著者
山本 智子
出版者
奈良女子大学
雑誌
奈良女子大学社会学論集 (ISSN:13404032)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.97-114, 2010-03-01

The purpose of this study is to criticize a medical and a psychological supports of AD/HD children and to reconsider the alternative way of supporting with the perspective of "Clinical Sociology". I do not think, however, "Clinical Sociology" is defined clearly yet because Clinical Sociologist do not have the specific way to enter the problematic matters or situations now. Therefore, nowadays, if somebody has some problem, he will be usually supported with the medical or the psychological theories or therapists. In this point, I doubt that those supports make effort to solve their problems or not. The reasons why I doubt those supports are efficient or not are that they usually solve the problem to divine suffering people from the context that they live. I believe the problems that AD/HD children have are not clearly occurred by the biological disorders but the quality of the interactions in the society.The therapists use "Social Skill Training" for training the attitudes of AD/HD children to change the better way. This training is done in the classroom or the other small spaces where children do not actually live. For example, an AD/HD child is determined to have a problem with social skill like a greeting, he forced to learn how to greet nicely toward the other people in the classroom but in the real context. How does he learn this? I think that he just learns the words he is expected in the society but he does not understand the meaning of the importance of the greeting. Although the medical or the psychological theories or the therapists focus on the biological aspect and try to change AD/HD children themselves, the practice of Clinical Sociology has the possibility of understanding the meaning of the problem and can look for the real supports of AD/HD.
著者
石井 孝治 山本 裕陸
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.81-85, 1998

本稿は, 3次元空間R^3における境界要素法による3次元ラプラス方程式の数値解に関するものを考える.まず, R^3内の同心円環領域におけるディリクレ問題の厳密解と数値解を求める.境界要素法においては境界である球面を平面三角形により近似させる.厳密解と数値解を比較し, 厳密解に最も近づく近似法G_nを得た.次に, 境界が球面である非有界領域におけるディリクレ問題を考える.この問題の厳密解は求まっていない.球面に最も近似するG_nで数値解を求め, その結果をグラフ化した.さらに, R^3内の曲線族に対する2-モジュールの数値解を与えた.
著者
野津 亮 山本 優 本多 克宏 市橋 秀友
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.154-164, 2010-04-15 (Released:2010-07-02)
参考文献数
15

本研究は,複雑な人間関係によって構成される社会構造を理解する手がかりを得る為に,認知的経済性をエージェントに実装したマルチエージェントシステムを提案する.このシステムでは対人関係のメカニズムに関する理論として,Heiderの認知的均衡理論(バランス理論)とその数学的拡張としてCartwrightとHararyによって提唱された構造的均衡理論を認知的経済性の論理的な基礎としている.これらの理論では,概念間の関係性を肯定的関係である「+」と否定的関係である「-」に定義し,その関係によって作られたサイクル上の各関係性の積の符号によって認知的均衡状態を判断する.人間は認知的均衡化に向かうように認識を改めるとされる.このモデルにより,エージェント同士のコミュニケーションに様々な条件を付与しつつ,情報が伝達されていく仮想社会をシミュレートしたり,グループ構造やストレス構造がいかに形成されるかについても検討することが可能となる.本論文では複雑化するコミュニケーションネットワークが人間関係や認識にどのような影響を与えるのかを調査することを目的としている.エージェントモデルを定義し,ネットワークやコミュニケーションパターンの違いが持つ意味について検討する.共通の認知構造を持ちやすい,あるいは持ちにくいネットワークやエージェントについていくつかの知見を得た.たとえば,一般的にはグローバルなコミュニケーションが共通認識を持つために必要なように思われるが,それよりも個々のエージェントが選り好みしないことが遙かに重要であることなどが,今回の実験では明らかになった.
著者
野家 啓一 座小田 豊 直江 清隆 戸島 貴代志 荻原 理 長谷川 公一 原 塑 北村 正晴 村上 祐子 小林 傳司 八木 絵香 日暮 雅夫 山本 啓
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

