著者
鈴木 伸一 小関 俊祐 伊藤 大輔 小野 はるか 木下 奈緒子 小川 祐子 柳井 優子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.93-100, 2018-05-31 (Released:2019-04-05)
参考文献数
5
被引用文献数
2

本研究の目的は、英国のCBTトレーニングにおける基本構成要素と教育方法を明らかにすることであった。英国認知行動療法学会のLevel 2認証を得ているCBTトレーニングコースのカリキュラム責任者を対象に、CBTトレーニングにおける基本構成要素と教育方法に関する調査を実施した。その結果、英国認知行動療法学会のLevel 2の認証を受けたトレーニングコースにおいては、おおむねガイドラインに沿った包括的な教育がなされていた。特に、治療関係の構築やクライエントの個別性への対応、およびスーパービジョンの有効活用などについては、現場実習における実践的なトレーニングが重視されていることが明らかになった。最後に、本研究の結果を日本のCBTトレーニング・ガイドライン策定にどのように活用していくかについて考察された。
著者
石原 知洋 四本 裕子 角野 浩史 玉造 潤史 中村 遼 小川 剛史 相田 仁 工藤 知宏
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.85-92, 2020-11-26

2020 年初頭から発生した COVID-19 により,多くの大学で 4 月からオンラインによる講義の配信を行っている.オンライン講義のメリットが明らかになる一方で,様々な要因から対面での講義の実施も求められている.そこで東京大学では,COVID-19 対応のためオンラインと,感染症対策を実施した上での対面講義の双方を実施するハイブリッド方式の講義を検討している.このハイブリッット方式では,対面講義のためキャンパスに来た学生が,対面講義の他にもその日のオンライン講義をキャンパスのネットワークを用いて受講することになる.このように多数の学生がキャンパスネットワークを用いてオンライン講義を受講するにあたって,どの程度のネットワーク設備があればそのような講義形態が可能であるかは自明ではない.そこで我々は,最もボトルネックになると想定されるユーザ端末の無線接続について,実際の教室を用いて多人数での同時オンライン講義の受講が可能であるかの評価実験をおこなった.本実験では,いくつかのオンラインの講義シナリオを設定し,ネットワーク状況やオンライン講義の音声・映像の品質を計測,確認した.本論文ではその実験結果および得られた知見について述べる.
著者
小川 束 田中 正明
出版者
四日市大学
雑誌
四日市大学論集 (ISSN:13405543)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.289-300, 2019 (Released:2019-05-20)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Cymbella janischii (A. W. F. Schmidt) De Toni and Gomphoneis minuta (Stone) Kociolek & Stoermer collected from the upper Tama River in Oume City, Tokyo, were examined with a scanning electron microscope (SEM). We present 56 pictures here which were taken from various directions as a basis for future research in taxonomy or morphology.
著者
五島 史行 堤 知子 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.11, pp.1208-1213, 2013-11-20 (Released:2014-01-16)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

耳鼻咽喉科を受診するめまい患者のうち, 心因性めまいの占める割合は10~30%程度といわれている. これらの患者には適切な治療が行われていないことが多い. chronic subjective dizziness (CSD) はStaabとRuckensteinによって報告されためまい疾患である. 過去1年間に日野市立病院を受診しためまい患者のうち, 心因性めまいは40例 (14%) であった. そのうちCSDの診断基準を満たした7例について治療や予後などを検討した. 治療はセロトニン再取り込み阻害薬 (SSRIs) を投与し, 全例で自覚症状の改善が認められた. CSDは自覚的めまいを主訴とし耳鼻咽喉科を受診する. そのため, 耳鼻咽喉科医が薬物治療を行って治療することができる疾患として重要である. SSRIsは本来抗うつ薬であり, 実際のSSRIsの投与に当たっては嘔気, アクティベーション症候群などSSRIsの持つ副作用を熟知した上で行う必要がある.
著者
長岡 智明 櫻井 清子 国枝 悦夫 渡辺 聡一 本間 寛之 鈴木 保 河川 光正 酒本 勝之 小川 幸次 此川 公紀 久保田 勝巳 金 鳳洙 多氣 昌生 山中 幸雄 渡辺 敏
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.239-246, 2002 (Released:2011-10-14)
参考文献数
16
被引用文献数
11

