著者
宮崎 正 小浜 源郁 手島 貞一 大橋 靖 高橋 庄二郎 道 健一 待田 順治 河合 幹 筒井 英夫 下里 常弘 田代 英雄 田縁 昭 西尾 順太郎
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.191-195, 1985-12-31 (Released:2013-02-19)
参考文献数
20
被引用文献数
1

昭和56年-57年の口唇裂口蓋裂の発生率について全国15都道府県の1009産科医療機関を対象に調査を行い,以下の結果を得た.1.調査施設における全出産数(死産も含む)は384,230名で,そのうち口唇裂口蓋裂児は701名で発生率は0.182%であった.2.各裂型ごとの発生率は口唇裂0.052%,口唇口蓋裂0.086%,口蓋裂0.037%であった.3.調査地域を東日本と西日本に区分し,地域別発生率を比較すると,西日本の方がやや高率に本症が発生する傾向が見られた.
著者
宮崎 正也
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, pp.385-404, 2002-08-25 (Released:2018-03-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

ヒューズは、19世紀末から20世紀初頭にかけて生成・発展していった電力システムの姿を「技術システム・アプローチ」の観点から記述している。「技術的側面と社会的側面」、「マクロ的問題とミクロ的問題」、「システムと環境」といった線引きをあえてせず、両者を一体的に取り扱うことで、当時の情況をよりリアルに描き出す。
著者
宮崎 正光 西畑 美幸 村田 伸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.E0378, 2007

【背景と目的】老人保健施設でのリスク管理において、最も重要な事項の一つに転倒による外傷や骨折の予防がある。認知症を有する高齢者は、立ち上がりや立位保持が不安定であるにもかかわらず、車椅子から不用意に立ち上がり、転倒してしまうケースも少なくない。そこで我々は、低コストで作製可能な、立ち上がると音が鳴るクッション"お知らせクッション"を制作したので報告する。<BR>【お知らせクッションの作製手順】作製に必要な材料は、窓アラーム(約90dB)、CARワックススポンジ2個、クッションカバー、クッション、接着用材(グルーガン、接着スプレーなど)とスイッチをクッション外部より操作するための細い針金を準備する。作製は、まずクッションのアラーム部分を入れる場所(中央やや後部)にCARワックススポンジが入る程度の穴を空ける。窓アラームは分解し、スイッチ部分が扱えるようにCARワックススポンジの中に入れこむ。スイッチを外部から操作できるように、スイッチ部分に左右から針金を引っ掛けグルーガンなどで固定する。上から順に「切り取ったクッション材」、「磁石」、「スポンジ」、「窓アラームが入っているスポンジ」を、磁石と窓アラームの距離やクッション材の厚さを調節しながらクッション用のスプレーのりで接着する(磁石は、アラームが反応する部分の上部に取り付ける)。接着したものをクッションの穴の部分に入れ込む。クッションカバーに針金を通すための穴をあけ、クッションをカバーに入れる。最後にクッションカバーから針金を外へ出し、スイッチを外部から扱えるようにして、ON.OFFの標示をつけて完成となる。<BR>【考察】認知症を有する障害高齢者に対して、車椅子から不用意に立ち上がることで起こる転倒を防止するために、立ち上がると音で知らせてくれるクッション、"お知らせクッション"を制作した。現在市販されている車椅子に敷くタイプのセンサーは、5万円程度と高額である。しかし、我々が制作したクッションは、その主たる材料を100円ショップで購入でき、クッション費用を考慮しても1,500円程度と安価で作製が可能である。また、感度に関しても手作りであるため調節できるというメリットもある。転倒リスクの高い施設利用者に対してお知らせクッションを使用したところ、使用期間中の転倒はなかった。また、介護職員に対して、クッションの使用に関するアンケート調査を行った結果、介助量の軽減に繋がったとの回答が得られた。学術大会当日は、"お知らせクッション"の作製方法を中心に、使用経験(事例紹介)やアンケート調査の結果についても報告する。<BR>
著者
加藤 徹也 青木 滉一郎 菅原 徹 村上 智加 宮崎 正己
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.419-424, 2015
被引用文献数
2

