著者
山本 俊至
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.138-143, 2010 (Released:2016-05-11)
参考文献数
16

アレイCGH法により, これまでのG分染法では解析できなかった10-Mb以下の微細な染色体欠失, あるいは重複を検出することが可能となった. 22q11.2欠失症候群やWilliams症候群などの奇形症候群は, いずれもG分染法で確認することが難しい2-Mb以下の非常に微細な染色体欠失が原因であるが, これらの微細染色体異常症候群と同様の数Mbの欠失による新規微細染色体異常症候群が次々と報告されている. アレイCGH法は, 全ゲノムを網羅的に解析できる革命的なデジタル染色体解析法であり, 原因不明の先天異常疾患における微細染色体異常の解析ツールとして臨床応用される時代が到来した.
著者
山本 美穂 高橋 俊守
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.7-10, 2013-06-30 (Released:2014-06-30)
参考文献数
6
著者
田村 美恵子 野田 誠 村上 輔 渡部 真吾 大山 明子 山本 康人 田代 宏徳 薄井 宙男 市川 健一郎 恵木 康壮 針谷 明房 高澤 賢次 磯部 光章
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.5-10, 2012 (Released:2015-06-18)
参考文献数
6
被引用文献数
1

症例は47歳,男性.生来健康で,胸痛などの自覚症状はない.意識障害にて当院救急外来を受診したところ,心電図上完全房室ブロックによる最大10秒までの心停止を繰り返した.徐脈による症状と推定し,緊急入院のうえ経静脈ペーシングを行い,待機的に電気生理学的検査ならびにペースメーカー植込み術を施行した.冠動脈に異常はなく,左室収縮機能も正常であった.His束心電図ではHVブロックを認めたが,逆行性房室伝導はみられなかった.洞結節回復時間を確認するため洞調律より20bpm速い頻度(110bpm)で刺激を加えたところ,刺激直後から1:1の関係を保って持続的に心房刺激が心室を捕捉する所見がみられた.刺激停止後に再びHVブロックによる房室伝導障害が顕在化した.本現象は器質的心疾患の指摘されない健常心筋に生じた徐脈依存性ブロックと考えられ,その機序に第4相ブロックの関与が示唆された.
著者
横谷 謙次 高橋 英之 高村 真広 山本 哲也 阿部 修士
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

行動嗜癖(過度な賭博行動やインターネットゲーム使用)は日本でも人口の約9%が経験しており、適切な治療が求められている。本研究の目的は1.ユーザーの嗜癖行動からの離脱と連動するキャラクター(以下、アバター)とその離脱を賞賛するキャラクター(以下、自律エージェント)によって行動嗜癖を治療し、2.その神経基盤を解明することである。1.の目的を達成するためにロボットとスマートフォンアプリでアバターと自律エージェントを作成し、ギャンブル障害者及びインターネットゲーム障害者に対する治療効果を検証する。また、2の目的を達成するために、fMRIを用いて、1.の治療効果に関与する神経回路を特定する。
著者
立石 欣也 吉越 恆 山本 晴彦 岩谷 潔 金子 奈々恵 山本 実則 原田 陽子
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.19-28, 2012 (Released:2017-02-28)

本研究では、2004年に世界遺産に登録された和歌山県の「熊野参詣道」を対象として、小型で安価な焦電型人感センサを用いて、観光客の動態を分析した。人感センサは、観光名所である大門坂および険しい山岳ルートに位置する円座石に設置した。調査は、2010年4月23日から2011年6月16日に実施した。実測値との比較を行い、人感センサによるカウント値を補正した値を、通過人数とした。大門坂は円座石に比べ、通過人数が多く、大型観光バス等を利用して、気軽に世界遺産の雰囲気を楽しむ観光客が多いことが分かった。このように、人感センサは小型で安価であるため、多数の設置が可能であり、地域的な観光客の動態の把握が可能である。
著者
小久保 秀之 山本 幹男 河野 貴美子
出版者
日本超心理学会
雑誌
超心理学研究 (ISSN:1343926X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1-2, pp.21-28, 2006-12-09 (Released:2017-08-09)
参考文献数
9

