著者
稲葉 洋 瀧 剛志 宮崎 慎也 長谷川 純一 鳥脇 純一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.390, pp.7-12, 2004-10-21
被引用文献数
1

本研究では,弾性表現された骨格筋の力発生に基づく人体の動作シミュレーションを行う.具体的には,人体の断層像より抽出した骨格筋,骨,および脂肪の3組織から,弾性を伴う人体モデルを構築する.モデル化された骨格筋の収縮動作に基づく動的な筋力発生および変形から,姿勢変化および組織変形を伴う人体の動作シミュレーションを実現する.また,その結果をCGアニメーションとして可視化する.実験では,本手法を人体下肢に対して適用し,膝関節の屈曲動作のシミュレーションおよびその際の組織の変形を確認した.また,人体モデルを利用した応用として,変形時における種々の計測値の可視化法について述べる.
著者
宮崎 隆志
出版者
北海道大学大学院教育学研究科附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
no.2, pp.21-34, 2008

社会的に排除された若者たちの支援の現場では、家族支援が実践的な焦点の一つになっている。同時に、そこには「標準的モデルから逸脱した家族」というメッセージが持ち込まれ、支援が排除を生む可能性がある。危機にある家族のエンパワーメントにつながる支援のありかたを検討するためには、「家族の危機」を家族が依存している社会システムのあり方との関連で構造的に把握する必要がある。小論では、家族ストレス論で提唱されているABCX モデルを共同体的・市場的な家族支援システムと関連づけて構造的に理解することを試みる。さらにそれらに代わる協同的な家族支援システムが家族の危機を克服する可能性と条件について、いくつかの事例に基づいて検討する。
著者
川本 良太 宮崎 伸夫 茂呂 一永 岡崎 大和 田中 数彦 原 誠一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.289, pp.43-48, 2008-11-06

近年,ホームネットワーク分野においてコンテンツを共有するための規格であるDLNA対応の製品が普及してきている.また,センサネットワーク分野においては,低消費電力な無線通信規格であるZigBeeが注目されている.そこで我々は,これら2つの規格を連携することによってサービスの幅を拡大させるため,DLNA/UPnP-ZigBeeゲートウェイの研究開発を行っている.ゲートウェイではブロードキャストクエリにより全センサノードのセンサ情報を一斉に収集しているが,ノード数の増加に伴い,衝突の影響で応答のパケット到達率が低下する.本稿では,ゲートウェイを実装し,キャッシュの利用等によってパケットロスへの対策を講じた.また,オフィスビルのフロアを利用したセンサ情報収集実験による性能評価を行った.本実験により,パケット到達率の評価,及びキャッシュ機構の有効性を検証したので報告する.
著者
小林 巌 岩本 正敏 柴田 千陽 鎌田 貴之 布川 博士 宮崎 正俊
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J81-D2, no.5, pp.954-961, 1998-05-25

肢体不自由ユーザを含んだ操作場面での利用を目的として,Table-Top型コンピュータについて検討した.Table-Topとは,複数のデバイスを用いて,複数のユーザが1台のコンピュータの操作をそれぞれが同時に行うことができるコンピュータ操作環境である.このTable-Topの実現モデルを考察し,モデルに基づきTable-Top型コンピュータのプロトタイプを試作した.このプロトタイプは,Windows95をOSとし,Table-Top用のアプリケーションを装備するコンピュータを本体としている.入力デバイスが2個のマウスであり,これらはI/O Device Network(I/O-DN)に接続されている.I/O-DNの管理や調整を行うために,プログラム可能なマイクロコントローラ(Microchip社製PIC16F84)を用いて作製されたI/O-DN ManagerがI/O-DNに接続される.コンピュータ本体とI/O-DN Managerの間はRS-232Cで接続し,通信制御によりI/O-DN Managerからデバイスの認識情報がコンピュータ本体に伝達される.簡単なアプリケーションを用いて,このプロトタイプを試用した結果,Table-Topの基礎的な機能が実現できることを確認した.考察では,このTable-Topの波及効果や課題について展望した.
著者
宮崎 修次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.795-801, 2006-03-15
被引用文献数
2