We produced the average face by combining forty-one facial images of female college students in order to investigate how the facial impression changes depending on distance between eyes and eyebrows. Furthermore, we produced ten experiment samples by shortening or widening distance between them of the average face in five steps respectively. These images were presented individually to ninety college students, and they were asked to evaluate them using twenty adjective pairs. Consequently, the average face received high evaluations about likability-related impressions, while the faces with shorter distance between eyes and eyebrow got high evaluations about activity-related impressions. Moreover, two principal component (&ldquo;degree of refinement&rdquo; and &ldquo;femininity&rdquo;) were extracted as a result of principal component analysis to evaluation scores. It was found that degree of refinement was likely to be affected by the perceived size of the eyes, and femininity was defined by distance between eyes and eyebrow.
著者
岩本 喜伴 宮崎 正則 前田 ゆう子 堀尾 嘉友
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.213-217, 1970
被引用文献数
1

市販バナナ生果中の硝酸塩含量の測定ならびにバナナピューレーを用い果汁含量 (硝酸塩含量) を異にした試験かん詰を製造し, スズ異常溶出におよぼす硝酸塩の影響を検討した。<BR>1) 市販されているバナナ生果中の硝酸塩含量は外観からの熟度に関係なく, 硝酸性窒素は3-30ppmとバラツキが認められた。<BR>2) 原料中に多量の硝酸塩が含まれているとオレンジジュースならびにトマトジュースかん詰で認められたのと同様にバナナジュースかん詰においても製造後短期間内にスズの異常溶出が認められた。<BR>3) 実かん試験の結果から硝酸性窒素1ppmに対するスズの溶出量は約30ppmであった。<BR>4) バナナをかん詰原料として使用する場合には原料中の硝酸塩含量に注意しなければならない。
著者
潮下 敬 泉川 欣一 原 耕平 Arifa Nazneen 古巣 朗 宮崎 正信 河野 茂
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.131-134, 2003-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本邦では毎年ハチ刺症により約40人の死亡が認められる. アナフィラキシーショックはよく知られているが, 横紋筋融解症による急性腎不全の合併症例は比較的少ない. 今回, われわれはスズメバチ刺症後に横紋筋融解症, 多臓器不全をきたし血液透析を施行して救命した症例を経験した. 症例は80歳男性. 全身をスズメバチに刺されて意識消失し緊急入院となる. 入院後急性腎不全を主体とする多臓器不全を発症したが, 血液透析を計8回施行して腎機能は回復した. 透析離脱後は他の臓器不全も改善し後遺症も認められなかった.ハチ刺症による急性腎不全の発症機序としてはハチ毒による尿細管壊死, 横紋筋融解, 血管内溶血などが考えられる. これまでの報告と合わせてスズメバチ刺症による多臓器不全について報告する.
著者
高橋 博之 宮崎 正弘
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第49回, no.人工知能及び認知科学, pp.33-34, 1994-09-20

文字音韻変換処理は一般の単語については辞書を用いて行われる。しかし、数詞は表記が無数に生成できるため、全表記を辞書に収録することはできない。そのため、数詞は別処理で音韻付加する必要がある。日本語における数詞の表記は、算用数字表記、漢数字表記に加え両者の混ぜ書きも行われるなど多様である。本稿ではこれら多様な表記の数詞を処理するための可読性、拡張性に富むルールを提案し、その有効性を示す。
著者
宮崎 正弘 大山 芳史
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.1053-1061, 1986-11-15

