著者
山本 浩大
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.695-700, 2020-03-30 (Released:2020-04-15)
参考文献数
13

中学校理科第3学年第2分野「地球と宇宙」の「太陽系と恒星」では,太陽の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,太陽の特徴を見いだすことを目標としている。その中には,黒点の観察も含まれているが,太陽直径の推測が生徒実験として導入されている事例はない。本研究では太陽を直視せずに太陽直径を生徒に算出させる方法を授業で導入し,算出精度を向上させるための教材教具の工夫とそれによる生徒の太陽に関する興味の変化を明らかにすることを目的とした。太陽直径を1,391,400 kmとした場合,ひもを用いた平成28年度は約70%の班が,光学台を用いた平成29年度は約80%の班が誤差30%未満で太陽直径を算出した。太陽像の直径とピンホールから太陽像までの距離の関係において,理論値から算出される近似直線の傾きと実測値から算出される近似直線の傾きに差があるかを調べるために,t検定を行った。平成28年度は有意差があり(df=44,p<0.01),平成29年度は有意差がなかった(df=29,p=0.4332)。授業の前後で,太陽の興味に関するアンケートを実施し,事前には約50%の生徒が太陽に興味があると回答し,事後には約70%に上昇した。太陽に加え,他の天体の大きさや地球からの距離に興味を示していた。実験時に,はっきりした太陽像の大きさを測定させる操作に課題が残った。
著者
隅田 英一郎 佐々木 裕 山本 誠一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.552-557, 2005-05-15

機械翻訳に対する増大しつづける需要とその翻訳品質に対する期待に現時点の技術は応じきれていない.しかし,最近,機械翻訳技術の研究は大きく変わった.1つは,翻訳品質を自動的に評価する手法が提唱され普及したこと.もう1つは大量の対訳から翻訳知識を学習する手法が盛んに研究され,短時間に低コストで機械翻訳システムを構築する技術が開発されたこと.この2つが相まって,機械翻訳システムが長足の進歩を遂げ社会の需要と期待に応える日は近い. 本稿では,特に,翻訳品質の評価に焦点をあてて,(1)代表的な人手評価の手法,(2)最も広く利用されている自動評価の手法,(3)評価型国際ワークショップの1つであるIWSLT,(4)自動評価の応用と展望について述べる.
著者
横山 靖彦 山本 佳生 佐藤 崇 中島 裕一 橘 球 内田 正昭
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.2466-2470, 2015 (Released:2016-04-29)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

症例は39歳,男性.下腹部痛,嘔気を主訴に当院を受診.初診時,右下腹部に限局して圧痛を認めたが,明らかな腹膜刺激症状や筋性防御は認めなかった.腹部単純CTで虫垂の腫大を認め,急性虫垂炎と診断した.微小石灰化を認めたが,腹水や膿瘍の所見は認めず,保存的に加療した.入院後1日目は腹部所見,血液生化学検査所見ともに改善を認めたが,2日目に40℃の高熱,ショック状態となり,虫垂穿孔による腹膜炎と敗血症性ショックを疑い緊急手術を施行した.術中所見では虫垂の穿孔,腹水は認めなかった.術後,昇圧剤や抗生剤などの集学的治療で全身状態は改善し,術後14日目に退院となった.病理組織診断は壊疽性虫垂炎で虫垂に明らかな穿孔は認めなかった.血液培養からはPeptostreptococcus prevotiiが検出された.敗血症とDICを合併した非穿孔性急性虫垂炎の報告は稀であり,若干の文献的考察を含め報告する.
著者
戸田 雅之 山本 真行 重野 好彦
出版者
高知工科大学
雑誌
高知工科大学紀要 (ISSN:13484842)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.45-55, 2010-07
被引用文献数
1

