著者
中島 康雄 指山 浩志 松尾 恵五 浜畑 幸弘
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.152-157, 2017-02-01 (Released:2017-02-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

超音波検査にて診断しえた,異物による肛門周囲膿瘍を3例経験した.2例は内外肛門括約筋間に異物が穿通し肛門周囲膿瘍を形成していた.1例は坐骨直腸窩に異物が穿通し直腸周囲膿瘍を形成していた.内外肛門括約筋間に異物が穿通した2症例は肛門管と肛門皮膚に交通を認め痔瘻様の所見を呈したため,異物除去に加え痔瘻根治術を行った.異物が坐骨直腸窩に穿通していた1例は異物除去およびドレナージのみを行った.それぞれ,術後の経過は良好にて治癒した.肛門異物による肛門周囲膿瘍の報告はまれである.報告されているほとんどの症例は消化管穿孔あるいは穿通が原因であると診断されている.しかし,内外肛門括約筋間に異物が穿通した場合,痔瘻と同様の1次口を認める症例がある.その場合,痔瘻根治術も考慮する必要があり術前診断が重要であると考えられたので報告する.
著者
片山 浩之
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.163-170, 2016-12-25 (Released:2017-10-27)
参考文献数
49
被引用文献数
1

水環境中のウイルスに関する研究は,PCR法の発達に伴い大いに進展がみられた.現在では,ノロウイルスをはじめ,様々なウイルスが河川,海水,下水処理や浄水処理において測定可能になってきており,河川水中にノロウイルスが1000copy/L程度は存在しうることがわかってきている.一方で,定量性のさらなる向上については課題が残っている.また,水浴における感染リスクについては規制が遅れており,科学的知見に基づく管理体制を構築していく必要がある.
著者
水澤 有香 辰本 明子 伊藤 晋平 小宮山 浩大 小泉 章子 永島 正明 谷井 博亘 南雲 美也子 酒井 毅 山口 博明 呉 正次 岡崎 英隆 手島 保 櫻田 春水 日吉 康長 西崎 光弘 平岡 昌和
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement4, pp.11-17, 2005-11-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
3

症例は66歳,男性.1987年西アフリカのシエラレオネから帰国後ラッサ熱を発症し,収縮性心膜炎を合併したため心膜剥離術を施行した.2003年8月より心房細動あり,他院にてIc群抗不整脈薬を投与された.その後持続する心房粗動を認めたため,2004年5月カテーテルアブレーション目的にて入院した.電気生理学的検査を行ったところ,三尖弁輪を反時計方向に旋回する通常型心房粗動であった.三尖弁一下大静脈間峡部への高周波通電中に頻拍周期が延長し,心房興奮順序の異なる心房頻拍へと移行した.頻拍中に右房内をマッピングしたところ,右房後側壁にP波より60ms先行する最早期興奮部位を認めた.同部位への通電により頻拍は停止し,以後心房頻拍,心房粗動ともに誘発されなくなった.きわめてまれなラッサ熱による心膜炎術後例に多彩な心房性不整脈を合併した症例を経験した.
著者
輿古田 孝夫 石津 宏 高江洲 なつ子 赤嶺 依子 垣花 シゲ 佐和田 重信 兪 峰 森山 浩司
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.681-687, 2004-09-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9

沖縄県は全国でも有数の長寿県であり,伝統文化と風土に培われた地域性を有している.本研究では,こうした沖縄の地域特性をふまえ,地域高齢者のメンタルヘルスとその関連要因について検討することを目的とした.沖縄県中部に位置する具志川市平良川地区の65歳以上の地域住民120名を対象に,自尊感情と関連する要因を検討した.その結果,self-esteem得点が有意に高値を示した者は,男女ともに健康状態が良好で,暮らしにゆとりがあり,生活満足度や健康度自己評価が高かった.また,地域の伝統行事や祭事の際に役割を有するものはself-esteem得点も有意に高値を示した.沖縄県中部に位置する中城村2地区の65歳以上の地域住民162名を対象に, self-efficacy(自己効力感)に着目した調査では,男女とも健康度自己評価,老研式活動能力指標の社会的役割が有意な関連を有した.男女別にみると,男性では伝統的祭事への参加状況で,女性では経済状況で有意な関連を認めた.また,同村における80歳以上の地域住民610名を対象にCenter for Epidemiologic Studies Depression Scale (CES-D)を用いた抑うつ傾向との関連をみると身体的自立直やself-esteem得点,主体的な日常生活や社会への関心度,社会参加の程度とCES-D得点では,有意な負の相関関係がみられた.以上の結果から,高齢者のメンタルヘルスには,心身の健康状況や社会的役割,社会的活動性といつだ多くの要因が関連していた.また沖縄の伝統的行事や祭事が高齢者のQOL(quality of life)に影響している可能性が示唆された.今後,伝統的社会風土を基盤とする地域性を考慮した高齢者の健康長寿対策の必要性が示唆された.
著者
石津 宏 豊里 竹彦 太田 光紀 森山 浩司 大城 和久 輿古田 孝夫 津田 彰 矢島 潤平 兪 峰 吉田 延
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.671-680, 2004-09-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
34