有向グラフの確率行列表現と区分線形一次元写像のフロベニウス・ペロン演算子の行列表現を対応させることで,有向グラフの構造を力学系と関連付けることができることを示す.力学量の粗視量の大偏差統計を解明するというカオス力学系の研究手法をグラフ理論に適用する試みを紹介する.簡単な有向ネットワークを例にとり,統計熱力学形式により内在するループを個別に取り出したり,ノードから発する矢印の数の揺らぎをとらえたりすることができることを示す.Directed network such asWWWcan be represented by a stochastic matrix. Comparing this matrix to a Frobenius-Perron matrix of a chaotic piece-wise linear one-dimensional map whose domain can be divided into Markov sub-intervals, we are able to relate network structure to chaotic dynamics. Just like various large-deviation properties of local expansion rates (finitetime Lyapunov exponents) related to chaotic dynamics, we can also discuss those properties of network structure.
著者
内山 文博 宮崎 明雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.145, pp.79-84, 2005-06-20
参考文献数
7

本稿では, 画像への電子透かし方式として, リフティングウェーブレット変換を用いた電子透かし方式を提案する.提案方式を用いることにより, 透かし情報を検出した後, 透かし入り画像を透かし情報とオリジナル画像とに完全に分離することができる.これにより, 透かし情報とオリジナルコンテンツへの完全分離が望まれる医用画像や電子文書, コンピュータプログラムやデータのようなコンテンツに対する電子透かしが実現できる.
著者
児玉 英一郎 樋地 正浩 佐藤 究 宮崎 正俊
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.363-364, 1997-03-12

自然言語は人間にとって理解しやすいと言う利点を持つ。このため、自然言語で記述された文章をコンピュータが理解できれば、人間がコンピュータを利用するのが容易となる。我々はこのような考えに基づき、ソフトウェアを自然言語で記述することにより利用者がソフトウェアの内容を容易に理解でき、加えてソフトウェアの利用要求を自然言語で記述することにより利用者がその利用を容易に要求できるシステムの構築を目標として研究を進めている。この目標を達成するためには、自然言語により記述されたソフトウェアの自然言語記述やソフトウェアの利用要求を、対象となるシステム上で動作可能なレペルまで変換することが必須である。本研究では、対象となるシステムとしてオブジェクト指向型計算モデルに基づくシステムを仮定し、自然言語として日本語を説定する。さらに、マルチメディア情報の利用の要求を日本語で記述した文章 (以下、マルチメディア情報操作文章と呼ぶ) に焦点を絞り考察した。本稿では、マルチメディア情報操作文章を既存の自然言語処理モデルを流用して解析し、以下で定義するメディアオブジェクトの操作プログラムに変換し実行するシステムのモデルを提案するとともに、流用する既存の自然言語処理モデルに加えるべき変更点を明らかにする。このモデルに基づいて実装されたシステムは、メディアオブジェクトの日本語によるプログラミング環境の1つを与える。
著者
岩野 賢二 宮崎 仁誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.622-627, 2007-08-01
被引用文献数
3

社会的背景として,少子高齢化社会が進行する中で,世界各国で医療費の増大を抑制することが急務となっている.当社ではその課題に対して,治療から予防へのパラダイムシフトを行う情報通信技術の検討を進めている.具体的な取組みとして,在宅ヘルスケア支援システムを開発し,米国を中心に事業化を行っている.また医療サービス,医療センサ,IT,電気の各分野を代表する企業とともにContinua Health Allianceの設立を行っている.ここでは家庭における遠隔医療業界の動向を中心に紹介する.
著者
大塚真吾 宮崎収兄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.1-9, 2001-07-15
被引用文献数
2

本論文ではテキストファイルの圧縮と検索について述べる.通常,テキストはハードディスクなどの二次記憶装置に格納されるため,その容量の節約のため何らかの圧縮が施されていることが多い.それら圧縮テキストへの検索は復号処理をともなうため高速化が困難である.一方,検索の高速化にはあらかじめ索引などを用いる方法がある.しかし,索引を用いることにより必要な記憶容量が増加する.我々は索引を用いてテキストファイルを符号化し,そのファイルをさらに他の符号化法で符号化を行うことにより,圧縮率が高く高速な検索が可能となる二段階圧縮法を提案した.本論文では日本語テキストの二段階圧縮法とその有効性について論じる.In this paper, we discuss compression and search of text files. The texts are usually stored in secondary storage, and they are frequently compressed for file size saving. When we search compressed text files, it is usually necessary to decode them before search. Therefore, search is time consuming. On the other hand, we can use indexing for fast search. But indices consume extra amount of secondary storage. We proposed a two stage compression method to improve the performance. It compresses text files using index files and compresses the result again with another algorithm. This paper applies the two stage compression method to Japanese text files and discusses its effectiveness.
著者
深澤 琴絵 植田 憲 朴 燦一 宮崎 清 樋口 孝之
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.47-56, 2007-11-30

