著者
大南 香織 小川 博之 林 光一
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-10, 2008 (Released:2008-03-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

Hydrazine (N2H4) and NTO (dinitrogen tetroxide: N2O4) mixtures are used in spacecraft bipropellant systems, having the advantage, for sampling missions, of having no carbon composition. However, no reasonable hydrazine and NTO combustion model has been developed. To construct a hydrazine and NTO combustion model that is useful for bipropellant thruster CFD simulation, we extracted efficient elementary reactions from detailed kinetic reaction model proposed by Ohminami and Ogawa in 2007. The reduced hydrazine and NTO combustion model was composed of 61 extracted reactions with 23 chemical species and was coincident with the original detailed kinetic reaction model in terms of combustion gas temperatures and ignition delay times over O/F(oxidizer and fuel mass ration) =0.82-1.84. Also the simulated combustion gas temperatures were good agreed with the adiabatic flame temperatures, and the simulated ignition delay time at O/F=1.2 was consistent with the literature value. Chemical reaction paths before and after ignition were showed, and could explain hydrazine and NTO combustion network mechanism change.
著者
小川 美香
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.176, pp.64-78, 2020-08-25 (Released:2022-08-26)
参考文献数
29
被引用文献数
1

近年外国人材の介護現場への参入が著しく進む中,言語学的な分析や教育実践,それらの成果から開発された教材は充実してきたが,彼らのコミュニケーション力については就労現場の文脈を切り取らない議論の成果が待たれる。それゆえ筆者は,介護現場におけるフィールドワークを通して外国人介護人材が専門職として,第二言語である日本語を使用しながら求められる「コミュニケーション力」について介護現場を担う人々の視点から探ろうと試みた。 本稿では研究の結果明らかになった,「現場の多様性を共有する力」,「チームの一員として目的意識を持つ力」,「ホスピタリティ等の精神力と非言語コミュニケーション力」に関してデータに基づいて具体的に述べる。その上で介護の専門性と第二言語コミュニケーションの視点から考察を加え,介護福祉士の先にあるキャリアをも見据えた日本語教育の役割について論じた。
著者
小川 麻衣
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要 (ISSN:24325848)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.49-56, 2018-01-31

ファッションは近代産業社会の成立とともに誕生したジェンダーを映しだす記号的役割を果たしてきた。社会の変化とともにジェンダーが恣意的に作られたものであり、その構造や意味を問い直そうとする議論や研究がみられるようになると、それらに関わりを持つファッションも同様に議論し直されはじめた。本稿では、1990 年代に流行した〝フェミ男〟をジェンダー概念の観点から考察を行った。〝フェミ男〟の現象は社会の先端を走るジェンダー意識の変化をいち早く取り入れたファッションであったと言えるが、新しいジェンダー意識と現状を守ろうとする帰来の意識の中で揺らぐ姿が写し出されていた。しかし、「男らしさ」というジェンダー既定に新しい意味内容を加えたことは、単なる一過性の流行だけではなく、ジェンダー概念に影響を与える事例のひとつと言える。ジェンダーは時代の変化と共に揺らぎ始めているが、ファッションにおける男女差はいまだに存在し続けており、大きな変化が訪れることは難しいかもしれないが、ファッションをする行為はジェンダーを壊すきっかけにも再構築するきっかけにもなっている。
著者
趙 景達 佐藤 博信 久留島 浩 須田 努 慎 蒼宇 檜皮 瑞樹 小川原 宏幸 宮本 正明
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

近世の薩摩藩には、豊臣秀吉の朝鮮侵略の際に連行されてきた朝鮮人の村があった。苗代川である。本研究は、この村の歴史を近世から近代にかけて明らかにすることによって、幕藩体制の性格を地域から照射するとともに、民族差別の性格を長期的視野のもとに解明しようとしたものである。その結果、薩摩藩の分離主義的傾向と朝鮮人差別の近代的様相が明らかになった。
著者
小川 直毅 五月女 真人 中村 優男 森本 高裕
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.154-159, 2020-03-05 (Released:2020-09-14)
参考文献数
24
被引用文献数
1