漢字かな混りの任意の日本語文を明瞭で自然な連続音声に自動変換するための言語処理方式を提案する.まず 基本となる文解析においては 解析精度と処理能力を両立させるものとして 局所的総当り法による形態素解析をベースとし 必要に応じて係り受け解析などより深い解析を行う多段解析法を提案する.さらに 文解析の結果を基に 文を高い精度で音韻列に自動変換し 自然な韻律情報を自動付与する方法を提案する.辞書については 43万語を収録した日本語辞書を構築し その高速検索を可能とした.本言語処理方式と音声合成装置を組合せて 高い精度と処理能力をもった実用的な日本文音声出力システムを開発した.
著者
山本 俊一 宮崎 正之助 岡田 和夫 館野 功 高木 忠信 古田 昭一 呉 大順 佐藤 富蔵
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.20, no.8, pp.534-539, 1965-08-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
18

The authors tried to elucidate the therapeutic effect of hyperbaric oxygenation on the experimental infection of the anaerobic pathogens, using mice and rabbits as experimental animals.1) Cl. novyi was rather resistant to the action of oxygen at high pressure. It was presumably due to the spore formed.2) In order to prevent the death of the mice inoculated with Cl. novyi, the animals should be repeatedly exposed to the oxygen at moderate pressure. The excessive oxygenation was toxic to the animals, rendering them less resistant to the infection.3) Toxin of Cl. novyi was not decomposed by hyperbaric oxygenation. It has also no effect on the detoxication process of the organisms or on the toxin neutralization in vitro and in vivo.4) In case of gas gangrene hyperbaric oxygenation therapy should be combined with antitoxin treatment, as the former suppresses the growth of pathogens and the latter neutralizes toxin produced.5) In the experiment with with rabbit, repeated hyperbaric oxygenation was proved markedly effective to the infection with Cl. norvyi, but less effective to Cl. tetani.In the latter case, the excessive oxygenation was unfavorable to the infected animals.
著者
宮崎 正之
出版者
兼六館出版
雑誌
放送技術 (ISSN:02878658)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.109-115, 2018-02
著者
佐々木 修 釘宮 敏定 田所 正人 田浦 幸一 新里 健 草場 照代 松隈 玄一郎 船越 衛一 河野 茂 原田 孝司 宮崎 正信 宮原 嘉之 大園 恵幸 錦戸 雅春 松屋 福蔵 齊藤 泰 高木 正剛
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.37-43, 1998
被引用文献数
1

近年, 透析患者の増加に伴い, 動脈硬化性疾患の合併は大きな問題となっている. 腹部大動脈瘤 (abdominal aortic aneurysm, AAA) や閉塞性動脈硬化症 (arteriosclerosis obliterans, ASO) は, その治療として外科手術を要することがあり, 透析患者の生命予後, quality of lifeの観点からも重要な疾患である. 今回我々は, 当院における透析患者のAAA4例およびASO3例の血行再建術症例の臨床的検討を行った.<br>AAAの症例は年齢45-61歳で, 全例高血圧を伴い, 透析導入後6か月-6年であった. 2症例が腹痛ないし背部痛を訴えたが, 2症例は腹部腫瘤触知が発見の契機であった. 4例ともinfrarenal typeで, 3例にY graft, 1例にstraight graft置換を施行し, 全例とも予後は良好である.<br>3例のASOは年齢51-67歳で, 2例で高血圧を伴い, 発症は透析導入後5年4か月-19年3か月とAAAに比し長期間の症例が多かった. いずれの症例も, 下肢痛・間歇性跛行・足趾壊死などの症状, 所見を認めた. 2例は左側のiliac~popliteal arteryの閉塞で, 自己大伏在静脈によるfemoro-popliteal bypass術を施行, 他の1例は右側のcommon~external iliac arteryの閉塞で, femoro-femoral cross over bypass術を2回施行した. 術後1例は予後良好であるが, 2例はASO以外の死因で死亡した.<br>近年, 手術手技の向上および周術期の透析管理の進歩により, 透析患者に対し安全に手術が施行し得るようになってきたが, ASOの症例は, 必ずしも予後が良好でない場合もあり, 治療法選択, 手術時期に対するさらなる検討が必要と思われた.
著者
石原 俊信 吉岩 豊三 金﨑 彰三 宮崎 正志 津村 弘
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.287-290, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
8

