著者
宮崎 正弘 池原 悟 横尾 昭男
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.743-754, 1993-04-15
被引用文献数
14

機械翻訳システムにおいて、大規模辞書を効率的に構築し、維持管理することはきわめて重要である。本論文では、機械翻訳システムの解析辞書(日本語辞書)と変換辞書(対訳辞書)にどのような基準、条件で見出し語を収録したらよいかについて論じ、各種辞書の単語収録単位の違いを吸収するものとして単語結合型辞書引きを提案した。複合語は短単位語(語基)を組み合わせて数限りなく生成される。従って、このような複合語は、解析辞書には原則として収録せず、複合語は語基の組合せとして、その内部構造を解析する。一方、変換辞書には目的言語に応じて適切な訳を生成するため語基のほかに複合語を収録し、複合語の内部構造の解析により生成された部分複合語を基に、複合語内の語基を組み合わせて変換辞書引きを行う。この過程により、複合語は変換辞書にある見出し語の最適な組合せに再構成される。本方法により、数限りなく生成される複合語を原則として解析辞書に収録する必要がないので解析辞書のコンパクト化が図れ、解析辞書と変換辞書の独立性を確保でき、大親模辞書の効率的な構築・維持管理が可能になると共に、日本語の複含語に対する解析と変換処理の調和が実現できた。
著者
川本 治 宮崎 毅 中野 政詩
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.385-393, 2009-08-25

粘性土から成る農地斜面の長期安定問題における初生破壊解析を念頭に置いて,地すべり崩土の力学特性と変形の局所化に関する実測値を示した.不攪乱試料の圧密・排水三軸試験結果における中位のひずみ(軸ひずみ15%程度)では,せん断帯幅は微小亀裂に囲まれた粘土土塊の変形集中領域の幅として評価するのが適切であり,粒子径が重要な役割を果たす粒状体材料の場合とは異なる機構によってせん断帯が形成されると考えられた.この結果に基づいて田中による弾塑性有限要素モデルのパラメータ決定と三軸圧縮試験の有限要素解析を行った.浅層すべりの斜面中央部付近で採取された複数の試料の応力-ひずみ曲線は,過去の地すべり履歴を反映すると考えられる多様なパターンを示しており,有限要素解はこれらの供試体における平均的挙動を表現すると考えられた.
著者
宮崎 美穂 橋爪 真理 中井 明美 北浦 多榮子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.17-25, 2006-02

綿、羊毛、アクリル、ポリエステル繊維からなる4種類の布に付着させた4種類の汚れについて、家庭一般で使用されている市販洗剤を用いて洗浄実験を行い、得られた洗浄効率、汚れの脱離性を比較した結果、下記の所見を得た。1)水溶性のコーヒー汚れとしょうゆ汚れは、4種類全ての繊維において、市販洗剤での洗浄効率、汚れの脱離性は高く、除去しやすいことがわかった。2)牛乳汚れは、牛乳に含まれる水溶性タンパク質が変性すると除去困難となるため、付着した場合は出来るだけ早く洗うことが望ましいと考えられた。3)リキッドファンデーション汚れは、湿式洗濯では水により汚れが広がり、市販洗剤を使用した除去効果は低かった。4)市販洗剤を使用して洗浄した場合、経時変化による汚染除去効果を検討すると、コーヒー汚れとしょうゆ汚れは時間が経過しても、比較的除去が容易であった。リキッドファンデーション汚れの場合、綿と羊毛での差異はみられたが、除去が困難となった。
著者
安藤 雄一 葭原 明弘 清田 義和 宮崎 秀夫
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.263-274, 2001-07-30
被引用文献数
10