本稿は、「風呂敷」の語が定着するようになる以前の飛鳥時代から平安時代初期にかけての「包み」の文化の様態、すなわち、「包み」の素材・仕立て方・「包むもの」と「包まれるもの」との関連などを、聖徳太子遺品、正倉院御物、古書などを通して調査・解析したものである。その結果、次の諸点が明らかになった。(1)日本における現存する最古の「包み」は、飛鳥時代の仏教合戦に用いられた聖徳太子遺品で、それが今日の「風呂敷」の原初形態といえる。(2)奈良時代には、さまざまな正倉院御物を保護するための「包み」が出現する。御物はまず「包み」に包まれ、その後、袋や櫃に入れられて保存された。租庸調の産物を利用して「包み」に仕立てたものや舶来品の布を用いて「包み」の制作がなされた。(3)奈良時代から平安時代にかけての「包み」の平均寸法は約1mである。また、「包み」の仕立て・寸法・使い方は、「包まれるもの」との関係性によって工夫されていた。(4)「包み」を表す漢字はすでにAD100年頃の『説文解字』にみられ、魂に活力を付与して再生する意味が込められて「包み」が使用されていた。(5)『延喜式』には、渤海国や新羅との交易に「包み」が積極的に用いられたことが記されている。
著者
宮崎 政志 井田 一昭 宮崎 正和 猿渡 達郎 横田 英樹 小林 浩之 濱田 芳樹 杉山 裕一 新井 理恵 中村 裕紀
出版者
社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.298-304, 2007-07-01
被引用文献数
1

近年の電子機器には,小型化,高機能化および高速化が要求されている。一方,実装枝術には,これら電子機器の要求に対処するために,さらなる高密度化が要求されている。しかしながら,従来のプリント配線板上への2次元的な部品の高密度実装には限界がきており,樹指基板内に3次元的に部品を配置する部品内蔵技術が注目されている。われわれは,部品内蔵技術としてEOMIN(Embedded Organic Module Involved Nanotechnology)を開発した。EOMINの特徴は,銅コアに形成したキャビティ内に電子部品を内蔵させることと,銅めっき技術により内蔵した電子部品と電気的な接続を取る点てある。EOMINによるモジュール構造では,シミュレーションによる検討結果から,発熱量の大きな電子部品を内蔵したときに,発熱した熱を銅コアに拡散させ,効率的にマザーボード側に放熱できることがわかった。また,銅めっきを用いた内蔵部品との接続は,従来のはんだによる接続と比較し ヒートショック時の銅の塑性歪量が小さく,信頼性の高い接続技術であることがわかった。今回,われわれは,次世代の高密度実装技術としてEOMINを紹介する。
著者
常田 岳志 宮崎 毅 溝口 勝
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 = Journal of the Japanese Society of Irrigation, Drainage and Reclamation Engineering (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.595-598, 2006-07-01

泥炭地湿原は, 生物多様性維持や世界の気候系に不可欠な水と炭素の貯蔵といった機能を有する貴重な生態系である。一方で温室効果ガスであるメタンの放出源としても泥炭地は注目されている。一見全く異なった観点から捉えられてきた泥炭地であるが, 地下水面下の泥炭土中で生成され, 気泡として存在するメタンが双方の観点から大きく注目されている。それは放出源の視点からは, 気泡の放出が重要なメタン放出経路であること, 湿原保全の観点からは, メタンバブルの存在が泥炭地の水文環境の形成に決定的な役割を演じていること, が証明されつつあるからである。本報では, 泥炭地科学の一つとして, メタンバブルに関する最先端の研究を紹介する。
著者
宮崎 俊彦
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, 1999-12-01
著者
宮崎 敏彦 須崎 昌彦 久野 裕次 田川 忠道
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.73, pp.67-72, 1995-07-20
被引用文献数
2

