著者
吉川 恵士 西條 一止 矢澤 一博 森 英俊 坂井 友実 根本 宏三 源内 清美 佐々木 和郎 緒方 昭広 小田 京子 嶋 俊和 窪田 清和 峯田 宏 神尾 秀子 山本 暁美
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.372-380, 1982-03-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4

反復性 (習慣性) 扁桃炎の再発予防を目的とし, 鍼電極による低周波通電を行った。研究対象は, 幼稚園・小学生を中心として年4回以上の発熱頻度を呈する83例である。治療方法は, 合谷と孔最をそれぞれ結び, 1Hzで20分から30分通電した。治療間隔は, 週1回で3週間を1クールとし経過に応じて再治療を行った。効果の判定は, 鍼治療後1年間観察した。その結果83例中6例は経過の観察ができなかった。残り77例のうち9例 (11.7%) は1年間発熱をまったくおこさなかった。49例 (63.6%) は発熱頻度が減少した。また77例のうち39例 (50.6%) は発熱頻度が年3回以下になった。13例は無効であり, 6例は鍼治療後扁桃摘出を行った。学校保健統計による扁桃肥大の年減少率と比較しても, 鍼による再発予防効果を考察し得る成績であり, 一般化および患者への負担の少ない治療法であることから, 反復性扁桃炎の予防として, 鍼がファーストチョイスされる可能性が高いと考える。
著者
宮崎 愛弓 田隈 広紀 長尾 徹 田中 みなみ 淺野 友希 小田 裕和
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2018 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.17-36, 2018 (Released:2018-04-16)
参考文献数
10

イノベーション事業を牽引するメンバーには、その適用対象のありのままの姿から問題を発見・定義する洞察力が不可欠である。一方で、大学をはじめとする工学教育における課題研究やPBLでは問題解決力の養成が主眼に置かれ、その前段となる発見・定義力については学生個々の経験や問題意識に依存している。本研究ではP2Mのプロファイリングマネジメントとの関係性を意識しつつ、問題を発見するフィールド調査方法において、フィールドのありのままの姿から問題を発見する為に「一次情報と解釈を分けることを意識した上で一次情報を収集する」方法を提案し、試行実験にてその有効性を示したものである。
著者
福田 篤徳 小田谷 嘉弥 白川 浩一 白川 浩子 小澤 重雄 今井 光雄 深川 正夫 梅垣 佑介 山口 恭弘
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.A1-A14, 2019 (Released:2019-06-27)
参考文献数
27

シマクイナの生態は不明な点が多く,茨城県を含め全国的な生息状況はよく分かっていない.そこで,2016年1月から2018年5月にかけて,茨城県内のスゲ類などの低茎草本が優占しヨシ類などの高茎草本が混在する植生環境を含む12地域(14地点)でプレイバック法を用いて調査を行なった.種の同定は,声紋の解析や鳴き声が発せられた場所から飛び出した鳥の特徴から行なった.調査の結果,県内の7地域(9地点)において生息を確認し,その中の4地域(5地点)で複数個体の存在を確認した.そのうち1か所では,冬期3シーズンにかけて8-15羽/haという高い個体密度で安定して生息していることを確認した.また,通年調査を行なった結果,県内に11月上旬から4月中旬もしくは下旬まで生息していることが示唆された.本研究により,県内である程度の個体数が継続的に越冬していることが明らかになった.
著者
縄田 隆生 中村 辰三 小田原 良誠 篠原 昭二 池内 隆治 北出 利勝 南川 正純 兵頭 正義
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
日本鍼灸治療学会誌 (ISSN:05461367)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.105-112, 1981-03-15 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8