光起電力は現代社会に欠かすことのできない応用物性であり,太陽電池から各種光センサーまで広く利用されている.その歴史は長く,半導体p–n接合やショットキー接合に代表される“界面”の光起電力は180年ほど前から知られている.一方,1960年前後に空間反転対称性の破れた“バルク結晶”における光起電力が見出され,古典描像では説明できない巨大な起電力と特異な励起波長/偏光依存性を示すことから「異常光起電力効果」と呼ばれてきた.近年,我々の理解が進み,この異常光起電力の起因が,光励起に際した電子雲の実空間変位(シフト)であることが明らかとなったため,「シフト電流」へと改称されつつある.物質中の電子による誘電分極は,現代的な観点では,波動関数の量子力学的位相(ベリー位相)により表現される.シフト電流はその光学遷移前後の変化に対応し,始状態(価電子帯)と終状態(伝導帯)のベリー位相の差によって発生していると捉えることができる.このベリー位相差は,理論的に電子雲重心の実空間シフトと同義であり,光学遷移の時間スケールで光電流が駆動されることになる.最近私たちは,各種強誘電体で観測される光電流が,主にシフト電流に起因していることを,分光実験と理論計算の比較により明らかにした.通常,光起電力や光電流は試料に金属の電極を用意して配線を行い,増幅器等の電子回路を介して,オシロスコープや電圧/電流計で計測されている.しかし,シフト電流の本質的な高速性により,そのダイナミクスを明らかにするためには別の実験手法が必要となる.反転対称性の破れた試料にパルス光を照射した際には,パルス状のシフト電流が発生し,この短時間の電荷運動は電磁波を放射する.この電磁波を定量的に検出することにより,電極や測定回路に依存しない,非接触での超高速光電流測定が可能となる.これはテラヘルツ放射分光と呼ばれる計測法の一種である.また近年では,バンド構造の第一原理計算からシフト電流の励起スぺクトルが定量的に予測できるようになっている.これら実験と計算を比較することにより,シフト電流の励起ダイナミクス,またベリー位相への依存性が理解できるようになってきた.シフト電流は一種の分極電流であり,指向性を持ち,ボルツマン輸送理論で記述される通常の散逸電流とは質的に異なった性質を示す.量子力学的位相が観測値に現れるという点も興味深い.シフト電流は電流源とみなすことも可能であり,発生する起電力の大きさは試料の内部抵抗の関数となるため,物質のバンドギャップには制限されない.その超高速性,さらには赤外波長域での高効率光検出法としてなど,シフト電流は基礎/応用両面から大きな注目を集めている.
著者
小川 高 岩田 涼子 小川 ひとみ
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.e1-e4, 2023 (Released:2023-01-11)
参考文献数
10

猫の口腔内悪性神経鞘腫に対してカルボプラチン混和リドカインゼリーの局所注射とオルソボルテージ照射の併用療法を実施した.局所注射に起因する有害症状は認められず,腫瘍は顕著に縮小した.治療開始時からPEGチューブ栄養管理を行い,全身状態の改善を行った.今回用いた併用療法はオルソボルテージ照射単独治療と比較して効果的である可能性があるが,症例の集積による検討が必要である.
著者
平岡 裕章 小川 知之 Konstantin Mischaikow
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.191-211, 2003-06-25 (Released:2017-04-08)
参考文献数
15

This paper presents a numerical verification method for global bifurcation branches of the stationary solutions to dissipative partial differential equations. The key idea is combining verification method based on the Conley Index Theory with a branch chasing algorithm. In this paper, the verification algorithm is described in detail by taking the Swift-Hohenberg equation as an example. Some of the rigorous numerical results are also shown.
著者
鈴木 健介 原田 諭 須賀 涼太郎 土肥 莉里香 中澤 真弓 小川 理郎 横田 裕行
出版者
一般社団法人 日本在宅救急医学会
雑誌
日本在宅救急医学会誌 (ISSN:2436066X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.21-24, 2022-03-31 (Released:2022-07-03)
参考文献数
8

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年5月からMicrosoft Teamsを活用し、チャンネル機能を活用し8~10名に1名の教員を配置した遠隔実習を行った。同年8月から、補講という位置づけで対面実習を行った。50~100名教室に8~10名の学生、1名の教員を配置し、シミュレーター人形を用いて実習を行った。感染対策として、2週間前からの行動記録と体温管理、当日の検温、手袋、ゴーグル、不織布マスク、アルコール消毒液、大型扇風機による換気、高濃度次亜塩素酸水による機材の消毒を行った。検温にて体温が高い場合は、医療機関受診を促し、PCR検査等陽性の場合は、積極的疫学調査を独自で行い濃厚接触者を1時間以内に特定できるようにした。同年9月より、後学期の講義や実習が開始され、各学年週に1回は対面で実習ができる教育環境が構築できた。 2021年4月から、前述した感染対策に加えて、CO2濃度を測定した。「CO2が800ppmを超えたら強制的に換気を行う」を感染対策に加えた。同年6月下旬より職域接種を行った。実習では、virtual reality(以下、VR)視聴とシミュレーション実習を行うだけでなく、学生の目線と定点の2つのカメラで撮影し、映像を用いたフィードバックを実践した。2022年1月からオミクロン株による第6波の影響により、積極的疫学調査による早期隔離、濃厚接触者と感染経路の特定を行った。 コロナ禍において、新型コロナウイルス感染対策に関する最新の医学的知識を学び、感染対策を教職員が学生と一丸となって実施した結果、VRを用いたシミュレーション教育が実施できた。

