著者
山崎 猛
出版者
愛知県農業総合試験場
巻号頁・発行日
no.15, pp.521-524, 1983 (Released:2011-03-05)
著者
坂田 健一郎 山崎 裕 佐藤 淳 榊原 典幸 浅香 卓哉 北川 善政
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.197-203, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
30

The effectiveness of zinc replacement therapy is reported to be approximately 70%. However, the effectiveness of this therapy in our department has been lower than that reported in the field of otolaryngology. In the present study, we examined the effectiveness of zinc replacement therapy in patients with taste disorder. Forty patients were administered only zinc formulations(Polaprezinc, 150mg/day) for ≥8 weeks. The time until effect, serum zinc level and other parameters were used to evaluate improvement in the taste disorder. In the present study, three cut-off values were determined based on the serum zinc levels.The overall improvement rate among the patients in this study was 50%. The improvement rates by serum zinc level were 57% at <60μg/dl, 56% at 60-69μg/dl, 60% at 70-79μg/dl, and 14% at ≥80μg/dl. There was a significant difference in the improvement rate between the patient groups with serum zinc levels of <80 and ≥80μg/dl(57% vs. 14%, p<0.05). The times until effective expression in the 20 subjects with improvement were less than 2 months in 20% and more than 2 months in 80%, with significant differences among the two groups(p<0.05). Polaprezinc was effective in 60% of the cases where serum zinc level measured in blood tests was less than 80μg/dl. Effectiveness was not observed when the serum zinc level was more than 80μg/dl. Therefore, zinc supplementation therapy should be conducted over the long term after proper selection of the patients.
著者
池田 俊輔 蛯名 麻衣 平野 祥代 大野 駿人 山崎 弘嗣
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.H4P2359, 2010

【目的】応用歩行の獲得は理学療法の重要な目標の一つであるが、応用歩行が運動学的にどのような歩行であるのか基礎的な理解に乏しい。本研究の目的は健常成人の歩行者交通流(集団での歩行中)での個人の運動学的変数とりわけ空間的変数の特徴が、自由歩行における特徴とどのように異なるかを明らかにすることである。<BR>【方法】運動器系及び神経系に障害のないのべ60名(実質47名、男性20名、女性27名、年齢21.6±2.6歳)の大学生を対象とし、6種類の条件でのすれ違い歩行(3つの人数条件×2つの床面設定条件)を行った。3つの人数条件(10人、20人、30人)共に同人数に分かれた2集団が幅1.28mの平坦な廊下を相対する向きに歩行し(counterflow)、他人に衝突しないようにすれ違い所定の距離を歩くことが課題である。集団は16m離れた向かい合う開始線から歩き出す床面設定(プランA)と、2集団が直接対面した状態で歩行を開始する床面設定(プランB)との2通りで1cm四方の目盛りが刻まれた歩行路上を歩いた。各条件10名(のべ30名、実質25名、男性10名、女性15名、年齢21.5±1.2歳)の立脚足踵部の座標をデジタルビデオカメラで撮影し歩幅と歩隔、歩行速度を計測した。<BR>【説明と同意】全ての対象者に本研究の目的と実験方法について説明を行い、書面で同意を得た。<BR>【結果】プランAでは集団人数の増加と共に歩行速度は1.08±0.31(m/s)、1.03±0.11(m/s)、0.78±0.12(m/s)と低下し、プランBでも1.06±0.11(m/s)、0.86±0.10(m/s)、0.67±0.13(m/s)と低下した(p<0.01)。プランAでの歩幅は集団人数の増加と共に55.6±17.8(cm)、54.0±20.2(cm)、44.8±22.5(cm)と狭小化し、プランBでも58.8±16.4(cm)、49.2±20.0(cm)、38.8±24.0(cm)と狭小化した(p<0.01)。歩幅の標準偏差は人数増加に伴い増加する傾向にあった。プランAの歩隔は平均で9.80±7.87~10.9±8.35(cm)にあり、プランBでは10.3±7.67~12.3±10.2(cm)にあった。<BR>【考察】歩行者交通流の集団人数の増加に伴う歩行速度の低下は複数の先行研究の結果と一致した。歩行速度は集団の人数の関数であることが示唆された。本研究は、その歩行速度の低下が、個人の歩幅の減少と対応していることを示した。しかし歩幅は自由歩行に比べて狭く、そのばらつきも大きく、もはや歩行運動を代表する周期変数としての特徴を失っていた。つまり単に前進運動として歩行するのではなく衝突回避を行うための進行方向変更あるいは移動停止や加速を含めた運動調節を行うために下肢の運動を調整していることを反映していると考えられる。殊にcounterflowにおいては、自由歩行で仮定している周期的な歩行運動から逸脱する運動であるために、歩行速度の低下と歩幅の減少の関係は、歩行率を介する関係式(歩行速度=歩幅×歩行率)から予測できるものではない。今後は歩行周期(時間的変数)の変動との関連を明らかにすることが必要であろう。<BR>【理学療法学研究としての意義】歩行者交通流における個人の歩行の運動学的特徴は、平均的には自由歩行にくらべて遅い歩行速度と狭い歩幅である。しかしそれらは、例えば10m歩行テストによって明らかになるような周期変数としての特徴は区別されるべきであり、応用歩行の運動学的特徴は自由歩行あるいは自然歩行の延長線上に位置づけられない。応用歩行の特徴は、非周期的な強制歩行の特徴として記述される可能性がある。<BR><BR>
著者
山崎 孝史
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2008年 人文地理学会大会
巻号頁・発行日
pp.412, 2008 (Released:2008-12-25)