外傷性環椎後頭骨脱臼は致死的外傷に伴うことが多く,生存例であっても重傷頭部外傷の合併により看過されることがある.今回救命し得た1症例を経験したので報告する.症例は75歳,男性.軽自動車を運転中に大型トレーラーとオフセット衝突して受傷した.自発呼吸はあるが,意識昏睡状態であり,四肢完全麻痺,外転神経麻痺を認めた.急性硬膜下血腫,頭蓋頚椎移行部レベルのくも膜下出血,両側動揺性胸郭,血気胸,骨盤骨折を合併していた.basion-dens intervalは15.8mmと拡大し,condyle-C1 intervalはいずれも正常2.0mmを超える値であり,外傷性環椎後頭骨脱臼と診断した.全身状態が落ち着いた受傷後5週に後頭頚椎固定術を施行した.術後,ベッドアップの制限なく,瞬目で,はい,いいえの意思疎通を行い,離握手も可能となった.
著者
宮崎 正三 堀 了平 有田 隆一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.629-633, 1975-06-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
2 6

Four different solid phases of tetracycline (trihydrate, anhydrate, dehydrate, and amorphous) were isolated. These phases were characterized by using IR spectroscopy, X-ray powder diffraction, and thermogravimetric and differential thermal analyses. Dissolution behavior of these phases in distilled water was investigated and an appreciable difference in the dissolution behavior was detected between the amorphous and the other solid phases. The effect of the solid phases on bioavailability of tetracycline was also studied. Blood plasma levels obtained in rabbits and blood levels in rats after intraduodenal administration of the trihydrate and amorphous were compared, and its results indicated that the solubility difference between the two phases has an effect on the bioavailability of tetracycline. The cumulative excretion of tetracyc1ine in urine after oral administration of the two phases to human subjects was also examined and its results indicated that the cumulative amount after administration of the amorphous was slightly higher than that of the trihydrate.
著者
宮崎 正三 有田 隆一 堀 了平 伊藤 圭二
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.638-642, 1974-03-25 (Released:2008-03-31)
被引用文献数
13 21

The existence of the two crystalline forms of chlortetracycline hydrochloride (CTC-HCI) was confirmed by infrared spectroscopy and X-ray diffraction. From the dissolution studies with crystalline powder and compressed disk, an appreciable difference in the dissolution behavior in water was detected between the two forms. In order to determine the effect of polymorphism on the gastrointestinal absorption of CTC-HCl, blood plasma levels obtained in rabbits after intraduodenal administration and cumulative amounts excreted in human subjects after oral administration of the two forms were compared. The results indicated that polymorphic state of CTC-HCl significantly influences bioavailability of the CTC-HCl.
著者
宮崎 正則 国里 進三 美谷 誠一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.423-428, 1972
被引用文献数
1

(1) トマト果実のNO<SUB>3-</SUB>N蓄積の品種間差異を検討した。<BR>(2) 完熟果のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は'チコ'では収穫初期にのみ高く,中期,後期には低く,'Heinz 1370','ブレームスソリッドレッド'は収穫全期間を通して低く,一方'ファイアボール'と'アマチュア'はつねに高い値を維持し,明らかに品種間の差異が認められた。<BR>(3) 果実の成熟中のNO<SUB>3-</SUB>N濃度の変化は'チコ','Heinz 1370','ブレームスソリッドレッド'は緑白期から完熟期にかけて減少し,'ファイアボール','アマチュア'は緑白期から完熟期にかけて減少しないか,または減少しても未熟期の高い蓄積量のため完熟果のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は著しく高い値を示した。<BR>(4) 果実の無機物質濃度はNO<SUB>3-</SUB>N濃度の高い'ファイアボール','アマチュア'と低い'チコ','Heinz 1370','ブレームスソリットレッド'の間に有意差は認められなかった。一方NO<SUB>3-</SUB>N濃度の高い果実は低い果実に比べN, P, K含量が高く,Ca含量は低い傾向が認められた。<BR>(5) 硝酸還元酵素活性は葉身で高く,次いで葉柄,へたで高く,果実では著しく低く,しかも着色開始と同時にほとんど認められなくなった。各部位,各時期の活性から果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度の差異を説明することはできなかった。
著者
宮崎 正則 国里 進三 美谷 誠一 杉原 八郎 藪内 一雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.429-437, 1972
被引用文献数
1

