著者
青山 浩子 納口 るり子
出版者
日本農業経済学会
雑誌
農業経済研究 (ISSN:03873234)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.394-399, 2017

<p>The objective of the study is to analyze the impacts of the installation of a gelato shop on the profitability of a dairy farm. The retail sector has operated at a slight loss, because it is still in a start-up phase. Since the dairy operation is profitable, there is no significant impact from the loss on the sixth indutrialization trial. The manager believes that brand establishment for the gelato shop is possible, along with job creation, and promoting regional communication. Since the time to secure profits in the sixth industrialization is in effect, it is important that the core business is able to ensure sufficient revenue.</p>
著者
片山 浩
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.115-121, 1998-04-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

現在行われている持続血液浄化法の3形態,持続血液濾過(CHF),持続血液透析(CHD),持続血液濾過透析(CHDF)の物質除去効率の違いを,血中尿素窒素(分子量60),ビタミンB12(分子量1,355),デキストラン(分子量4,400),チトクロームC(分子量12,400),ミオグロビン(分子量17,800)のクリアランスを計測することにより検討した。血液流量は100ml・min-1,浄化器はPAN(polyacrylonitrile)膜を使用した。CHFはいずれの分子量領域においても,濾過量にほぼ等しいクリアランスを示した。CHDは小分子量物質ではCHFと同等のクリアランスを示したが,分子量が増大するに従って,透析液流量を増加させてもクリアランスが増加しにくくなった。CHDFのクリアランスは常にCHDとCHFの間にあった。
著者
糸山 浩司
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.607-616, 2016-09-05 (Released:2017-01-09)
参考文献数
37

行列模型と言うと,多体問題に造詣の深い読者はM. L. Mehtaによる有名な本“Random Matrices”で取り扱われている原子核のレベル間隔の問題を,あるいは中年以上の弦理論研究者は90年代初頭に集中的に研究されたランダム面に基づく2次元重力やそれに対応する弦理論を思い起こされるかもしれない.本稿で解説するのは,超対称性と呼ばれるボソンとフェルミオンの入れ替えに関する対称性を持つ4次元場の量子論の低エネルギー極限の厳密決定の問題において,行列模型が果たす意外な役割と現在までにもたらした進展についてである.K. Wilson以降の現代的な場の量子論の取り扱いにおいては,あるスケールにおける有効理論は,場のそれより高い振動数部分をもとの作用に関して積分することによって得られる.こうして得られた作用を有効作用(effective action)という.超対称性が極小のもの(N=1と名付ける)から拡大された場合(N≥2),あるいはそれが自発的に破れた場合,有効作用はひとつの正則汎関数で特徴づけられる.その低エネルギー極限をFと名付けよう.今日まで20年以上にわたりFに関する息の長い発展が続いている.3期に分けてまとめてみよう.拡大された超対称性を持つゲージ理論の真空では,フォトンとその相棒のみが質量を持たずにとどまる.一方真空は,値の決まらないスカラー場の期待値で指定される縮退した真空であることがSeiberg-Wittenの仕事により明らかになり,第1期の発展は始まった.正則関数Fは,リーマン面=代数曲線と,その上に住み無限遠点で極を持つ微分から,陰関数として厳密決定され,今日ではSeiberg-Witten系と呼ばれている.その後ほどなく極の次数を上げる拡大系が提案され,行列模型の自由エネルギーの表式との類似性が明らかになり,後年の発展につながった.第2期は,グルーオンの相棒のグルイーノに関するカイラル対称性が自発的に破れたN=1真空上の有効作用,そのオーダーパラメターを引数とする新たな正則関数Fに関する発展である.この場合の適切なリーマン面は,行列模型の固有値がいくつもの区間に分かれて分布している場合に合致した.正則関数Fの厳密決定問題においては,このオーダーパラメターを超ポテンシャルにあるパラメターと合わせ,拡大系を定義する.この立場からの進展が一挙に進み,最終的には行列模型と同型な場の量子論のSchwinger-Dyson方程式が得られ,謎解きが完了した.N=2真空に戻って,第3期はインスタントン和としてのSeiberg-Witten系の微視的理解に始まった.一方,摂動論のlog補正を受けない場合を親玉とする別のタイプの代数曲線に対しても同型なリーマン面を与える行列模型が定まった.行列模型の分配関数の共形ブロックの積分表示としての顔とインスタントン和としての顔を活用し,いわゆるAlday-Gaiotto-立川関係式の直接生成が実行されている.これらの実例により,正則関数Fは適切に定義された行列模型(あるいはその拡張ensemble)の自由エネルギーFと同一視できることが判明してきた.F=F.
著者
寺山 裕 草津 航平 森田 倫太朗 カチョーンルンルアン パナート 和田 雄高 濵田 聡美 檜山 浩國
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.138-139, 2019