地政学の「魅力」と地政言説 言葉による表現が、特定の空間や場所をめぐる想像や表象を意味し、歴史的・政治的な文脈の中である種の真実性を持つものとして扱われることがある。その政治的に重要な例が「地政言説」である。オトゥーホール(O' Tuathail)によれば、地政学は「国家間の競争と権力の地理的な側面を強調した世界政治に関する言説」である。オトゥーホールは、現代において地政学がジャーナリスト、政治家、戦略思想家などにとって魅力であるという。ジャーナリストや政治家は地政学をとおして、混沌とした日常的な出来事を超えた、本質化された差異にもとづく永続的な対立や根源的な闘争を見出そうとする。そこで地政学を言説としてとらえるならば、特定の政治家や戦略思想家が「現実」として示す世界が、実は特定の時間と空間の文脈から描き出されていることや、多様で複雑な現実を特定の視点から単純化されていることに気づくことができる。 地政言説の構成と物質的基礎 言説は単に書かれたものとして主体の位置、実生活、あるいは社会の諸制度から遊離しているわけではなく、それらの中に埋め込まれている。地政言説を例にとれば、世界政治の表象は特定の国家の物質的な要素(人口・資源・産業・資本など)と無関係ではなく、それを基礎としてつくり出される。オトゥーホールは地政学の概念的構成を図解している。図の上部におかれるのが三つのタイプの地政言説とその具体的な形態であり、これらの言説は地政的想像力によってつくり出される特定の地政的伝統から派生している。地政的伝統とは、特定の国家の構造を基礎としている。こうした図式は国際関係の分野での言説構成の理解には有効であるが、それ以外のスケールではどうだろうか。 スケールと言説 政治地理学的にみると、地理的スケールは重要な政治的意味を持つ。個人または集団による政治行動は特定の場所において展開し、一定の空間的広がりを持つ。スミス(Smith)が分類する身体からグローバルにいたる7つのスケールは、政治行動が展開される空間的広がりの程度を示している。特定の政治問題や政治行動は特定のスケールを基盤に発生・展開し、またそのスケールの操作をめぐって政治的な駆け引きが起こる。これを「スケールの政治」と呼ぶが、問題のスケールが重層的な場合「スケールのジャンプ」と呼ばれる現象が起こる。こうしたスケールの政治にも地政言説が関係する。それを「スケール言説」と呼び、政治行動の理念的部分において重要な役割を果たす。政治問題や政治運動は単一のスケールで展開するものではなく、多様なスケールの間を往復する。故にスケール言説の分析についてもマルチスケールの視角が求められる。 言説分析の方法 では言説はどのように分析されるのであろうか。社会運動における主体と場所や空間との関係とを明らかにするために、フレーム分析の手法を用いることができる。フレーム分析は、社会運動を「枠づける=フレーミング」言説に着目する。社会運動は特定の信念、価値観、あるいは世界観のもとに組織され、運動組織は自らの活動を正当化し、敵対する立場や組織の考え方を否定する。フレーミングとは、そうした運動の理念を言語的に表現する行為である。フレーミングに着目することで、特定の組織の活動理念の形成過程のみならず、組織内あるいは組織間での異なった理念の同調や対立を検討することができる。こうしたフレーミングは複雑な現実を言説的に単純化することで人々の支持を得ようとする。この点では地政言説と同様の働きをもっている。 地政言説から政治を読む 地政言説と政治との関係を理解することは、地理学という観点から政治を分析する上で有効となる。また、特定の個人や集団が空間や場所を表象する行為から政治的な意図や権力関係を読み取ることは、政治という営みに対する感受性や批判的思考力を高めることにもつながる。そして、私たちがより賢明な市民や有権者であるためには、地政言説の作用に敏感であるばかりでなく、そうした言説の基礎をなすもっと複雑で錯綜した世界や社会の物質的構成(人口・権力・その他資源の配分、すなわち地理そのもの)を理解せねばなるまい。
著者
山崎 貴子
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.41, 2003

