著者
張 英裕 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1_1-1_10, 2013-05-31 (Released:2013-07-30)
参考文献数
10

台湾において寺廟の屋根は人間と神の境界線と、神への敬意が最も表現される場所である。故に、寺廟の屋根は民家、寺院、祠堂などの素朴な屋根と大きく異なり、そこには想像上の動物や熟知されている古典物語などが飾られている。大量尚且つ華麗な装飾を設置する事によって、人々は祈願が神に届き、達成されるようにとの願いを込めているのである。本稿は台湾雲林県北港鎮にある朝天宮で現地調査を行い、その結果,それらの装飾は華麗に見せるために設置されただけではなく、各自に意味がこめられ、一定な規則に沿って製作され、設置されることを明らかにしたものである。その装飾動機は1.構造の強化と美観の向上、2.凶事を避け吉事を招き入れる、3.理想境の追求と教化、4.神への表敬である。また装飾原則は1.地位序列原則、2.対称原則、3.地から天への原則、4.中央収束原則。加えて吉祥、教化、防災などを目的とする。
著者
宮崎 哲治 中川 彰子 青木 省三
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.57-66, 2014-01-31 (Released:2019-04-06)

妊娠中の強迫性障害に対し、薬物療法は行わず曝露反応妨害法を中心とする行動療法のみで奏効した患者を経験したので、若干の考察を加え報告する。患者は28歳女性。結婚後、トイレを汚したのではないか、自分が歩いた所は汚れてしまったのではないかという強迫観念が生じ、夫や実母に何度も汚くないとの保証を要求するようになった。妊娠後さらに強迫症状は悪化した。妊娠28週でA精神科診療所を初診したが、トイレに行った際には、除菌シートで足やトイレの床を拭き、トイレでの行動を克明にメモし、携帯電話のカメラで自分の行動などを撮影し確認していた。また、汚れやばい菌をまき散らしてしまうという強迫観念のため料理などの家事もできない状態であった。曝露反応妨害法を中心とする行動療法を開始したところ、強迫症状は徐々に改善していった。出産後は家事も育児も本人が行えるようになり、約半年後の受診時にも強迫症状は認めなかった。
著者
井藤 雄一 カール ストーン 山田 雅之 宮崎 慎也
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.J413-J416, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

Art making use of digital noise and errors has been exhibited in recent years. Many of these works have been classified as “glitch” and are forming a new trend in multimedia art. “Datamoshing”, using noise or errors in video imagery, is a technique in the field of glitch art. While one can produce a video that is a unique representation of datamoshing, real-time datamoshing using input from web cameras has not been achieved. Software is proposed for using a web camera to extemporarily datamosh video.
著者
宮崎 勝彦 宮崎 佳代子 銅谷 賢治
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.95-100, 2013 (Released:2017-02-16)
参考文献数
28

セロトニン神経系による予測と意思決定の制御機能の1つとして衝動性との関わりが考えられる。これまでの研究から,中枢セロトニン神経系は将来起こりうる罰・嫌悪の予測に基づいて動物の行動を抑制することに関与することが示されている。行動抑制の障害は衝動性の亢進を引き起こすと考えられる。しかしながら,これまでの研究からセロトニンの関与が示された衝動性の中には,セロトニンの嫌悪刺激に基づく行動抑制としての働きで説明が困難なものも存在する。我々のグループはラットを用いた実験から,遅延報酬を獲得するための待機行動にはセロトニン神経活動の活性化が必要であることを見出した。我々は報酬獲得の目的のために辛抱強く待つことを「報酬予期に基づく待機行動」と定義し,セロトニン神経は「報酬予期に基づく待機行動」と「嫌悪予測に基づく行動抑制」の両方に関与しているという仮説を提案する。
著者
植杉 通可 金澤 秀俊 蛭間 淳之 宮崎 浩 神戸 崇幸
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.119, no.5, pp.592-598, 1999-05-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
8
被引用文献数
8 10

The active-filter is one of the most efficient methods to improve power factor. However, this method has problems such as increasing switching loss and switching noise.This paper describes a new power factor correction (PFC) converter called “Partial-switching PFC”, which achieves power factor rate of 99% only by generating a single pulse in the power line cycle with high efficiency and low total harmonic distortion. Its application to our air-conditioners is described at the end.
著者
張 涵泳 沖井 英里香 後藤 栄治 宮原 文彦 宮崎 潤二 前田 一 古澤 英生 宮里 学 吉田 茂二郎 白石 進
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.88-93, 2019-04-01 (Released:2019-06-01)
参考文献数
31

