著者
細谷 千博 有賀 貞 山本 満 小此木 政夫 緒方 貞子 宮里 政玄
出版者
国際大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1984

三年計画の最後に当るため、各分担者とも分担課題について研究のまとめに努力した。細谷千博は全般的概観を試みるとともに、吉田茂首相の1954年外遊の目的、当時の吉田の対外政策構想についても論文を準備した。有賀貞はアメリカのアジア政策の概観を準備するとともに、アメリカの保守派の対外政策観におけるアジアの地位について考察する論文を用意し、報告した。五十嵐武士は9月より米国に出張中であるが、ニクソン・ドクトリンについての論文を作成中である。小此木政夫は1980年代の朝鮮半島をめぐる国際関係について報告し、とくに金日成暗殺誤報問題を分析した。また緒方貞子は対中国交正常化に関する比較研究について研究を進めるとともに、ワシントンでの実地調査に基づいてレーガン政権の対外政策決定過程の特色について報告し、政権上層部は穏健派だが、中堅層以下には教条的保守派が進出している等の事実を明らかにした。渡辺昭夫は防衛費1%枠問題を国際的文脈と国内政治の文脈で検討した報告を行なった。山本満は日米とアジアNICSとの投資貿易関係について分析する論文をまとめたが、さらに新資料により、最近の状況に触れた論文を作成中である。黒柳米司は、アセアン諸国の政治動向を分析し、それが日米両国の利害とどのようにかかわっているかを論じる論文をまとめつつある。宮里政玄は、ベトナム戦争が日本の世論にどのような影響を及ぼしたかを分析した論文をすでにまとめている。草野厚は海外出張中であるが、牛肉問題をめぐる日米豪の関係をそれぞれの国内政治をからませて考察する論文を準備している。3月の最後の研究会では、研究成果の刊行準備について協議し、昭和63年度に刊行することを目標とすることになった。
著者
清田 公保 尾島 潤 山本 眞司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.1821-1828, 1996-10-15
参考文献数
14
被引用文献数
1

視覚障害者のためのオンライン手書き漢字認識システムの第1段階として 漢字の部分構造情報を用いた大分類法を提案する. 視覚障害者の書く文字は視覚情報の欠如のために 晴眼者の文字と比べてストロークや部分パタン間で分離や重なりが著しく生じやすく 全体のバランスがとれていない. しかし文字変形分析の結果 局所的な部分 たとえば偏や冠 構え 旁などの部分パターン内では比較的安定であった. そこで偏 旁などの部分集合になりやすい 連続した3つのストロークに着目し 各ストロークの代表点の移動方向を特徴量として用いる方法を検討した. 3つのストロークの抽出法としては 文字の書き始めから3ストローク(偏 冠 構え系) および書き終わりから逆方向に3ストローク(旁系)を選んだ. またストローク代表点としては 始点 中点 終点のいずれかを動的に選ぶことにより特徴抽出の安定化を図った. 視覚情報欠如状態で書かれた教育漢字1005文字に対して個人学習辞書を用いた分類実験の結果 候補文字を被験者12名の平均で8.4個 最大でも38個にまで絞り込むことができた. このときの分類率は平均98.5% 最高100%に達し 本手法の大分類応用への見通しが得られた.This paper presents a classification method of on-line handwritten Chinese Characters of visually disabled persons. In general, the handwritten characters of visually disabled persons show significant shape distortions. However, the relative position of each partial structural strokes can be observed to be stable. Based on this characteristic a new concept is presented; the classification of on-line handwritten Chinese characters based on the relative positions of partial structural strokes. In this method, the feature parameters are extracted from the relative direction of vectors between two stroke representative points which represent the partial structure of handwritten Chinese characters. It is shown that the satisfactory classification accuracy and efficiency can be obtained using this method in the classification of Chinese characters written by visually disabled persons.
著者
山本 泉
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