本調査は,地域に在住する成人における歯の喪失の発生率とリスク要因について評価することを目的としている。調査対象は新潟県I町における成人歯科健診受診者で,分析対象はベースライン調査(1997年)を受診した有歯顎者724名のうち,3年後に行われた追跡調査を受診した269(男性128,女性141)名である。ベースライン時の平均年齢は60.6歳(SD = 12.8)であった。歯の喪失の有無に関して,個人単位および歯単位で分析し,ベースライン時における口腔診査と質問紙調査との関連についてロジスティック回帰分析を行った。調査期間中に喪失した歯はベースライン時に口腔内に存在していた歯の4.9%で,喪失が認められた対象者は48%,一人平均年間喪失歯数は0.33本であった。歯の喪失リスクに関するロジスティック回帰分析の結果,個人単位の分析では,現在歯数が10〜27歯・未処置う蝕を保有・口腔の自覚症状がある・過去1年以内に歯科医院を受診・歯間清掃具を使用していない人たちは,歯を喪失しやすいことが示された。一方,歯単位の分析では,智歯,未処置歯,クラウン(単冠)装着歯,ブリッジ支白歯,動揺歯,鈎歯が喪失しやすいことが確認された。
著者
徳田 恵一 益子 貴史 宮崎 昇 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.7, pp.1579-1589, 2000-07-25
被引用文献数
65

HMM(hidden Markov model)による時系列の統計的モデル化手法は, 特に音声認識における音声スペクトル列の統計的モデル化手法として広く成功を収めている.HMMは, 離散的なシンボル列を扱う離散分布HMMと、連続値をもったベクトル列を扱う連続分布HMMとに大別されるが, 実際の観測系列には, 離散的なシンボルと連続値が時間的に混在したものがあり, 従来のHMMでこのような観測系列をそのまま取り扱うことはできない.音声のピッチパターンは, このような系列の例である.この問題を解決するため, 本論文では, 可変次元の多空間上における確率分布に基づいたHMMを新たに定義し, 拡張されたHMMのモデルパラメータの再推定アルゴリズムを与えている.拡張されたHMMは, 離散分布HMM, 混合連続分布HMMを特別な場合として含み, 更に離散シンボルと連続値が時間的に混合した観測系列をモデル化することができる.
著者
佐藤 尚登 宮崎 保光 山下 享子 竹中 康雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.175-182, 1995-03-25
被引用文献数
3

巨大な海洋構造物である南備讃瀬戸大橋付近において,LF帯無線測位システムの電磁波じょう乱が観測された.既に,約100kHzのデッカ電波による磁界強度の測定結果から,じょう乱源は橋梁を支える2本の主塔であり,両主塔をそれぞれ静電容量が0.2μF程度の微小垂直ダイポールアンテナとみなすことができた.本論文では,船位誤差がどの程度起きているのかを解析するために,100kHzのロランC単一送信局からの電波の位相測定を行い,トランシットによる高精度の船位と比較して位相誤差を求めた.その結果,橋のごく近傍を除けば位相誤差の測定値はおおむね計算結果と一致していた.従って,橋の両側約200mから1,500mの広い範囲において,位相じょう乱は時間の単位で±0.2μs〜±0.4μs程度もあり,距離に換算すれば約±60m〜±120mの大きな船位誤差が発生することがわかった.
著者
坂本 端樹 宮崎 俊昌 庄司 多津男 芦川 直子 徳永 和俊 増崎 貴 大宅 薫 相良 明男 佐藤 浩之助
出版者
九州大学応用力学研究所
雑誌
九州大学応用力学研究所所報 (ISSN:13455664)
巻号頁・発行日
no.134, pp.61-64, 2008-03

We have also been developing a plasma-wall interaction (PWI) simulator of which plasma source is a steady-state RF helicon wave plasma supply to demonstrate in situ and real-time measurement and to study PWI phenomena. A helical antenna is surrounding a cylindrical quartz tube of which outer diameter is ~5 cm. The antenna is connected to an RF power supply of which power is up to 5kW through a matching box. A set of two coils produces an axial magnetic field of 0.05T at the plasma center. At present, the electron density at the plasma center is up to ~3 x 10^18 m^(-3) and electron temperature is up to ~10eV. Rather high plasma flux density of ~4 x 10^22 m^(-2) s^(-1) to the substrate has been obtained.
著者
宮崎 茂次 世古口 謙二 太田 宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.239-246, 1988-10-15
被引用文献数
6