討議倫理学に基づく科学技術の対話モデルを作るために、科学技術的問題をテーマとする対話を実践し、そこから理論的帰結を引き出す研究を行った。その結果、以下の成果がえられた。1. 高レベル放射性廃棄物の地層処理に関する推進派と反対派の対話では、合意にいたることは困難だが、対話を通じて、理にかなった不一致に至ることは重要性を持つ。2. 推進派専門家と反対派専門家が論争を公開で行った場合、その対話を一般市民が聴いて、めいめい自分の見解を形成することがあり、このことが対話を有意義にする。3. 対話を成功させるためには、信頼や聴く力、共感のような習慣や徳を対話参加者がもつことが重要であり、このような要素を討議倫理学の中に取り込んでいくことが必要である。4. 対話では、価値に対するコミットメントを含む公正さが重要で、追求されるべきであり、それは、価値に対する実質的コミットメントを持たない中立性とは区別される。
著者
松井 利仁 平松 幸三 長田 泰公 山本 剛夫
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.20-24, 2001-12-25
参考文献数
9
被引用文献数
2

沖縄県には在日米軍専用施設面積の約75%に及ぶ基地が存在し, 沖縄本島の約20%を米軍基地が占めている。嘉手納・普天間飛行場は人口の稠密な地域に位置しており, 約48万人(県人口の38%)が環境基準を超える航空機騒音に曝露されていると推定されている。このような状況に鑑み沖縄県は航空機騒音曝露による住民影響に関する疫学調査を行った。本報告では, 航空機騒音の健康影響調査の基礎的資料として, 過去の騒音曝露量の推定を行っている。ベトナム戦争以降の現存する騒音測定資料を分析し, それに基づいて各種騒音評価量を推定している。また, 防衛施設庁が定めている騒音区分の妥当性についても検討を加えている。
著者
合田 典子 片岡 則之 奥田 博之 梶谷 文彦 山本 尚武 清水 壽一郎
出版者
岡山大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

研究目的:本研究では、エストロゲンの血管内皮細胞に対する作用を実時間で解析するため、ECIS(Electrical Cell -substrate Impedance Sensing)法を用い、細胞-細胞間隙と細胞-細胞下基質間隙および細胞自体の挙動をナノオーダーで定量的に計測した。さらに、これらナノ細胞挙動を引き起こす基礎となる細胞骨格や接着因子のダイナミックな変化を共焦点レーザー顕微鏡と原子間力顕微鏡を併用して観察し、エストロゲンの血管内皮細胞に対する作用を総合的に解析した。研究の成果:種々の濃度の17β-Estradiol(E_2)付加後の内皮細胞の微細動態(細胞-細胞間隙,細胞-細胞下基質間隙,細胞自体の挙動)をECIS法にて経時的に計測したところ、高濃度のE_2の負荷によりインピーダンスは減少し、細胞-細胞間隙が拡がったことが示唆された。原子間力顕微鏡(AFM)を用いて機械的な弾性特性を測定した結果、高濃度のE_2による内皮細胞辺縁部の弾性は変化せず、成熟女性の生体内濃度(E_210^<-10>及びE_210^<-11>mol)では同部の弾性率を各々61%,56%低下させ、生理的濃度のE_2が内皮細胞の細胞ミクロメカニクスを有意に変化させた。また、動脈硬化症の危険因子として注目されている酸化LDLを培養内皮細胞に作用させた実験を併せて行った。健常者の酸化LDLはヒト血漿LDL画分中の0.01%程度とされるが、その影響を強調するため50μg/ml,100μg/ml及び200μg/mlの高用量を20時間作用させた。インピーダンスは全体として11%増大し、細胞-細胞間隙、細胞-細胞下基質間隙共に増大することが示唆された。また内皮細胞辺縁部弾性率はコントロール群に比べ、70〜80%の低下を示し、酸化LDLは細胞内皮の透過性の上昇及びバリア機能の低下を引き起こすことが示唆された。今後、酸化LDLが内皮細胞に及ぼすこれらの作用に対するエストロゲンの効果を検討する予定である。
著者
山本伶 増井俊之 安村通晃
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.18, pp.1-8, 2013-03-06