(1) トマト品種'ファイアボール'を用い,砂耕で,トマト果実のNO3-N濃度におよぼす培養液のNO<SUB>3-</SUB>N, P, K, Ca, Mg濃度の影響を検討した。<BR>(2) 一般に培養液のNO3-N濃度が増加するに伴い,あるいはCa濃度が低下するに伴い果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は増加するが,K濃度が低下するに従って果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は低下した。<BR>(3) 培養液のK濃度が極端に低濃度になると,培地のNO<SUB>3-</SUB>N濃度が高くても果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は低くなり,培養液のNO<SUB>3-</SUB>N濃度の影響はK濃度に左右される傾向が認められた。<BR>(4) 培養液にNO<SUB>3-</SUB>NとKが十分存在するときにはCa濃度を高めても果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は著しくは低下しないが,NO<SUB>3-</SUB>NあるいはKのどちらかが低濃度の場合にはCa濃度を高めることにより,果実のNO<SUB>3-</SUB>N濃度は著しく低下した。<BR>(5) 培養液のPおよびMg濃度の影響は明らかな傾向が得られなかった。
著者
宮崎 正則 国里 進三
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.204-210, 1975
被引用文献数
1

トマト果実のNO<sub>3</sub>-N含量は品種間差異が大きく, NO<sub>3</sub>-N蓄積に関し品種特性があるように考えられたので, これらについて二, 三の検討を試みた.<br>1. 供試16品種は果実のNO<sub>3</sub>-N含量が収穫の全期間をとおして常に5~10ppm以上の硝酸塩高蓄積性品種群 (「ファイアボール」, 「アマチュア」, 「コールドセット」), 収穫の全期間をとおして常に5ppm以下の低蓄積性品種群 (「のぞみ1号」, 「VF 36」, 「ES 24」, 「テクスト2」, 「T 613-2」, 「アナフ」,「ブレームスソリッドレッド」) および収穫の一時期のみ5~10ppm程度蓄積し, 他の時期には3ppm以下に低下する品種群 (「チコ」, 「ハインツ1370」, 「ハインツ1409」,「くりこま」, 「エポック」, 「大豊」) の三つの品種群に分類された.<br>2. 硝酸塩高蓄積性品種の果実のNO<sub>3</sub>-N含量は催色期に高く, その後の成熟過程でほとんど低下せず完熟するにいたつたが, 低蓄積性品種および一時期のみ蓄積する品種は催色期以降の成熟過程でその含量は低下した. 同一品種 (一時期のみ蓄積する品種) を遮光下で栽培すると催色期頃の果実のNO<sub>3</sub>-N含量は高く, その後の成熟過程でその含量はほとんど低下せず, 完熟果のNO<sub>3</sub>-Nは高含量であり, 一方遮光しない条件下のトマトのNO<sub>3</sub>-N含量は催色期において低く, その後の成熟過程で低下した.<br>3. 硝酸塩低蓄積性品種は高蓄積性品種に比べて草勢が強く, また摘葉株の果実のNO<sub>3</sub>-N含量は無処理株に比べて収穫初期において高い傾向にあった.<br>4. 硝酸塩低蓄積性品種は高蓄積性品種に比べて果実の全-N, 遊離アミノ酸, 還元糖およびCa含量が高く, 有機酸およびK含量が低い傾向にあった. また催色期以降の過程における果実の硝酸還元力が大きく, 追熟中においても果実のNO<sub>3</sub>-N含量が低下しやすい傾向にあつた.<br>5. NO<sub>3</sub>-N高濃度培地および遮光条件下においては, 硝酸塩高蓄積性品種の果実のNO<sub>3</sub>-N含量は著しく高いのに対し, 低蓄積性品種の含量は高くはなかった.