流星出現直後にはごく稀に流星経路をなぞるように細い発光体が見える。それは短時間で減光し、形を変えながら消失する。これを流星痕と呼ぶ。流星痕の発生確率が最も高いのは毎年11月中旬に出現する「しし座流星群」である。我々はしし座流星群の2001年大出現で、イメージインテンシファイアを使用した流星の2点観測を実施した。動体検出ソフトウェアの使用により、動画から発光継続時間が短い流星痕(以下、短痕)を効率よく抽出できた。本研究では、しし座流星群に属する流星起源の短痕18例、しし群以外の流星起源の短痕8例、計26例の短痕を測定して発光高度と継続時間を求めた。その結果、(1)短痕は平均的に120kmから96kmの範囲で発光する。(2)短痕発生後、上端側は時間経過とともにその高度を直線的に徐々に低下させる一方で、下端側は母流星突入に伴い低高度側へ一気に成長し短痕長の最大を迎えた後、対数関数の漸近曲線的に上昇し、短痕消失直前には平均高度107kmに収れんする。(3)短痕の継続時間は短いもので0.1秒、最長で5秒。(4)母流星絶対等級と短痕の継続時間に有意な相関がある。(5)短痕の継続時間はOI557.7nm(励起状態特性寿命0.7秒)発光を仮定すれば説明できる可能性が高い、ことが分かった。Just after appearing of meteors, faint illuminating trails can rarely be seen along their trajectories. The luminescence, so-called meteor trains, rapidly disappear with changing their shapes in the sky. Meteor shower with the most frequent appearance rate of meteor trains is "Leonid." In 2001, during an encounter of Leonid meteor storm in Japan, double-station observation of meteors was carried out by using image-intensified (I.I.) video cameras. Purpose of the I.I. video observation was to obtain precise trajectory parameters of Leonid meteors, however, many video clips of meteors with meteor trains of short duration within 3 s (short-duration meteor trains, hereafter) were found. By using a motion-detection software, 26 short-duration meteor trains (18 examples of Leonids as well as 8 of sporadic meteors) were successfully picked out, deriving altitude distribution of short-duration meteor trains. As a result, (1) short-duration meteor trains averagely appeared between 120 km and 96 km altitude, (2) altitude distribution of short-duration meteor trains averagely changes in time to be finally centered at around 107 km, with having linear dependence for their upper limit altitudes as well as logarithmic dependence for lower limits, (3) duration time of short-duration meteor trains was in a range between 0.1 s to 5 s, (4) high correlation between absolute magnitudes of parent meteors and duration time of short-duration meteor trains, and (5) the altitude distribution of short-duration meteor trains could be explained with OI 557.7nm luminescence and collision (quenching) process with surrounding upper atmosphere.査読あり論文
著者
山本 浩史 成田 卓也 山浦 玄武 石橋 和幸 山本 文雄 山本 浩史 千田 佳史 向井田 昌之
出版者
秋田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

平成19年度の研究計画として(1)血流量と電磁誘導効果によって発電された電流量の研究(2)電磁誘導コイルの作製(3)電磁誘導コイルの挿入手技の開発とした。しかし進行の遅れと変更が生じた。誘導起電力が極めて小さく、蓄電およびペースメーカー電源としては不充分な電力しか得られないことが根本的な問題であった。また高冠動脈圧での大動脈圧の加速度的変動が起電力の源となるが、かなり高い大動脈圧では、冠動脈の圧力により心筋コンプライアンス(主として拡張機能)が大きく影響を受けることがわかってきた(coronary turgor effect)。さらに開心術中に心筋が受ける虚血再灌流傷害は、冠動脈内圧力が心筋に与える影響を増強するらしいこともわかってきた。そこで日常、遭遇する肥大心筋の場合はどうような影響を受けるかを調べることにした。これは高い圧力(高血圧)が加速度的に生じる場合の起電力評価の前に、心機能に与える影響を評価することを意味している。ラットの肥大心モデルを作成し、ランゲンドルフ摘出灌流とし、逆行性冠灌流の圧力を変化させた。左室内に留置したバルーンを用いて左室拡張末期圧(心筋コンプライアンスとしての指標)を虚血再灌流の前後で測定した。冠動脈内圧が100mcmH_2Oと150cmH_2Oおよび冠動脈遮断(0cmH_2O)下の左室拡張末期圧を測定した。冠動脈圧の変化は肥大心筋でより大きな影響を受けるが、特に虚血再灌流後ではその影響が著しく大きいことがわかった。電磁誘導を利用した起電力を得るための血圧の加速度的変化は高血圧下では心機能に悪影響を与える可能性が出てきた。
著者
久保 暁子 山本 清龍 中村 和彦 下村 彰男
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.33(2019年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.181-186, 2019-11-25 (Released:2019-11-22)
参考文献数
9