We previously reported on needle damage to needles sterilized 50 times. This time we increased the number of sterilizations to 100 times and investigated needle damage. damage.Sterilization was performed using a small high pressure steam sterilizer at a temperature of 126°C for 25 minutes each time.1. Non-gold or silver needles had a tendency to become finer but there was no remarkable weight change noted.2. Resistance to bending tests showed that Chinese needles become more difficult to break.3. Elasticity tests showed that non-gold needles become easier to restore to their original state.4. Insertion tests showed that some needles, especially Chinese needles and stainless steel No. 3 needles, become more difficult to insert smoothly.5. Hardness and sturdiness tests showed a general decrease in both factors with the exception of hard silver No. 3 needles and Chinese needles which become sturdier.
著者
広城 吉成 小田 圭太 Md. Abdul HALIM Abdur RAZZAK 神野 健二
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.25-32, 2008-02-29 (Released:2012-12-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

鉄の多くが水酸化第二鉄として存在するような酸化環境下では,土壌中に存在するヒ素の多くは鉄を含む堆積物に吸着されている.本報は,鉄とヒ素の化学的相互作用に着目し,その第一段階として,カラム実験により酸化還元環境の変化に伴うヒ素と鉄,マンガンの動態について考察した.その結果,土壌が還元環境になると鉄が溶出し始め,同時期にヒ素濃度が増加し始めた.一方,マンガンとヒ素の挙動には相関性がなかった.還元状況下で鉄とヒ素を含む水が酸化環境におかれると,水中の鉄,ヒ素濃度はそれぞれ低下した.
著者
小田嶋 裕輝 河原田 まり子
出版者
札幌市立大学
雑誌
札幌市立大学研究論文集 = SCU journal of Design & Nursing (ISSN:18819427)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.15-23, 2015-06-30

国内外における首尾一貫感を改善する介入に焦点を当てた文献を整理し,患者の首尾一貫感を改善する上で必要な介入の示唆を得ることを目的とした.2014年6月までに発表された文献を対象に,CINAHL,医学中央雑誌を用いて検索した.Patient, Sense of Coherence に,Intervention 又は Program の用語を含む海外文献を,また,患者,首尾一貫感に,介入又はプログラムの用語を含む日本語文献を検索した.目的に該当した文献として,国内文献3件と海外文献5件を本研究に活用した.いずれの研究においても,介入前後で首尾一貫感の得点は有意に改善したことを報告していた.患者対象の研究内容は,患者の抱える具体的な問題や,健康的な生活習慣の維持に必要なことなどに焦点を当てていた.患者以外を対象とした研究内容は,禁煙という具体的な問題に焦点を当てるものや,具体的な焦点は定めず,健康増進のためのプログラムとして実施するものがあった.これらの支援には,患者が疾患をコントロールしながら生活していけるように支えること,患者に対する治療の選択肢や体の状態に関する理論的な情報提供をすること,患者の思いを分かち合えるようにすることなど,首尾一貫感の下位概念に即した支援の性質が認められた.患者の首尾一貫感を改善するためには,首尾一貫感の下位概念に即して,疾患コントロールのための療養生活支援,治療や体の状態に対する情報提供,患者との思いを共有する支援が必要であることが示唆された.
著者
數田 俊成 武田 湖太郎 田中 悟志 小田柿 誠二 大須 理英子 大高 洋平 近藤 国嗣 里宇 明元
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.18-22, 2013-02-01 (Released:2015-02-20)
参考文献数
16

経頭蓋直流電気刺激 (transcranial direct current stimulation: tDCS) は頭蓋上に配置した電極から微弱な電流を与える刺激法で, 脳機能を促進あるいは抑制すると言われている。本研究は15単語の記銘・再生を繰り返すRey’s Auditory Verbal Learning Test (RAVLT) を用い, tDCSが聴覚言語性記憶に及ぼす影響について検証した。健常者12名 (21–32歳) を対象とし, RAVLTの記銘2回目からtDCSを用いて左頭頂葉下部, 後部側頭葉を刺激した (刺激強度: 2 mA) 。陽極刺激条件では10分間, 偽刺激条件では15秒間刺激を与えた。RAVLTの2回目再生数は, 陽極刺激条件が偽刺激条件より有意に多かった。健常者においてtDCS陽極刺激により聴覚言語性記憶の有意な増強が認められた。tDCSは記憶機能賦活に役立つ可能性がある。
著者
鈴木 哲 平田 淳也 栗木 鮎美 富山 農 稙田 一輝 小田 佳奈枝 高橋 正弘 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.103-107, 2009-02-20
参考文献数
14
被引用文献数
2 4