<p>半導体製造ではウェハ上に残留する直径100 nm以下の研磨ナノ粒子は重大な製造欠陥を引き起こすため,研磨後の表面洗浄は必要不可欠である.未だ解明されていないブラシスクラブ洗浄時表面近傍で発生するナノ粒子の付着・離脱挙動現象を,基板表面のみに局在するエバネッセント光で動的に観察した.本稿ではPVAブラシと異なった波長で蛍光するナノシリカ粒子を用いてブラシと粒子を色識別し,洗浄現象の可視化を行ったので報告する.</p>
著者
丸山 浩明
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.121, no.5, pp.799-814, 2012-10-25 (Released:2012-12-05)
参考文献数
55

This paper begins with a review of the progress of scientific geography in Brazil, and proceeds to explain academic exchanges between Japan and Brazil. The results are summarized as follows: (1) Geography in Brazil made great breakthroughs in the 1930's by actively absorbing scientific geography from Western nations, especially from France. (2) The notable progress in Brazilian geography owes much to the contributions of academic societies established in the 1930's, i.e., Institute Brasileiro de Geografia e Estatística (IBGE), Conselho Nacional de Geografia (CNG), Associação dos Geógrafos Brasileiros (AGB), and several leading universities. (3) Academic exchanges between Japan and Brazil in the field of geography started after World War II, when Japan resumed diplomatic relations with Brazil. The main subject of early research by Japanese geographers was the adaptation and settlement process of Japanese immigrants in Brazil. (4) From 1966, overseas scientific research expeditions by members of Tokyo University of Education and the current University of Tsukuba were conducted under Grant-in-Aid for scientific research. (5) Brazil has achieved great economic growth as a member of the BRICs. Social and environmental problems caused by rapid agricultural and fuel development have been the main subjects of Brazilian studies.
著者
西山 浩司 脇水 健次
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会2015年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.100056, 2015 (Released:2015-12-01)

本研究では,旧自治体が発行した郷土歴史資料に着目して,広島都市圏で起こった過去の土石流記録を掘り起し,その発生地域・時期を明らかにし,山の斜面の宅地開発地域で過去に起こった土石流災害の特徴について考察した.その結果,広島都市圏で過去の土石流災害の記録を多数見つけることができ,気圧の谷,台風に伴った豪雨で土石流が発生し,多くの犠牲者を出していることがわかった.また,広島都市圏の山の斜面で宅地開発地域が進んでいる地域でも,過去の土石流災害の記録を見つけることができた.従って,過去の災害の歴史は,地域住民が共有する災害情報として,そして,地域の災害の危険性を意識付けるために役立つと考えられる.
著者
佐山 浩
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.417-420, 2002-03-30
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

本論は屋久島地域の国立公園指定の経緯を辿り, 霧島国立公園編入に至った社会的背景について明らかにする。当初, 硫黄島を含む屋久島は霧島国立公園, 錦江湾国定公園とは別に屋久島国立公園として指定される方針であったが, 屋久島における国有林施業との調整等, 困難な課題があった。その後, 当時の観光政策の状況や既存国立公園に新たに地域を追加するという国立公園指定の潮流に沿った方針に変更される。一方で, 国有林施業との調整に見通しが立ち, 併せて硫黄採掘が進められていた硫黄島の指定を断念した。そして, 水力発電開発との調整も進み, 最終的に広域的利用を前提に錦江湾国定公園を挟み, 霧島国立公園に編入されたと指摘できる。
著者
久保田 浩樹 佐藤 恭子 佐々木 伸夫 河村 葉子 小関 良宏 穐山 浩
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.94-103, 2012
参考文献数
38