近年, 多くの企業に導入されつつあるジャストインタイム生産方式の下では, ジョブの滞留時間は, 各ジョブのスケジュール上の生産開始時刻からそれぞれの納期までに一致する.本報文では, この時間を実滞留時間とよび, すべてのジョブについての実滞留時間の平均値を最小にするバックワード・スケジューリング法について論じる.基本モデルとして, 納期がすべてのジョブで同一の単一工程モデルを対象に, まず, 段取時間がジョブの順序づけに依存しない場合を検討し, これを基礎に段取時間がジョブの順序づけに依存する場合の最適解法を提案する.前者の場合にはLPTスケジュールが最適となることを示す.後者の場合は, 最新ノード探索手順を用いた分岐限界法による最適化アルゴリズムをC言語でコード化し, パーソナル・コンピュータを用いて, 計算時間や試行解の性質を明らかにする.
著者
宮崎 光治 高田 十志和 遠藤 剛 稲永 昭彦
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
Dental Materials Journal (ISSN:02874547)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.9-18, 123, 1994-06-25
被引用文献数
1 13

スピロオルトエステルを側鎖に持つアクリレート(ASOE)およびメタクリレート(MASOR)を合成し,その重合と得られた重合体の性質について検討した.スピロオルトエステルはイオン重合開始剤(BSS, HPSS)による加熱重合によって良く開環重合した.しかし,得られた重合体には少量の未反応の二重結合が見られた.また,ラジカル重合開始剤(BPO, AIBN, DTBおよびCQ)による重合ではビニール基の重合のみならず開環重合も低調であった.BSS ,AIBNおよびBPO/BSSによる加熱重合によって得られたMASOE重合体はプラスチックス状であった.ASOEおよびMASOEのイオン重合開始剤による加熱重合や紫外線重合における重合収縮は汎用のモノメタクリレートに比べて有意に小さかった.
著者
杉森 大助 中村 正寿 坪内 直樹 坪内 武夫 小畑 徹 卯津羅 健作 宮崎 勝雄
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
生物工学会誌 : seibutsu-kogaku kaishi (ISSN:09193758)
巻号頁・発行日
vol.80, no.12, pp.559-562, 2002-12-25
被引用文献数
3

現在,実際の排水処理現場において高い効果を発揮する油脂分解能力の高い微生物製剤の開発が強く望まれている.そこで,油脂分解微生物製剤の開発を目指し,油脂分解微生物Acinetobacter sp.SOD-1を製剤化し,その油脂分解特性および保存安定性について調べるとともに排水処理試験を行った.本製剤は,20℃において3000ppmサラダ油を効率的に分解したのに対し,ラードに対する分解率は低かった.本製剤を用いた油脂含有排水のバッチ処理試験の結果,約90%以上の油脂分を分解することができた.さらに,お好み焼き店厨房排水処理のフィールド試験の結果,本製剤の有効性が確認された.
著者
宮崎 慎也 馬強 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.96-107, 2001-07-15
被引用文献数
4

Web 上には大量の情報が溢れ,つねにその量は増加している.ユーザがつねにその変更の中から価値ある変更を探し出すことは非常に困難な作業である.本論文では,Web サイトを監視し,サイト内のWeb ページの変更,追加に対して,その価値を内容,サイトの構造などに基づいて解析し,ユーザへの変更通知を行う機構について述べる.変更ページの解析手法として,その価値を評価するための尺度として新鮮度,流行度,アクセス頻度,更新頻度などを用いる.また,変更通知機構として,変更データをプッシュ型配信機構により配信する.変更データには解析結果の情報が含まれ,受信された変更データのすべてを呈示するのではなく,ユーザごとのユーザ・プロファイルによりパーソナライズされ,各ユーザにとって価値のある変更情報に変換,呈示する.The vast amount of information is availabel on the WWW, and grows rapidly. It's not easy for user to acquire the valuable new information via the Internet. In this paper, we propose a change monitoring/notification system WebSCAN (Web Sites Change Analyzer and Notifier) for Web sites, which monitors and analyzes the changes of Web sites to notify a user the important changes by a push-type delivery mechanism. In WebSCAN, the changes of Web sites are not only monitored periodically, but also are estimated by the content, browsing frequency and update frequency. The structure of Web sites is also considered to estimate the change worth at WebSCAN. Based on the estimated change worth, the notification is generated and delivered to user automatically with the push technology.