本研究は,固有の祭祀行事が生活の中に息づく沖縄県知念村久高島の高齢者を対象とし,主観的幸福態と健康状態を調べ,その関連要因を検討するとともに,唾液を採取し,その中に含まれるS-IgAや,脳内神経伝達物質の主要代謝産物であるMHPGを測定し,心身相関について検討することを目的とした.久高島で年間20数回も行われる神聖な祭祀行事が,高齢者の主観的幸福感,抑うつ感などのメンタルヘルスや免疫系統に与える影響についても検討した.その結果,久高島の高齢者(65〜96歳,50名)の健康度自己評価は前期高齢者,後期高齢者とも高く,健康老人が多かった.また,健康度自己評価とWHO/QOL26,LSI-K,PGCモラールスケールの3尺度間に有意な正の相関がみられた.唾液中S-IgA値は,70代,80代,90代とも高く,年齢による減弱はみられていない.S-IgAに関与する因子は重回帰分析の結果,WHO/QOL26の下位項目「手段的自立」と有意な関連がみられた.神事を経験した高齢女性では,神事(「祭り」)の後には,唾液中free MHPGが減少する傾向こあった(p<0.10).このことから,久高島高齢者は主観的な健康だけでなく,実際の免疫系統も健康であるという心身相関が示唆された.久高島の伝統的な祭祀行事は心身の安らぎを与え,高齢者のメンタルヘルスと健康に重要な関わりをもつことが示唆された.
著者
森山 浩司 石津 宏 輿古田 孝夫 豊里 竹彦 太田 光紀 大城 和久 馬 宏坤 兪 峰 佐和田 重信 柳田 信彦 名嘉 幸一 和氣 則江 吉田 延
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.661-669, 2004-09-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

健康長寿要因としてのメンタルヘルスの重要性を研究するために,長寿地域である沖縄県北中城村と固有の祭祀行事が生活に息づく知念村久高島において,高齢者の主観的幸福感と健康状態の関連要因について検討した.分析対象は,北中城群173名(男性75名,女性98名),久高群77名(男性24名,女性53名)の65歳以上の高齢者である.主観的幸福感(生きがい感)の指標としてPGCモラールスケール,生活満足度尺度K(LSI-K)を用い,健康度自己評価得点に及ぼす関連因子について重回帰分析を行った.健康度自己評価得点と有意な関連要因は,北中城群ではPGOモラール得点,学歴,久高群では老研式活動能力指標,女性,LSI-K得点,小遣いであった.また一方,主観的幸福感に影響を及ぼす関連因子として健康度自己評価,老研式活動能力指標などがみられたことは,心の健康状態と体の健康状態は表裏一体であることを示している.健康度自己評価にPGOモラール得点,LSI-K得点が有意に関連を示したことは,身体の健康状態の生成に主観的幸福感(生きがい感)がヘルスプロモーション要因として関与することを意味する
著者
一林 亮 本多 満 鈴木 銀河 渡辺 雅之 野口 晃司 豊田 幸樹年 田巻 一義 籾山 浩一 原 規子 吉原 克則
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.593-601, 2019-08-31 (Released:2019-08-31)
参考文献数
14

目的:東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020)に向けて,東京国際空港の利用客数の増加とともに,救急対応の質が求められる。われわれは空港における救急需要増加に対する方策を検討した。対象と方法:2014〜2015年にかけての空港からの搬送者を対象として東京消防庁の救急隊記録から,活動内容の解析を行った。結果:救急隊活動時間と空港内での活動時間を比較すると到着-接触時間,収容-出発時間が長く,国際線における収容-出発時間が延長し,2015年で17分を要した。考案:救急隊活動時間延長には救急医療体制に問題があると考えられる。到着-接触時間延長は空港の導線に問題があり,その間にfirst responderとしての職員の教育や空港内救急救命士などの介入が有用と考える。結語:東京2020に向けて救急活動における共通の課題として空港周辺医療施設,空港関係者で情報共有や対策作成が必要である。
著者
小山 浩一
出版者
法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
雑誌
イノベーション・マネジメント (ISSN:13492233)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.41-66, 2015 (Released:2018-10-23)