メールや SNS のような様々なコミュニケーションシステムが現在広く利用されているが、このようなシステムを利用して情報をやりとりするためにはメールアドレスや SNS アカウントのような個人情報を交換する必要がある。たまたま一緒になった人と写真を交換したい場合のように、よく知らない人と情報をやりとりしたい場合、メールアドレスや SNS アカウントのような個人情報を知らせることには危険があるため、個人情報を開示することなく手軽にデータを交換できる方法があると便利である。本稿では、その場限定で匿名で簡単に情報を共有できるシステム 「Sonoba.org」 を提案する。時間制限つきの URL を使用することにより、個人情報を開示せずにその場限りの情報共有が可能となる
著者
寺内 信 佐藤 圭二 山本 剛郎 安田 孝 馬場 昌子 西島 芳子
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

近代産業都市の住宅地形成を日本の長屋建住宅とイギリスのテラスハウスの比較研究として実施した。日本では大阪と名古屋の都心周辺部における長屋建住宅地の形成過程と第2次世界大戦後の変容、消失実態を明らかにした。イギリスではリバプール、バーミンガム、リーズを主として、テラスハウス地区の形成過程、戦後の改善過程、改善主体や改善手法について考察した。また、老朽住宅の建て替えや、居住者の高齢化に伴う高齢者居住対策の活動について、およびバーミンガムにおける居住者分布のパターンについて分析している。日本の長屋建て住宅は19世紀末からの近代産業都市建設の過程で、庶民住宅として供給されたが、第2次大戦後は社会経済的争件の欠落により減少した。一時的に非木造テラスハウスとしての普及が試みられたが、成功しなかった。都心居住の再生が推進されつつある今日では、新たな再建の方法とルールが必要とされている。イギリスでも戦後の住宅建設では増加していないが、1960年代以降の居住地改善活動によって、改善・維持がすすめられた。その過程で重要な役割を果たしたのがハウジング・アソシエーションである。しかし多様な主体による居住地再生活動にもかかわらず、テラスハウスの高齢者・障書者対応の改造は進展せず、新たな改修方法の開発と実験が必要と考えられる。
著者
事崎 由佳 竹内 光 関口 敦 品田 貴光 山本 悠貴 高橋 慶 荒木 剛 瀧 靖之 荻野 武 木口 雅史 川島 隆太
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

デイリーハッスルズは日常生活上の小さな苛立ちであり、健康に悪い影響を与えることが知られている。我々は、脳血流と心拍数の生体情報を1chNIRSで視覚的にフィードバックし、自身の生理的状態を制御する訓練によってストレス反応が軽減されるか否か検討した。その結果、統制群と比べ介入群において右眼窩前頭前野と左海馬の灰白質量の増加、陰性気分、抑うつ傾向、職業ストレス、唾液中コルチゾール濃度の低下が見られた。
著者
岸本 健雄 佐方 功幸 稲垣 昌樹 竹内 隆 浅島 誠 山本 雅 正井 久雄
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