九州の8地域に生息するマツノザイセンチュウの遺伝的多様性と遺伝的構造の解明を10個のEST遺伝子座の塩基配列多型を用いて行った。九州全域の遺伝子分化係数(GST)は0.53で,全遺伝子多様度(HT=0.63)の半分以上が地域集団間に存在し,集団間に大きな差異があった。8地域集団のHTは0.12~0.59であり,多様性に富んでいたのは,川内,新富,松浦,唐津(0.59,0.57,0.56,0.55)で,地域集団内におけるGST(0.43,0.35,0.25,0.25)も高く,被害木内集団(亜集団)間に大きな差違があった。一方,多様性が特に低いのは,天草,宮崎(0.12,0.18)で,そのGSTも小さく(0.01,0.02),亜集団間の違いは極めて小さかった。これらの2集団の形成には,ボトルネック/創始者効果が影響していることが示唆された。九州では地域集団が保有する多様性の二極化が進行していると思われる。
著者
宮崎 均 ZRELLI Houda ZRELLI Houda
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

世界的に慢性腎不全症患者は増加の一途をたどっており、我が国の患者数も1300万人に及ぶ。腎機能低下で血中濃度が上昇する尿毒症物質インドキシル硫酸(IS)が、腎機能の増悪化のみならず、動脈硬化など種々の合併症を誘導することが明らかになってきた。また、ISが細胞内で活性酸素種(ROS)を産生することでこれら作用を発揮することも分かりつつある。本研究は、食成分から慢性腎不全の改善及び血管障害の改善を目指す研究である。具体的には、ローズマリーの抗酸化化合物カルノシン酸(CA)を用い、本年度は動脈硬化の初期段階に関わる血管内皮細胞及び慢性腎不全に密接の関わる腎尿細管上皮細胞HK-2に対するISの悪影響の予防・改善効果を実証することを目的とした。平成26年度は、まず培養血管内皮細胞を用い以下の結果を得た。① ISは細胞内のROS産生及び転写因子NFκBの活性化を介して細胞接着因子であるICAM-1、VCAM-1、E-selectin、さらには単球走化性因子MCP-1の発現を増加させ、これをCAがROS産生やNFκB活性化を抑えることで負に制御すること、② ISが細胞へ作用後、ROS産生のみならず、ROS産生酵素であるNOX4の発現、ISの作用を仲介するダイオキシン受容体AhRの発現をも増加させること、を示し、ISの慢性的な暴露が動脈硬化の発症・進展を促進するさらなる証拠を得た。HK-2細胞についても以下の結果を得た。① ISによりAhRの核移行やROS産生が生じ、それをCA、AhR拮抗薬、ISを細胞内に輸送するOATトランスポーター阻害剤が抑制すること、② ISによるNOX4発現増加もCAやトランスポーター阻害剤で抑えられること、を明らかにした。これらの結果は、CAがISによる慢性腎不全の進展や合併症である動脈硬化の進展に対し、抑制的な効果を持ちうることを示唆するものである。
著者
福田 稔 Minoru FUKUDA 宮崎公立大学人文学部 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.157-177, 2022-03-10

This study assumes that the focus interpretation is involved in the major subject of multiple subject constructions of Japanese and argues that the focused elements with phonetic effects cannot be dropped and must be phonetically externalized. In doing so, it draws on three studies, namely Kuno (1973a, b), which focused on the interpretation of the nominative case marker gain standard Japanese, Miyagawa (2010), which focused on the Feature Inheritance analysis for the focus interpretation, and Nishioka (2013, 2018), which focused on case markers such as ga and no in the dialect used in Kumamoto Prefecture of Japan. If the subjects fail to receive a focus interpretation, the omission of ga and no is allowed because they circumvent the externalization condition on focused elements. The same analysis can be extended to the focused accusative case marker. It 1s inferred from our proposal that the fact that case markers aside from the nominative and accusative ones cannot be dropped is arguably connected with the availability of the focus interpretation induced by feature inheritance.
著者
宮崎 敦子 野内 類 市来 真彦
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

すでに発症した認知症であっても、身体運動により認知機能の改善効果があった報告が数多い。低活動が問題となる長期滞在型の施設で、重度の認知症患者であっても維持されているリズム応答機能を利用し、認知症やその他の衰弱性疾患の人々が参加できる新しいプログラムを開発した。集団でドラムを使ったコミュニケーション演奏を行なうプログラムを30分間週3回3ヶ月間のランダム化比較試験介入実験を行なった。その結果、3ヶ月間のドラム演奏は可能で且つ上達することがわかった。認知機能のスコアが改善し、運動機能も関節可動域で有意に改善していた。従って、集団ドラム演奏は運動効果や認知機能改善効果があることがわかった。
著者
茅野 功 薮本 道人 望月 精一 宮崎 仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.576-585, 2009-03-01
参考文献数
28