本稿の目的は、中小企業経者を対象とした生命保険法人契約(以下「経営者保険」)の需要に関わる決定要因の分析を通じて、中小企業におけるリスク管理やその準備に資する生命保険業界の健全な発展のために示唆を得ることにある。経営者保険の需要は、経済合理的な一貫性を持つ経済準備必要性と、経営者の持つ価値観双方の影響下にある。考察の結果、以下のことが確認された。経済準備必要性は、経営中断リスク対処、退職金対処、予防的対処の3つに分類され、経営者保険の需要に正の影響を与える。価値観については、不確実性の回避と集団主義の影響が確認された。不確実性の回避は、加入者において需要へ負の影響を与え、集団主義は、未加入者において正の影響を与える。本研究から得られた主要な示唆は、価値観やその価値観が表れる顧客企業の経営方針等によるセグメント別コミュニケーション戦略の必要性である。
著者
西山 浩司 広城 吉成 井浦 憲剛
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会2019年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.66, 2019 (Released:2019-12-07)

本研究では,古記録に基づいて,享保5年に筑後国の耳納山麓で起こった土石流災害をもたらした豪雨の特徴を調べた.その結果,その土石流災害は,東西方向に走行を持つ線状降水帯が耳納山地の西側から東側にかけて豪雨をもたらしたことが要因であることが推測できる.その結果は,地域の災害リスクを明確化し,地域住民に危機意識を持たせる意味で極めて重要である.
著者
中山 浩太郎 伊藤 雅弘 Erdmann Maike 白川 真澄 道下 智之 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.49-60, 2009-12-24

Wikipediaは,インターネットを通じて誰でも編集可能なオンライン百科事典であり,ここ数年で爆発的に成長したソーシャルメディアの一種である.特に,自然言語,人工知能,データベースの研究分野で活発に研究が進められており,連想関係抽出や,対訳辞書構築,オントロジ構築など,数多くのWikipediaを対象とした研究が行われてきた.また,最近では多様なアプリケーションへWikipediaマイニングの成果を適用する事例が報告されており,その有用性が示されてきた.しかし,多量の研究発表が行われる一方で,全体像を把握することが困難になりつつあるのも事実である.本サーベイ論文では,これら最新のWikipedia研究を紹介しつつ,概観することで研究の目的面・技術面から分類し,Wikipedia研究の動向を探る.Wikipedia, an Wiki based online encycropedia, has become an emergent social media because of the significant effeciency for sharing huge amount of human knowledge via Web browsers. Especially, in NLP, AI and DB research areas, a considerable number of researches have been conducted in past several years. Relatedness measurement, bilingual dictionary extraction and ontology construction are ones of main Wikipedia Mining research areas. Furthermore, researches on application based on structured data extracted by Wikipedia Mining are becoming one of the essentials of Wikipedia research areas. In this survey paper, we introduce the new research papers and summarize the researches from both technical aspect and directional aspect.
著者
前田 和範 冨山 浩三 吉倉 秀和
出版者
日本生涯スポーツ学会
雑誌
生涯スポーツ学研究 (ISSN:13488619)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1-2, pp.33-42, 2013-03-31 (Released:2013-09-20)
参考文献数
20

The purpose of this study is to clarify characteristic traits of spectators of newly formed teams in professional sporting leagues. Subjects of this study were spectators at a pre-season match on August 13, 2011 played by Hyogo Prefecture's first pro basketball team, the Hyogo Storks. This game was the Storks first game to which admission was charged. The number of valid responses totaled 302 (97.4%). In order to identify the characteristics of the spectators, we used a cluster analysis using the Push-Pull factors set out by Yoon & Uysal (2005) to obtain a segmentation of the spectators. As a result, we categorized the spectators into four clusters; "spectators who had come to enjoy the game", "spectators who were interested in watching the Storks' first game", "spectators who had a secondary motivation to see the game" and "Hyogo Storks fans". The study revealed that it is possible to increase spectator satisfaction by providing more attractions for a fun day out with respect to spectators who had come to enjoy the game and by creating appeal for enjoying a new experience for spectators who were interested in watching the Storks' first game and Storks fans, who displayed the trait of being innovators. It also revealed that spectator satisfaction could be increased by providing more attractions for the children of spectators who had a secondary motivation to see the game.
著者
森山 聡之 武藏 泰雄 西山 浩司 渡辺 亮一 和泉 信生 森下 功啓 山口 弘誠 中北 英一 島谷 幸宏 河村 明 牛山 素行 松尾 憲親
出版者
福岡工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

