著者
小林 義郎 熊懐 稜丸 榛沢 雄二
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.183-196, 1979-03-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
50
被引用文献数
2 2

Trifluoromethyl group shows a stabilizing effect on the compounds which would be unstable if they had no trifluoromethyl group. This review is concerned with two faces of the chemistry of trifluoromethylated valence bond isomers of aromatic compounds : Diels-Alder and 1, 3-dipolar reactions planned for the conversion of hexakis (trifluoromethyl) benzvalene to the corresponding tetrahedrane and the synthesis of new valence bond isomers of heteroaromatic compounds. In the former, the tetrahedrane itself could not yet be isolated, but the formation of tetrakis (trifluoromethyl) cyclobutadiene and new valence isomers of oxepin was confirmed. In the latter, Dewar thiopene, Dewar pyrrole, Dewar pyridine, and diphosphabenzvalene with trifluoromethyl groups were synthesized and their reactions were discussed. The effect of trifluoromethyl group is not limited to the strained compound. Thus, tetrakis (trifluoromethyl) -1, 4-diphosphabenzene, the first example of diphosphabenzenes, was synthesized.
著者
石田 聡 吉本 周平 幸田 和久 小林 勤 白旗 克志 土原 健雄
出版者
農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所
雑誌
農村工学研究所技報 (ISSN:18823289)
巻号頁・発行日
no.217, pp.1-12, 2015-03

トンガ王国ババウ群島ババウ島およびハアパイ諸島リフカ島において,淡水レンズ地下水中の電気伝導度(EC)測定およびイオン濃度分析を行った。調査の結果,ババウ島においては一部の揚水井戸で150mS/mを超えるECが観測された。リフカ島においては,水道水源施設である暗渠(ギャラリー)および井戸のECは150mS/mを下回っていたが,塩水化によって揚水を停止した施設が存在した。測定結果と既往の記録等により地下水塩水化の要因を分析したところ,ババウ島ではそれまで分散して配置されていた揚水用の井戸が減少し,1箇所あたりの揚水量が増加したことでアップコーニングが発生したと推定された。リフカ島では,ギャラリーの一部が海岸近くに配置されていることでECが高くなっていると推定された。塩水化の抑止のためには,ババウ島においては井戸の分散が,リフカ島についてはギャラリーを淡水域の中心部に再配置することが有効であると考えられた。
著者
小林 亜美
出版者
日本フランス語フランス文学会関西支部
雑誌
関西フランス語フランス文学 (ISSN:24331864)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.46-56, 2008-03-31 (Released:2017-07-14)

Stendhal, qui a consacre beaucoup d'energie a la critique musicale, avait une predilection pour deux musiciens : Cimarosa et Mozart. En analysant les critiques stendhaliennes, nous notons que le premier est, chez l'auteur, un symbole de la jeunesse, de la fureur et du bonheur, et le second, de la melancolie tout d'abord, melancolie qui serait indissociable de la cristallisation de l'amour. Or, l'important est qu'ils sont les seuls musiciens qui apparaissent significativement dans plusieurs romans de Stendhal. Comment retentissent leurs musiques, et quels effets produisent-elles? Apparemment, leurs musiques jouent presque le meme role : approcher, consoler ou reconcilier les amoureux stendhaliens. Nous remarquons cependant que c'est toujours Mozart, genie de la douce melancolie, qui mene les amoureux aux moments definitifs, au comble du bonheur, meme dans quelques scenes ou la musique de Cimarosa retentit plus explicitement. Mozart, musicien de Salzbourg, n'est-il pas une solution au sens chimique du terme pour la cristallisation? Et a ce titre, ne precipite-t-il pas le bonheur? En somme, Cimarosa et Mozart, deux musiciens tout a fait contraires selon Stendhal, en se fondant enigmatiquement, realisent le bonheur ideal stendhalien dans ses romans.
著者
今井 欣一 丸本 龍二 小林 邦夫 吉岡 義夫 戸田 準 本庄 美喜男
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.576-586, 1971-03-25 (Released:2008-03-31)
被引用文献数
11 19