We have developed high-resolution voxel models of the whole body from MR images of Japanese adult male and female volunteers. These models can be used for dosimetry simulation of exposure to radiofrequency electromagnetic fields over 1GHz. The MR images were taken by making a series of scans over several days; that is, a subject was scanned in several blocks. Scan parameters were optimized for head and body, respectively, in order to get practical contrast and to save data acquisition time. An implement was used to keep the position and form of the subject. All of the MR images were converted to TIFF format. The continuities between different blocks of the data were corrected to form a whole body. Furthermore, the resolution of the images was changed into 2×2mm. Male and female models were segmented into 51 tissues and organs. This segmentation was performed manually using popular image-processing software. The developed models consisted of isotropic voxels with a side of 2mm. Although the masses of the skin and small-sized tissues and organs of the models deviated from the averaged values for Japanese due to the limitation of spatial resolution, the masses of the other tissues and organs and the morphometric measures were nearly equivalent to those of the average Japanese. The models are the first voxel models of the average Japanese that can be used for the dosimetry of electromagnetic fields over 1GHz. Furthermore, the female model is the first of its kind in the world. The models can also be used for various numerical simulations related to Japanese human bodies in other fields of research.
著者
川喜田 健司 藤木 実 小川 卓良 木戸 正雄 丸山 満也 智原 栄一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.110-123, 2007-05-01 (Released:2008-05-23)
参考文献数
25

本シンポジウムでは、手首の橈骨動脈の脈状から内臓臓器の機能を知るということは可能かという設問に対して、さまざまな立場の専門家が見解を述べた。小川は脈診の臨床的意義を明らかにするためには、脈診の診断法としての再現性と、その証に基づく治療が臨床医学的観点からより有効であることの証明が必要とした。木戸は脈診トレーニング法を紹介し、それに基づく臨床試験の試みから、脈診の診断・治療上の意義を明らかにした。丸山は、圧センサを用いた脈波情報の計測と数値モデル解析による脈診の客観化の試みを紹介し、その限界とともに将来の客観化の可能性に言及した。智原は、脈診で用いられる橈骨動脈で検出される圧脈波のもつ意味について、病態生理学的観点を交えてさまざまな可能性を示し、その情報が全身状態を反映する可能性を認めながらも、その対応は1 : 1ではないことを指摘した。最後に脈診に関する実験的検討の必要性が確認された。
著者
長瀬 賢史 松榮 美希 森 裕美子 本多(小川) 真理子 杉谷 加代 住友 倫子 中田 匡宣 川端 重忠 岡本 成史
出版者
ウェルネス・ヘルスケア学会
雑誌
Journal of wellness and health care (ISSN:24333190)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.87-95, 2017

