著者
米倉 誠一郎 島本 実 崔 裕眞 宮崎 晋生 平尾 毅 川合 一央 星野 雄介 清水 洋
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究プロジェクトは、日本企業の製品開発における外部の経営資源の活用を考察することを目的としたものであった。特に、近年になり外部の経営資源を活用した価値づくりは、「オープン・イノベーション」として大きな注目をあつめるようになった。本研究プロジェクトではオープン・イノベーションを中心として研究を進め、日本企業の課題を分析してきた。より具体的には異なる企業間のコラボレーションを上手く進めるための組織体制や、外部の経営資源を活用する上での戦略などを議論してきた。それらの一部は『オープン・イノベーションのマネジメント』として2015年に出版された。
著者
宮崎 章 渡部 琢也 平野 勉 七里 眞義
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

高脂肪食を負荷したアポE欠損マウスに、強力な血管収縮作用をもつ血管作動性物質であるウロテンシンIIを持続皮下注すると、動脈硬化病変は8倍に増加した。ウロテンシンII投与マウスから得た腹腔マクロファージの酸化LDLによるコレステロールエステル蓄積(泡沫化)は、対照群の7倍に増加していた。同一の前駆体から派生する新規血管作動性物質として同定されたサリューシンα、βをアポE欠損マウスに持続皮下注すると、動脈硬化病変形成はサリューシンαにより54%抑制され、サリューシンβにより2.6倍促進した。腹腔マクロファージの泡沫化は、サリューシンα投与マウス由来の細胞で68%抑制され、サリューシンβ投与マウス由来の細胞で2.6倍に増加した。ウロテンシンIIやサリューシンは動脈硬化治療のあらたな標的分子として注目される。
著者
白坂 昭子 宮本 詢子 水谷 澄 和田 芳武 田中 生男 宮崎 光男 今中 健一 平社 俊之助
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.210-212, 1971
被引用文献数
2 1

東京都町田市本町田公団住宅においてコナダニ類の防除実験を行なつた.防除方法は殺虫剤浸漬防虫紙を畳床下表面および上面化粧ばえ下に計2枚全面に縫込んだものを用いたものである.実験期間は1970年5月11日に畳床に防虫紙を縫込み, 6月13日住宅に敷込み以後約1カ月間コナダニの発生状況を観察した.この結果, 実験終了時(防虫紙処理2カ月後)の無処理畳のコナダニ数と比較した防除率は0.37% dieldrin (100ml/m^2)処理紙では95〜100%, 0.5% fenthion処理紙は99〜100%, 1.0% fenitrothion処理紙はほぼ100%であり極めて高い効果が示された.またマイクロ波による誘電加熱処理を行なつた畳では95〜99%の防除率であつた.
著者
大谷 未起生 植田 憲 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.51, pp.182-183, 2004-05-30

This paper aims to investigate the Boushu Round Fan as the one of National Designated Traditional Craft that is produced on Southern Chiba. By analyzing the history and present condition, this study tried to find the essential matters for future Industrial Promotion. This Boushu Round Fan Industry recently rapidly decrease and be done only by the aged people. Problems to discover the present values and the lack of bamboo as the basic material also caused the decreasing of the production activity of Bousho Round Fan. Based on field survey, by various perspectives this study concretely observed the promotion plan.
著者
中塚 次郎 竹中 克行 横山 正樹 ヒガ マルセーロ 立石 博高 金七 紀男 山道 佳子 宮崎 和夫 川上 茂信 砂山 充子
出版者
フェリス女学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