Ring closure of 5-amino-1-β-D-ribofuranosylimidazole-4-carboxamide (AICA-riboside) with phenyl isothiocyanate afforded 2-mercaptoinosine (I) in good yield. Similarly, the ring closure of AICA-riboside 5'-phosphate (AICAR) led to the formation of 2-mercaptoinosine 5'-phosphate (II). Various 2-substituted inosine 5'-phosphates were prepared from I and II or starting with AICA-riboside. It was found that 2-furfuryl-thioinosine 5'-phosphate possessed a flavor enhancing activity of about 17-times that of inosine 5'-phosphate. The chemical structure-flavor enhancing activity relationship was presented.
著者
小林 達彦 合田 昌彦 東端 啓貴 橋本 義輝
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

昨年度までに、(D-アミノ酸ラセマーゼ,D-アミノ酸トランスアミナーゼ,D-アミノ酸オキシダーゼを含む)既知のD-アミノ酸代謝酵素遺伝子とは全く相同性を示さない、新規な酵素がD-アミノ酸代謝に関わっていること明らかにした。大腸菌ゲノムデータベース上でo341#16と登録されている遺伝子が本資化能に関与しているが、予想される開始コドンより32アミノ酸下流のメチオニンがN末端アミノ酸であると同定した。そこで、本メチオニンに対応するコドンを基に新たにデザインした合成オリゴヌクレオチド(と、終止コドン下流の塩基配列を基にデザインした合成オリゴヌクレオチド)を用いてPCR法によって増幅した遺伝子の大腸菌JM109での発現をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で検討した結果、全可溶住タンパク質の40%もの著量発現が認められた。本発現産物を用いて、D-シスチン分解酵素活性を測定した結果、顕著な活性を示すことが明らかとなった。また、分解産物として、ピルビン酸、アンモニア、硫化水素を同定することに成功し、本発現産物はD-シスチンデスルフヒドラーゼであることが判明した。続いて、本酵素をDEAE-Sephacel、Mono-Qカラムクロマトグラフィーに供することによって、電気泳動的に単一に単離精製することに成功した。本酵素の分子量は72,000であり、分子量35,000のサブユニット2個から構成されることが明らかとなった。本酵素のD-シスチンに対するKm値は1.07mMであり、Vmaxは9.32μmol/min/mgであることが判明した。また、本酵素はD-システインにも作用し、そのKm値は0.87mMであり、Vmaxは4.51μmol/min/mgであった。さらに、本酵素は逆反応をも行うことが判明した。
著者
小林 聡幸
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.13-20, 2010 (Released:2017-02-15)
参考文献数
19

緊張病を一定の病像や経過からなる病型として記述した Kahlbaum に反して,近年の操作的診断基準の緊張病症候群の記述は「緊張病性の特徴」と表されるように緊張病的な「見た目」が重要視されている。確かに緊張病的な「見た目」は様々な疾患で生ずる。緊張病は疾患を横断する非特異的な症状というのはひとつの見解で,緊張病が原始反射に類似しているという Kretschmer の指摘に遡る。換言すると,緊張病とは人間精神の古層の露呈という仮説が成り立つ。また臨床的には緊張病は統合失調症と躁うつ病の蝶番の位置にあるといえる。他方,Kraepelin の早発性痴呆概念自体が,Heckerの破瓜病とともに,Kahlbaum の緊張病の概念を包摂することで成立したことを顧みるならば,緊張病の内包を突き詰めていくと統合失調症の本質に行き着くという考えもある。それは時間性の病理である。
著者
小林義徳
出版者
日立金属
雑誌
日立金属技報
巻号頁・発行日
no.26, 2010-01
著者
小林 幹男
出版者
長野女子短期大学出版会
雑誌
長野女子短期大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.15-29, 1998-12-21

