著者
福元 恵 山城 亘央 小林 史和 長坂 高村 瀧山 嘉久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.239-242, 2013-03-01 (Released:2013-03-23)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

症例は49歳男性である.数日の経過で進行する四肢脱力により歩行できなくなったため,当院に緊急搬送された.脱力発作の既往歴や家族歴はなかった.血清カリウムが1.9mEq/lと低下しており,低カリウム血性ミオパチーと診断した.経口的にカリウム補充をおこなったところ,血清カリウム値,症状ともにすみやかに改善し,治療中止後も再発はなかった.カリウム代謝に関連した内分泌学的異常はみとめず,患者は,去痰目的に市販の総合感冒薬を10年間連日服用し,肥満解消目的に,症状出現2週間程前より緑茶抽出物健康飲料を大量摂取していたことから,これらにふくまれるカフェインの大量摂取が低カリウム血症の原因であると考えられた.
著者
安藤 玲子 坂元 章 鈴木 佳苗 小林 久美子 橿淵 めぐみ 木村 文香
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.21-33, 2004 (Released:2004-11-25)
参考文献数
19
被引用文献数
10 5 3

従来の研究は,ネット使用により新たな対人関係が構築されることを示してきたが,このネット上の対人関係が人生満足度や社会的効力感に影響が与える程度の質を有するかについて検討した研究は乏しい.そこで,本研究は男子学生173名を対象にパネル調査を行い,ネット使用がネット上の対人関係数を介して,人生満足度および社会的効力感に影響を及ぼすかを検討した.その結果,(1) 同期・非同期ツールの使用は,共にネット上での対人関係を拡大させる,(2) 同期ツールの使用は,ネット上の異性友人数を介して人生満足度を高める,(3) 同期ツールの使用はネット上の知人や同性友人数を介して,非同期ツールの使用はネット上の知人数を介して,社会的効力感を高めることが示された.また,(4) 同期ツールの使用は人生満足度と社会的効力感に対して負の直接効果を持っていた.

3 0 0 0 OA 経書大講

著者
小林一郎 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第4巻 書經上, 1940
著者
和泉 薫 小林 俊一 永崎 智晴 遠藤 八十一 山野井 克己 阿部 修 小杉 健二 山田 穣 河島 克久 遠藤 徹
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.39-47, 2002-01-15 (Released:2010-02-05)
参考文献数
7

新潟県北魚沼郡入広瀬村の浅草岳において,2000年6月18日,山菜取り遭難者の遺体搬出作業中の捜索・救助隊がブロック雪崩に襲われて4名が死亡した.ブロック雪崩発生前後の映像解析や現地調査から,発生量は32m3(重量21 ton)と算定され,記録上最大規模のブロック雪崩であることがわかった.この地域の山岳地は近年にない多雪で融雪が約1ヶ月遅れ,気温が上昇した5,6月に多量の残雪が急速に融解した.この災害は,急斜面の残雪が融雪末期のいつ崩落してもおかしくない不安定な状態の時に,その直下で多人数が作業を行っていたため発生したものである.運動シミュレーションから,雪渓末端の被災地点における速度は12~35m/s,到達時間は10~33秒と計算された.雪崩に気付くのが遅れたとするとこの到達時間では逃げ切れない.また,雪ブロックの衝撃力は,直径50cmの球形で速度が12 m/sの時でも約3tonfと計算されたので,直撃を受ければ人は死傷を免れないことがわかった.また,これまでほとんど研究がされていないブロック雪崩についてその定義を明確にし,過去の災害事例を調べて発生傾向についても明らかにした.
著者
松井 龍吉 小林 祥泰
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.339-344, 2006-05-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

