correspond to 20% of the maximum daily intake of potassium by patients on hemodialysis, because the products sometimes contain glucosamine as glucosamine sulfate potassium chloride for stabilization. Although it is not permitted to sell glucosamine sulfate as food in Japan, consumers can easily buy foreign products that contain glucosamine sulfate via the Internet, and those products rarely indicate the potassium content. Health professionals should pay attention to patients' use of glucosamine supplements, especially when patients' dietary potassium intake needs to be restricted.
著者
林 美智子 増田 隆昌 石川 大仁 瀧本 陽介 積 志保子 堀田 拓哉 大滝 尋美 荒木 雄介 渡辺 陽介 伊藤 明子 大澤 俊彦
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養協会
雑誌
ニュー・ダイエット・セラピー (ISSN:09107258)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.3-10, 2022 (Released:2022-09-01)
参考文献数
36

Pineapple, one of the most popular tropical fruits consumed throughout the world, is rich in dietary fiber, which is generally known to improve constipation. In Japan, one out of three elementary school children are reported to suffer from constipation, sometimes resulting in school refusal. To elucidate the health benefits of pineapple intake for Japanese children, a randomized, untreated-controlled, parallel-group clinical trial was conducted. Elementary school children tending to have constipation were given 100 g of pineapples per day for 4 weeks. The questionnaire for physical condition and defecation status, measurement of indoxyl sulfate in urine and analysis of intestinal microbiota were performed before and after the pineapple intake. As a result, defecation status was significantly improved and the proportion of beneficial gut bacteria was significantly increased in the pineapple intake group, indicating that pineapple intake could be helpful in improvement of defecation status and intestinal environment for elementary school children.
著者
井垣 宏 堀口 諒人 福安 直樹
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.36-44, 2022-08-29

プログラミング教育へのコードレビューの導入は学生のプログラミングスキルの向上だけでなく,授業満足度の向上やレビュー後の自発的なプログラミング行動の促進といった効果があることが知られている.著者らの所属する大学では,コロナ禍の影響により一部のプログラミング演習をオンライン環境で実施している.そのため,学生間交流の機会の増加やプログラミングスキルの向上等を目的として,チームでのコードレビュー(以降チームレビューと呼ぶ)を同一のプログラミング演習を実施している一部のクラスに導入した.その結果,チームレビューを導入したクラスと導入していないクラスの間で,プログラミング課題提出締め切り後に行った自発的なコードの編集という観点において,量,質ともに一定の差があること,特にリファクタリングや未完成の課題に取り組む学生がチームでのコードレビュー実施クラスにおいて増加したことが確認された.
著者
堀 素子 Motoko Hori
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.57-74, 2006-09

英語の法助動詞(modals)は日本では文法事項として指導されているが、語用論的機能については英会話の中で触れられる程度で終わることが多く、真にそれらがどのような使われ方をしているかにまでは及んでいないと思われる。 本論文ではブラウンとレビンソンのポライトネス理論に基づき、ネガティブ・ポライトネスの代表とされる「慣用的間接表現」に使われる法助動詞をコーパスのデータによって分析する。特に「依頼表現」に焦点を当てて、それらの表現がもつ意味と機能を日本語の敬語と比較しながら議論する。英語母語話者は「依頼」を「フェイス侵害行為」(FTA)と捉えているために、相手の「領土への侵害」を緩和することを第一の目標として、modalsを含む慣用的間接表現を使用している。日本語の敬語にも類似の表現があるが、それは対話者間の上下関係を明示するためで、行為自体を問題としない点で、英語の敬意表現とは鋭く対立する。
著者
高橋 孝 上田 裕子 平野 聡 邑中 雅樹 Runtao Qu 小堀 壮彦 Takahashi Takashi Ueda Hiroko Hirano Satoshi Muranaka Masaki Runtao Qu Kobori Takehiko
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 = JAXA Research and Development Report (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RR-04-017, 2005-01-31