中山道は、東海道に次ぐ主要な街道であり、板橋・草津宿間67次であるが、一般的には東海道と重なる草津宿と大津宿を加えて「中山道69次」といわれている。中山道の宿駅は、社会の安定と経済の発達に伴って、物質の輸送や人馬の継ぎ立てが増加し、参勤交代の大名、一般旅行者の通行によって賑い、江戸後期になるとさらに輸送量と通行者が増加して繁栄した。しかし、宿駅や助郷村は、一方で無賃、または低賃銭の伝馬役などを強制され、その不足分を補填しなければならなかったため、財政が窮乏し、幕府や藩に窮状を訴えて減免を願い、宿駅と助郷村の紛争も相次いだ。孝明天皇の妹和宮が、公武合体の政治的意図によって、将軍徳川家茂に嫁ぐため東下した文久元年(1861)のいわゆる「和宮様の御通行」は、空前の大行列であった。この大行列の人数は、京方1万人、江戸方は京都所司代をはじめ、お迎えの人数を合せて1万5千人、合計2万5千人といわれ、御興の警護12藩、沿道の警護29藩、総勢およそ8万人と伝えられている。この大行列通行のために動員された人馬は「御小休」の長窪宿の場合、定助郷12か村、当分助郷29か村、人馬6,350人、645疋と記録されている。このことからも「御泊」の和田・八幡・沓掛宿、「御昼」の芦田・小田井・軽井沢宿などの負担を窺うことができる。
著者
小林 巧 家永 直人 杉浦 裕太 斎藤 英雄 宮田 なつき 多田 充徳
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.996-1002, 2018-12-05 (Released:2018-12-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

This paper presents a method to measure foot shape from a 3D point cloud as input captured from multiple directions using a smartphone depth camera. Such a 3D point cloud could potentially include noise or omit parts of the foot due to occlusion. To deal with this occlusion problem, we propose to use a dataset of 3D foot shapes collected by a precise 3D shape scanner of foot shapes. According to the dataset of 3D foot shapes, we can generate a deformable model by performing a principal component analysis (PCA) on the dataset. Then we minimize the error of the shape represented by the deformable model and the 3D point cloud acquired by the smartphone camera, to recover a complete 3D shape of the entire foot with high accuracy. We test this method by comparing the 3D shape produced by our proposed method to the 3D shape precisely measured by the 3D scanner. Our proposed method can scan the foot shape with an error of about 1.13mm.
著者
小林 啓介
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
Journal of the Vacuum Society of Japan (ISSN:18822398)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.365-376, 2013 (Released:2013-09-28)
参考文献数
35
被引用文献数
1

Hard X-ray photoelectron spectroscopy (HXPES) has developed to be used in wide ranges of solid state science and technology due to its much larger information depth comparing to the conventional X-ray photoelectron spectroscopy. It enabled to investigate buried layers as deep as more than 20 nm from the surface. Here in this article, various applications of HXPES to the deep layer investigations including chemical state profiling by takeoff angle dependence measurements and standing wave methods, intermixing analysis of metal multilayers, analysis of band bending at the semiconductor hetero interfaces, analysis of 2 dimensional carriers in strongly correlated materials interfaces, electronic structure observations at buried layers and their interfaces in devices. Laboratory HXPES system with monochromatic Cr Kα X-ray excitations is also introduced with its applications to Si MOS gate stack model samples including interface state spectroscopy by electric field application are also introduced.
著者
小林 資正
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.554_1, 2014