手かざしや祈りになどの非接触ヒーリングの作用を、極微弱生物光で評価する方法を研究した。超高感度カメラにて植物切片(白いぼきゅうり)の試料対(実験試料と対照試料)を18時間測定し、実験試料から生じる生物光の発光強度を対照試料の発光強度と比較した。測定は、実験試料に全く処理を行わない無処理群、手かざし等を行うヒーリング群、40℃の熱源にさらす熱処理群について行った。結果、無処理群と熱処理群では実験試料と対照試料の発光強度に差は無く、ヒーリング群でのみ実験試料と対照試料の発光強度に有意差が見られた(p = 0.002, 両側, paired t-test)。また、実験試料と対照試料の発光強度の比の対数を指標とすることで、非接触ヒーリング作用の定量評価が可能となった。
著者
南 修司郎 山本 修子 加藤 秀敏 榎本 千江子 加我 君孝
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.232-236, 2018-06-30 (Released:2018-08-11)
参考文献数
12

要旨: LENA (Language ENvironment Analysis) システムとは, 主に乳幼児を対象とした周囲の音声言語環境を録音及び解析する統合情報処理ソフトウェアである。今回, 聴力正常児5例, 先天性難聴児2例, 難聴高齢者7例を対象に LENA システムの日本語環境での解析可能性を検証し, LENA システムを用いた聴覚言語リハビリテーションの応用を探った。いずれのグループでも, LENA システムを用いて音声言語環境を調査することは可能であった。聴力正常児と難聴児の聞こえの環境は, ほぼ同等であったが, 高齢難聴者では, 乳幼児に比べてテレビなど電子音の割合が増えていた。大人の発話数, 子供の発声数, 会話のやり取り数という言葉の量についても, 日本語環境で LENA システムを用いて測定可能であった。しかしながら英語環境におけるパーセントタイル値と直接比較することは出来ないため, 日本語環境でのコントロールデータの構築が待たれる。
著者
島 弘 坂田 充義 山本 達哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.353-363, 2009 (Released:2009-08-20)
参考文献数
4

コンクリート構造物の景観を良くするための方策として表面のはつり仕上げや洗い出し仕上げがある.一方,構造物の耐久性も重要な要求性能である.したがって,海岸構造物など塩害が心配される場所で表面仕上げを適用するためには,はつりや洗い出しと耐久性との関係を知っておく必要がある.しかし,はつりや洗い出しが耐久性に及ぼす影響は明らかにされていない.そこで本研究では,はつりや洗い出しが塩化物イオンの浸透深さに及ぼす影響を実験的に検討した.実験結果から,はつりや洗い出しによって塩化物イオンの浸透抵抗性が小さくなることは無いことが分かった.これは,コンクリート表面近傍において塩化物イオンが浸透する媒体となるセメントペースト量が少なくなるためであると考えられる.
著者
宇津 恒 山本 憲治
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.91, no.9, pp.562-566, 2022-09-01 (Released:2022-09-01)
参考文献数
12

脱炭素社会の実現に向けた次世代太陽電池の候補として期待されるペロブスカイト太陽電池とヘテロ接合結晶Si太陽電池から成るタンデム太陽電池は,変換効率30%の実現が目前に迫っており,(株)カネカにおいても29%に近い変換効率を達成している.本稿では,ペロブスカイト太陽電池とヘテロ接合結晶Si太陽電池から成る2端子タンデム構造におけるカネカの最新の研究成果の報告に加えて,光学シミュレーションによる解析を中心に,タンデム太陽電池の光閉じ込め技術に関して紹介を行う.更に,電流マッチングの制約により2端子タンデム構造では活用が難しい最高性能を有するペロブスカイト太陽電池と,カネカが結晶Si太陽電池における世界記録を有する裏面電極型ヘテロ接合結晶Si太陽電池との組み合わせを見据え,Topセルのバンドギャップを任意に選択することが可能である3端子タンデム構造に関しても紹介を行う.
著者
鈴木 重將 内山 剛 明神 寛暢 渡邊 一樹 山本 大介 佐藤 慶史郎 大橋 寿彦
出版者
一般社団法人 日本神経救急学会
雑誌
Journal of Japan Society of Neurological Emergencies & Critical Care (ISSN:24330485)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.62-66, 2018-06-01 (Released:2018-11-15)
参考文献数
8