It is aimed that a simulation framework of Spacecraft Simulation Environment (SSE) can be commonly applied not only to Full Software Simulations (FSS) but also to Processor-In-the-Loop Simulations (PILS) and to Hardware-In-the-Loop Simulations (HILS), while various spacecraft simulators are generally tailor-made at individual phases of development. Prior to the actual implementation of SSE, the framework for FSS and PILS was designed, and its advantage to spacecraft simulations using an experimental system was demonstrated. In this study, implemented was an experimental system for PILS, and feasibility of the framework using the system was demonstrated. Real-time tasks working on microITRON communicate with the rest of spacecraft simulator through Java-based middleware Hirano's Object Request Broker (HORB) via distributed communication interfaces (I/Fs) written in Java. These I/Fs are designed to be commonly applied to both FSS and PILS. Also implemented was a tool called Java-microITRON Bridge GENerator (JBGEN) to automatically generate Java-microITRON communication programs from the I/Fs. Furthermore, MemorySaving HORB is developed in order to avoid communication latency.
著者
大曽根 眞也 森口 直彦 今井 剛 篠田 邦大 伊藤 剛 岡田 恵子 三木 瑞香 田内 久道 佐藤 篤 堀 浩樹 小田 慈
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.127-132, 2015 (Released:2015-08-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

L-アスパラギナーゼ(ASP)による血栓症は重大な治療関連合併症だが,本邦における発症実態は不明であり有効な発症予防法は未確立である.そこでASP血栓症の発症頻度と発症例の詳細,ASPを投与中に行われる凝固検査や血栓予防法の現状を知るために,JACLSに加盟している96施設を対象にアンケート調査で後方視的に検討した.47施設(49%)から回答を得た.2002年~2011年の10年間にASPを使用した1,586例中,8例(0.50%)で血栓症を認め,うち7例は寛解導入療法中に生じ,このうち6例では中枢神経系に生じていた.血栓症を発症した時,全例でステロイドを併用しており4例は発熱していた.血栓症発症時のアンチトロンビン(AT)活性は中央値71%,フィブリノゲン同93 mg/dL,D-ダイマー同2.2 μg/mLであった.血栓症を発症する前に4例でAT製剤を,1例で新鮮凍結血漿(FFP)を使用していた.血栓症で1例が死亡し1例で後遺症が残った.有効回答のあった45施設中,寛解導入療法でASPを投与する時に40施設がAT活性を週2~3回測定し,43施設がATを補充し,21施設がFFPを補充すると回答した.本邦でのASP血栓症の発症頻度は国外より低かったが,現在の凝固検査でASP血栓症の発症を正確に予測することは難しい.ASP血栓症を予測する新たな指標や適切な血栓予防法の確立が望まれる.
著者
西堀 英治
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.240-248, 2011-08-31 (Released:2011-09-15)
参考文献数
15

The crystal structure determination from powder diffraction (SDPD) has attracted wide interests for its huge potential to accelerate a design, synthesis, and characterization of the materials in the fields of nano- and bio- technologies. One of the most important progresses of the SDPD is the development of the direct-space strategy. In this report, SDPD by direct-space strategy has been described. Fundamental aspects of the strategy have been demonstrated with some examples. Global optimization methods within direct-space strategy such as Grid Search, Simulated Annealing, and Genetic Algorithm have been described including detailed methodologies.
著者
山﨑 智文 永井 義夫 堀口 恭平 鹿嶋 直康 倉﨑 康太郎 丹羽 一貴 浜野 久美子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.458-463, 2022-08-30 (Released:2022-08-29)
参考文献数
20