〔目的〕本研究の目的は,片脚立位時の体幹筋活動の特徴を明らかにした上で,片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺の関係を検討することである。〔方法〕健常者10名(25.1±4.4歳)を対象に,両脚立位,片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺を測定した。〔結果〕片脚立位では,両脚立位と比べて,挙上側胸腰部脊柱起立と外腹斜筋活動増加率が有意に高かった。立脚側腰部多裂筋と内腹斜筋の筋活動増加率が高い傾向にあった。また挙上側体幹筋活動と重心動揺との間に有意な相関がみられた。〔結語〕片脚立位バランスには体幹筋活動が関与する可能性が示唆された。<br>
著者
西沢 喬 今井田 憲 吉村 孝之 馬渕 恵莉 佐分 宏基 小田 実 長谷部 武久
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】大殿筋は歩行の立脚相初期時に最も働くとされており,大殿筋の萎縮は,跛行の原因と報告されている。大殿筋筋活動を増加させる方法として,嶋田らはフォースカップル作用を狙い,腹筋群を働かせ骨盤後傾させる方法を報告している。大殿筋筋力強化・体幹安定化エクササイズとして臨床でブリッジ動作は多く用いられている。しかし,ブリッジ動作では腰背部痛が時折発生することがあり,ブリッジ動作時筋活動の特徴を知ることは重要である。ブリッジ動作の先行研究において股関節・膝関節の異なる角度での筋活動を比較した報告は多い。しかし,ブリッジ動作の骨盤肢位の違いによる筋活動の報告は,骨盤傾斜が背部筋筋活動に及ぼす影響の報告はあるが,背部筋と腹部筋の筋活動を検討した報告は少ない。そこで,腹筋群を活動させ脊柱起立筋の過活動を予防,大殿筋を活動させることで大殿筋の選択的な運動になると仮説を立てた。本研究は,健常成人男性を対象として表面筋電図を用い,骨盤肢位の違いによる大殿筋のフォースカップル作用を使ったブリッジ動作を行い大殿筋,脊柱起立筋,腹直筋,外腹斜筋の筋活動を解析し,特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は腰部・股関節に疾患のない健常成人男性20例(年齢28.95±5.4歳)。筋活動の比較には表面筋電図(Myosystem G2)を用い,測定筋は左側の大殿筋(仙骨と大転子を結んだ中央点),脊柱起立筋(第1腰椎棘突起から4cm外側),腹直筋(臍部外側1cm正中より2cm外側),外腹斜筋(臍より15cm外側)の4筋とした。測定肢位は背臥位,上肢を胸の前で組み,股関節内外転中間位,膝関節屈曲90°からのブリッジ動作とし,肩関節から膝関節まで一直線になる肢位で5秒静止した。測定条件は通常ブリッジ(以下,BR)と口頭指示による骨盤後傾位ブリッジ(以下,BTBR)の2種類とした。各条件の測定はランダムに行った。骨盤後傾の確認として,ブリッジ動作時をデジタルカメラで撮影し,上前腸骨棘と恥骨結合を結んだ線と大転子と大腿骨外側顆中心を結ぶ線の頭側になす角度を正とした。BR,BTBR時の骨盤後傾角度を画像解析ソフトImage Jを用いて測定し,骨盤傾斜角とした。また,BTBR時の骨盤傾斜角を同一検者が画像で確認し検者内信頼性を算出した。筋電図の測定区間は各条件の等尺性収縮5秒間のうち波形が安定した3秒間の積分値を算出した。最大等尺性収縮(MVC)はケンダルのMMT5を100%として正規化し,各条件での筋活動を%MVCとして算出した。さらに各条件で脊柱起立筋に対する大殿筋筋活動を大殿筋/脊柱起立筋比として表した。各条件における筋活動の比較には,対応のあるt検定を行った。統計学的分析にはSPSS12.0Jを用い,有意水準は5%とした。【結果】骨盤後傾の信頼性はICC(1,1)0.83であった。骨盤傾斜角はBR:4.8±8.4度,BTBR:12.9±12.4度であった。BTBRがBRと比べ有意に大きかった(P<0.05)。大殿筋筋活動はBR:10.26±6.1%,BTBR:20.13±10.8%,脊柱起立筋筋活動はBR:44.25±11.6%,BTBR:56.15±19.9%,腹直筋筋活動はBR:1.68±1.3%,BTBR:3.83±3.0%,外腹斜筋筋活動はBR:2.64±2.0%,BTBR:5.59±3.6%であった。全ての筋活動でBTBRがBRと比べ有意に高かった(P<0.05)。大殿筋/脊柱起立筋比はBR:0.23±0.1,BTBR:0.41±0.2であった。大殿筋/脊柱起立筋比はBTBRがBRと比べ有意に高かった(P<0.05)。【考察】大殿筋/脊柱起立筋比において,BTBRではBRに対し有意増加した。つまり,骨盤自動後傾させると大殿筋筋活動が脊柱起立筋筋活動に比べ相対的に増加したと考えられた。BTBRでは,自動で骨盤を後傾させることで,骨盤傾斜角が大きくなりフォースカップル作用にて,骨盤後傾主動作筋である腹直筋,外腹斜筋の筋活動が有意に増加し骨盤後傾したと考えられた。この腹筋群の相反神経抑制により脊柱起立筋の過活動が抑制でき,大殿筋/脊柱起立筋比が増加したと考えられた。ブリッジ動作での,大殿筋エクササイズはBTBRが大殿筋の選択的な運動になること可能性が考えられた。【理学療法学研究としての意義】BTBRは,大殿筋選択的エクササイズとして有用であることが示唆された。臨床におけるブリッジ動作における殿筋筋力強化・体幹安定化エクササイズの一助として意義のあるものと考えられた。今後の展開として高齢者や疾患別に詳細な筋活動を分析することで,安全で有用なエクササイズにつながると考えられた。
著者
押谷 仁 乙丸 礼乃 岡本 道子 古瀬 祐気 小田切 崇
出版者
東北大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