腎臓におけるCaveolin-1発現の意義について、Caveolin-1遺伝子改変マウスを用いて、各種実験腎炎モデルを検討した。①虚血再灌流、②尿細管結紮、③eNOS阻害剤投与、④抗VEGF抗体投与の各モデルで、ワイルドタイプの腎内微小血管内皮細胞のカベオラおよびCaveolin-1発現量に変化を認めなかった。一方、間質線維化を評価したところ、尿細管結紮モデルおよびeNOS阻害剤投与モデルで、Caveolin-1ノックアウトマウスにおける間質線維化増加を確認した。間質線維化を促進するマクロファージ浸潤は、尿細管結紮モデルにのみ生じ、Caveolin-1ノックアウトマウスにおいて強く認められた。
著者
山本 誠一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.673-677, 1998-09-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
11
被引用文献数
4 7

新しく開発されたLGSOシンチレータのパルス波高, エネルギー分解能, 減衰時間およびバックグウランド計数を測定しLSOのそれと比較した。LGSOの511keVγ線に対する発光量はLSOより18%多いが, エネルギー分解能はわずかに悪いという結果が得られた。単一光子計数法によって測定したLGSOの511keVγ線に対する減衰時間は34nsでLSOとほぼ同じであった。LGSO, LSO両シンチレータにともに含まれる天然放射能によるバックグラウンド計数はLGSOの方が10%少なかった。これらの結果よりLGSOはLSOと同様に新しいPET用シンチレータとして期待できることがわかった。
著者
山本 郁男 宇佐見 則行 井本 真澄 岸 信行
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 (ISSN:13455451)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.187-192, 2007-03-25
被引用文献数
1

Shouan Watanabe (1613-1699) was one of the most famous men in the history of Hyuga (Nobeoka, Miyazaki). He was a physician during the Edo period, often called the father of medicine in Nobeoka. He was born in Nobeoka and studied both medicine and Jugaku in Kyoto. After his return to Nobeoka, he practiced medicine and opened a private school for young people. Watanabe was ordered by Yasuzumi Arima, then leader of the Nobeoka-Han, to be a teacher for his son, Kiyozumi Arima. Watanabe had over one hundred students. He was not only a physician and teacher, but also a politician. His grave is still in Zenseiji temple in Yamashita-machi, Nobeoka, with writings by Jinsai Ito and Tougai Ito on it. This paper deals with Watanabe himself, the people around him, and the events of his life.
著者
近藤 あき 中越 明日香 山本 洋紀 田中 忠蔵 梅田 雅宏 江島 義道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.100, pp.13-18, 2004-05-21
参考文献数
6

色対比効果とは、同じ色でも周囲に存在する色に依存して異なる色に知覚される現象を指す。この効果は色を空間的に比較する脳過程の存在を示している。本研究では色の空間比較過程に関与する脳部位を、fMRIを用いて検討した。視覚刺激は等輝度のテスト刺激と周辺刺激であった。テスト刺激と周辺刺激の境界が隣接する条件と間隙がある条件(0.5°または1°)を設けた。テスト刺激と周辺刺激は実験を通して常に赤緑変調されたが、同じ位相で変化する条件と逆相で変化する条件が交互に提示された。この時、色対比が生じて、テスト刺激の物理的な色変調は一定であるにもかかわらず、見かけの色変調は逆相条件で強まった。この間の脳活動をfMRIで測定すると、間隙がない場合には、見かけの色変調に相関した脳活動が低次から高次に至る多くの視覚野で観察された。間隙が大きくなると、低次の領野では脳活動が激減したが、後頭の背側と腹側の特定の高次領野では有意な活動が残った。これらの結果から、色比較の空間範囲は視覚経路の階層が上がるにつれて広くなると考えられる。
著者
山本 輝正 佐藤 顕義 勝田 節子
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.277-280, 2008 (Released:2009-01-06)
参考文献数
26