1型糖尿病診断マーカーとしてのグルタミン酸脱炭酸酵素(Glutamic Acid Decarboxylase:GAD)抗体は,数か月という短期間で陰性化することは稀である.我々はCOVID-19罹患とGAD抗体の消長が関連したと考えられる症例を経験した.43歳,男性.COVID-19に罹患した際GAD抗体陽性と判明し,インスリン治療を開始したが,7か月後GAD抗体は陰性化した.HLAの遺伝子型は,DRB1*09:01-DQB1*03:03であり,日本人1型糖尿病発症の疾患感受性ハプロタイプを有していた.COVID-19に罹患した糖尿病では,後にGAD抗体が陰性化することがあり糖尿病の病型診断には慎重であるべきと思われた.新型コロナウイルス感染と糖尿病の関連性を考えるうえで,同様の症例があった場合はインスリン分泌能とGAD抗体価をフォローしHLAハプロタイプまで確認しておくことが望ましい.
著者
水野 信男 西尾 哲夫 堀内 正樹 粟倉 宏子 川床 睦夫
出版者
兵庫教育大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究では主にシナイ半島南部を調査対象地域とし、その遊牧民の伝承文化を学際的見地から、民族誌の諸手法をもとに解明することを目的としている。以下、交付申請書の実施計画と対応させながら、本年度の調査でえられた研究成果を略述する。なお本研究の研究成果の本格的なまとめは、6.でのべるように、来年度いっぱいをかけておこなう予定である。1.方言、口承文芸、歌謡、器楽、舞踊の記録・採集ならびに分析と考察。(1)方言については、トゥール市近郊のワ-ディ村で、ジェベリエ族の言語の記録・調査を実施した。その結果、彼らの方言が、シナイ半島の遊牧民のなかでも、特別の言語形態をもっており、中世以来のシナイ半島の宗教史ともかさねあわせて分析・整理することが可能となった。(2)口承文芸については、各部族の由来にかんする説話を中心に採集・記録した。解読作業はまだ途中であるが、その多様な語り口は、遊牧民各部族の系譜をたどる糸口を提示しているようにおもえる。(3)歌謡・器楽・舞踊など音楽全般については、とくに遊牧民の結婚式や聖者祭に焦点をあて、採集・録音・録画をおこなった。これらの資料分析から、彼らがアラブ民族の文化の原型をより忠実に保持していることがわかってきている。2.アラブ系遊牧民文化の東西海上交流史における位置づけ。この地域の海上交流史では、おもに紅海側の拠点港が関係しているが、今回の調査では、考古学の視点から、とくにトゥール遺跡での海上文化の流通経路と、その遊牧民文化との関連を調査した。3.聖カテリ-ナ修道院とそれに仕えてきたジェベリエ族の文化の実体調査。これは、1.の(1)とも関連するが、今回は当修道院の図書館が保有する文書(もんじょ)の収集と研究に主体をおいた。その文書類はギリシア正教関係の資料から、修道院生活・巡礼・商業などにかかわるものまで、きわめて多彩である。その解読作業は現在続行中である。シナイ半島は、歴史的にユダヤ教徒、キリスト教徒およびムスリムの巡礼路として位置づけられるが、今後のこれらの文書研究からその実態をうかがいしるデータがえられるはずである。4.現代の遊牧民の生活動態調査とその文化人類学的・社会学的考察。遊牧民の生活動態を、主に各部族の現状を中心に調査した。とくに各部族が内部でかかえる諸問題、また各部族間のあいだの共同と確執、またシナイ半島の観光地化と遊牧民文化の関係などを調べた。この結果、現代の遊牧民は、かつてのアラブの文化要素を一定程度保持する一方で、社会状況の現代的変貌に対応して、その生活と文化を急激に変化させてきていることが判明した。5.現地調査拠点での野外調査記録の整理と検討。1.でのべたように、本研究では遊牧民の伝承文化を学際的に照射し、その全体像をうきぼりにすることに重きをおいてきた。このため、調査拠点都市のトゥールでは、ほぼ連日、隊員5名全員のミーティングを開催し、その情報を不断に発表・討議し、翌日以降の調査にそなえた。6.今後の研究の展開にかんする計画。本研究は本年度(単年度)で終了するため、来年度は現地でえられた調査資料の分析研究をおこない、秋には日本砂漠学会と共催で、中近東文化センターにて、シンポジゥムを開催し、あわせて調査報告書を刊行する予定である。またこのシンポジゥムでは学際的視点から、次年度以降の継続調査にむけての問題点を整理することにしている。
著者
近藤 律男 平田 佳代子 谷垣 裕二 堀内 長一 佃 守
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.46-52, 2005-02-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
7
被引用文献数
2

レボフロキサシン (LVFX) はニューキノロン系抗菌薬であり, postantibiotic effect (PAE) を有し抗菌作用は濃度依存的である。この事実より肺炎や急性上気道炎に対しレボフロキサシン1日400mg分2投与法の有用性が報告されている。急性上気道炎については大部分がウイルス感染であり, 自然治癒することも多いため, 本研究では急性上気道炎の中でもより細菌感染の頻度が高いと考えられる急性扁桃炎に対し, レボフロキサシン1日400mg分2投与法による臨床効果および有効性について, 1日300mg分3投与法と封筒割付け法により分別し比較検討した。対象はレボフロキサシン1日400mg分2投与群25例.レボフロキサシン1日300mg分3投与群25例である。解析方法はデータの質に応じ, X2検定, t検定, Wilcoxon順位和検定をそれぞれ用いた。なお有意水準は5%とした。臨床効果, 治癒率, 平均治癒日数などすべての項目で有意差は認めなかったものの, 400mg分2投与法の有効性と安全性が確認された。また服薬コンプライアンスの点では400mg分2投与法は300mg分3投与法と比較し, より優れた投与法であると考えられた。
著者
堀内 ゆかり 堀内 雅弘
出版者
九州産業大学 人間科学会
雑誌
人間科学 (ISSN:24344753)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.44-52, 2021 (Released:2021-03-26)
参考文献数
45