再発した胸水貯留に対し, 五苓散を投与したところ胸水の著明な減少と再発が見られなくなった症例を経験した。症例は61歳男性。うっ血生心不全, 大動脈弁閉鎖不全症, アルコール性肝障害などにて外来治療中であった。●●●●●●うっ血性心不全の急性増悪にて胸水が貯留。胸腔ドレーン留置などにより胸水は消失するが, 再度貯留し当院入院。入院後よりそれまでの内服薬を変更することなく, 五苓散を追加投与したところ胸水が消失し全身の浮腫性変化も見られなくなった。さらにその後も胸水の再貯留も見られていない。五苓散はいわゆる「水滞」を基盤にした種々の疾患に対し, 口渇, 尿不利を目標に投与される方剤である。急性疾患において血管内脱水と消化管の余分の水分のアンバランスを是正する処方であり,本例においても単なる利尿のみでなく, 利水として何らかの水分調節作用を示したと考えられた。
著者
山本 敦史 高岸 憲二 岡邨 興一 設楽 仁 山口 蔵人 一ノ瀬 剛 小林 勉 大沢 敏久
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.471-474, 2010 (Released:2010-09-03)
参考文献数
9
被引用文献数
6

The purpose of this study was to investigate the influence of the variance of posture on shoulder pain and rotator cuff tears. A medical checkup was conducted for the residents of a mountain village in Gunma prefecture. The subjects consisted of 525 people including 1050 shoulders; 193 males including 386 shoulders and 332 females including 664 shoulders, with a mean age of 61.9 years old. We took their side view picture in a standing position, and divided them into 5 types according to the classification of Nakatani; normal (type 1), thoracic kyphosis (type 2), lumbar kyphosis (type 3), flat back (type 4), lumbar lordosis (type 5). We examined their background factors, physical examinations and ultrasonographic diagnosis of rotator cuff tear on both shoulders. We elucidated the prevalence of shoulder pain and rotator cuff tears with respect to each variance of posture. Additionally the subjects were divided into 2 groups; namely a Normal group (type 1), and a postural abnormality group (type 2-5). The differences between the 2 groups were evaluated.The normal type was present in 50.1%, thoracic kyphosis type in 24.6%, lumbar kyphosis type in 4.2%, flat back type in 6.7%, and lumbar lordosis type in 14.5%. Residents having shoulder pain frequently demonstrated thoracic kyphosis, flat back and lumbar lordosis. In addition, residents having rotator cuff tears frequently demonstrated thoracic kyphosis and lumbar kyphosis. The postural abnormality group was most commonly associated with elderly patients, who showed a decreased active forward elevation, a weaker external rotation strength, a positive finding for impingement sign and a decreased QOL. A logistic regression analysis revealed age, gender, present shoulder pain, an active forward elevation and EuroQOL (5 item) to all be significantly associated with an abnormality in the posture of these subjects.
著者
小林 和央 風間 一洋 吉田 光男 大向 一輝 佐藤 翔 桂井 麻里衣
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J105-D, no.5, pp.310-321, 2022-05-01

本論文では,オルトメトリクスで用いられる論文評価指標の時系列ベクトル表現から検知したバーストの有無や期間・回数などのバースト特性から,多様なユーザによって生み出された論文の評価について多面的に分析する.実際に,2年間のソーシャルメディアの論文言及データから論文言及人数,CiNii Articlesの検索ログから論文閲覧人数を求め,それらの時系列変化から言及バーストと閲覧バーストを検知した.次に,論文とそのバースト特性の関係を,言及バーストと閲覧バーストの対応,閲覧人数の順位,論文の書誌情報,検索語,時系列変化を用いて分析した.その結果,閲覧人数では特定の専門分野の研究者や学生向けよりも,ソーシャルメディア上の情報拡散の影響を強く受けた一般的なユーザ向けの論文がより上位にくることと,ソーシャルメディアの情報拡散と学術イベントが引き起こすバースト特性は異なることがわかった.最後に,バースト特性を用いて,ユーザ属性に応じた学術情報検索を実現する可能性について検討する.
著者
小林 隆夫
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.600-606, 2021 (Released:2021-10-22)
参考文献数
14