大学紛争の終わり頃に大学に入学した私は,大学改革を求める(?)学生による大学封鎖やそれを解除するために導入された機動隊との衝突に訳も分からず熱くなったことが懐かしい.私が受けた講義についてはもうほとんど記憶になく思い出されるのは,講義時間の大半が製薬企業におられた頃の経験談だった先生の講義や,ひたすら板書されたことをノートに書き写すことに必死だった先生の講義があったことぐらいである.<br>楽しかったのは,3年次の午後にあった基礎実習である.ガラス細工に始まり,化学合成,ネズミの解剖,電気配線などいろいろと科学実験を経験させていただいたが,いつも誰よりも早くその日に課せられた項目の実験を達成しようと1人競争心を燃やしたものだった.4年生になると研究室に配属され,結果の見えない研究テーマをいただいて研究者の仲間入りをさせていただいた.結果が導き出されることが分かっている学生実習と違い,研究というのは単純な作業の積み重ねだけでは展開せず,試行錯誤の繰り返しにより見いだした工夫が成果を生むことから,興奮し面白さを体感することができた.<br>ひたすら大学入試の勉強のために費やしてきた高校時代を取り返すために,大学に入ってからは休みになったらあちこち旅行に出かけたり友達と麻雀したりして遊んでいたが,このまま卒業したのではつまらないと思うようになり,もっと研究がしたくて大学院に進学した.<br>その後,大学に居残って大学教員になり,あと数年で定年退職を迎えようとしている.その間,いろいろな制度の改革があり,大学教育も大きく見直されてきた.シラバスの作成,授業アンケート,アドミッションポリシー,薬学教育モデル・コアカリキュラム,安全管理業務,大学評価や教員の個人評価のほか,6年制の薬学科においては薬剤師養成のための共用試験制度や実務実習制度などなど枚挙にいとまがない.その結果,書類作りや教育業務がどんどん増えて,先生方にとってかなり負担になってきているのではと心配する.この先生方のご苦労が報われて,若き優秀な研究者が数多く育って欲しいものである.
著者
小林 まり子 森 佐苗 徳森 啓訓 小林 隆司 原田 和宏
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P1234, 2009

【背景と目的】<BR> 加齢や疾病に伴う歩行能力の変化では,歩容の側面からも重要な情報がもたらされることが少なくない.Wolfsonら(1990)は,転倒予防のための16項目の歩行観察評価を作成し,Gait Abnormality Rating Scale(GARS)として報告した.VanSwearingenら(1996)は,改訂版GARSの信頼性と妥当性を示すと共に,それが虚弱高齢者の転倒危険性を反映することを明らかにした.改訂版GARSは 7項目で構成され,それぞれ0~3までの4件法で評価し,点数が高いと歩行が不良とされる.今回我々は,改訂版GARSを遠隔環境下で実施し,この評価の使用可能性を検討したので以下に報告する.<BR><BR>【対象と方法】<BR> 対象は,当院入院中の女性患者5名(平均年齢80.0±6.4歳)とした.疾患の内訳は腰椎圧迫骨折1名、変形性股関節症1名、変形性膝関節症1名,大腿骨頚部骨折1名、膝蓋骨骨折1名であった.全員歩行可能で,認知面の問題はなかった.ヘルシンキ宣言に基づき,対象者には本研究の主旨と方法に関して説明を十分に行い承諾を得た.<BR>対象者に,片道3mの直線コースを2往復してもらった.床面は木製であった.危険防止のためセラピストが横についた.コースから垂直斜め横3mの地点にノートパソコン(pentiumM-1.2GHz, 1GB-RAM, WindowsXP)とウエッブカメラ(Qcam9000)を設置した.skype(ver.3.8)のビデオ通話機能を利用して,歩行の様子をイントラネット(100Mbps)で接続した別室のパソコン(pentium4M-2.2GHz, 1GB-RAM, WindowsXP)にて別のセラピストが観察した.SkypeのビデオをTapur ver1.3にて25fpsで録画するも,コマ落ちが目立つため遠隔ではライブ評価のみとした.遠隔評価と同時に、デジタルビデオ(69万画素)でミニDVカセットに歩行の様子を撮影しておき,1週後に,その映像を必要なだけ見直しながら,原法どおりに評価をおこなった.<BR> 遠隔評価とビデオ評価との一致率と相関係数を求め精度を検討した.<BR><BR>【結果】<BR> 遠隔とビデオ評価との各項目の一致率は60~100%で,全評価項目では77%であった.総合得点のspearmanの順位相関係数は0.9(p=0.037)と相関を示した.<BR><BR>【考察】<BR> 改訂版GARSは,skypeを用いた遠隔環境下のライブ観察でもある程度の一致度が得られることがわかった.しかし,評価を正確に行うには,高スペックのパソコンで映像を録画できることが必要である.また,今回は在宅の環境を想定して歩行距離を3mとしたが,原法に従って10m程度に伸ばすことや側面画像を送ることが精度向上につながると考えられた.今後はセキュリティーの問題を検討し,インターネット環境下でこれを実施する必要がある.