本研究では,ストレス軽減のためデジタル機器から一定期間離れる取り組みであるデジタルデトックスの基盤的な研究を企図して,①回答者の属性とデジタル機器の使用状況,デジタル機器の依存性を把握し,それらの関係性を明らかにすること,②平日・休日の過ごし方,デジタルデトックスへの意向を把握し,デジタルデトックスの可能性を考察すること,の2点を目的とした。その結果,約半数の学生がデジタル機器を4時間以上使用し,一部の学生は機器の使用によって学生生活に問題を抱えていた。学生の意向をふまえれば,日常の機器使用制限や自然豊かな場所への外出はデジタルデトックスに有効と考えられた。
著者
阿部 廣二 山本 敦 古山 宣洋
出版者
日本生態心理学会
雑誌
生態心理学研究 (ISSN:13490443)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.27-30, 2018-07-01 (Released:2020-12-01)
参考文献数
8

往復の旅程において,往路よりも復路のほうが短いと感じる,リターントリップエフェクトと呼ばれる現象がある.本稿では,まずリターントリップエフェクトの発生メカニズムについて,先行研究のレビューを行った.その後,先行研究の問題点を指摘した上で,生態心理学を理論仮説として,リターントリップエフェクトの生成メカニズムを理論的に検討した.その結果,1)往路と復路において同一対象であっても知覚される面が異なる可能性があること,2)表面/裏面のどちらからでも同一対象であることが特定できる付着対象であるランドマークの探索が失敗したとき,”もうここか/まだここか”といった経験をする可能性があること,3)視角の制約や環境内の対象によってもたらされるランドマークの遮蔽のタイミングが,往路と復路で違う可能性があり,復路において早期の段階でスタート付近のランドマークが知覚されたとき”もうここか”といった経験をする可能性があることが示唆された.最後に今後の実証研究の方向性として定性的分析,および実験研究の可能性が示された.
著者
阿久津 聡 内田 由紀子 中田 光紀 永田 智久 宮本 百合 Lee Jinju 山本 翔平
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

研究者らはこれまでの研究で、遺伝子発現の技術を使い、会社に対する評価や職場での協調、自己効力感といった要因が高いと炎症マーカーの抑制や細胞性免疫の増強につながることを突き止めた。本研究では、働く人々の健康に影響を及ぼす、①国の文化、②企業、③従業員という3つの要因間の関係性を理論化した「三層モデル」を構築し、産業医学・神経科学・心理学の方法論を援用してモデル検証する。さらにモデルを基に介入調査を立案・実施し、その効果検証まで行い、効果的な健康経営施策への含意をまとめる。
著者
山本 淳子
雑誌
人間文化研究
巻号頁・発行日
no.38, pp.242-216, 2017-03-10
著者
山本 多佳実 井澤 信三
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.269-282, 2021-02-28 (Released:2021-08-31)
参考文献数
21

本研究は、自閉スペクトラム症のある青年3名に対して「悪質商法の勧誘を断る行動」の指導を行い、①悪質商法の勧誘を断る行動の獲得、②直接指導をしていない悪質商法への般化、③悪質商法と悪質商法ではないものの適切な弁別、の3つを検討することを目的とした。指導は①ルールの提示、②シミュレーション訓練、③トレーナーからのフィードバックの順に行った。ルールの提示には、悪質商法の勧誘の断り方が収められたビデオとルールシートを用いた。シミュレーション訓練は、外出条件と在宅条件の訓練を行った。各条件には悪質商法課題と非悪質商法課題を用意し、訓練を行った。訓練後にトレーナーからフィードバックが行われた。結果は3名全員が指導した行動を獲得し、悪質商法と非悪質商法課題の弁別ができた。3名中2名は対人般化、1名は条件般化にも成功し、1名に関しては実際場面での般化のエピソードも確認された。
著者
桑名 義晴 岸本 寿生 山本 崇雄
出版者
消費者金融サービス研究学会
雑誌
消費者金融サービス研究学会年報 (ISSN:13493965)
巻号頁・発行日
no.6, pp.43-52, 2005