人とコンピュータの円滑なインタフェース構築を目指して、コンピュータグラフィックスによる顔画像生成と、画像認識,音声対話を統合したシステムを試作した。画像認識部ではディスプレイの前の人物の頭部位置を検出し、検出結果を入力画像毎に対応付けることによって顔画像の視線の動きを自然なものにしている。音声対話部では対話の状態にあった入力手段を提供するなど、ユーザが適切な応答をすることができるサポートをすると同時に、顔画像の表情や動きを変化させることで対話システムの欠点を補っている。さらに、システムの機能を補間するという位置付けで、デスクトップTV会議システムと結合し、システムが対処できない状況では適宜専門化に補助を依頼することもできる。For the purpose of easing human computer interaction, we built a visitor guidance system integrating facial animation by computer graphics, image processing, and speech dialogue. Gaze directions of the facial animation are controlled by detecting head positions of the persons in front of the display and tracking the person who is regarded as the main target. The speech dialogue part gives a user appropriate answers by incorporating an extended plan reasoning method. By changing facial expressions and movements of the facial animation, we can show the states of the system to a user as nonverbal information to make up for the weakness of the speech dialogue such as inaccuracy of voice recognition. We integrated the desktop conference system into our multi-modal interaction system. It can decrease unsolved situations with the assistance of a human expert.
著者
宮崎 純 横田 治夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.461-462, 1997-09-24
被引用文献数
1

我々は, 並列論理型言語KLICによるアクティブデータベースシステムのプロトタイプParadeを提案している。 KLICの論理変数によるプロセス間のメッセージ通信は, 無共有並列計算機上でデータベース処理を実現する際に非常に適合性が良い。これまでの研究により, データベース処理をKLICのプロセス間のメッセージ通信を利用することにより実現し, 汎用ワークステーションならびに超並列計算機nCUBE2上で動作させ, その記述能力と移植性の高さを実証してきた。しかしながら, データベース処理において非常に大きな鍵を握る二次記憶およびPE間のデータ転送などのI/O処理が, システムの性能のボトルネックとなっていることが分かってきた。これは, KLIC標準のI/Oが性能を重視して設計されたものではないことに起因する。本稿では, KLICによる並列データベース処理を実用的な速度で動作させるために, KLICのジェネリックオブジェクトを用いて低レベルのI/O性能の向上を目指し, その初期評価を並列計算機nCUBE2を用いて行なった。
著者
西山 市三 藤瀬 一馬 寺村 貞 宮崎 司
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.261-268, 1961-12-25

1)さきにK123(I.trifida)は栽培甘藷に最も近縁な野生植物であることを明らかにしたが(西山・藤瀬・寺村・宮崎1961),さらに著者らはKユ23の生理生態的特性に関して甘藷との比較研究を行肢った。(2)K123は系統または生育条件によって,根部および茎葉部の生育などはかなりの変異をしめす。一般には甘藷にきわめて近似しているが,他方では明らかに相異Lているともいえる。(3)K123は自然状態で一般に開花数はそれほど多くないが,少数の系統は7月頃,多数の系統は9月頃から開花しはじめる。さらに接木および接木短日併用処理のような人為処理は,系統で程度の差はあるが一般に開花開始日を早め開花数を増加する。(4)柱頭上での花粉発芽試験によって,自家ならびに交雑不和合性を検定した。K123の20系統のうち17系統は自家不和合性,2系統は不完全た自家和合性,1系統は自家和合性をしめした。20系統間の交雑不和合性の検定結果から,およそ7つの不和合群がえられた。さらにK123の18系統が甘藷の4不和合群と交雑和合性をしめし,2系統は正逆の両方または一方で甘藷の不和合群との間に不和合性をしめした。(5)K123の一部の系統が線虫ならびに黒斑病に低抗性をしめしている。
著者
山本 博章 宮崎 敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.127, pp.85-92, 2007-06-22

正規表現はコンピュータサイエンスの分野で広く利用されている。本論文では、正規表現に共通集合演算および補集合演算を加えた拡張正規表現(EREと略す)の所属問題および検索問題を扱う。所属問題は、アルファベットΣ上のEREr及び記号列xが与えられたとき、x∈L(r)かどうかを判定する問題である。また、検索問題は、xからy∈L(r)なるすべての部分列yを見つけ出す問題である。ここで、L(r)はL(r)によって表される言語を意味する。そのとき、我々はO(n^2(k_12^H+(k-k_1)⌈n/log n⌉)時間かつO(n(k_12^H+(k-k_1)⌈n/log n⌉)領域で所属問題を解くアルゴリズムを与える。さらに、このアルゴリズムを拡張して、同程度の計算量で検索問題を解くことができることも示す。ここで、nはxの長さ、kはrに出現する共通集合演算及び補集合演算(これらを拡張演算子と呼ぶ)の数を表し、その内k_1は、我々が良性と呼ぶある条件を満たす拡張演算子の数である。また、HはH=max{m_j|m_jはrのj番目のモジュールに出現するΣの記号と拡張演算子の数}と定義する。