地域の形成にはたんに経済的要因や地理的要因だけではなく、その地域に流入してきた人間集団の存在や、そこから出ていった移民たちの意識などが重要な役割を果たしている。たとえば、EU内を移動しそこを生活空間とする一方で、EU外の集団との差異を経験することで、人々はEUをひとつの「地域」と認識する、といった具合にである。このことは、国家内の「地域」にもあてはまる。本研究は、こうした観点を生かしながち、イベリア半島を対象にして、「ヒトの移動」と「地域」形成の関係を、歴史的に分析しようとするものである。共同研究の前提として、まず、大西洋をはさんだ、現代におけるイベリア半島とアメリカ大陸間のヒトの移動を中心にして、統計的な研究、地域意識の形成、移民先での移民の社会的地位といったテーマについて検討した。その後、対象を近代以前にまでひろげ、さらに移動の地域をピレネー山脈をはさんだ、イベリア半島とほかのヨーロッパ地域とのあいだの人の移動にまで拡大して、宗教意識の変容や言語の変化を含む、幅広い視,点から検討を行なった,また、強いられた移動である「亡命」についても、人々の帰属意識の変化の側面から分析を進めた。共同研究の最後に、アジアにおける人の移動を比較検討の対象としてとりあげ、いかなる分析方法が地域研究にとって有効であるか、といった総括的な作業を行なった。
著者
鈴木 敏正 大沼 義彦 宮崎 隆 椎名 恒 木村 純 YOSHIHIKO Ohnuma シャナハン ピーター クィールド ジョン
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

いわゆる「第三の道」をめざしてヨーロッパ諸国の生涯学習政策は、社会的排除を克服し社会的結合を推進しようとし、とくに辺境地域におけるプロジェクトを強化している。本協同研究では、ヨーロッパと日本の辺境である北アイルランドと北海道を対象とした実証的研究をとおして、「社会的に排除された人々とともにある教育」としての「地域社会発展教育または地域づくり教育community development education」の実態と課題を明らかにした。第1に、現段階の日英両国における生涯学習政策の比較検討とイギリス・北アイルランドにおけるその展開、革新的な地域社会教育の国際的・歴史的発展と諸モデル、成人教育の資源としての「社会的資本social capital」の役割を明らかにし、新たなモデルとしての「エンパワーメントのための地域社会発展教育」を提起した。第2に、北アイルランドを中心として、アイルランド北西部で展開されている地域社会発展とそれにかかわる成人教育の実践分析をした。それは、地域社会とアルスター大学のパートナーシップ活動、コミュニティケア、「社会的経済」、女性グループ活動、内発的スポーツ、農村地域社会発展、ヨーロッパ11大学協同による地域活動家・関連諸専門職の教育訓練プロジェクト、の諸領域にわたる。第3に、上記と比較した北海道における地域調査研究であり、不安定就労者・失業者の統計的検討、労働者協同組合活動、市民演劇活動とくに対人関係職員・労働者に対するワークショップ、および市民活動としての環境保護運動の展開過程の分析、そして地域づくりにかかわる大学の役割の解明をした。
著者
中西 浩三 野田 祐司 白日 高歩 宮崎 一博 廣田 暢雄
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.943-949, 1991-10-20

SIADHを合併した肺燕麦小細胞癌の患者で, 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)が高値を示した症例を経験した.咳噺, 発熱のため入院.検査所見では血清Na値が114mEq/lと低く, 血漿浸透圧も233mOsm/lに低下していた.同時に測定されたANPは157pg/ml(正常値<10pg/ml)と高値を示した.脱水症状はなくて腎機能も正常であり, 肺小細胞癌によるSIADHと診断した.高張食塩水負荷試験に心臓カテーテルを併用した検査を行った結果, ANPが腫瘍からではなく心筋から放出されている可能性が示唆された.実学的治療が行われ, 腫瘍量の減少にともなって低Na血症は改善した.切除された腫瘍の抽出液からは高濃度のADHと微量のANPが検出された.SIADHにおける低Na血症は, ADH異所性産生, 循環血液量増加, 心房内圧上昇, ANP放出, Na利尿という機序で起こるものと考えられた.
著者
登尾 啓史 宮崎 文夫 平井 慎一 北嶋 彰 吉田 晴行 大西 克彦
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