Organic virgin coconut oil (VCO) contains almost 50% lauric acid (LA). As lauric acid exhibits antimicrobial activity against some bacteria, VCO is thought to also possess antibacterial properties. However, it is unclear whether the antimicrobial activity of VCO is comparable to that of LA. The present study was performed to examine whether VCO demonstrates antimicrobial activity against species of gram-positive bacteria (i.e., Staphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiae, Streptococcus sanguinis, Streptococcus salivarius, and Streptococcus mutans) as well as LA by disk diffusion antibacterial test. Although LA has antimicrobial activity against S. aureus, S. pyogenes, S. agalactiae, S. mutans, and S. sanguinis, VCO has antimicrobial activity against S. pyogenes, S. agalactiae, S. mutans, and S. sanguinis, but not S. aureus. Furthermore, the antimicrobial activities of VCO against several Streptococcus species were weaker than those of LA. We further compared the antimicrobial activities of VCO and LA against Streptococcus pyogenes by antimicrobial test involving the inhibition of microbial growth in broth medium. While > 4.4 mM VCO was capable of exhibiting an antimicrobial effect againstS. pyogenes, the same effect was demonstrated by as little as 0.18 mM LA. Furthermore, > 0.88 mM LA, but not VCO, was able to eliminate S. pyogenes completely. We also confirmed thatLA could eliminate bacteria within 10 minutes, and the number of bacteria did not increasefor 2 hours. On the other hand, the addition of VCO did not decrease the number of bacteria.In addition, scanning electron microscopic (SEM) analysis indicated that the antimicrobial activity of LA is mediated by a bactericidal mechanism, whereas VCO functions by inducing bacteriostasis. Taken together, we found that VCO has antimicrobial properties against some strains of bacteria belonging to the genus Streptococcus, but not Staphylococcus aureus or some gram-negative bacteria. These findings suggest that the antimicrobial spectrum of VCO differs from that of LA. We also found that the antimicrobial effect of VCO is mediated by bacteriostasis, and not a bactericidal mechanism as observed for LA.オーガニックヴァージンココナッツオイル(VCO)は、およそ 50% ものラウリン酸を含有している。ラウリン酸(LA)は、いくつかの細菌種に対して抗菌作用を呈することから、 VCO も抗菌作用を有すると考えられている。しかし、VCO がラウリン酸と同等の抗菌効果を示すか否かは明らかではない。今回我々は、VCO が LA と同等に数種類のグラム陽性細菌に対する抗菌作用を示すかディスク法を用いて検討した。LA は、黄色ブドウ球菌、A 群化膿性レンサ球菌、B 群レンサ球菌、ストレプトコッカス・ミュータンス、ストレプトコッカス・サングイニスに対する抗菌効果を示したが、VCO は、黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果を有さず、残りの菌種に対する抗菌効果も LA と比べて効果は弱小であった。次に我々は A 群化膿性レンサ球菌を用いて液体培地での細菌培養系における VCO および LA に対する増殖抑制効果について比較検討を行った。その結果、VCO では 4.4 mM 以上の濃度でないと抗菌効果を発揮しないのに対し、LA では 0.18 mM 以上の濃度で同等の抗菌効果を発揮した。また、LA では、わずか 10 分で細菌を死滅させる一方、VCO は死滅させないことを見出した。また、走査型電子顕微鏡による観察で LA による抗菌効果は菌体破壊による殺菌効果によるものに対し、VCO は、菌体破壊のない静菌効果によるものであることを見出した。以上より、VCO が一部のレンサ球菌属に対して抗菌効果を示し、黄色ブドウ球菌には抗菌効果を示さないこと、VCO による抗菌効果が静菌効果によることを明らかにし、VCO の抗菌効果が LA と異なることを示唆した。
著者
林 良博 小川 健司 九郎丸 正道
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

哺乳類の精巣は通常陰嚢内に存在し、体温よりも数度低い温度に保たれることにより正常な精子発生が行われている。一方鯨類、ゾウなどは陰嚢をもたず精巣は腹腔内に位置する。こうした腹腔内精巣動物の精子発生が、いかなる温度調節機構によって行われているかについては未だ不明である。本研究では腹腔内精巣と熱ショックタンパク質(HSP)およびレクチンの発現性との関連を検討した。材料としてはイルカ精巣に加えて、実験的腹腔内精巣マウス、非繁殖期ハムスターの精巣および胎生期、生後初期のマウス腹腔内精巣を用いた。実験的腹腔内精巣マウスでは、多数の変性精細胞が観察され、それらには核濃縮、細胞質の好酸性変化および濃縮が認められ、またTUNEL陽性細胞も観察された。HSP70.2の発現はバキテン期以降の精細胞に観察され、腹腔内精巣マウスでは反応は認められなかった。非繁殖期のハムスター精巣では、レクチンDBAが精祖細胞に特異的な結合を示した。DBAは繁殖期ではA型精祖細胞にのみ反応するのに対し、非繁殖期ではA型、中間型、B型の各精祖細胞に反応した。胎生期および生後初期のマウス腹腔内精巣では、レクチンsWGA,VVA,LEAが精細胞に特異的な結合を示し、これらのレクチンが精細胞の分化に関わっている可能性が考えられた。バンドウイルカ、ハナゴンドウ、ヤギのHSP84,86発現を検討した結果、HSP84と86では明らかな相違が認められた。84はB型精祖細胞に強い反応性を示したのに対し、86は精母細胞ないし精子細胞に強い反応性を現した。これらの反応性の違いから、84と86は精細胞分化の異なる過程でそれぞれ役割を担っている可能性が示唆された。また、特に86において種間差が認められた。ヤギではバキテン期以降の精母細胞および円形精子細胞に、バンドウイルカではザイゴテン期以前の精母細胞および円形精子細胞に、またハナゴンドウではすべての精母細胞が反応したが、精子細胞は反応性を示さなかった。
著者
松崎 秀夫 財満 信宏 岩田 圭子 小川 美香子 辻井 正次 瀬藤 光利 土屋 賢治 伊東 宏晃 間賀田 泰寛
出版者
浜松医科大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2009