学習塾の全国的な動向を分析し、次に京都市右京区を事例地域として、学習塾の立地場所・立地形態等の変化、および生徒の属性などを検討した。 その結果、以下のことが明らかになった。 1 大手学習塾の多くは、高度経済成長期から安定成長期に創立され、規模が拡大している。学齢期人口の増加および高学歴化などにより、営利性が高まったことが要因と考えられる。 2 学齢期人口と学習塾の件数との関係は、大都市レベルではほぼ正の相関関係にある。しかし、京都市を例とした都市内レベルでの検討によると、交通の至便性および地域の教育水準が関与しており、両者の相関関係は低くなる。 3 京都市右京区にある学習塾は、「単体開設」の学習塾が住居系用地にある「自己所有」の物件を利用して展開するタイプから、「複数開設」の学習塾が商工業系用地にある物件に「テナント」として入居し展開するタイプに変化してきている。 4 学習塾は、様々なニーズに対応するため、対象学年の広範囲化、小学生の英語教育、さらに個別指導の強化など、多様な事業を展開している。 5 学習塾の選択背景には、居住地からの距離や交通手段、および学習塾の教育方針が関わっている。 完全学校週5日制の実施および教育内容の削減などにより、教育機関としての学習塾の役割は、ますます大きくなると思われる。また、学習塾を含む民間教育機関、学校および地域の連携の動きがみられ、民間教育機関が地域の中で果たす役割も注目されている。民間教育機関の情報公開の消極性が克服されれば、地理学からの教育に関する研究のさらなる発展が望めよう。
著者
水谷 光 穴田 夏樹 内藤 祐介 堀 耕太郎 堀江 里奈 山崎 広之 山田 有季
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
LiSA (ISSN:13408836)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.75-85, 2020-01-01

関西地方の麻酔科医たちが「症例カンファレンス」を実際に集まってやってみた。 通常の「症例カンファレンス」は,提示症例に対して各施設が周術期管理計画を原稿で示し,相互のやりとりはない。別の施設で働く麻酔科医が顔を合わせて,提示症例に対して思うことを述べることによって,互いのプランに取り入れられること,足りないことなどがその場で発見できるのではないか。それは読者にとっても新しい発見につながるのではないか。そんな思いで今回の「リアル症例カンファレンスin Osaka」は開催された。
著者
山崎 一 吉村 哲彦 神崎 康一
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.143-149, 1996-05-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
15

長伐期優良材生産を指向した間伐木選定に関して,ファジィ推論を用いた簡単な規則による選木モデルを構築し,一熟練者の経験的判断の再現を試みた。モデルの入力値は,幹,樹勢および配置に関する計測情報であり,林木の残伐判定が出力である。面積0.05haのプロット内の林木に対して推論を適用した結果,判別率で全木86%,間伐木63%の精度が得られた。これは同一要因を説明変数とする判別分析の精度をやや上回った。また,システム調整の点においてもファジィ推論の利便性が認められた。本研究により,林業における経験的判断に対するファジィ推論の有効性が明らかになった。さらに,優良材生産を指向した選木では,林木配置および隣接木との相対的な形質比較が重要であることが確認された。
著者
植木 雄志 高橋 剛史 太田 久幸 正道 隆介 山崎 恵介 梅津 哉 堀井 新
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.55-59, 2020 (Released:2020-06-16)
参考文献数
14