近年、医療事故などの理由で、医学や歯学の初学者が手術オペレーションを訓練する機会が著しく減少している。この問題を解決するため、我々はコンピュータが創り出す複合現実感の世界で、医学や歯学の手術シミュレーションが実施できるよう、筋肉や骨のモデルを構築し、その視覚や触覚のリアリティを評価した。この評価には、力センサや高速度カメラを用いた計測による評価、および歯科医師による体感評価を利用した。
著者
竹村 景子 井戸根 綾子 宮崎 久美子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

3年度にわたって、東アフリカ海岸地方において現地調査を展開した。各人が対象地域において女性のライフヒストリーの収集にとって適当と判断した地点に密着し、イスラームとの関わりや結婚生活の実態、家族との繋がりにっいて詳細に聞き取った。また、1964年のザンジバル革命、2000年のタンザニア総選挙、2008年のケニアの大統領選挙および国会議員選挙についての意見を含め、女性たちの政治との関わりもある程度聞き取ることができた。ライフヒストリーの聞き書きに当たっては、調査対象となった女性たちが日常的に用いているスワヒリ語変種で話してもらっており、その意味で、3年度にわたって収集した語りは、言語学的および社会言語学的な価値もある資料となっていると思われる。
著者
宮崎 俊一 大坪 雅史 青木 央 澤谷 拓治
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.858-865, 1996-07-15
被引用文献数
1 5

種酢から酢酸菌を分離し,分離菌株の分類学的な検討を行うとともに,農産物を原料とした分離菌による発酵技術を検討した.<BR>(1) 種酢からの分離菌No. 1株は,グリセリンからのケトン体の生成能,Hoyer-Frateur培地でのアンモニウム塩の資化性はみられず,GC含量が53.8%であった.<BR>以上の結果からBergey's mannualによりNo. 1株はAcetobacter pasteurianusと推定された.<BR>(2) No. 1株によるマルメロ,リンゴ,ホワイトアスパラガス、カボチャを原料とした酢酸発酵の条件を検討した結果,リンゴとカボチャは搾汁液にエタノールのみを添加した試験区で発酵が進行した.<BR>(3) ホワイトアスパラガスは搾汁液のpH 6.8に調整後,窒素源として麦芽エキスを0.1%添加するか,あるいは搾汁液にクエン酸を0.2%添加することにより発酵が進行した.<BR>(4) マルメロ果汁に含まれるポリフェノール成分が酢酸発酵を阻害することから,ゼラチン処理によりポリフェノール成分を除去し,窒素源として酵母エキスを0.1%添加することにより発酵は進行した.
著者
黒田 日出男 林 譲 久留島 典子 田中 博美 宮崎 勝美 保立 道久 鈴木 圭吾 加藤 秀幸
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1992

本研究は,日本史の主要な画像史料の一つである肖像画に関する基礎的な調査と研究を行ってきた。その成果は、以下の通りである。第一点。東京大学史料編纂所は、明治時代以来、肖像画を模本の作成という手段によって蒐集してきた。現在までの蒐集点数は約900点に及んでおり,それらの紹介は急務であった。本研究では,全点を4×5判白黒フィルムで撮影し,四切りの大きさに引き伸したうえで、それらについての基礎的調査を行い、新たな目録を作成した。これによって,史料編纂所の所蔵する肖像画模本は多くの研究者の関心を集めよう。第二点。この引伸写真を光ファイリング・システムに取り込んで,簡単なデータベースとし,身分・職業・性別・老若・時代によって検索できるようにした。これによって,史料編纂所々蔵の肖像画模本から,日本の肖像画の特徴の幾つかを把握できるであろう。第三点。本研究では,各種の日本史叙述や自治体史叙述を悉皆的に点検し、肖像画情報に関する調査カードを合計約27000枚作成することができた。予算の制約によって、そのデータベース化までは実現できなかったが、このカードを検索することによって、日本史叙述における肖像画情報の全体を把握することができる。そして第四点。肖像画の個別研究によって、幾つかの新説を提出することができた。たとえば,文化庁保管の「守屋家本騎馬武者像」の像主名についてであり,高師直像とする通説に対し,新たに師直の子息師詮像であるとの新説を提出した。肖像画研究の方法論についても,幾つかのシンポジウムや研究会において発表し,今後の研究の発展のための基本的な論点を提出することができた。また,1996年3月には,史料編纂所主催で「肖像画と歴史学」と題するシンポジウムを開催し,当日は257名もの出席者と討論を行うことができた。
著者
宮崎 真悟 櫻井 幸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.97, no.71, pp.133-140, 1997-05-26