カットキャベツを次亜塩素酸ナトリウムにより殺菌処理したときに生成する消毒副生成物の生成影響因子について検討を行った。カットキャベツは、次亜塩素酸ナトリウム(100mg/L)単独あるいは、有機酸と共に10分間殺菌処理を行い、カットキャベツに残存する揮発性ハロゲン化合物をヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析装置で測定した。主要な副生成物としてクロロホルムが検出された。クロロホルムは、殺菌時間、pH、温度、初期次亜塩素酸ナトリウム濃度に依存して増加した。次亜塩素酸溶液を種々の無機酸及び有機酸と併用してもトリハロメタンは生成しないが、クエン酸は次亜塩素酸と反応し、クロロホルムを生成した。クロロホルム濃度は、次亜塩素酸・クエン酸混液の混和時間に対応して増加し、カット野菜の殺菌時間には影響しなかった。また、カット野菜に残存したクロロホルムは水洗浄により、水道水中のトリハロメタン濃度レベルまで減少した。
著者
穐山 浩 五十鈴川 和人 張替 直輝 渡邊 裕子 飯島 賢 山川 宏人 水口 岳人 吉川 礼次 山本 美保 佐藤 秀隆 渡井 正俊 荒川 史博 小笠原 健 西原 理久香 加藤 久 山内 淳 高畑 能久 森松 文毅 豆越 慎一 村岡 嗣朗 本庄 勉 渡邉 敬浩 坂田 こずえ 今村 知明 豊田 正武 松田 りえ子 米谷 民雄
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.120-127, 2004-06-25
参考文献数
16
被引用文献数
2 12

特定原材料である牛乳タンパク質測定のELISA法の確立のために10機関による検証評価試験を行った.カゼイン,β-ラクトグロブリンおよび牛乳タンパク質を測定する3種類のELISA法とも同時再現性はおおむねCV値10%以下と良好であった.10機関で牛乳標準溶液を添加した5食品の各食品抽出液を分析した際の平均回収率は,3種類のELISA法とも数種類の食品抽出液を除きおおむね40%以上であった.しかしカゼインキットでは,回収率が極端に低いソースの抽出液の場合,抽出液のpHを中性に調整した後に測定すると回収率が改善された.また牛乳エライザキットでは,クッキー,シリアル,パスタソースの抽出液において,回収率が低かったが,プレート上の抗体量を増加させることにより改善された.3種類のELISA法の検出限界は,測定溶液の濃度で1 ng/mLであった.
著者
佐藤 悠介 畠山 浩人 兵藤 守 秋田 英万 原島 秀吉
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.132, no.12, pp.1355-1363, 2012-12-01 (Released:2012-12-01)
参考文献数
19
被引用文献数
5 7

The development of a carrier for the delivery of siRNA is a factor in the realization of RNA interference (RNAi) therapeutics. Modification of siRNA carriers with polyethylene glycol, i.e., PEGylation, is a general strategy for stabilizing a particle in the blood stream and delivering it to tissue or cells. However, it is well-known that, when a carrier is modified by PEGylation, it results in a significant inhibition of both cellular uptake and the endosomal escape process. In a previous study, we reported on the development of a multifunctional envelope-type nano device (MEND) for delivering siRNA and peptide-based functional devices for overcoming the effects conferred by PEGylation and succeeded in the delivery of siRNA to tumor tissue. In this study, we noticed that the pH-sensitive property, changing from neutral to cationic in response to a decrease in pH, could avoid the inhibition caused by PEGylation and succeeded in synthesizing a pH-sensitive cationic lipid, YSK05. The YSK05-MEND had a higher fusogenicity and potency for endosomal escape than other MENDs containing conventional cationic lipids. The PEGylated YSK05-MEND induced efficient gene silencing and avoided the inhibition of endosomal escape caused by PEGylation followed by optimization of the lipid composition. Furthermore, the intratumoral injection of the PEGylated YSK05-MEND resulted in a more efficient gene silencing compared with MENDs containing conventional cationic lipids. Thus, the YSK05-MEND is a promising siRNA carrier for avoiding the inhibition in intracellular trafficking caused by PEGylation both in vitro and in vivo.
著者
貝原 俊樹 深水 誠二 吉田 精孝 河村 岩成 中田 晃裕 荒井 研 森山 優一 宮澤 聡 麻喜 幹博 北村 健 北條 林太郎 青山 祐也 小宮山 浩大 手島 保 西﨑 光弘 櫻田 春水 平岡 昌和
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.1, pp.S1_50-S1_54, 2015 (Released:2016-12-14)
参考文献数
7