【症例】71歳女性。骨粗鬆症で加療を受けていたが高カルシウム血症を指摘され,当院に紹介となった。FDG-PETで副甲状腺腫瘍と骨への多数の集積を認め,99mTc-MIBIシンチグラフィでは左下副甲状腺への強い集積と,骨病変への弱い集積を認めた。シナカルセトを投与するも高カルシウム血症が改善しないため腫瘍摘出術を施行したところ,病理診断は副甲状腺癌であった。術後血清カルシウム,PTH-intactは正常化した。術後1年経過した時点でFDG-PET再検したところ,骨病変の集積は消退し,硬化性変化が進行していたため,Brown tumorの合併であったと判断した。【まとめ】副甲状腺癌とBrown tumorの合併はきわめて稀であるが,副甲状腺腫瘍に骨病変を伴う場合はBrown tumorを念頭に置き原発巣切除後の画像検査で骨病変の評価を行うことで,侵襲的な検査・治療を回避できる可能性が考えられた。
著者
石井 素介 山崎 憲治 生井 貞行 内田 博幸 岡沢 修一
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.559-578, 1996-07-01
参考文献数
10
被引用文献数
2

この報告は,阪神・淡路大震災の被害の地域構造を,犠牲者多発地区の特性ならびに避難所の実態から探るものである.震災犠牲者は社会的弱者である老人・女性に集中した.激甚な被害は神戸市都心周辺部の老朽密集住宅地・住工混在地域で顕著であった.これは,現代の大都市に内在する構造的弱点と社会的弱者に震災の重圧がかかり,その衝撃を契機としてこれらの矛盾が一挙に露呈されたものとみることができる.<br> 地震の発生に際して,被害の程度を軽減させるうえで地域コミュニティの果たした役割は大きい.初期消火,住民の安否確認,生き埋め者の救出を短時間のうちに行なうには,地域社会がどのように形成・維持・展開されてきたかが大きなかかわりをもつ.とくに都市部では地元の濃密な人間関係の解体が進んでおり,それがインナーシティ問題に直結して被害の拡大に影響している.<br> 地震直後,被災者はまず安全・近接・公共の空間を求あ,大多数が近隣の学校に避難した.元来学校は防災計画上の避難所として指定されていたが,受け入れ態勢は万全ではなかった.しかし多数の被災住民が殺到するなかで,学校は地域社会の中核に位置する公共空問として事実上重大な役割を果たした.学校避難所の運営は被災住民と行政の間に立って多くの困難に直面した.自身被災者でもある教職員が仲介役として多面的な役割を果たした場合も多い.学校避難所の推移には地域の被災程度や自治組織確立度如何によって多様な類型がみられた.しかし,緊急事態への対応として経験した避難者救援活動のなかで生まれてきた教職員・ボランティア・地域住民間の連帯の萌芽は,今後の震災からの復興過程においても,地域コミュニティ再建への道標として,重要な示唆となるであろう.この震災体験は,地域を場として将来の地域の担い手を育てる地理教育にとっても,課題として活かすべき多様な示唆を含むものといえよう.
著者
山内 正仁 山崎 順一 渡辺 敏英 三橋 政次 安藤 孝 横田 明俊 久保山 智司 油谷 崇志 鈴木 崇弘 岩田 佳之 村上 健
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 25.75 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.27-32, 2001-11-16 (Released:2017-06-23)
参考文献数
10

これまでに、ハイビジョンカメラを宇宙で使用した場合、CCD上に白傷が多数発生することが確認され、映像劣化の観点から、映像素材や科学的データの取得に際して障害となることが報告されている。本報告では、CCDの耐放射線特性を調べる目的で、ハイビジョン用のCCDに対して地上照射実験を実施したので、その結果を報告する。
著者
高橋 いず美 青山 誠 佐々木 亮介 小林 万里子 中山 紀子 山崎 彰久 天満 美希
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0892, 2004 (Released:2004-04-23)