長野県飯田市上村北又渡の森林内において2007年8月にコウモリ類の捕獲調査を行ない,コヤマコウモリNyctalus furvusとクビワコウモリEptesicus japonensisを捕獲した.長野県において,コヤマコウモリは初記録であり,クビワコウモリは4例目の記録となる.コヤマコウモリの当歳獣が8月上旬に捕獲されたことは,本種の出産・哺育場所の存在を示唆するはじめての事例となる.また,コヤマコウモリの飛翔直前の音声(精査音)がFM型であることが明らかとなった.
著者
林田 理惠 横井 幸子 黒岩 幸子 宮崎 衣澄 金子 百合子 山本 有希 柳町 裕子 熊野谷 葉子 堤 正典 小林 潔 小田桐 奈美 角谷 昭美 加藤 純子 北岡 千夏 佐山 豪太 竹内 敦子 ボンダレンコ オクサーナ 三浦 由香利 宮本 友介 依田 幸子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

国内ロシア語教育各機関における教育カリキュラムの質的評価を行い,問題点を明確化,さらに各機関における語学能力到達度の相互比較を実施した.また全国高校・高専・大学ロシア語学習者1114名を対象にアンケート「ロシア語とロシア語学習に対する意識調査」を実施,量的・質的分析に基づき学習者の動機づけと学習環境との相関性観察を行った.国内外でその結果を発表,ロシア語学習者の傾向を明らかにし,ロシア語教育のあるべき方向性について明確な指針を提示した.さらに,カリキュラム・教材開発,指導方法,評価システム,就職関連情報等について,各機関教員の共同利用サイト『ロシア語教育支援・就職情報』を構築し公開した.
著者
バゼル 山本 登紀子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学図書館学年報 (ISSN:09168850)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.46-55, 2010

岐路に立つ米国の大学図書館事情
著者
山本 明彦 山本 百合子
雑誌
日本眼科紀要 = Folia ophthalmologica Japonica (ISSN:00155667)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1148-1152, 2000-12-28
参考文献数
2
被引用文献数
4
著者
山下 忠幸 三須 幹男 山本 志郎 寺田 弘 石井 祥之
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.27-"42-2", 1963-12-25

いわゆるホモの不妊の原因を形態学的に明らかにする目的で,東北海道の3ミンク飼育場で蒐集したホモ3種類の合計50個体および対照としての3品種の合計33個体の尿生殖器についてまず肉眼的観察を行ない,次のような成績をえた。1)一側の泌尿器に異常が認められた個体に,同時に同一側の生殖器にも異常が認められたもの(尿生殖器異常群)がNAMRのHomo Sapphire3例中1例(33.3%)およびHomo CCPastel19例中7例(36.9%),またTAMRのHomo Sapphire21例中3例(14.3%)に発見れた。2)一側の生殖器にのみ異常が認められるものがNAMRのHomo CCPastel19例中2例さ(14.3%)に観察された。3)対照としての3品種33例および品種不詳の500剥皮屍体には尿生殖器あるいは生殖器の異常なものは1例も発見できなかった。4)尿生殖器異常群の肉眼的異常所見として,一側の腎臓欠損とこれにともなう腎脈管および尿管の欠如,さらに泌尿器異常側の腹部潜在精巣あるいは精巣上体,精管の欠如が観察され,これら異常の出現様式によって尿生殖器異常群を3型に分類した。5)生殖器異常群の2例中1例は左側の腹部潜在精巣と同側の精巣上体,精管を欠如していたもので,他の1例は右側の鼠径部潜在精巣を示していたものである。6)尿生殖器の異常側の出現頻度には差がみられなかった。7)ミンクの正常腎は左右ほぼ同様の形態を示し,一般に菜豆形を呈する。8)ホモにおける一側腎臓欠損例の他側残存腎は個体によって長径,幅径,厚径それぞれの増加率で異なるために,一律な形態を示さなかったが,形態のいかんにかかわらず残存腎は正常腎のほぼ2倍の重量増加を示すものが多かった。9)ミンクの精巣は採皮時期において蜿豆豆形を呈するが,繁殖期においては長径が短径および厚径に比べその増加率が著しく大である結果,厚い丸味を帯び,あたかもラッキョウ様の形態をとるようになる。10)ホモの精巣は他品種の精巣に比べ極めて発育が悪く,採皮時期,繁殖期ともホモの精巣は他品種の精巣の約1/2の重量を示すに過ぎなかった。11)ミンクの精巣は対照,ホモとも左精巣が右精巣より重いものが多かった。
著者
山本 道成
出版者
綾部市天文館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