呼吸器ウイルスの多くはヒトのみを宿主としており、ヒトからヒトに継続的に伝播することでウイルスが維持されていると考えられる。しかし、ウイルスがどのように維持されているかについては不明な点も多い。また、フィリピンのような熱帯・亜熱帯地域では、年間を通して呼吸器ウイルスが伝播しており、ウイルスの維持に重要な役割を果たしている可能性ある。熱帯地域に位置する小規模な島という環境で長期にわたり検出したウイルスを解析することにより、呼吸器ウイルスの地域内での伝播・維持のメカニズムについて明らかにするとともに、グローバルレベルでの呼吸器ウイルスの伝播・維持に果たす役割についても明らかにする。
著者
大田 昌樹 小田 絵里佳 片岡 駿友 佐藤 善之 猪股 宏
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.251-258, 2018-05-15 (Released:2018-05-17)
参考文献数
19
被引用文献数
2

本研究では,経口物質に対して安心安全な製造法である超臨界流体を用いて,乳製品副産物に含まれる機能性成分であるphosphatidylcholineとsphingomyelinの効率的分画を目的としてこれら成分の溶解度推定を検討した.まず既往の実験データのある,バターオイルからのtriacylglycerolにおける超臨界CO2中の溶解度と比較を行った結果,本研究で推定した溶解度とほぼ一致することが確認された.次に,PCおよびSMの溶解度の溶媒密度およびエタノール濃度依存性の解析を行った結果,いずれの条件においても実験的な溶解度を推定することができた.PCおよびSMは高価であり標準試薬が入手しにくい状況でこれまで超臨界流体中の溶解度データも報告されていなかったが,本研究で行った抽出モデルによる解析により溶解度を実験的に推定することができた.
著者
小田 裕
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.555-564, 2010 (Released:2010-10-28)
参考文献数
15