2 0 0 0 OA 四食論考

著者
小川 宏
出版者
智山勧学会
雑誌
智山学報 (ISSN:02865661)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.113-122, 1991-03-31 (Released:2017-08-31)

四食思想に関して、近代の仏教研究論文において論及がなされたのは、木村泰賢著「原始仏教思想論」が最初であり、本格的な考察は宮坂宥勝著「仏教の起源」においてなされたと言えよう。「仏教の起源」の論考は原始仏教を中心となされているが、拙論においては阿毘達磨を中心とし、原始仏教や唯識仏教とも比較して考察を進める事とする。

2 0 0 0 OA 手延素麺

著者
小川 玄吾
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.11-16, 1985-03-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
小川 捷之
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学教育紀要 (ISSN:05135656)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-33, 1974-10-05

In Japan a neurosis called anthropophobia is common, and is thought to spring from Japanese culture (especially from the Japanese mode of interpersonal relationships). Symptoms of this neurosis are of a wide variety, such as fear of blushing, of exchanging glances, of being regarded as disagreeable, and of being exposed to the public eye. But in spite of these symptomatic differences, there seems to be a common self-consciousness among anthropophobics. In a therapeutic situation, they always complain about feelings of inadequacy. The purpose of this study was to investigate these characteristics of self-awareness from the psychological point of view. 1. The worries that are thought to be had by these neurotics were collected and arranged into 445 items. 100 college students and 50 anthropophobics were asked to make a self-evaluation on these 445 items, each accompanied by a 7 degree rating scale. Statistically significant differences were found in 341 of the 445 items (p<.01). According to this fact, it can be considered that anthropophobics are inclined to regard themselves as being "ill". To them, inferiority in one aspect results in considering themselves as being inferior to others in all possible ways. In other words, anthropophobics have a strong negative self-awareness. 2. Furthermore, after statistical consideration, 117 items were selected from the 341 items, and were used in the self-evaluation of 120 anthropophobics. As a result of the factor analysis concerning these 117 items, 8 factors were extracted. Factor I. Worry of the inability to blend into the group. Factor II. Personal dissatisfaction with oneself, and with one's mental function. Factor III. Awareness of others, resulting from worry of being regarded as disagreeable. Factor IV. Worry about the inability to feel "at home" in the presence of others. Factor V. Self-consciousness in the presence of others. Factor VI. Constant sense of feeling "low" and not "right". Factor VII. Worry of being overwhelmed by a crowd of people. Factor VIII. Worry of being regarded as an odd person. (In this factor, there were only a few items showing high factor loadings.)
著者
小川 渉 鞍谷 文保 吉田 達哉 小出 俊雄 水田 泰次
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.86, no.881, pp.19-00237, 2020 (Released:2020-01-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

Cymbals are percussion instruments that vibrate and radiate sounds when hit with a stick. A bell is the raised section in the middle of the cymbal and its size produces different sounds. In this study, we investigate the effect of bell size on the sound characteristics of cymbals. The radiated sounds and vibrations for cymbals with two different bell sizes are measured. In addition, the natural frequency and mode shape are obtained by finite element analysis and the sound radiation efficiency is calculated for each mode. The measured results indicate that the sound frequency characteristics for the large bell show three peaks with large sound pressure within the range of 1000 to 3000 Hz and the sound pressure for the small bell is larger than that for the large bell within the range of 4000 to 5000 Hz. The vibration frequency characteristics show there is no remarkable difference between the large and small bells. The sound radiation efficiencies indicate that the large bell has many modes with high radiation efficiency within the range of 1000 to 3000 Hz and their modes have a small number of nodal diameters and a large deformation at the bell. The small bell has many modes with high efficiency within the range of 4000 to 5000 Hz. This is reason for the difference in sound characteristics between the large and small bells.
著者
鞍谷 文保 北林 研人 小川 渉 吉田 達哉 長村 光造 小出 俊雄 文珠 義之 水田 泰次
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.851, pp.17-00110, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
13

Cymbals are percussion instruments that vibrate and radiate sounds when hit with a stick or when used in pairs. The sound radiated from a cymbal depends on its vibration characteristics. Cymbals are made through spin forming, hammering and lathing processes. The spin forming creates the domed shape of cymbals, determining the basic vibration characteristics. The hammering and lathing make specific sound quality adjustments by changing the vibration characteristics. In this paper, we focus on how the hammering affects the cymbal's vibration characteristics. The hammering produces many shallow dents over the cymbal's surface, generating residual stresses in it. These residual stresses change the vibration characteristics. We perform finite element analysis of the hammered cymbal to obtain its vibration characteristics. In the analysis, we use thermal stress analysis to reproduce the stress distribution and then with this stress distribution we perform vibration analysis. The results show that the effects of thermal load (i.e., hammering) vary depending on the mode: an increase or decrease in the natural frequency. As a result, the peak frequencies and their peak values in the frequency response function change.