近年、日本の消費者金融サービス業は急速に成長・発展を遂げたが、その反面成熟段階を迎えつつあるのも事実である。このため、日本の消費者金融企業は多角化や国際化で新たな活路を見出さなければならなくなっている。前者については、すでに多くの企業が試みつつあるが、後者については、ごく一部の企業が挑戦しているとはいえ、これからの課題となっている。もし日本の消費者金融企業が海外展開するとすれば、どの地域が有望となるか。それは、いうまでもなくアジア地域であろう。そこで本稿では、アジア地域でも経済、とりわけ金融市場が発展している台湾と香港を研究対象にして、そこでの消費者金融サービス業の発展、現状と特徴、および問題点を考察し、日本企業の進出の可能性、条件、方法などを明らかにすることにした。台湾では、近年消費者金融サービス業が急速に発展しているが、現在の段階では銀行しかそのビジネスを行なうことができない。このため、もし日本企業が台湾に進出するとしても、銀行などと提携して進出しなければならないだろう。一方、香港では消費者金融サービス業は比較的早くから発展してきているため、現在専業、カード会社、銀行との間で過当競争がみられる。したがって、香港での消費者金融ビジネスの展開にはかなり厳しいものが予想される。しかし台湾と香港においては、まだ日本におけるような消費者金融サービス業のビジネス・モデルが十分に確立されていないので、日本の消費者金融企業の進出の可能性が残されていると思う。日本の消費者金融企業は、多くの優れたノウハウやスキルを有しているので、両地域でもそれらをうまく活用すれば成功する可能性が大きい。
著者
山本 則幸
出版者
無機マテリアル学会
雑誌
無機マテリアル (ISSN:2185436X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.283, pp.468-473, 1999-11-01 (Released:2011-03-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
赤井 純治 長峰 崇 山本 玄珠 北垣 俊明 海野 友紀
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.106-106, 2005

深海のマンガンノジュールは、1873年グロマーチャレンジャー号の発見以来多くの研究があり、またその成因も様々に議論されている。最近、ノジュールにみられる縞状構造はミランコビッチサイクルに対応するという解釈もある(Han et al., 2003)。マンガン酸化バクテリアも、ノジュールに付着しているとの報告がある( e.g.,Edenborn, et al., 1985 ) が、詳細な成因についてはわかっていない。淡水性環境でも、様々なマンガン土沈殿、ノジュール状沈殿、温泉性のストロマトライト構造をもつもの(赤井他、1997)等報告がある。山本他(2004)は、青森県尾太鉱山排水路中から、大きさ7cmを越す、マンガン団塊が生成していることを報告した。これによると、このマンガンノジュールの組成は、平均MnO=60%程度で他の金属として、ZnO=4%、CaO=3% 程度を含む。今回、この尾太鉱山産マンガンノジュールの生成過程をしらべる為に、マンガンノジュールの生成の初期段階とノジュールの組織・構造に注目し、電顕鉱物学、バイオミネラリゼーションの視点から検討した。産地と試料:尾太鉱山が閉山(1978年)後の坑内排水溝に茶褐色微生物マットが生成し、その中に0.数mmから数cmの黒色Mnノジュールが生成している。水質は以下のようである:pH= 6.8-7.1 Mn= 20-24 ppm, Ca, 270-290ppm, Mg= 28-31ppm, Zn = 6-8ppm, Cl = 6ppm, NO3= 17ppm, SO4 =529-661ppm. ORP =85-135mV, EC=_から_1270μS。この微生物マットごと、試料を採取し、SEM、TEMで観察した(TEM は JEOL JEM2010、EDSはNoran Inst., Voyager IV )。結果と考察:微生物マットは主に鉄酸化バクテリア、ガリオネラとそれが作りだしたら旋状の水酸化鉄の柄の部分からなる。ガリオネラの水酸化鉄は高倍率のTEM像で、さらにこまかな、ナノサイズのアモルファス鉱物粒子であることが解像される。TEM観察で、ガリオネラのバクテリア部分がみられるが、一部のガリオネラのバクテリア本体がマンガン鉱物に覆われているものが今回見いだされた。このEDS組成分析もあわせ、マンガン鉱物のバイオミネラリゼーションと解釈される。一般には、ガリオネラはMnを酸化しないとされているが、極限的な条件下で、利用できるFeがなくなり、Mnがある場合には、マンガン酸化にガリオネラがかかわってくるか、あるいは何らかのバクテリア表面の化学的性質の変化による沈着であろうことを示唆している。このようなマンガン鉱物集合の形態は、1μmスケールの扁形な形態から、少し大きな球状まで、やや幅がある。また、ガリオネラのつくった水酸化鉄のらせん状の柄にからみつくように、マンガン酸化物がみつかることもあり、これは、ガリオネラが特徴的な鉄水酸化物の柄を出しつつある過程でマンガンを沈殿したようにみえる。これまでの観察では、ガリオネラ自身が、マンガンノジュールの最初の端緒をつくった可能性も考えられる結果といえる。微小ノジュールの形態は、ガリオネラマットに支えられて、球状形態が形成され、成長する。また、イオン研摩試料について観察し、縞状構造の結晶サイズの疎密、によるちがいが観察できた。試料Aのマンガン鉱物は buseriteであり、葉片状の層状構造をなすことが、HRTEMで観察された。成因について、さらに議論する。
著者
濱口 郁枝 吉田 有里 森 由紀 大森 敏江 中野 加都子 松村 俊和 山本 存 藤堂 俊宏 宮田 倫好 上島 一泰
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.143, 2017 (Released:2017-07-08)