【はじめに】我々、理学療法士(以下PT)が臨床場面で筋力を測定する方法として、現在では徒手筋力検査法(以下MMT)が使用されることが多い。MMTの判定には主観的要素が含まれているため、的確な判断には熟練を要するとされている。これまでMMTの検者間信頼性を検討した研究がなされ、高い信頼性が得られたとする報告も多い。しかし、足関節底屈(腓腹筋)の測定は徒手による抵抗ではないうえに、上肢による免荷がどれだけか、どこまでバランスの崩れを許すのかといった判断が検者の主観的なものであり、純粋に腓腹筋筋力を検査しているとは言い難く、特に3(fair)以上の判定においての信頼性に疑問が残る。そこで今回は、MMTにおける足関節底屈筋力(腓腹筋筋力)の測定について、検者間信頼性を検討することを目的に調査した。【対象と方法】被検者は下肢に既往歴のない成人14名(男性6名、女性8名)、平均年齢59.3±9.8(50~87)歳とした。検者は経験年数5年以上の理学療法士(以下PT)3名(男性2名、女性1名)、平均経験年数9.6年とした。3名の検者は各被検者に対し、MMT第6版で規定された方法に準じ、左右の腓腹筋の筋力を測定した。測定した結果は3名の検者間では知らせず、3回の測定は少なくとも30分間以上の間隔をあけて実施した。検者間信頼性は分散分析を用い、危険率5%を有意水準とした。【結果】被検者全員の足関節底屈筋力はすべてMMTで3以上であった。3名のPT間で、MMTの結果が左右とも一致した人数は14名中3名(21.4%)で、左右のどちらかだけ結果が一致したのは28脚中8脚(28.6%)であった。また結果が一致していたのは、すべてMMTで5レベルと判断された被検者(脚)であった。95%信頼区間による検定では、右足がF1=3.36、左足はF1=8.32となり、左右ともに検者間信頼性はなかった。【考察】今回の研究では検者3名、被検者14名と少数であったが、一般に経験があるとされる経験年数5年以上のPTにおいても、検者による測定結果のばらつきがみられたことは、腓腹筋に対してのMMTの測定は、検討の余地がある事項であると考えられる。今回ばらつきがみられた要因としては、踵を持ち上げる高さ、バランスをとる程度とされる上肢による支持、正しい形を崩さずに行える、という点についての判断が検者により差がみられたことが挙げられる。しかし現在、MMTは簡便で誰もが行える理学療法評価の手技として、最も頻繁に実施されている検査の一つであることも事実であり、今後はより客観的で簡便な足関節底屈の測定方法の検討が必要と思われた。
著者
広瀬 保夫 畑 耕治郎 本多 拓 山崎 芳彦 堀 寧 大関 暢
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.125-129, 2001-03-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1 3

This report describes 7 victims of sodium azide poisoning caused by drinking poisoned water. Ten employees at the poisoning site developed symptoms immediately after ingesting coffee or tea made from hot water contained in a thermos bottle. Symptoms included altered consciousness, faintness, blackout, palpitation, nausea, and paresthesia of both hands and feet. Seven patients were transferred to our institution by ambulance. We assumed symptoms were caused by acute poisoning but the causative agent was unknown. We could not rule out cyanide poisoning because of the rapid emergence of symptoms suggesting circulatory failure, so we administered amyl nitrate, sodium nitrate, and sodium thiosulfate. Symptoms rapidly subsided. The causative agent was identified the next day as sodium azide. While the victims were being treated at the emergency room, 2 doctors, 3 nurses, and 1 pharmacist complained of faintness, headache, nausea, sensations of dyspnea and eye pain. These medical staff members had all either conducted gastric lavage or treated gastric contents. This strongly suggests that symptoms were caused by hydrazoic acid formed in a chemical reaction between sodium azide and gastric acid. Our experience underscores the potential hazard from hydrazoic acid faced by medical staff treating patients with oral sodium azide intoxication.
著者
山崎 瑞紀 倉元 直樹 中村 俊哉 横山 剛
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.305-314, 2000-09

山崎・平・中村・横山(1997)に引き続き, 本研究においては, アジア出身学生の対日態度, 及び対異文化態度と, それらに影響する要因の関係を検討した。態度形成モデルは, エスニシティ(民族性)の観点から構成された。「対日態度」, 「対異文化態度」, 「友人関係」, 「肯定的経験」, 「否定的経験」, 「自分たちのエスニシティがホスト社会に受け入れられているという認知」といった構成概念が測定された。日本語学校に通う399名のアジア出身学生が質問紙に回答した結果, 以下の点が示唆された:(1)「日本人による受容の認知」は, 肯定的な対日態度, 対異文化態度の形成に重要な役割を果たす, (2)中国出身の学生は, 韓国出身の学生よりも, 日本人と豊かな「友人関係」を形成しており, 「肯定的な経験」が多く, 滞在社会は自分たちの民族文化に対して関心を持っている, と感じており, より親和的な「日本人イメージ」を形成している, (3)さらに, 前回, 留学生を対象に行った調査結果と比較したところ, 日本語学校生は留学生よりも, 「肯定的経験」が少なく「否定的経験」が多いこと, 「日本人との交流意図」, 「異文化との交流意図」が低いことが示唆された。