自閉症者血清中の脂質VLDL分画の低下から(1)自閉症者血清中の脂肪酸解析、(2)脂肪酸所見に基づく自閉症動物モデルの確立とその解析、(3)動物モデルを用いた新規自閉症治療法を検討した。その結果、VLDL分画の低下に関連の深い脂肪酸としてω6脂肪酸を含む6種類の脂肪酸を見出した。ついでCD38KOマウスに自閉症者同様の血清中脂質VLDL分画・ω6脂肪酸の低下を認め、血中ω6脂肪酸の低下を出生直後に補うと社会認識行動の修復につながることを見出した。VLDLR-Tgラットにも多動と組織中のアラキドン酸の欠乏が示された。
著者
山崎 泰正 小川 克明 金勝 廉介
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.228-235, 1992-06-27 (Released:2010-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
3

高速液体クロマトグラフィー (HPLC) およびSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 (SDSPAGE) によりカイコガコクナーゼを分離するとともに, その作用特異性について酸化インシュリンB鎖を基質に用いて調査し, 次の結果を得た。1) 小顋のコクナーゼは, ゲルろ過法と陽イオン交換法において二つの主要な280nmの吸収ピークが現われ, 逆相法においても同様に二つの主要な220nmの吸収ピークが現われた。これらのピークのうち, 大きい方のピークに吸収曲線と対応するプロテアーゼ活性を認めた。活性ピーク面積は全吸収ピークのそれぞれ80%と66%, 88%であった。推定分子量はゲルろ過法で26,400, SDS-PAGEで28,000であった。2) 脱繭液中に含まれるプロテアーゼは, ゲルろ過法および陽イオン交換法において小顋のコクナーゼと極めて近い位置に溶出しSDS-PAGEゲル上でも, このプロテアーゼ活性分画のバンドの位置は小顋のコクナーゼと等しかった。3) 逆相法によって, 酸化インシュリンB鎖をコクナーゼ処理して得られたフラグメントが, トリプシン処理して得られたフラグメントと等しい位置に溶出することを確認した。したがって, コクナーゼの作用特異性はトリプシン様であると考えられた。
著者
小川 未空 坂上 勝基 澤村 信英
出版者
国際開発学会
雑誌
国際開発研究 (ISSN:13423045)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.5-20, 2020-11-20 (Released:2020-12-05)
参考文献数
79

Over the last three decades, developing countries have been rapidly promoting the universalization of education with support from the international community. While significant progress has been made in universalizing access, especially at the primary level, quality education is not accessible to everyone, and expanding educational opportunities might further increase inequality. The current global education goal, which was adopted in 2015 as Sustainable Development Goal 4 (SDG 4) of the 2030 Agenda, has ambitiously shifted its focus to comprehensively addressing inequalities in access to quality education at all levels from pre-primary to tertiary.This article aims to provide an overview of recent policy trends and previous studies on education and social inequalities that countries face in their efforts to universalize education. First, the article clarifies the difference between“equality”and“equity”as well as the definition of these concepts that are relevant in the SDGs era. Second, theoretical and empirical studies on the topic are reviewed, encompassing an in-depth critical discussion around the social stratification research in both developed and developing countries. Finally, it proposes a new direction for educational development studies in the era of SDGs.The article highlights the importance of understanding inequalities in the process of universalizing education in the context of equity. While equality is defined as a neutral word to describe a specific situation, the term equity cannot be used without referring to the concept of fairness. In this sense, whether inequality is considered a problem would depend on the concept of“fairness”and whether society views a situation as fair or unfair, given the social and historical background of the inequality. To fully reflect the feature of SDG 4, this study suggests that educational development studies should explore the local population's perspectives on fairness and/or equity through case studies in developing countries.