目的 女子大生のコーヒーの嗜好について調査し、好まれるコーヒーを検討した。 方法 兵庫県内の一大学の女子学生を対象とし、コーヒーを飲む頻度や嗜好に関する質問紙調査と、2回の官能評価を実施した。1回目は、普段コーヒーを飲まない24名に円卓法で検討した。試料は、H:数種のブレンド・焙煎標準、J:ミャンマー産をブレンドに追加・焙煎軽め、P:オリジンごとに分けて焙煎、の3種とし、ブラックとミルクや砂糖を入れて評価した。2回目は64名に、1回目の結果をもとに改良したものと、エチオピア産のシングルオリジンをブラックで味わい、2点嗜好試験法で比較した。 結果 ドリップコーヒーを飲む者は23%と少なく、カフェラテなど甘めのコーヒーを飲む者が70%と多かった。官能評価1回目の結果、Hは、香ばしくて美味しく飲みやすいが酸味がある、Jは、ブラックでも飲みやすくミルクと砂糖を入れると一番美味しい、Pは、酸味が強く美味しさは他より劣る、との評価が得られた。そこで、評価の高いJの焙煎度を上げてコクを出し、ミャンマー産の豆をインドネシア産マンデリンG-1にかえて改良した。2回目の結果、酸味、総合評価ともにJの改良が好まれた(各p<0.01)。Jの改良を飲んだ後は、コーヒーの好みの程度が上昇した(p<0.01)。したがって、穏やかな酸味とバランスのとれた味わいのブレンドコーヒーは、ブラックでも女子大生に好まれることが示唆された。
著者
岡田 裕隆 濱田 輝一 肥後 成美 永崎 孝之 二宮 省悟 福留 英明 山本 広伸 甲斐 悟 高橋 精一郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.337-341, 2009 (Released:2009-07-24)
参考文献数
8

〔目的〕超音波診断装置を用いて足関節角度変化に伴う連続した遠位脛腓結合の可動性を明らかにすることである。〔対象〕足部機能に問題のない健常成人14名で,左右を合わせ28肢とした。〔方法〕対象者に底背屈運動を行わせ,前額面における連続した遠位脛腓結合の変化を超音波画像にて記録し,画像解析により脛骨と腓骨の開離距離を計測した。〔結果〕脛骨と腓骨の開離距離は,足関節の底背屈変化に伴い増大を示した。また,その変化は均一的,直線的ではなく,底屈及び背屈初期までは緩やかに増加し,背屈後期では急速に増加するという特徴的なものであった。〔結語〕遠位脛腓結合の開離には,足関節背屈時の距骨滑車関節の前後における左右幅の変化だけでなく,筋収縮による腓骨自体の動きや距骨の中枢側への引き込みによる距骨の上下の左右幅の変化に伴った一連の複合的な作用が影響する可能性が示唆された。