ぱちんこ遊技場は複数の電子機器に四面を取り囲まれる特殊な環境であり,老若男女を問わず多くの人が出入りする場所である.しかし,このような電磁環境における生体及び体内埋込形医療機器への影響に対する研究はなされていない.そこで本論文では,この基礎的検討としてぱちんこ遊技場の遊技機のうち回胴式遊技機に焦点を当て,4種の遊技機から放射される中間周波磁界及び高周波電界の測定を行い,遊技者の磁界及び電界曝露の程度を検討した.この結果,回胴式遊技機は遊技中の役物連続作動装置(いわゆるボーナスゲーム)動作中に中間周波磁界及び高周波電界を最も強く放射しており,このとき遊技者は電磁調理器前面30cmにおける約5分の1に相当する中間周波磁界と,VCCIクラスB許容値より最大6.3倍の高周波電界が曝露されるが,ICNIRPの定める電界及び磁界への公衆の曝露に関する参考レべル及び医用電子機器の電磁両立性規格IEC60601-1-2に対して十分低値であることを確認している.
著者
玉置 幸道 宮崎 隆
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.528-539, 1998-08-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
91
被引用文献数
4 4

Although titanium has been a popular metal in dentistry, it was not actively applied in the clinic. Some of the reason were most importantly a hardened layer formed on the casting surface with a reaction between mold material and molten titanium that had different physical and chemical properties than titanium. Moreover, fit of prostheses is lost due to the removal of the reacted layer. On the other hand, internal defects are often observed by X-ray photography of titanium castings. Bubble-like defects formed by gas inclusion will lead to worse durability.In order to obtain sound titanium castings, it is important to maintain surface transcription with high quality during the casting procedure and decrease casting error. A new investment may be a key to success. A development of titanium alloy seemed to be effective as prosthetic materials.
著者
宮崎 英一 坂井 聡
出版者
香川大学教育学部
雑誌
香川大学教育学部研究報告 = Memoirs of the Faculty of Education, Kagawa University (ISSN:24352020)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.43-48, 2022-03-31

本研究室では、以前からAIを用いたプログラミング教育としてエッジデバイスを用いた教材システムを開発してきた。しかし、以前に発表した Raspberry Pi 3 と Neural Compute Stick を組み合わせたエッジデバイスは所定の精度で画像認識を行えたが、教育現場で実装するには予算の面でもシステム構成の手間の面でも負担が大きかった。そこで本研究では、簡便で安価なAIカメラを用いて画像認識を行ったが、クラウドで計算する標準的な学習モデルは専門的な知識が無くても利用できる反面、アクセス制限や画像認識精度に問題がある事が分かった。そこで、Google Colaboratory を用いて自前で画像認識モデルを学習させる事でアクセス問題を回避し、認識精度を含めてAIカメラの教育現場での運用可能性を探るものである。
著者
關 匡彦 福島 英賢 宮崎 敬太 北岡 寛教 川井 廉之 瓜園 泰之 奥地 一夫
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.819-822, 2015-09-30 (Released:2016-01-21)
参考文献数
11

症例は56歳,男性。自殺企図によりトイレ用洗浄剤(9.5%塩酸)500mLとアルコールを服用した。来院時の上部消化管内視鏡検査でRosenow分類Ⅲ度の腐食性食道炎を認め,胃は内視鏡が食道胃接合部を通過しなかったため,観察不能であった。腹部CTでは胃壁の肥厚を認めたが,腹水やfree airは認めなかったため保存的治療としたが,第2病日の腹部CTで腹水貯留,free airを認め,消化管穿孔の診断のもと緊急開腹術を施行した。開腹下に下部食道から幽門輪にかけて腐食壊死しており菲薄化していた。可能な範囲で壊死した胃を摘出したが,術後7日目の気管支鏡検査で食道からの腐食の深達と思われる気管の潰瘍を認め,突然の気道出血で死亡した。酸誤飲により高度のアシドーシス,Rosenow分類Ⅲ度の食道腐食に至り,多臓器不全,腹膜炎から死亡に至りうる症例では早期の手術療法を検討する必要があると考えられる。
著者
盛 克己 宮崎 瑞明
雑誌
漢方の臨床 (ISSN:0451307X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.847-861, 2008-06-25
参考文献数
20
被引用文献数
3