局所麻酔薬の中枢神経毒性は,血中濃度の上昇に伴って脳内の濃度が上昇した結果,GABA作動性抑制性ニューロンが広範囲に抑制されることによって生ずる.中枢神経毒性は心毒性にも密接に関与しており,中枢神経毒性を亢進あるいは減弱させる薬物は心毒性にも影響を与えうる.静脈麻酔薬,吸入麻酔薬はいずれも局所麻酔薬の中枢神経毒性を抑制するが,交感神経α2受容体作動薬であるデクスメデトミジン,β1受容体遮断薬であるプロプラノロールも脳に直接作用して同様の作用を有する.局所麻酔薬の脳内濃度の推移は,血中濃度と類似しているが,リドカインとレボブピバカインでは血液中から脳内への移行の度合に差がある可能性が示唆された.
著者
小田 愛
出版者
専修大学社会知性開発研究センター
雑誌
専修大学社会知性開発研究センター東アジア世界史研究センター年報
巻号頁・発行日
vol.3, pp.129-137, 2009-12-18

文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業オープン・リサーチ・センター整備事業
著者
伊澤 淳 新妻 知行 森田 園子 額賀 優江 小田原 雅人
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.1285-1293, 2005-11-30 (Released:2017-02-10)

【背景・目的】ハムスター飼育に起因して生じるハムスターアレルギーの診断に用いられている現行CAP-RAST法ハムスター特異的IgE抗体は, ハムスター飼育が原因と考えられる喘息例での陽性率は約60%と低い.その原因がハムスターの種属による抗原性の差異に由来するか否かを検討した.【方法】ハムスター飼育喘息患者20例を対象として現行のヨーロピアン・ゴールデンハムスター混合特異的IgE抗体(以下, e84)にジャンガリアンハムスター上皮を加えた3種混合特異的IgE抗体を作製し, ジャンガリアンハムスター抗体に対するe84との相関を検索した.9例についてはイムノブロッティングにて抗原解析を行った.【結果】e84とジャンガリアンハムスター抗体の相関はみられず, 3種混合特異的IgE抗体とジャンガリアンハムスター抗体は正の相関がみられた.e84, ジャンガリアンハムスター抗体とも陽性例では67kDa蛋白に対する特異的な結合蛋白を認め, ジャンガリアンハムスター抗体のみ陽性例では20kDa蛋白に対する特異的な結合蛋白を認めた.【結語】ゴールデンハムスター, ヨーロピアンハムスターと小型のジャンガリアンハムスターでは主要な抗原性が異なることが判明した.
著者
小田原 亨 永田 智大
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.97, no.9, pp.806-811, 2014-09

本稿では,携帯電話ネットワークの仕組みを使って,日本全国の現在人口を継続的に推計できるモバイル空間統計について述べる.モバイル空間統計は人口の地理的分布を示す人口分布,地域ごとの現在人口の時間推移を示す人口推移,性別・年齢・居住地に基づく人口構成を推計し,社会や産業の発展に寄与していく.防災計画,地域活性化,まちづくり分野などの公共分野と,大規模店舗の商圏分析,出店計画といった産業分野でのモバイル空間統計の活用例を具体的に述べつつ,その特徴を明らかにする.
著者
鶴見 直人 岸野 浩一 小田桐 確 Masato Tsurumi Kouichi Kishino Tashika Odagiri
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.111, pp.179-192, 2020-03

国際関係への学生の興味関心を高めるとともに、時事問題に関する知識の定着を図る目的で作成したクイズを授業で活用し、その実践から得られたデータを分析した。その結果、学生たちはニュースに関心を持っていると表明しながらも、極めて基礎的な知識の確認さえ行わない傾向が浮かび上がってきた。これは「専門知の死」(トム・ニコルズ)として指摘される傾向と似たものと見られる。本稿によって明らかにされるのは、こうした指摘とはまた違った一面である。ここから、マスメディアの危機と「民主主義の死」が同時に指摘される現代において国際関係についての教育を行う際、メディア・リテラシーの重要性を説くだけでは不十分であり、「肯定的な懐疑心」を涵養してゆく必要性が示唆される。