COVID-19感染妊婦に関する海外の系統的レビューでは,7~10%がICUに入院し,母体死亡率は1%前後,新生児死亡率は1%以下であったが,わが国では感染者数および重症者数は少なく,家庭内感染が最多であった.海外の報告では,妊婦のCOVID-19重症化と関連しているのは,高年齢,肥満,慢性高血圧,糖尿病などであった.COVID-19は凝固障害をきたすので,妊婦ではDダイマー,血小板数,FDPs,フィブリノゲンなどを定期的に測定する.妊婦を敢えて特別扱いする必要はないが,妊婦は過凝固状態であるためCOVID-19に罹患すると一層静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism: VTE)リスクは高くなる.VTEリスクを充分に評価したうえで,理学的予防法やヘパリンによる抗凝固療法を行う.抗凝固療法としては海外では低分子量ヘパリンが推奨されているが,日本ではVTE予防に適応がないため,未分画ヘパリンを使用する.
著者
田島 靖久 及川 純 小林 哲夫 安田 敦
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.45-68, 2022-03-31 (Released:2022-04-26)
参考文献数
105

Shinmoedake is the compound volcano in Kirishima Volcano and the most active volcano in Japan, having recorded frequent magmatic eruptions during 1716-1717, 2011, and 2018. The three geological active periods of Shinmoedake in the last 8 ka were recorded by a geological survey (Tajima et al., 2013a). The geological eruptive time category of Shinmoedake is divided into long-term, middle-term, and short-term activities. Short-term activity is captured by monitoring and covers a period of several years or more. The magma eruption rates during middle-term activities were estimated to be several times higher than the long-term magma eruption rate. Moreover, the centers of magma eruptions within each middle-term period had stabilized in terms of location. Additionally, the magma eruption rates during each period of middle-term activity were not constant. Therefore, knowledge regarding the variation in the magma production of Shinmoedake during geologically short-term, middle-term, and long-term activities is required to understand its development and plumbing system. In this paper, we compile recent geological investigation results of Shinmoedake and propose a rational conceptual model of its current state supported by petrological and geophysical data. A well-known conceptual plumbing model of Kirishima Volcano was proposed by Kagiyama et al. (1997). The seismic attenuation spot (reservoir A) is located at a depth of 4-5 km below Karakunidake (Oikawa et al., 1994), and a wide P-wave velocity anomaly area (reservoir W) is situated at a depth of 10-15 km below Kirishima Volcano (Yamamoto and Ida, 1994). Recently, geophysical observations have indicated that magma was supplied from a depth of 8-10 km (reservoir B) to the western area of Shinmoedake during the 2011 magmatic eruption (Nakao et al., 2013). In addition, petrological analysis suggested two different sources of silicic magma from a level of reservoir A and mafic magma from a level of reservoir B (Suzuki et al., 2013a). Therefore, reservoir B might have been connected to reservoir A, where magma mixing occurred during the 2011 eruption. Furthermore, analysis of the deep low-frequency (DLF) earthquake of the 2011 eruption of Shinmoedake revealed that the DLF activities at a depth of 20-27 km (reservoir L1) in the eastern part of Kirishima Volcano were involved (Kurihara et al., 2019). Reservoirs L1 and B may also be connected. These results support the increasing activities of Kirishima Volcano revealed by the geological survey (Tajima et al., 2013a). It is concluded that the complex magma plumbing system of Shinmoedake may cause different magma eruption rates during periods of middle- and long-term activities.
著者
小林 和央 風間 一洋 吉田 光男 大向 一輝 佐藤 翔
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.2020_007, (Released:2020-04-17)
参考文献数
31

学術論文等の評価指標として,従来は論文の被引用数が用いられてきたが,近年ではオルトメトリクス(Altmetrics)などのソーシャルメディア上の反応を用いる方法も提案されている.本論文では,オルトメトリクスに用いられるような,インターネット上の論文に関するユーザの行動から求める論文検索サービス上の閲覧人数やソーシャルメディア上の言及人数などの論文の重要性を表す基本指標とは別に,論文がどの程度普遍的なものとして扱われているかを示す普遍度を用いて,論文の特性を分析する手法を提案する.実際に,2 年間のCiNii Articles の検索ログとソーシャルメディア上の論文の言及データを用いて,同一の論文集合に対する論文の閲覧と言及の違いや特性を分析すると同時に,提案指標の妥当性を検証する.