特定領域研究「細胞周期フロンティア-増殖と分化相関」(細胞増殖制御)は、平成19年度から5ヶ年計画で発足し、平成23年度末で終了を迎えた。本研究では、この特定領域研究の総括班業務を引き継ぎ、以下のように、領域終了にあたって領域としての研究成果をとりまとめ、その公開をはかった。(1)「研究成果報告書」を、全班員(前期あるいは後期だけの公募班員や途中辞退者も含む、総計91名)をカバーした冊子体で作成した。本報告書は8章からなり、領域としての研究成果の概要だけでなく、各班員毎の研究成果の概要も掲載し、総頁数456頁の冊子となった。班員、関連研究者、文科省等に配付した。(2)公開の領域終了シンポジウム「細胞増殖制御」を、平成24年8月30、31の両日、東京工業大学・蔵前会館(目黒区大岡山)で開催した。領域メンバーのうち、前後両期の参画者を中心として31名が講演発表した。参加者総数は約100名で、評価委員も出席した。領域としての主な研究成果を、概観できるシンポジウムとなった。(3)領域の終了に伴う事後評価のためのヒアリングを、平成24年9月12日に文部科学省で受けた。後日、評価結果は「A」(研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの成果があった)であるとの通知が届いた。(4)領域ホームページで、上記の公開シンポジウムもアナウンスし、領域としての成果を発信した。これらにより、本領域の設定によって得られた研究成果を周知するとともに、領域メンバー間の有機的な連携を再確認し、細胞周期制御関連分野の研究の今後の発展に資することができた。
著者
萱野 公一 北村 泰博 竹尾 正彦 森末 真八 山本 満雄 水野 裕 目黒 文朗
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.849-853, 1995-11-15
参考文献数
8
被引用文献数
6 2

症例は42歳の男性,主訴ほ血痰,1992年3月に喀血あり胸部異常陰影を指摘されていたが放置していた.1994年6月頃より血痰があり外科紹介となった.胸部X線写真で右中肺野に透過性の亢進した嚢胞様病変を認めた.先天性嚢胞性腺腫様奇形type 1の疑いで胸腔鏡下右中葉切除術を施行した.嚢胞は最大径8cmで中葉に限局し,周囲には軽度の癒着を認めた.葉間より脈管系をA^5から順次処理していき気管支はENDOGIA 30を用いて縫合切離した.術後経過は良好であった.病理組織診では肺実質内に大小の嚢胞を認め,嚢胞壁の大部分は多列線毛上皮で上皮下には平滑筋が存在したが,軟骨を欠いていた.悪性像を認めず,CCAM type 1と診断した.
著者
幾原 雄一 溝口 照康 佐藤 幸生 山本 剛久 武藤 俊介 森田 清三 田中 功 鶴田 健二 武藤 俊介 森田 清三 田中 功 鶴田 健二 谷口 尚 北岡 諭
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本終了研究では特定領域の成果報告会や国際会議を企画し,本特定領域によって構築された「機能元素の学理」の効果的な普及を行った.さらに,本特定領域で得られた知見を次代を担う若手研究者に引き継ぐためのプログラム(若手研究者向けセミナー,若手研究者海外滞在)も企画・運営した.また,班内の効果的な情報共有・打ち合わせのためのインターネット会議の実施や情報管理も本総括班が行った.平成24年度では以下のような総括班会議,成果報告会,シンポジウム等を行い,本特定領域で得られた研究成果の発信を行ってきた.・総括班会議の開催6月(東京)・特定領域最終成果報告会(公開)6/8(東京)【産官学から約200名の参加があった】・国際会議の開催(公開)5/9-11(岐阜)【国内外から約300名の参加があった】The 3rd International Symposium on Advanced Microscopy and Theoretical Calculations(AMTC3)・国際学術雑誌企画5月(AMTC Letters No.3)・最終研究成果ニュースレター冊子体の企画6月・特定領域特集号発刊(セラミックス)・若手研究者向けセミナー1月(名古屋)6月に開催した本特定領域の最終成果報告会においては200名近い参加があり,非常に盛会であった.また,5月に行われた国際会議においても世界中から第一線で活躍する研究者が一堂に会し,3日間にわたって活発な議論が行われた.また,次世代研究者の育成をめざし,研究者の海外滞在プログラム(米国オークリッジ国立研究所,英国インペリアルカレッジ)も行われた.また大学院生を対象とした第一原理計算,透過型電子顕微鏡,電子分光に関するセミナーも開催した.