高血圧症, 骨粗鬆症の既往がある83歳女性. 入院10日程前から食思不振があった. 入院4日前から食思不振が増悪し, ふらつきや1分程続く胸部圧迫感が出現した. 入院当日から動悸が出現したため, 当院を受診した. 心電図は洞調律で多形性心室性期外収縮が頻発し, 580msと著明なQT延長を認めた. 胸部レントゲンでは軽度心拡大を認めた. 採血では低カリウム血症 (2.3mEq/L), 低マグネシウム血症 (1.6mg/dL) を認めた. 検査終了後に突然強直性痙攣が出現し, 心肺停止となった. 無脈性多形性心室頻拍が確認され, 除細動150J 1回で洞調律に復帰した. 入院後は電解質を補正し, QT延長はやや遷延したものの, 心室性不整脈は著減した. また, 経過中たこつぼ様の壁運動を伴ったが, 第4病日で意識はほぼ清明にまで改善した. しかし第13病日に頭蓋内出血を発症し, 急変, 死亡退院となった. QT延長, 多形性心室頻拍に低カリウム血症, 低マグネシウム血症を伴った症例の報告は少ない. 本症例に関して, 低マグネシウム血症と心室性不整脈の観点から文献的考察を混じえ, 考察する.
著者
尾崎 洋二 柴橋 博資 矢崎 紘― 大塚 孝治 関口 雅行 片山 武司 遠山 潤志 高瀬 雄一 今西 章 丸山 浩― 青山 惇彦 西田 生郎
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学大学院理学系研究科・理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.4-17, 1999-03

理学部での40年/尾崎先生送別の辞/東大理学部での40年/矢崎紘一先生を送る/退官にあたって/関口雅行先生を送る/思い出と提言/遠山濶志先生を送る/おせわになりました/今西さんを送る/いろいろあった40年/青山さんを送る
著者
曽根原 寿明 井澤 康哲 祁 華 神津 和磨 向山 浩行 広田 雅和 遠藤 高生 神田 寛行 森本 壮 不二門 尚
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.114-121, 2017 (Released:2017-12-29)
参考文献数
20

眼疲労を定量化するための方法として, 自然な両眼視下での測定を利用した報告はあまりされていない。そこで我々は, 18名の被験者に視負荷として市販の携帯型3Dゲーム機を30分間使用させ, 両眼波面センサーを用いて視負荷前後での調節および輻湊応答の変化を調べた。測定時の固視標の動きは, 奥行き方向に反復する定屈折駆動刺激(±0.25D/秒)およびステップ状刺激(2.0/0.2D)を与えた。定屈折の反復刺激において, 輻湊と開散の潜時が視負荷後に統計的に有意に長くなることがわかった(P<0.05)。ステップ状刺激では, 調節弛緩応答量の80%から10%に変化するのに要する時間が視負荷後に長くなった(P<0.05)。以上より, 両眼波面センサーによって測定された調節と輻湊の応答は, 眼の疲労の客観的評価に適用できることが示唆され, とくに年齢の影響を受けにくい輻湊は中高年者への適用に有望であると考えられる。
著者
伊熊 健一郎 須野 成夫 長谷川 昭子 香山 浩二 礒島 晋三
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.167-172, 1989