3 0 0 0 OA 経書大講

著者
小林一郎 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第1巻 論語上, 1940
著者
佐々木 達也 亀田 雅博 冨田 陽介 細本 翔 林 裕美子 遠藤 文香 岡 牧郎 冨田 祐介 安原 隆雄 上利 崇 小林 勝弘 伊達 勲
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.317-322, 2018 (Released:2018-04-25)
参考文献数
16

症例は側頭葉てんかんを発症した13歳男児. 頭部MRIで右側頭葉内広範囲, 基底核, 深部白質, 側脳室内などに多発する病変を認め, さらに経時的に造影病変は変化した. Fluorodeoxyglucose-positron emission tomography (FDG-PET) で悪性を示唆する所見はなく, subtraction ictal single-photon emission computed tomography coregistered to MRI (SISCOM) と発作時脳波で右側頭葉が発作焦点であると判断し, 一期的に右側頭葉切除を行った. 病理学的診断はdysembryoplastic neuroepithelial tumorであった. 現時点で術後半年経過したが, 発作は消失し, 残存病変についても増大していない. 多発性DNTは非常にまれであり, 変化に富む画像所見とあわせて, 治療方針の決定に難渋した. 本症例はてんかんの治療目的に手術を行ったが, 複雑な病態であっても, 治療目的を明確にし, それに応じた検査, 手術を行うことが重要である.
著者
山谷 文人 小林 淳哉
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.133-137, 2019 (Released:2019-02-08)
参考文献数
18

The element composition of a bell (Dotaku) and a metallic piece that were excavated from Peshi- misaki site in Rishiri-island was analyzed with X-ray fluorescence analyzer. The dotaku was a bronze alloy containing a relatively high concentration of Pb. Since fluidity of molten metal increases with increasing Pb content in bronze, Pb rich composition must have been beneficial in casting of a dotaku having complex shape. From the comparison of the shapes with the dotakus excavated from neighboring areas, it is considered that the dotaku from Peshi-misaki site was cast between 8th and 10th century. A concurrently excavated metal piece was a solder alloy contained from Pb and Sn. The solder alloy could have been used for repair of bronzewares casted in the site at that time.
著者
小林 義秀
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.698, pp.118-120, 2008-11
著者
小林 泰輔 岡田 昌浩 寺岡 正人 中村 光士郎
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.453-459, 2006 (Released:2009-06-05)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Cogan's syndrome is primarily diagnosed based on subsequent episodes of an inflammatory eye disease and rapidly progressive, usually sequential bilateral loss of audiovestibular function. Since there are still no specific tests for the syndrome, it is difficult to diagnose Cogan's syndrome in the early stage before the emergence of both eye and audiovestiubular symptoms. We present a case of a 34-year-old woman who complained of vertigo and bilateral hearing loss. Magnetic resonance imaging (MRI) of the inner ear was performed before the emergence of keratitis. MRI on the 23rd day after onset of hearing loss revealed a slightly high intensity on TI-weighted images in the right vestibule, which showed profound hearing loss. On the 54th day after onset, high signal intensity was noted in the right cochlea, the vestibule, and lateral semicircular canal on Tl-weighted images, but no enhancement. The high signal intensity disappeared seven months after onset, but there was no defect of inner ear signs on the T2-weighted images. A high signal of the inner ear on T1-weighted images is not a specific sign of MRI in Cogan's syndrome, since it is sometimes encountered in the inner ear of labyrinthitis, bleeding in patients with leukemia, and intralabyrinthine schwanoma. However, MRI could be a possible method for the early diagnosis of Cogan's syndrome because this finding might be recognized before the onset of eye symptoms.