Clinically mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion (MERS) is diagnosed using imaging and is characterized by a favorable prognosis, which often improves without treatment. Here, we report three adult patients with MERS who were treated with a different course each; all of them required immunotherapy to some extent. The first case was a 67-year-old male who experienced gastrointestinal symptoms for 3 months prior to hospitalization. The second was a 38-year-old male who experienced a headache and fever, followed by urinary retention. The third was a 36-year-old male who experienced a fever and headache, followed by dysuria, impaired orientation, and upper limb tremor; he was transported to our hospital on the same day. All patients had lesions in the splenium of the corpus callosum. While two patients responded well to steroid pulse therapy, one demonstrated poor response and required immunoadsorption therapy. While some patients with adult-onset MERS require aggressive immunotherapy, this condition covers a broader range of diseases in adults with varying premonitory and clinical symptoms. Although pediatric MERS is often accompanied with a benign condition, this is not always the case for adults. Thus, considering immunotheraphy may be essential.
著者
南 ひとみ 井上 晴洋 佐藤 裕樹 川﨑 寛子 山本 浩之 荻原 久美 中尾 一彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.327-332, 2020-03-25

要旨●食道アカラシアおよびその類縁疾患の診断および治療は,近年新たな低侵襲治療の内視鏡的食道筋層切開術(POEM)やhigh resolution manometryが登場したことによって飛躍的に進歩した.運動機能の異常である本疾患群は,形態学のみでは診断困難な場合も多く,内視鏡の典型像を知る以外にも,食道X線検査や食道内圧測定などの検査所見から総合的に病態を把握することが重要である.本稿では,食道アカラシアや遠位食道痙攣,jackhammer食道などの食道運動機能障害の内視鏡所見について概説する.
著者
粕谷 大智 山本 一彦 戸島 均 坂井 友実
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.32-42, 2002-02-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
29
被引用文献数
1 4

末梢性顔面神経麻痺に対する鍼治療の効果を検討するため、日本顔面神経研究会治療効果判定委員会の提唱する基準に基づき、対象の選択を発症して2~3週間以内の新鮮例で, 電気生理学的検査 (Electroneurography : ENoG) による神経変性の程度を診断した上で、顔面運動スコアを用いて、薬物療法と鍼治療の比較、また薬物療法に鍼治療を併用した際の薬物単独療法との回復の違い等について111例の症例に対しretrospective study により治療効果を検討した。その結果、 (1) 鍼治療と薬物療法の回復の比較では、ENoG値41%以上の群で鍼単独療法群はステロイド経口投与療法群と比べ有意に麻痺の回復が劣った。 (2) ENoG値21%以上の群でステロイド経口投与療法群と鍼併用群群では特に有意差は認められず、鍼を併用しても薬物療法単独群と比べ麻痺の回復は変わらなかった。 (3) ENoG値1~20%の群ではステロイド大量投与群とステロイド大量投与に鍼治療を併用した群と比べると回復に有意差は認められず、ステロイド大量投与群とステロイド大量投与に鍼治療を併用した群と比べると、ステロイド経口投与に鍼治療を併用した群は明らかに回復が劣った。 (4) 薬物療法単独群と鍼治療を併用した群において、特に鍼を併用することで回復を早めるといった効果は認められないが、逆に回復を遅延させるといった逆効果も認められなかった。以上より、急性期末梢性顔面神経麻痺に対する治療は、発症して7日以内に適切な治療が求められており、鍼治療よりもステロイドなどの薬物療法が第一選択として重要であると考える。
著者
髙橋 和子 山本 光
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-16, 2016 (Released:2016-05-31)
参考文献数
42
被引用文献数
2

レジリエンスは,困難な出来事を経験しても個人を健康へと導く心身の特性である。本研究は,大学生360名と教員200名にダンスを実施し,ダンスがレジリエンスを高める効果があるかを検討することを目的とした。心身の健康の指標は,レジリエンス尺度(精神的健康尺度・精神的回復力尺度)を用い,その解析を行うと共に,質的研究として,ダンス教材「新聞紙」の即興的な表現における自由記述分析を行った。その結果,次のことが明らかになった。①ダンス実習を通して「運動好き」「ダンス好き」「精神的健康」「精神的回復力」が肯定的に変容した。②「精神的健康尺度」は [憂鬱][集中力欠如][怒り][身体的症状]の4因子構造であり,「精神的回復力尺度」は[挑戦的][情緒不安定][感情コントロール]の3因子構造であり,各因子間に相関があった。③「精神的健康尺度」と「精神的回復力尺度」の各々の因子間においても,6つの因子間に相関が認められた。④大学生がダンス教材「新聞紙」で獲得した概念は,レジリエンスを高める要素と類似していた。以上のことから,レジリエンスを高めるダンスの効果が明らかになった。