1997年4月1日から4月4日までチューリッヒのIntercontinentalホテルにおいて開催された第4回ACM計算機・通信セキュリティ国際会議について報告する.
著者
宮崎 亮 石井 好二郎 米井 嘉一
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学理工学研究報告 (ISSN:00368172)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.37-44, 2010-10

本研究では,若年長距離陸上選手を対象とし乾式遠赤外線低温サウナ浴を用い,陸上競技大会からの筋肉痛回復を検討した.対象者はよく鍛えられた男子陸上選手4名であった.大会後,サウナ浴群(n=2,20.0±1.4歳)またはシャワー浴群(n=2,20.0±0.0歳)は,大会直後(0時間後),そして24,48,72,96,124時間後の計6回,指定されたどちらかの入浴を行った.期間中の測定項目は,身体計測値,採血,MVC,VAS,POMSであった.その結果,高感度C-反応性蛋白(CRP),アルドラーゼ(ALD)が,サウナ群において低値を示す傾向であった.サウナ群において,急性の炎症マーカーが良好な傾向を示したことから,サウナ浴において炎症が抑えられたといえるのかもしれない.This pilot study aimed to examine the effects of far-infrared radiation low temperature sauna bathing on recovery from muscle damage following the race among long-distance runners. The subjects were 4 well-trained male runners. After the running race, the subjects were allocated either the sauna bath group (n=2, aged 20.0±1.4 years) or the shower bath group (n=2, aged 20.0±0.0 years) and bathed 6 times (right after the race, 24, 48, 72, 96 and 120 hours later). The measurements were anthropometrics, blood sampling, maximal voluntary contraction (MVC), visual analogue scale (VAS) concerning muscle soreness and profile of mood states (POMS). In the sauna bath group, C-reactive protein (CRP) and aldolase (ALD) levels tended to be lower compared to the shower bath group. Better results of acute inflammatory markers in the sauna bath group may explain the sauna bathing can suppress the inflammation.
著者
三浦 國雄 山里 純一 宮崎 順子 益子 勝 大野 裕司
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、術数学の基礎研究として主要術数書の文献解題を行なうものである。すでに平成17・18 年度の第一期研究において研究報告『主要術数文献解題』を刊行したが、本研究はそれを承ける第二期研究であり、第一期で取り上げることが出来なかった文献(出土術数文献も含む)の解題を試み、すでに本年3 月、『主要術数文献解題 続編』として刊行ずみである。
著者
宮崎 隆彦
出版者
東京農工大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、80℃以下の温水を利用して10℃前後の冷水を供給する吸着冷凍機の高性能化を目的とし、新たな吸着冷凍サイクルの提案・実証を行った。シミュレーションによる性能予測から、提案する二段蒸発型吸着冷凍機は従来型の1.5倍の冷凍能力、1.7倍のCOPとなることが予測された。実験機による性能検証の結果、想定した温度・圧力範囲で動作することを確認し、温水温度80℃の条件においてCOPが約1.5倍となることを実証した。
著者
横山 伊徳 中野 等 箱石 大 杉本 史子 高野 信治 吉田 昌彦 井上 敏幸 井上 敏幸 梶原 良則 小宮 木代良 杉本 史子 高野 信治 宮崎 修多 吉田 昌彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

天領豊後日田の広瀬家に伝わる未整理の史料群(大分県日田市・広瀬資料館所蔵「広瀬先賢文庫」)について文書構造を検討して目録を作成し、研究・教育に活用可能な状況を創り出した。また、同史料に基づく共同研究を実施し、近世後期から幕末維新期にかけての広瀬家を中心とする地域ネットワークの実態を、政治情報・経済情報・思想言説という、三つの視角から究明し、報告書にまとめた。
著者
宮崎 義之
出版者
佐賀大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