本研究では,知的障害者の肥満実態と関連要因について,知的障害者更生施設に入所している知的障害者92名(男性61名,女性31名)を対象に検討した。測定項目は,体格関連指標,血圧,血糖値,総コレステロール値,および質問紙による身体活動量(IPAQ)であった。その結果,女性の体脂肪率は,男性より有意に高い値を示した(p<0.05)が,体格指標(BMI),血圧,および血液成分に性差は認められなかった。また,性別問わず,ウェスト周径囲と体脂肪率,またはBMIとの間に有意な正の相関関係が認められた。IPAQから算出した1週間の総身体活動量は,男性の値が女性の値より有意に大きい値を示した(p<0.05)。以上のことから,知的障害者の肥満,および身体活動量には性差があること,性別問わずウェスト周径囲の増大が肥満の一因になっている可能性が示唆された。
著者
中堀 亮一 下稲葉 順一 吉田 晋 下稲葉 康之
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.521-525, 2017 (Released:2017-05-30)
参考文献数
11

【緒言】リドカインは末梢神経に対し興奮抑制作用を示すことで鎮痛効果を発揮する.とくに神経障害性疼痛を主体とした難治性疼痛やモルヒネ不耐症に対する疼痛マネジメントにおいて有効である.【症例】51歳,女性.終末期の食道がんに起因する難治性疼痛が持続し,オピオイド増量による効果も乏しく,副作用の出現が目立っていた.疼痛に対しリドカイン持続静脈内投与を開始(150 mg/日)したところ,徐々に疼痛は軽減しオピオイドも減量することが可能となった.リドカインによる副作用はみられなかった.【結論】終末期の難治性疼痛およびモルヒネ不耐性を示す患者に対するリドカイン持続静脈内投与は,疼痛マネジメントとして有効であることが示唆された.
著者
堀辰雄著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
2011
著者
堀田 義太郎
出版者
東京理科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

差別概念の哲学的な分析論の主要な議論を検討した。①被差別者に与える害や不利益に注目する帰結主義的な立場としての不利益説、②差別者の動機や悪意に注目する悪意説、③帰結にも意図にも還元できない「意味」があるという意味説を検討した。現在の議論では不利益説が主流である。不利益説は差別がもたらす害悪の大きさに関する直観にも適合しており一定の説得力がある。本研究では、しかしこの立場では十分に差別の悪質さを分析することはできないことを明らかにし、意味説に一定の利点があることを確認した。差別の悪質さを評価するための規範的な根拠の解明が今後の課題である。
著者
白尾 恒吉 木村 勇 仲根 孝 井上 政久 岩堀 信子 本間 龍雄
出版者
青山学院大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

数学の各分野において近年国際的発展のはなはだしい研究を見る組合せ論的な扱いを主として、我が数学教室においては、代表者白尾は、マルコフ過程の從来の解析的思考を組合せ論的な立場から見直すべく出来るだけ夛くの知識と概念を導入して来年度への研究の活力とした。分担者岩堀は、組合せ論properな未解決問題をプログラムし、計算実験をくりかえし、いくつかの部分的な成果および予想を得た。分担者本間,井上は或る種の非代数的曲面の変形の研究から新しい非代数的低次元複素夛様体を構成することを試みた。分担者小池は、昨年夏の日米合同セミナー"可換群と組合せ論"(バークレイ)において、Littlewood's公式に基き、(対称な有理関数のShier関数への展開公式)偶数次の対称群とワイル群の間の既約表現に関連する分解公式を得た。以上、いくつかの方面からの研究をひろく行ったが、いづれもコンピューターによる補助計算、実験計算等に夛くの時間をかけているので、結果を得られたものもあるが、未だその途上に研究をつづけているものが夛数あるのでこれらを来年度の課題としたい。