頚管粘液のヒト精子受精能に及ぼす影響について, 透明帯除去ハムスター卵を用いたin vitro受精系で精子の頚管粘液内通過の意義を検討した。方法は, 精液滴と培養液滴との間に頚管粘液を充填した毛細管を連結し, 移行精子が目的濃度に達すると毛細管をはずし, 培養液滴内に透明帯除去ハムスター卵を加えて培養を行った。対照としては, 培養液で3回洗浄した精子を頚管粘液内通過精子と同濃度に調整して, 同条件下で比較検討をした。1. 頚管粘液内を通過し培養液滴に移行する精子の数は2~3時間でピークに達し, 運動率は100%であった。2. 頚管粘液内通過精子は対照群と同程度の受精率を示し, 精子濃度は対照と同様に0.6×10^6/ml以上必要であった。3. 頚管粘液内通過精子はすでに4~6時間で17~42%の受精率を示したが, 対照では6時間後までは0%で8時間後に受精を開始した。4. 培養液中に精漿成分が加わると受精率は低下した。5. 鶏卵白内通過精子は, 頚管粘液内通過精子とほぼ同率の55%の受精率を示したが, 培養液内通過精子は0%であった。これらの結果より, 精子の頚管粘液内通過の意義としては, 受精能をマスクしている精漿成分から精子を隔離し, 精子の受精能獲得時間を短縮すると共に, 運動精子の選択と精子輸送の調節にも関与しているものと考えられる
著者
西山 浩平 藤川 佳則
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.45-62, 2016-01-08 (Released:2020-04-28)
参考文献数
32

本論文は,クラウドソーシングやクラウドファンディングなどの技術を通じて,数多くの顧客がこれまでにない規模で価値共創に参画するプラットフォーム型のサービス・イノベーションの普及過程に焦点をあてる。企業でも顧客でもない,社会を構成する他者による反発がサービス・イノベーションの社会受容を阻む際,プラットフォームの運営管理に関する権限を持つ「レギュレーター」が果たす役割について議論する。理論上の貢献としては,従来のサービス研究における価値共創の議論,イノベーション研究におけるユーザー・イノベーションの知見に,規制科学(レギュラトリー・サイエンス)の視点を取り入れた,価値共創の「アクター・モデル」を提案する。また,実務上の知見として,レゴを通じた価値共創プラットフォーム「LEGO CUUSOO」の事例研究から,「第一のアクター」である企業,「第二のアクター」である顧客,「第三のアクター」であるレギュレーターの役割に関する仮説創造型の議論を展開する。
著者
市ノ木山 浩道 竹内 雅己
出版者
日本農作業学会
雑誌
農作業研究 (ISSN:03891763)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-6, 2008
被引用文献数
2

収穫期に達した5.8aのミカン園を用いて,ウンシュウミカンの鳥害に対する牧羊犬(ボーダーコリー種)の防止効果について調査した.園の四周の一辺に張ったワイヤーに長さ1mの鎖で1匹の犬をつなぎ,犬がワイヤーに沿って自由に動き回ることができるようにした場合は,犬に近接したミカン樹列では鳥害が減少する傾向が見られたが,犬から離れた樹列においては鳥害は軽減されなかった.一方,同じミカン園の四周を金網塀で囲み,園内に1匹の犬を放任した場合は,犬は飛来した鳥を執拗に追跡して追い払い,その結果,園全体に亘って鳥害が軽減された.この方法による果実増収効果は1日当たり約17.5kg/aに相当した.これらのことから,ウンシュウミカンの鳥害防止に牧羊犬を活用する場合,犬をつなぎ止めずに園内に放任することが有効であることが示された.ミカン園の面積当たりの犬の最適頭数や,この鳥害防止法がミカン生産地域のすべてのミカン園に広がった場合の鳥害防止効果については,さらに研究が必要である.
著者
大野 友則 大山 浩代 別府 万寿博 塩見 昌紀
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.875-888, 2008 (Released:2008-11-20)
参考文献数
24

煙火工場等の火薬類を貯蔵する火薬庫の建設においては,万が一の爆発に際しても周辺への安全を確保する必要性から保安距離が定められている.保安距離は自由空間中における爆発事象を基準として定められているが,堅固な鉄筋コンクリート造の周囲を覆土した覆土式火薬庫の内部爆発事象は自由空間での爆発とは異なるはずである.本研究は,爆発実験室で模型火薬庫を用いた爆発実験を行い,構造物の破壊や爆風圧の大きさに及ぼす覆土の効果について検討を行っている.模型火薬庫試験体は実規模の約1/20の縮尺とし,C4爆薬を試験体内部で爆発させた.実験では,覆土の厚さおよび爆薬量をパラメータとした.実験結果に基づいて覆土の有無や厚さが爆風圧に及ぼす効果を考察し,換算距離と最大爆風圧の関係を求め,現行の保安距離に係る規定との比較を行った.