分散型多目的市民ダムをスマート化し、水資源確保と洪水制御を行う雨水グリッドとするために、(1)降雨量測定装置としての雨水タンクの検証を行い、雨量計としては利用可能なものの、雨水タンクが砕石充填方式の場合は圧力センサーを水位計として使用しない方が良いことを示した。(2)防災クラウドによる雨水の見える化として、センサーノードとゲートウエイの安定化を計った。(3)豪雨発生診断をSOMを用いて行ったが、予測精度はあまり高くないことが判明した。セキュリティー向上として、 OpenVPNを用い暗号化となりすまし防止を行った。(4)無線回線の安定化を図るためにLoRaWANを検証、良好な結果を得た。
著者
太目 弘樹 森本 康彦 丸山 浩平 北澤 武 宮寺 庸造
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.193-196, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
7

本研究では,e ポートフォリオを活用した授業において,学習者の学習プロセスの振り返りを促進することを目的とする.具体的には,学習者が作成・収集したe ポートフォリオを活用して,自身の学習プロセスを通して何を学び,どのように変容したかをストーリー立ててまとめる「ストーリー・ポートフォリオ」を提案し,ストーリー・ポートフォリオ作成が学習プロセスの振り返りに与える影響を検証する.その結果,ストーリー・ポートフォリオの作成を付加した際には, 学習者の学びの気づきや状況を想起させ,何がどう変容し成長したかの振り返りを促進させる効果があることが示された.
著者
谷村 恵子 山田 忠明 千原 佑介 久保田 豊 塩津 伸介 竹田 隆之 山田 崇央 平沼 修 内野 順治 髙山 浩一
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.128-136, 2019-04-20 (Released:2019-05-10)
参考文献数
13
被引用文献数
3

背景.進行非小細胞肺がん治療における免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)は標準治療のひとつであるが,稀に重篤な免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)が出現する.一方,irAEを発症した症例ではICIの良好な治療成績を示すことが報告されている.研究計画.2016年1月から2017年12月まで国内6施設でICI治療を行った非小細胞肺がん146例を対象に,irAEと治療効果との関連について後方視的に調査した.結果.irAE発症例は58例(39.7%),irAE発症群,非発症群の無増悪生存期間中央値はそれぞれ4.9ヶ月,2.1ヶ月(p=0.0178)と発症群で有意に延長した.奏効率や病勢制御率は,irAE発症群で有意に良好であった.irAE発症群では,全生存期間は有意に延長した.ICI開始後42日以降にirAEを発症した群は,より早期に発症した群と比較して無増悪生存期間および全生存期間が良好であった.結論.ICIによるirAE発症は治療効果や予後と関連するが,その発症時期が重要である.
著者
阿部 裕 木嶋 麻乃 山口 未来 伊藤 裕才 六鹿 元雄 穐山 浩 佐藤 恭子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.38-44, 2019-06-25 (Released:2019-08-07)
参考文献数
11
被引用文献数
2

国内の市販ポリ塩化ビニル(PVC)製おもちゃに使用されている可塑剤の実態を明らかにするため,2014年度に購入したPVC製おもちゃ約500検体の可塑剤を調査した.その結果,テレフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHTP)など15種類の可塑剤が検出された.その種類は2009年度に購入した試料の調査と大きく変わらなかった.おもちゃからの検出率はDEHTPが最も高く,指定おもちゃでは60.3%,指定おもちゃ以外では73.7%であり,2009年度の調査と比べいずれも20ポイント以上高い値であった.指定おもちゃにおいて使用が禁止されている6種類のフタル酸エステル類(PAEs)は引き続き使用されていなかった.一方,指定おもちゃ以外からは6種類のうち4種類が検出され,検出率は2.8~15.5%であったが,2009年度の調査と比べ10~26ポイント低い値であった.一方,試料あたりの可塑剤総含有量の平均値は2009年度の調査に比べて低い値であった.このように,現在国内で流通するPVC製おもちゃに使用されている主な可塑剤はDEHTPであり,可塑剤の使用量は減少していることが明らかとなった.