サイトカインは免疫制御を司り、自己免疫疾患やアレルギー性疾患の病態形成においても重要な役割を果たす。「WSX-1」は、インターロイキンー12受容体(IL-12R)ファミリーに属し、IL-27Rとして機能することが示されている。我々は、IL-27/IL-27R(WSX-1)が、「Th1分化の誘導」もしくは「炎症応答の抑制」と言う2つの異なる免疫制御に関わることを明らかにしており、本研究課題では、アレルギー性疾患の病態形成における役割を解析した。平成17年度は、気管支喘息や遅延型過敏反応などのモデル試験で、IL-27Rがそれらアレルギー性疾患の抑制に関わることを明らかにした。そこで平成18年度は、アレルギー性鼻炎についてさらに検討を進めた。WSX-1欠損マウスでは、抗原特異的lgEの血中レベルおよび頸部リンパ節のTh2サイトカイン産生に更新を認め、全身的所見についてはIL-27Rが抑制的に作用することが示唆された。しかし、抗原暴露に伴う鼻症状(くしゃみや鼻擦り行動)や鼻咽頭関連リンパ組織(NALT)紬胞のサイトカイン産生などの局所応答はWSX-1欠損により軽減され、IL-27/IL-27Rが喘息と鼻炎で異なる病態制御を担うことが明らかとなった(ケモカイン藤生への影響など、機構解析を進めている)。また、喘息治療におけるIL-27の有効性を検証するために、IL-27を高発現するTgマウス(C57BL/6系)を用いてモデル試験を行ったが、喘息の症状が弱く、改善効果の判定が困難であった。現在、喘息モデルで汎用されるBALB/c系への戻し交配を行っている。さらに、IL-27Rによる炎症抑制機構を明らかにするために、炎症誘導に関わるIL-17について並行して解析を行う中で、IL-17がTrypanosoma cruzi原虫感染に対する効率的防御に働くことを明らかにした。
著者
辻 延浩 佐藤 尚武 宮崎 総一郎 大川 匡子
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

小学校の系統的な睡眠学習カリキュラムを構築することを目指して, 教材を開発するとともに, 睡眠学習プログラムを作成して実践化を試み, その有効性について検討した。さらに, 開発した睡眠学習教材をデジタルコンテンツ化し, 学校園の授業や校内研究会等で活用できるようにすることを目的とした。得られた結果の大要は以下のとおりである。(1) 現行の小学校体育科の保健領域(3~6年生)の指導内容に沿って睡眠の科学的知見を位置づけ, 発達段階をふまえた系統的な睡眠学習教材を作成した。睡眠学習における児童の評価は, 3年生と4年生では, 授業の楽しさ, 内容の理解度,生活への活用度,教具の適切度ついてほぼ全員から「大いにある」または「まあまあある」の評価が得られた。5年生と6年生では, 中学年に比べて「あまりない」あるいは「まったくない」とする児童の数が多少増えているものの, 多くの児童から高い評価が得られた。授業者および授業観察者の評価では, 提示した資料の説明の仕方でいくつかの改善点が指摘されたが, いずれの学年の授業においても, 児童が睡眠の科学的知見を通して, 自分の睡眠生活を見直したり, 再発見したりしていたことが高く評価された。これらの結果から, 開発した教材およびプログラムは, 児童に睡眠の大切さに気づかせるとともに, 睡眠に関する知識を深めることができると考えられた。(2) Web教材は, 「睡眠科学の基礎」, 「健やかな体をつくる睡眠6か条」, 「快眠に向けて補足6か条」で構成させた。Web教材に対して質問紙調査(5段階評価)を実施した結果, 画像等に関わる項目の平均得点は3.9~4.3の範囲にあり, 内容等に関わる項目の平均得点は3.8~4.5の範囲にあった。Web教材の改善に向けては56件の具体的な指摘を受けた。これらをふまえて, リンクのはり方, 図の色調, 図中の文字, カット図の挿入について改善を加えた。