○研究目的各地で行われている流星電波観測の観測データをインターネットを利用して1カ所に集約し、解析およびデータベース化する流星電波観測網の構築の為に観測データから流星エコーの抽出などをおこなうプログラムやデータ転送システムの開発と実験を行う。○研究方法GPSを用いて時刻同期したサンプリングが可能なADボードを使用して観測された各地の観測データを集めて解析し、ノイズと流星エコーを抽出するプログラムを複数作成した。それぞれのプログラムを単独または複数の組み合わせによるエコーの検出精度を確かめた。特に流星群(ペルセウス座流星群、しし座流星群、ふたご座流星群)時のデータを主に使用した。また、インターネットを利用して転送できる程度のデータの圧縮と転送実験を試みた。転送実験にはNASを用いた簡易サーバを作成し、LAN上での転送実験を行った。○研究成果エコーの抽出精度に関しては、雷や飛行機によるノイズなど特定の物に関してはほぼ分離可能となった。しかしその他のノイズについてはエコーとの分離精度が実用には不十分なため、今後さらに精度を高める必要がある。また、観測地や時間帯によってはノイズの種類や性質が異なるため、それぞれの地点に合わせて解析プログラムの調整を施す必要があることがわかった。使用するパソコンの処理能力にもよるが、解析処理にかかる時間が観測時間と同等かそれ以上に必要であった。特に流星電波観測に使用されているパソコンの処理能力はさほど高くないため、現状では観測と解析をリアルタイムで行うのは難しいことがわかった。また、今回、観測に使用したサンプリングが200kbyte/s×2chであるため、1時間あたり1.5Gbyteものデータとなることも処理時間の問題に大きく関係している。今後、観測に使用するサンプリングも含めて検討が必要である。
著者
山本 孝治
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.150-152, 1948-03-10 (Released:2008-02-29)
参考文献数
6

The relation of the number of ripe ovarian eggs of the pond smelt (N) to the total length of body (L) and to the body weight (W) may be expressed by the formula N=aLb and N=a'Wb' respectively, where a, b, a', b' are constants specific to the kind of fish. The value of these constants calculated in the present species are a= 58.83×10-5, b=3.52 and a'=1.000, b'= 0.967.
著者
山本 晴彦 本條 均 早川 誠而 鈴木 義則 河田 尚之
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.207-213, 1996-06-05
参考文献数
13
被引用文献数
1

暖地において水田裏作の基幹作物である二条オオムギ(品種: ニシノチカラ)を対象に, 個体群の太陽エネルギー利用効率(Eu, %), 太陽エネルギー転換効率(Ec, %)ならびに日射吸収量から乾物への変換効率(Cs, g MJ^<-1>)を算出し, 二条オオムギの乾物生産を太陽エネルギーの利用の面から評価した. 節間伸長期から出穂期までの個体群日射吸収量は全天日射量の約56%, 登熟期間中の個体群日射吸収量は約70%であった. 全生育期間の個体群日射吸収量は865.02 MJm^<-2>で, これは生育期間中の個体群に投下された日射量の積算値の約40%に相当した. 節間伸長期から出穂期までの生育中期のEcは3.94%で, 高い値を示した. また, 登熟期間中のEuは1.47%, Ecは2.13%で, 全生育期間におけるEuは1.09%, Ecは2.71%であった. これは, 表作における暖地水稲のEu, Ecに匹敵する値であり, 寒冷地のリクゼンムギに比べてかなり高率であることがわかった. 播種期直後から出穂期までの栄養生長期における乾物生産と積算日射吸収量の関係は直線関係が成り立ち, Csは2.32gMJ^<-1>であった. さらに, 登熟初期および中期は, 1.79gMJ^<-1>, 1.179MJ^<-1>になることが示された.